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職場に「これがつらい」と言えない人へ|配慮のお願いのしかた

— 診断名ではなく、困っている場面と業務で話します

この記事の出どころ
  • 研究で検討
  • 専門家・公的情報
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画像枠/img/banner/hairyo-onegai.webp1200×675px(@2x で 2400×1350px)「職場に「これがつらい」と言えない人へ」の記事バナー。診断名ではなく、困っている場面と業務で話します

ポイント

  • 「診断名」ではなく「どの業務で、どう困っていて、何があれば回るか」で頼みます
  • 申し出 → 話し合い → 決定、という流れが制度上の建てつけです
  • 断られても終わりではありません。代替案と、外部の相談先があります
目次を開く(15項目)
  1. 【いちばん大事な1つ】診断名ではなく、業務と困りごとで話す
  2. 診断名は言わなくてもいい
  3. よくある配慮の例
  4. 伝える相手と順番
  5. 断られたとき
  6. 言いにくさへの対処
  7. 何を頼めばいいか分からないとき
  8. 伝え方の型
  9. 伝えないという選択
  10. まず知っておきたい制度の建てつけ
  11. まず今週、これだけやってみる
  12. よくある質問
  13. 関連する困りごと
  14. まとめ:配慮を頼む5つ
  15. この記事について

職場でつらいことがある。でも、どう言えばいいか分からない。

言ったら評価が下がるんじゃないか。「甘えだ」と思われるんじゃないか。そう考えているうちに、また一日が終わる。

この記事では、何を、どう伝えるかを具体的に書きます。


【いちばん大事な1つ】診断名ではなく、業務と困りごとで話す

国内の論文は、配慮は診断名だけで決めるのではなく、本人の困りごとと実際の職務に合わせて決める必要があると述べています。

だから、伝える順番はこうなります。

順番内容
① 業務どの業務で朝の口頭での申し送りで
② 困りごと何が起きているか内容が抜けて、あとで確認し直すことが多い
③ 影響業務にどう響くか作業のやり直しが週に2〜3回発生している
④ 依頼何があれば回るか要点をチャットに1行残していただけると助かります
⑤ 代替案難しい場合の別案難しければ、復唱して確認する時間を1分いただけますか

④と⑤があるかどうかで、通りやすさが大きく変わります。

相手が「じゃあどうすればいいの」と困らずに済むからです。


診断名は言わなくてもいい

配慮を求めるのに、診断名を明かす義務はありません。

「口頭指示だと抜けやすい」という事実だけで頼めます。

診断名を出すかどうかは、次を考えて決めてください。

出す出さない
利点制度上の配慮を求めやすい情報が広がらない
注意情報が広がる可能性がある相手の裁量に左右されやすい

判断材料は障害者雇用と一般雇用、どっちを選ぶ?にもまとめました。


言わなくても、配慮のお願いはできます。

  • 「口頭だと抜けます」だけで十分
  • 診断名は「なぜ」の説明であって、必須ではありません

言うかどうかは、あなたが決めていいです。 一度言うと取り消せないので、急がなくていいです。

くわしくはグレーゾーンで仕事がつらい人へへ。

よくある配慮の例

質的研究では、職場の使いやすさに物理環境・仕事の手順・人の3つが関わると報告されています。それぞれで頼めることがあります。

手順に関するもの

  • 口頭指示の要点を、チャットやメールでも残してもらう
  • 締め切りを「なるはや」ではなく日時で示してもらう
  • 業務の優先順位を、上長に決めてもらう
  • 定例の確認の時間を短く設ける(週1回15分など)
  • マニュアルや手順書を用意してもらう

物理環境に関するもの

  • 席の移動(壁を背にする、出入口から離れる)
  • イヤホン・耳栓の使用許可
  • 照明の調整、デスクライトの使用
  • 静かな場所で作業する時間の確保

時間に関するもの

  • 始業時刻の調整(フレックス、時差出勤)
  • 在宅勤務の日を作る
  • 会議の前後に切り替えの時間を取る
  • 通院のための時間

通りやすい順に並べます。

  1. 指示を文字でもらう(メール、チャット)
  2. 期限を具体的に言ってもらう(「なるはや」ではなく日付)
  3. 席を移動する
  4. イヤホンや耳栓を使う
  5. 作業を1つずつ振ってもらう
  6. 手順書を作る(自分で作って共有すると喜ばれます)
  7. 時差出勤、在宅勤務

上のほうは、相手の負担がほとんどありません。 ここから始めてください。

伝える相手と順番

  1. 直属の上司 — 業務の調整権を持っているのはここです
  2. 人事・産業医 — 上司に言いにくい場合、または制度として求める場合
  3. 産業保健スタッフ — 健康面が絡む場合

