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音・光・においがつらい人へ|感覚の過敏との付き合い方

— 我慢するものではなく、減らせるものです

この記事の出どころ
  • 研究で検討
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画像枠/img/banner/kankaku-kabin.webp1200×675px(@2x で 2400×1350px)「音・光・においがつらい人へ」の記事バナー。我慢するものではなく、減らせるものです

ポイント

  • ASDのある人は、感覚が過敏になることがあります。わがままではありません
  • 我慢しても慣れません。刺激を減らす道具と環境の工夫のほうが効きます
  • 感覚の負担は、外出のしづらさや疲れやすさにつながります
目次を開く(19項目)
  1. 感覚の過敏とは
  2. 【音】
  3. 【光】
  4. 【におい】
  5. 【触覚】
  6. 【味・食感】
  7. 場面別|つらい場所の乗り切り方
  8. 感覚が「鈍い」ほうの困りごと
  9. 家を「安全な場所」にする
  10. 周りに説明するとき
  11. 子どものころから続いている人へ
  12. つらさの波
  13. 家族に理解してもらう
  14. 感覚別の対策まとめ
  15. つらい日と平気な日がある
  16. 限界の前に抜ける
  17. 我慢しなくていい
  18. まず今日、これだけやってみる
  19. この記事について

まわりの人が平気な音が、耳に刺さる。蛍光灯がまぶしくて頭が痛くなる。人の香水で気分が悪くなる。服のタグが痛くて集中できない。

そして「気にしすぎ」「神経質」と言われる。

気にしすぎではありません。 感じ方は人によってちがいます。


感覚の過敏とは

ASD(自閉スペクトラム症)のある人は、感覚が過敏になることがあります。 逆に、鈍くなることもあります。

これは性格ではなく、刺激の受け取り方のちがいです。国内の研究でも、こうしたちがいが整理されています。

そして、感覚の敏感さは暮らしにくさと関係していることが、複数の研究をまとめたレビューで報告されています。ASDのある大人を対象にした研究では、感覚の負担が外出や活動のしづらさにつながることも示されています。

つまり、感覚の問題は「小さなこと」ではありません。生活全体に効いてきます。


【音】

まずやること:耳栓かイヤホンを1つ持ち歩く

  • 耳栓(数百円〜):全体の音量を下げる。安くて手軽
  • ノイズキャンセリングのイヤホン(1万円前後〜):低い音(電車、エアコン、ざわめき)に強い
  • デジタル耳栓(5,000円前後):音楽なしで音だけ下げる

まず数百円の耳栓から試してください。 合うかどうか分かってから、高いものを買えば十分です。

環境でできること

  • 静かな場所に席を移す(壁側、出入口から遠く)
  • エアコンの真下を避ける
  • 家では換気扇や冷蔵庫の音を減らす(設置場所や機種で変わります)

くわしくは人の声や生活音がつらい人へに書きました。


【光】

まずやること:明るさを下げる

  • スマホ・パソコンの明るさを下げる
  • 「夜間モード」をオンにする(色が暖かくなります)
  • 天井の照明を消して、デスクライトだけにする

画面の明るさを下げるだけで、頭痛が減る人がいます。 今すぐタダでできます。

道具でできること

  • 色のついたメガネ(ブルーライトカット、遮光)
  • 帽子・つばのあるキャップ(上からの光を遮る)
  • サングラス(屋内でも使っていい)

職場でできること

  • 席の真上の蛍光灯を1本外してもらえないか相談する
  • デスクライトを使わせてもらう
  • 窓際を避ける(またはブラインドを使う)

くわしくは蛍光灯や画面がまぶしくてつらい人へへ。


【におい】

まずやること:距離を取る

においは道具で防ぎにくいので、その場から離れるのがいちばん確実です。

  • 席を移動する
  • 窓を開ける
  • マスクをする(自分の好きな香りを少しつけると和らぐことがあります)

職場・学校で言いにくいとき

「香水をやめてほしい」は言いにくい依頼です。個人ではなく環境の話にすると伝えやすくなります。

「においで頭痛が出ることがあるので、席を移動させてもらえませんか。」

相手を責める形にしないのがコツです。

家でできること

  • 柔軟剤や洗剤を無香料にする
  • 芳香剤を置かない
  • 換気の回数を増やす

【触覚】

服のタグ、縫い目、素材、締めつけ。これがつらいと、一日中ずっとつらいです。

  • タグを切る(縫い目ごと外れるタイプもあります)
  • 縫い目が外側のインナーを選ぶ
  • 同じ服が合ったら、まとめて買う

くわしくは服のタグや縫い目が痛い人へに書きました。


【味・食感】

食べられるものが限られるのは、好き嫌いとは別のことがあります。

  • 食べられるものを無理に増やそうとしない
  • 食感が理由なら、切り方や調理法で変わることがある
  • 栄養が偏るのが心配なら、補助食品を使う

「食べられるものを食べる」で構いません。 まず食べていることが大事です。


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音・光・においがつらい人へ/場面別|つらい場所の乗り切り方

