じぶんを知る セルフチェック受診ASRSRAADS

発達障害かもと思ったら|セルフチェックで分かること・分からないこと

— 点数より、当てはまった項目のほうが役に立ちます

この記事の出どころ
  • 研究で検討
  • 専門家・公的情報
出典を見る
画像枠/img/banner/self-check-guide.webp1200×675px(@2x で 2400×1350px)「発達障害かもと思ったら」の記事バナー。点数より、当てはまった項目のほうが役に立ちます

ポイント

  • セルフチェックは診断ではなく、可能性のある人を広くすくい上げるための道具です
  • 点数が高くても発達障害とは限りません。取りこぼしを減らす設計上、外れも多く出ます
  • 受診で役に立つのは合計点ではなく「どの項目に、どんな場面で当てはまったか」です
目次を開く(16項目)
  1. セルフチェックは「診断」ではありません
  2. 出所のはっきりしたものを使う
  3. 【いちばん大事】点数より「どの項目に当てはまったか」
  4. 受診を考えているなら
  5. チェックをやらないほうがいいとき
  6. 診断がつかなくても、工夫はできます
  7. 受診するかどうかの判断
  8. どこに行けばいいか
  9. 受診の準備
  10. 受診しない選択
  11. まず今日、これだけやってみる
  12. 受診のときに聞かれること
  13. 検査について
  14. よくある質問
  15. 関連する困りごと
  16. この記事について

「発達障害 セルフチェック」で検索すると、大量のチェックリストが出てきます。

やってみたけれど、点数が出ただけで、次にどうすればいいか分からない。そして、その点数が何を意味するのかも分からない。

この記事では、何を使えばよくて、その結果をどう扱えばいいのかを整理します。


セルフチェックは「診断」ではありません

まず前提です。セルフチェックはスクリーニングの道具です。スクリーニングと診断は、まったく別のものです。

スクリーニング診断
目的可能性のある人を広くすくい上げる実際にどうかを確定させる
誰が自分で医師が
材料いまの自己申告生育歴、他の人からの情報、経過、他の病気の除外
結果「詳しく見たほうがいいかも」診断名がつく/つかない

スクリーニングは、「取りこぼさないこと」を優先して作られています。

そのぶん、当てはまらない人まで引っかかるというつくりになっています。点数が高く出たからといって、発達障害だということにはなりません。

逆に、点数が低くても困りごとが消えるわけではありません。 診断は特性の有無ではなく、生活への支障の程度で決まります。


出所のはっきりしたものを使う

大人のADHD:ASRS-v1.1

WHO(世界保健機関)が作成した、成人ADHDの自己記入式スクリーナーです。原著は2005年に発表され、6項目の短縮版が広く使われています。

日本語版は、ハーバード大学のサイトで公式に公開されています。 当サイトで独自に翻訳したものを使うより、公式のPDFをそのまま使うほうが確実です。 出典の欄からたどれます。

自閉スペクトラム:RAADS-14 / AQ日本語版

RAADS-14は、成人の精神科を受診した人を対象に検証された14項目の尺度です。

AQ(自閉症スペクトラム指数)には、日本語版の標準化研究があります。

なお当サイトでは、RAADS-14の日本語版を独自に実装して自動採点する機能は公開していません。 翻訳の妥当性と利用の条件を確認できていないためです。確認が取れ次第、あらためてご案内します。

出典のないチェックリストは使わない

ネット上には、何を測っているのか分からないチェックリストがたくさんあります。

「何問中何問当てはまったらADHD」という書き方をしているものは、根拠が示されていないことが多いです。結果を真に受けないでください。


【いちばん大事】点数より「どの項目に当てはまったか」

受診したとき、医師が知りたいのは合計点ではありません。

いつから、どんな場面で、どう困っているかです。

チェックをやるなら、点数を出して終わりにせず、次のようにメモしてください。

書くこと
当てはまった項目「約束を忘れることがよくある」
具体的な場面先月、歯医者の予約を2回すっぽかした
いつからか学生のころから。社会人になって回数が増えた
何に困っているか職場で信用を失いつつある
いま試していることスマホのリマインダー。設定しても通知を消してしまう

この5行があるだけで、初診の質は大きく変わります。 点数だけを見せられても、医師には判断材料になりません。


受診を考えているなら

どこに行けばいいか

  • 精神科・心療内科(大人の発達障害を診ているところ)
  • 事前に「大人の発達障害の相談ができますか」と電話で確認するのが確実です
  • 予約が数か月先になることが多いので、早めに動いてください

