はたらく 就労支援事業所選び

就労移行支援を使ってみたい人へ|選び方と比較のポイント

— 見学で必ず聞きたい7つの質問

この記事の出どころ
  • 研究で検討
  • 専門家・公的情報
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画像枠/img/banner/shurou-ikou-guide.webp1200×675px(@2x で 2400×1350px)「就労移行支援を使ってみたい人へ」の記事バナー。見学で必ず聞きたい7つの質問

ポイント

  • 就労移行支援は標準2年間(審査により最長3年)、無料〜低額で就職準備ができる福祉サービス
  • 前年の世帯所得により自己負担0円になる人が多い。ただし工賃は出ないため生活費の設計が必要
  • 事業所ごとに質の差が大きい。必ず2〜3か所を見学し、就職実績と定着率を確認する
目次を開く(13項目)
  1. 就労移行支援とは
  2. 費用:多くの人は無料
  3. 事業所の選び方:ここで差がつく
  4. 就労移行支援が向いている人・向いていない人
  5. 事業所探しの実務
  6. 見学で必ず聞きたい7つ
  7. 使うまでの流れ
  8. 手帳がなくても使える場合がある
  9. 通っているあいだの生活
  10. 合わなかったとき
  11. 1日の流れ
  12. 向いている人・別の選択肢
  13. この記事について

「一人で就職活動をするのがしんどい」「働き方を根本から立て直したい」——そんなときの選択肢が就労移行支援です。ただし、事業所によって内容の差が非常に大きいサービスでもあります。この記事では、制度の基本と、失敗しない選び方をまとめます。

就労移行支援とは

障害者総合支援法に基づく福祉サービスのひとつです。一般企業への就職を目指す原則18歳以上65歳未満の人が、標準2年間通いながら、次のような支援を受けられます。

利用期間は標準で24か月ですが、市町村審査会の個別審査で必要性が認められれば最大1年の更新が可能で、通算では最長3年になります。

  • ビジネスマナーやPCスキルなどの訓練
  • 自己理解(特性の整理、必要な配慮の言語化)
  • 職場実習・企業体験
  • 履歴書作成、面接練習、求人紹介
  • 就職後の定着支援(ここが重要)

学校のように毎日通う形が基本ですが、週2〜3日から始めて徐々に増やす、という進め方ができる事業所も多くあります。

障害福祉サービスの1つで、就職に向けた訓練と、就職後の定着支援を受けられます。

内容
期間標準2年(審査により最長3年)
費用前年の世帯所得により、自己負担0円の人が多い
対象原則18〜65歳未満。手帳がなくても使えることがあります
内容訓練、実習、就職活動の支援、就職後のフォロー

工賃(給料)は出ません。 ここが就労継続支援(A型・B型)との大きな違いです。通うあいだの生活費の設計が必要になります。

費用:多くの人は無料

利用料は前年の世帯所得によって決まります。

区分月額上限
生活保護受給世帯0円
市町村民税非課税世帯0円
一定所得以下(所得割16万円未満)※9,300円
上記以外37,200円

※ 20歳以上の入所施設利用者・グループホーム利用者は、この区分から除かれ37,200円になります。

ここでいう「世帯」は、本人と配偶者を指します。親と同居していても、親の収入は原則として算定に含まれません。そのため、実際には自己負担0円で通う人が多いとされています(各事業所は「9割前後が無料」と案内していることが多いものの、厚生労働省の統計として公表された数字ではありません)。

ただし注意点があります。就労移行支援では、原則として工賃(賃金)は出ません。訓練の場であって、働く場ではないためです。通所中の生活費をどうするかは、事前に設計しておく必要があります(失業給付、傷病手当金、障害年金、家族の支援など)。事業所によっては交通費や昼食の補助があります。

利用料

前年の世帯収入によって決まります。

  • 多くの人が自己負担0円です
  • 収入によっては、月9,300円または37,200円の上限があります

「世帯」は、本人と配偶者の収入で見ます。 親と同居していても、親の収入は含まれません(本人が18歳以上の場合)。

交通費・昼食

事業所によって、交通費や昼食の補助があるところとないところがあります。

見学のときに必ず聞いてください。 毎日のことなので、差が大きいです。

生活費

利用中は給料が出ません。この間の生活費をどうするかは、先に考えておく必要があります。

  • 障害年金
  • 失業給付
  • 貯金
  • 家族の支援

相談窓口で、使える制度を一緒に整理してもらえます。

事業所の選び方:ここで差がつく

同じ「就労移行支援」でも、事業所の中身はまったく違います。PCスキル訓練が中心のところ、コミュニケーション訓練に重点を置くところ、軽作業が中心のところなどさまざまです。発達障害の人が見るべきポイントを挙げます。

見学で必ず聞くべき7つの質問

1. 直近1年の就職実績は何人ですか?

「累計◯◯名」ではなく、直近1年の実数を聞きます。利用者数に対して就職者が極端に少ない事業所は要注意です。

2. 定着率はどのくらいですか?(就職後6か月・1年)

就職させることより、続くことが重要です。定着率を即答できない事業所は、そこを追いかけていない可能性があります。

3. 発達障害の利用者はどのくらいいますか?