いきなり人事に行くと、上司との関係がこじれることがあります。 よほどの事情がなければ、上司から始めるのが無難です。

タイミング

  • 忙しい時間帯を避ける
  • 面談の機会があれば、そこで
  • 「10分お時間いただけますか」と先に予約する

文字にして渡す

口頭が苦手なら、紙かメールで渡してもいいです。

相手も落ち着いて読めますし、記録にも残ります。言った・言わないを防げます。


いきなり全員に言う必要はありません。話しやすい相手から。

  • 産業医(話した内容は、本人の同意なく人事には伝わりません)
  • 直属の上司
  • 人事の担当者
  • 信頼できる同僚

産業医がいる会社なら、そこがいちばん安全な入口です。

面談を申し込むときの言い方

「業務の進め方で相談したいことがあります。15分ほどお時間いただけますか。」

「相談」という言葉を使うと、身構えられにくいです。

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職場に「これがつらい」と言えない人へ/断られたとき

断られたとき

範囲を狭めて再提案する

「全部」が無理でも「この業務だけ」なら通ることがあります。

期間を区切る

3か月試させてください」なら、相手の負担感が下がります。試して問題がなければ、そのまま続くことが多いです。

別の形を提案する

配慮そのものが難しいなら、業務の分担を変えるという形もあります。

外部に相談する

  • 地域障害者職業センター(ジョブコーチの支援があります)
  • ハローワークの専門援助部門
  • 産業保健総合支援センター
  • 労働局・労働基準監督署(不利益な扱いを受けた場合)

障害者職業総合センターは、職業リハビリテーションの調査研究を行っている機関です。

事業者には配慮の提供義務がありますが、過重な負担になる場合は例外とされています。何が過重かは事案によって判断が分かれます。

理由を聞く

「難しいのはどのあたりでしょうか。別の形なら可能でしょうか。」

代案を出すと、通ることがあります。

別の人に相談する

上司がだめなら産業医、産業医がいなければ人事。担当者によって答えが変わることがあります。

言いにくさへの対処

「甘えだと思われそう」

配慮は、その人が働き続けられるようにするための調整です。制度としても位置づけられています。

そして、配慮があれば成果が出せるのなら、会社にとっても得です。そう伝えてください。

「評価が下がりそう」

配慮を求めたことを理由に不利益な扱いをすることは、法律上問題があります。

もしそうされたら、それは記録を残して外部に相談する案件です。

「言葉が出てこない」

紙に書いていってください。 ①〜⑤の順に5行書いて、読み上げるだけでいいです。

「そもそも何を頼めばいいか分からない」

1週間、困った場面をメモしてください。「いつ・何が・どう困ったか」。

それを見ると、頼むことが見えてきます。


何を頼めばいいか分からないとき

1週間、困った場面をメモしてください。「いつ・何が・どう困ったか」。

それを見ると、頼むことが見えてきます。

メモの例頼めること
朝の申し送りで内容が抜けた(月・水)要点をチャットに残してもらう
「なるはや」で優先順位が分からなかった締め切りを日付で言ってもらう
隣の話し声で内容が入らなかったイヤホンの使用許可、席の移動
3件同時で全部遅れた同時に持つ件数を減らす
15時以降ミスが増える確認の要る作業を午前に置く

「何となくつらい」より「この場面でこうなる」のほうが、はるかに通りやすいです。


伝え方の型

「できません」ではなく「こうすると、こうなります」

  • ✗ 「口頭の指示は覚えられません」
  • 「口頭だと抜けが出るので、要点をメールでもいただけると、ミスがなくなります」

相手にとってのメリット(ミスが減る)を入れるのがコツです。

3つまでに絞る

一度にたくさん言うと、相手が処理できません。いちばん困っていること3つに絞ってください。

具体的に言う

  • ✗ 「集中できないので配慮してほしい」
  • 「電話の近くの席だと聞き漏らしが増えるので、席を移動できませんか」

相手が「はい/いいえ」で答えられる形にすると、話が進みます。


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職場に「これがつらい」と言えない人へ/伝えないという選択

伝えないという選択

言わずに、自分で工夫するのも正しい選択です。

  • 手順を自分で書き出す
  • タイマーを使う
  • メモの取り方を変える

このサイトの記事は、誰にも言わずに使えます。 困りごとから探すから選んでください。


まず知っておきたい制度の建てつけ

障害者差別解消法により、事業者には合理的配慮の提供義務があります(内閣府の公開情報)。障害者雇用については、厚生労働省が制度をまとめています。

大事なのは、配慮は「申し出 → 話し合い → 決定」という手順で決まるということです。

大学での配慮を扱った国内の論文でも、申し出・状況把握・建設的対話を通して決めることが解説されています(ただし職場は制度も力関係も違うので、そのままは当てはめられません)。