診断がつかないこともある

行っても「診断はつかないけれど、困りごとはある」となることがあります。

それでも、その場で相談したことは無駄になりません。 対処法や支援の情報が得られます。

くわしくは診断がつかないのにしんどい人へへ。

診断がつくとどうなるか

  • 障害者手帳や、自立支援医療(通院費の負担が軽くなる制度)が使えることがあります
  • 職場に配慮を求めやすくなります
  • 障害者雇用という選択肢が出てきます

ただし、診断がついたからといって、生活が自動的に変わるわけではありません。

病院以外の相談先

発達障害者支援センターは、診断や手帳がなくても相談できます。全国にあります。

「病院に行く前に相談したい」というときに使えます。


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発達障害かもと思ったら/チェックをやらないほうがいいとき

チェックをやらないほうがいいとき

結果に振り回されそうなとき

点数が低く出て「気のせいだったんだ」と困りごとをなかったことにしてしまうなら、やらずに直接相談したほうが早いです。

すでに強くつらいとき

眠れない、涙が止まらない、何も手につかない。このときはチェックより先に受診してください。

相談先・公的窓口にまとめています。

他人を判定しようとするとき

家族やパートナーにチェックを受けさせて「やっぱりそうだ」と結論を出すのは、関係を壊すだけで何の解決にもなりません。

診断するのは、あなたの仕事ではありません。


診断がつかなくても、工夫はできます

診断を待たなくても、困りごと別の対策は今日から始められます。

むしろ「診断がついてから」と待つあいだに消耗するほうが問題です。

診断は、工夫を始めるための条件ではありません。


「発達障害とは言えない」と言われることもあります。そのときも、困っていることは変わりません。

  • 生活の工夫は、診断がなくてもできます
  • 別の原因(睡眠、うつ、不安、身体の病気)が見つかることもあります

診断は目的ではなく、手段です。

くわしくはグレーゾーンの生きづらさへ。

受診するかどうかの判断

チェックの結果で決めなくていいです。 決め手になるのは、次の2つです。

1. 生活に支障が出ているか

  • 仕事や学校が続けられない
  • 人間関係がうまくいかない
  • 遅刻や忘れ物で困っている
  • 気分の落ち込みが続いている

「困っている」なら、受診する理由があります。

2. 何のために受診するか

  • 診断が必要(手帳、配慮、支援サービス)
  • 説明がほしい(なぜうまくいかないのか知りたい)
  • 薬を検討したい
  • 別の病気の可能性も見てほしい

目的があると、医師に伝えやすくなります。


どこに行けばいいか

医療機関

  • 精神科・心療内科(大人の発達障害を診ているところ)
  • 「大人の発達障害 ◯◯市」で検索
  • 予約が数か月待ちのところもあります

医療機関の前に相談したいとき

  • 発達障害者支援センター(全国にあります。無料・診断不要)
  • 精神保健福祉センター
  • 保健所

「どこの病院に行けばいいか分からない」という相談もできます。

相談先の探し方にまとめています。


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発達障害かもと思ったら/受診の準備

受診の準備

診察は短いので、持っていくものを用意しておくと話が早く進みます。

困っていることを3〜5行書く

・忘れ物が多く、仕事でミスが続いている ・会話の内容が頭に入らないことがある ・音がうるさい場所にいると疲れて動けなくなる

具体的な出来事を書くと、伝わりやすいです。

子どものころのことを書く

診断では、子どものころの様子を聞かれることが多いです。

  • 通知表のコメント
  • 母子手帳
  • 家族に聞いた話

あれば持っていってください。 なくても受診はできます。

今飲んでいる薬

お薬手帳を持っていってください。


受診しない選択

急いで受診しなくてもいいです。

  • 今すぐ手帳や支援が必要でないなら、待ってもいい
  • 生活の工夫は、今日から始められます

このサイトの記事は、診断のあるなしに関係なく使えます。 困りごとから探すから、いま困っていることを選んでください。

ただし、眠れない・食べられない・気分の落ち込みが2週間以上続くなら、発達障害かどうかとは別に、相談する理由があります。


まず今日、これだけやってみる

  1. 困っている場面を3つ、具体的に書き出す(いつ・どこで・何が起きたか)
  2. 公式のASRS-v1.1(日本語版PDF)をやってみる(出典欄からたどれます)
  3. 当てはまった項目に、具体的なエピソードを1つずつ添える

点数は気にしなくていいです。 書き出したメモが、そのまま相談の材料になります。


受診のときに聞かれること

準備しておくと、診察がスムーズです。

  • いま困っていること(具体的な出来事で)
  • いつごろから困っているか
  • 子どものころの様子
  • 家族に似た傾向の人がいるか
  • 今飲んでいる薬
  • 睡眠、食事、飲酒の状況