精神障害、知的障害、身体障害で支援のノウハウは異なります。発達障害の利用者が多い事業所のほうが、特性理解のある支援を受けやすい傾向があります。

4. どんな職種・企業に就職していますか?

事務職ばかりなのか、専門職もあるのか。自分の目指す方向と合っているかを確認します。

5. 個別支援計画はどう作りますか?

全員が同じカリキュラムをこなす形か、一人ひとりに合わせて組むのか。ここは大きな違いです。

6. 就職後の定着支援は、何をどのくらいやってくれますか?

定着支援の手厚さは事業所によってかなり違います。月1回の面談があるか、職場との調整に入ってくれるかを確認しましょう。

7. 週何日から始められますか?体調が悪い日はどうなりますか?

いきなり週5日が前提の事業所だと、体調に波がある人には厳しくなります。柔軟性を確認します。

見学のとき、目で見るべきこと

質問への答え以上に雰囲気が語ります。

  • 利用者同士、利用者とスタッフが自然に話しているか
  • 静かに作業できるスペースがあるか(感覚過敏がある人は重要)
  • 照明がまぶしすぎないか、音は気にならないか
  • スタッフが利用者を子ども扱いしていないか

最低2〜3か所は見学してください。比較しないと、良し悪しの基準が持てません。

事業所によって、中身がまったく違います。 必ず2〜3か所は見学してください。

見学で聞くこと

「どんな訓練がありますか。」 「就職した人は、どんな職種が多いですか。」 「就職後のサポートはどれくらい続きますか。」 「週何日から始められますか。」 「交通費や昼食の補助はありますか。」

見るポイント

  • 通える距離か(毎日通うので、ここが大きいです)
  • 静かか、うるさいか
  • 通っている人の雰囲気
  • スタッフの対応

「就職率」の数字だけで選ばないでください。どんな就職先かのほうが大事です。

就労移行支援が向いている人・向いていない人

向いている人

  • 何度か離職していて、自分の特性の整理から始めたい
  • 障害者雇用枠での就職を考えている
  • 生活リズムを整えるところから立て直したい
  • 一人での就職活動に限界を感じている

向いていない人(別の選択肢が良い場合)

  • すでに専門スキルがあり、配慮の交渉だけが課題 → 転職エージェントの障害者向けサービス
  • 一般枠で問題なく働けており、環境調整だけしたい → 産業医・人事への相談
  • 生活費の確保が最優先 → 就労継続支援A型(雇用契約があり賃金が出る)
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就労移行支援を使ってみたい人へ/事業所探しの実務

事業所探しの実務

  • 市区町村の障害福祉窓口で一覧をもらう(地域の事業所を網羅的に把握できる)
  • 相談支援事業所に相談する
  • 発達障害者支援センターに相談する
  • 各事業所のウェブサイトから直接見学を申し込む

複数を並行して見学して構いません。「他も見ています」と伝えることは、まったく失礼ではありません。

自分に合った場所を選ぶことが、この制度を活かせるかどうかの分かれ目になります。

見学で必ず聞きたい7つ

事業所ごとに質の差が大きいところです。必ず2〜3か所を見学して、同じ質問をしてください。

  1. 就職実績は?(何人が、どんな仕事に就いたか)
  2. 定着率は?(就職して1年後に何人残っているか)
  3. プログラムの中身は?(パソコン訓練だけではないか)
  4. 1日のスケジュールは?
  5. 通っている人は、いま何人?(少なすぎると訓練が回りません)
  6. 就職活動はどこまで手伝ってくれるか?(求人紹介、面接同行、履歴書)
  7. 就職後のフォローは?(どのくらいの頻度で、いつまで)

2の定着率がいちばん大事です。 就職させるだけの事業所と、続けられるようにする事業所は別です。


質問の答えより、現場の空気のほうが正直です。

  • 通っている人が自然に話しているか
  • スタッフとの距離感はどうか
  • 部屋の環境(音、光、席の配置)は自分に合いそうか
  • 見学のときに、通っている人と話せるか

パンフレットではなく、実際の様子を見てください。

使うまでの流れ

  1. 市区町村の障害福祉担当課に相談(ここが出発点です)
  2. 事業所を2〜3か所見学する
  3. 体験利用(多くの事業所でできます)
  4. 通いたい事業所を決める
  5. 市区町村に申請(受給者証の発行)
  6. 利用開始

判断するのは事業所ではなく市区町村です。まず窓口に相談してください。


1. 事業所を探す・見学する(2〜3か所は見る)

2. 体験利用(数日〜2週間程度)

3. 市区町村の窓口で申請、サービス等利用計画を作成

4. 受給者証の交付(2週間〜1か月程度)

5. 事業所と契約、通所開始

手帳がなくても使える場合がある

「手帳がないから無理」と思われがちですが、医師の診断書や意見書で利用できることがあります。

判断するのは市区町村なので、事業所に直接聞いて断られても、それが制度の答えではありません。

くわしくは手帳がないから支援は使えないと思っている人へへ。


「手帳がないから無理」と諦める人が多いのですが、就労移行支援は手帳が必須ではありません。医師の診断書・意見書があり、自治体が必要と判断すれば利用できます。グレーゾーンの人でも通っている例があります。