つまり、

  • こちらから言わないと始まりません
  • 言えば必ず通る、というものでもありません。話し合いです

まず今週、これだけやってみる

  1. 1週間、困った場面をメモする(いつ・何が・どう困ったか)
  2. いちばん多い困りごとを1つ選ぶ
  3. ①業務 ②困りごと ③影響 ④依頼 ⑤代替案 の順に、紙に5行書く

全部を一度に頼まないでください。 1つ通れば、次も頼みやすくなります。


よくある質問

相談したら評価が下がりませんか

ミスが続くほうが、評価に響きます。

「こうしてもらえるとミスが減ります」という形で話せば、改善の提案として受け取られます。

産業医に話したことは会社に伝わりますか

本人の同意なく、内容が人事に伝わることはありません。

産業医は、働く人の健康を守る立場です。相談先として使ってください。

何を頼めばいいか分かりません

まず、この1週間で困ったことを3つ書き出してください。

そこから「どうしてもらえたら困らなかったか」を1行ずつ書く。それが依頼の内容になります。

小さい会社で産業医がいません

  • 直属の上司
  • 話しやすい同僚
  • 外部の窓口(発達障害者支援センター、労働局)

社内に相談先がなくても、外にあります。

伝えたのに何も変わりませんでした

「いつまでに、どうなるか」を確認してください。

「いつごろから対応いただけそうでしょうか。」

返事がないまま数週間たつなら、別の相手か外部の窓口に相談してください。


関連する困りごと


まとめ:配慮を頼む5つ

  1. 診断名ではなく、業務の困りごとで話す
  2. 「できません」ではなく「こうすると、こうなります」の形にする
  3. 頼むことは3つまでに絞る
  4. 相手の負担が小さいもの(文字で指示・期限を具体的に)から始める
  5. 断られたら、理由を聞いて代案を出す

配慮を求めるのは、正当な依頼です。


この記事について

合理的配慮の法的な土台は内閣府、障害者雇用の制度は厚生労働省の公開情報にあります。

配慮を診断名ではなく本人の困りごとと職務に合わせて決めるべきことは、国内の論文で述べられています。申し出から対話を経て決めるという手順は、大学での配慮を扱った国内論文で解説されています(職場にはそのままは当てはまりません)。

職場の使いやすさに物理環境・手順・人の3つが関わることは、質的研究で報告されています。

そのうえで、「①〜⑤の順で伝える」という手順は、研究で確かめられたものではありません。 どの配慮がどれだけ効くかを比較した研究もありません。

この記事は法的な助言ではありません。 具体的な争いになっている場合は、労働局や専門家にご相談ください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。

とら先生のひとこと

「ADHDなので配慮してください」だと、相手も何をすればいいか分かりません。「口頭の指示だと抜けるので、要点をチャットでもらえると助かります」なら、明日から実行できます。

この記事の出どころ

研究で検討
論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
専門家・公的情報
厚生労働省などの公的な機関や、専門家が出している情報をもとにしています。
  1. 専門家・公的情報障害を理由とする差別の解消の推進

    内閣府/2026(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:合理的配慮(働きやすくするための調整)を求める法的な土台を示せます。

    ここはまだ分かっていません:どこまでが「重すぎる負担」にあたるかは、事情によって判断が分かれます。

  2. 専門家・公的情報障害者雇用対策

    厚生労働省/2026(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:障害者雇用の制度説明に使えます。

    ここはまだ分かっていません:個々の企業の運用実態は含まれません。

  3. 研究で検討合理的配慮(働きやすくするための調整)に基づく就労支援

    発達障害研究掲載論文/2020/発達障害研究 41(4), 276–287(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:配慮は診断名でなく本人の困りごとと職務に合わせて決める、という原則を示せます。

    ここはまだ分かっていません:個別の配慮メニューの効果を比較した研究ではありません。

  4. 研究で検討神経発達障害の大学生に対する合理的配慮(働きやすくするための調整)

    西村優紀美/2022/予防精神医学 7(1), 59–68(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:「申し出 → 対話 → 決定」という配慮の手続きの型を示せます。

    ここはまだ分かっていません:大学での知見。職場は制度も力関係も違うため、そのままは当てはめられません。

  5. 研究で検討「車いすの人にとってのスロープのようなもの」:自閉スペクトラム症のある従業員にとっての職場の使いやすさ

    (原題:"It’s like a ramp for a person in a wheelchair": Workplace accessibility for employees with autism)

    Waisman-Nitzan M, Gal E, Schreuer N/2021/Research in Developmental Disabilities 114, 103959(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:物理環境・手順・人の3つが働きやすさを左右すると整理できます。

    ここはまだ分かっていません:聞き取りをもとにした研究であり、配慮の効果量を示すものではありません。

  6. 専門家・公的情報障害者職業総合センター(NIVR)

    独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構/2026(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:就労支援の研究・実務資料の出どころとして使えます。

    ここはまだ分かっていません:個別の職場の対応を保証するものではありません。

制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。

合わなかったら、別のやり方を試してください

ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。