思い出せないことは「分かりません」でいいです。 全部答えられなくても診察はできます。


検査について

医療機関によって内容は違いますが、こういうものがあります。

  • 問診(これがいちばん大事です
  • 質問紙(チェックリスト形式のもの)
  • 知能検査(WAISなど。数時間かかることがあります)
  • 血液検査など(他の病気を確認するため)

費用と時間は、事前に確認しておいてください。 検査によっては保険が使えないことがあります。


よくある質問

予約が数か月先と言われました

発達障害者支援センターに相談すると、待っているあいだにできることを教えてもらえます。無料です。

家族に反対されています

受診はあなたが決めることです。 家族の同意は要りません。

診断されたら仕事に影響しますか

受診したこと自体が職場に伝わる仕組みはありません。 伝えるかどうかは、あなたが選べます。

セルフチェックの点数が低かったのですが、困っています

点数より、困っていることのほうが大事です。 チェックの結果に関係なく、相談していいです。

大人になってから診断される人はいますか

います。子どものころは目立たず、仕事や家庭の負荷が増えてから困りごとが表に出ることがあります。


関連する困りごと

診断は目的ではなく、手段です。 困りごとへの工夫は、今日から始められます。


この記事について

ASRSは、WHOの研究チームが開発・検証した一般集団向けの短いスクリーニング尺度です。RAADS-14は成人精神科集団での検証があり、AQには日本語版の標準化研究があります。

いずれも「傾向を見る道具」としては使えます。

ただし、どれも診断ではありません。 とくにスクリーニング尺度は、当てはまらない人を正しく除外する力が高くないので、陽性でもその障害があるとは限りません。

ネット上に出回る出典のないチェックリストについては、何を測っているかすら分かりません。

発達障害の基本的な説明は、国立障害者リハビリテーションセンターの公開情報が一次情報として使えます。相談先も同センターの一覧から探せます。

つらさが強いとき、どこに相談すればいいか分からないときは、相談先・公的窓口をご覧ください。

とら先生のひとこと

点数そのものより、「どの項目に当てはまったか」のほうが大事です。受診するときは、当てはまった項目を具体的なエピソードとセットで話すと、いちばん伝わります。

この記事の出どころ

研究で検討
論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
専門家・公的情報
厚生労働省などの公的な機関や、専門家が出している情報をもとにしています。
  1. 研究で検討WHO成人ADHD自分で答える形式のふるい分けのための質問群(ASRS):一般の人向けの短い尺度

    (原題:The World Health Organization Adult ADHD Self-Report Scale (ASRS): a short screening scale for use in the general population)

    Kessler RC, et al./2005/Psychological Medicine 35(2), 245–256(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:一般集団向けの短いふるい分けとして使えます。

    ここはまだ分かっていません:診断ではありません。結果は受診のときの説明材料として使ってください。

  2. 専門家・公的情報ASRS-v1.1 6項目スクリーナー 日本語版

    Harvard Medical School / WHO(武田俊信 訳)/2026(2026-08-16 確認)

    この研究でわかっていること:公式版へ案内できます。

    ここはまだ分かっていません:診断ではありません。

  3. 研究で検討RAADS-14:成人の精神科を受診した人における自閉スペクトラム症ふるい分けのための質問群の妥当性

    (原題:RAADS-14 Screen: validity of a screening tool for autism spectrum disorder in an adult psychiatric population)

    Eriksson JM, Andersen LM, Bejerot S/2013/Molecular Autism 4, 49(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:短い質問群で傾向を見る道具として使えます。

    ここはまだ分かっていません:診断ではありません。当てはまらない人を正しく外す力は高くなく、陽性でもASDとは限りません。

  4. 研究で検討自閉症スペクトラム指数(AQ)日本語版の標準化

    若林明雄・東條吉邦・Baron-Cohen S・Wheelwright S/2004/心理学研究 75(1), 78–84(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:日本語での自閉スペクトラム傾向の測定について語れます。

    ここはまだ分かっていません:診断ではありません。

  5. 専門家・公的情報発達障害情報・支援センター

    国立障害者リハビリテーションセンター/2026(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:発達障害の基本的な説明と支援情報の一次情報として使えます。

    ここはまだ分かっていません:個別の生活術を保証する情報ではありません。

  6. 専門家・公的情報発達障害者支援センター・一覧

    国立障害者リハビリテーションセンター/2026(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:相談先の案内として使えます。

    ここはまだ分かっていません:対応内容は自治体ごとに異なります。

制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。

合わなかったら、別のやり方を試してください

ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。