まずは市区町村の障害福祉窓口に、「就労移行支援を使いたい」と相談してみてください。

  • 18歳以上65歳未満
  • 障害や難病がある
  • 手帳がなくても、医師の診断書や意見書で利用できることがあります(自治体の判断によります)

まず市区町村の障害福祉の窓口に相談してください。そこで「受給者証」を出してもらう手続きになります。

くわしくは手帳がなくても使える支援へ。

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就労移行支援を使ってみたい人へ/通っているあいだの生活

通っているあいだの生活

工賃は出ません。 ここをどうするかを先に考えておいてください。

  • 失業給付が使えるか(ハローワークで確認)
  • 障害年金が使えるか
  • 家族の支援を受けられるか
  • 貯金でどれくらい持つか

「お金の見通しがないまま通い始めて、途中で辞める」というのがいちばんもったいないパターンです。

窓口で「通っているあいだ、使える支援はありますか」と聞いてみてください。


合わなかったとき

  • 事業所は変えられます。 合わないまま通い続ける必要はありません
  • 期間の途中でも、市区町村に相談すれば変更できます
  • 「就労移行支援そのものが合わない」なら、別の道(ハローワークの専門援助部門、地域障害者職業センター、一般の転職支援)もあります

通うこと自体が目的ではありません。


1日の流れ

事業所によって違いますが、だいたいこんな形です。

時間内容
9:30〜10:00朝の会、体調チェック
10:00〜12:00訓練(パソコン、事務、軽作業など)
12:00〜13:00昼休み
13:00〜15:00訓練、講座、面談
15:00〜15:30振り返り、帰る

週5日・1日6時間が基本ですが、最初は週2〜3日から始められるところがほとんどです。

体調に合わせて増やしていけます。


向いている人・別の選択肢

向いていること

  • 働くリズムを作りたい
  • 何が向いているか分からない
  • 一人で就職活動を続けるのがつらい
  • 過去に離職を繰り返している

別の選択肢

  • すぐ働きたい → ハローワークの専門窓口
  • 診断がない・若い → 地域若者サポートステーション
  • 今の職場を続けたい → 職場の産業医、支援センターに相談

就労移行支援が唯一の道ではありません。

くわしくは仕事が続かない人へへ。


就労移行支援だけが道ではありません。

選択肢特徴
ハローワークの専門援助部門無料。求人紹介と相談。すぐ使えます
地域障害者職業センター適性の評価、ジョブコーチの支援
就労継続支援A型・B型働きながら訓練。工賃が出ます
一般の転職エージェント障害者雇用に強いところもあります

いまの状態に合うものを選んでください。 迷ったら、まず市区町村の窓口で相談です。

この記事について

制度の内容(対象、標準の利用期間、サービスの種類)と自己負担の区分は、厚生労働省の公開情報にもとづいています。金額と要件は改定されるため、最新の情報は市区町村の窓口でご確認ください。

なお、就労支援のプログラムを扱った海外の研究をまとめたレビューは、この分野の研究の数と質にまだ限界があると述べています。「就労移行支援を使えば就職できる」と示した研究はありません。事業所ごとの質の差を比較した公的なデータもありません。

この記事が「必ず2〜3か所を見学する」ことをすすめているのは、その差を外から確かめる方法が見学しかないためです。

事業所選びで迷ったときは相談先・公的窓口から相談先を探してみてください。

とら先生のひとこと

パンフレットではなく、実際に通っている人の様子を見てください。見学のとき、利用者さんが自然に話している事業所は、だいたい雰囲気がいいです。

この記事の出どころ

研究で検討
論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
専門家・公的情報
厚生労働省などの公的な機関や、専門家が出している情報をもとにしています。
  1. 専門家・公的情報障害福祉サービスの内容

    厚生労働省/2026(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:福祉サービスの種類と対象の説明に使えます。

    ここはまだ分かっていません:使えるかどうかを判断するのは市区町村です。

  2. 専門家・公的情報障害者の利用者負担

    厚生労働省/2026(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:費用の目安を示せます。

    ここはまだ分かっていません:実際にいくら払うかは世帯の状況で決まります。

  3. 専門家・公的情報就労移行支援事業(資料)

    厚生労働省/2026(2026-08-16 確認)

    この研究でわかっていること:標準利用期間などの制度説明に使えます。

    ここはまだ分かっていません:最新の改定については、別に確認が必要です。

  4. 研究で検討自閉スペクトラム症のある成人向けの就労プログラムと支援:たくさんの研究をまとめた分析

    (原題:Employment programmes and interventions targeting adults with autism spectrum disorder: A systematic review)

    Hedley D, et al./2017/Autism 21(8), 929–941(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:就労支援プログラムが研究されている領域だと示せます。

    ここはまだ分かっていません:研究数と質に限界があるとレビュー自体が述べています。

制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。

合わなかったら、別のやり方を試してください

ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。