場面別|つらい場所の乗り切り方

電車・バス

音、光、におい、人の距離。全部そろっています。

  • 時間をずらす(1本早い電車は空いています)
  • 端の席、ドアの横に立つ
  • 耳栓とマスクを常備
  • 座れないときは目を閉じる(視覚の刺激だけでも減ります)

スーパー・ショッピングモール

BGM、蛍光灯、人の声、においが同時に来ます。

  • 空いている時間に行く(開店直後)
  • ネットスーパーを使う
  • 買うものを決めてから行く(滞在時間を短く)

職場

  • 席の環境を相談する
  • 耳栓・イヤホンの使用許可をもらう
  • 休憩で静かな場所に行く

伝え方は職場に「これがつらい」と言えない人へへ。

飲食店

  • 個室か、壁際の席をお願いする
  • 空いている時間に行く
  • 苦手な店(BGMが大きい、照明が強い)を覚えておく

病院・役所

待合室が苦手な人は多いです。予約が取れるところを選ぶか、外で待って呼ばれたら入ることができないか聞いてみてください。

イベント・ライブ・お祭り

行きたい気持ちと、つらさは両立します。

  • 出口の近くにいる
  • 耳栓を持っていく(音楽用の耳栓は音質を保ったまま音量だけ下げます)
  • 途中で抜ける前提で行く

「最後までいなければいけない」というルールはありません。


感覚が「鈍い」ほうの困りごと

過敏の逆で、感じにくいことで困る場合もあります。両方が同時にある人もいます。

疲れや空腹に気づかない

限界まで動いてから倒れる。食べるのを忘れて夕方にふらつく。

対策は、感覚ではなく時間で区切ることです。「疲れたら休む」ではなく「◯時に休む」。くわしくは気づいたら限界になっている人へに書きました。

暑さ・寒さに気づかない

季節に合わない服装になる、熱中症になりやすい。

服装は気温で決めてください。 「◯度なら長袖」と数字で決めておくと、感覚に頼らずに済みます。

痛みやケガに気づかない

あざができていても覚えがない、体調を崩してから気づく。

定期的に健康診断を受けることが、いちばん現実的な対策です。

音や呼びかけに気づかない

集中していると呼ばれても聞こえない。これは聴力ではなく、注意の向き方の問題のことがあります。

「肩を叩いて呼んでほしい」と周りにお願いしておくと解決することがあります。


家を「安全な場所」にする

外で刺激を受けるぶん、家では減らせるだけ減らしてください。

  • 照明を暗めにできるようにする(調光、間接照明)
  • テレビをつけっぱなしにしない
  • 無香料の洗剤・柔軟剤にする
  • 肌ざわりのいい寝具にする
  • 一人になれる部屋か場所を作る

家で回復できるかどうかで、翌日がまったく違います。


一日のうちで、刺激のない時間があるかどうかが大きいです。

  • テレビをつけっぱなしにしない
  • 照明を落とす
  • 布を増やして音の反響を減らす
  • 自分だけの静かな場所を1つ作る

家で回復できないと、翌日に持ち越します。

周りに説明するとき

「うるさい」「まぶしい」だけだと、わがままに聞こえることがあります。影響を具体的に言うと伝わりやすくなります。

✗「音がうるさくて無理です」 ○「まわりの話し声があると、内容が頭に入らなくて、あとでやり直しになることが多いんです。イヤホンを使わせてもらえませんか。」

「困っている」ではなく「こうなるので、こうしたい」の形にします。


子どものころから続いている人へ

感覚の過敏は、子どものころからある人が多いです。そして、そのころは「わがまま」「好き嫌い」として扱われがちです。

  • 給食が食べられなかった
  • プールや体育館の音がつらかった
  • 集会や式で立っていられなかった
  • 服のタグを切ってもらっていた
  • 靴下の縫い目が気になった

当時は理由が分からず、自分が悪いと思っていたという人は少なくありません。

いま、それに名前がついて、対処法があると分かるだけでも意味があります。あなたが我慢が足りなかったわけではありません。


つらさの波

感覚のつらさは、日によって変わります。

  • 疲れているとき
  • 睡眠が足りていないとき
  • 人と会ったあと
  • 体調が悪いとき
  • 気圧が変わるとき

同じ音でも、日によって耐えられたり耐えられなかったりするのは、おかしなことではありません。

だから、「昨日は平気だったのに」と自分を責めないでください。波があることを前提に予定を組むほうが現実的です。

つらい日は、予定を減らす。それでいいです。


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音・光・においがつらい人へ/家族に理解してもらう

家族に理解してもらう

「そんなの気にしすぎ」と言われ続けると、自分がおかしいのかなと思ってしまいます。

伝えるときは、影響を具体的に言うと届きやすくなります。

✗「音がうるさくて無理」 ○「音があると内容が入ってこなくて、あとでやり直しになるんだ」

✗「この服は着られない」 ○「タグが当たると、一日中そのことが気になって集中できないんだ」

「つらい」より「こうなる」のほうが伝わることがあります。

伝え方は家族に特性を分かってもらえない人へにもまとめました。


感覚別の対策まとめ

つらさの出方は人によって違います。自分に当てはまるところだけ読んでください。

  • 耳栓、ノイズキャンセリングイヤホン
  • 同じ音を流す(雨音、扇風機)
  • 座る場所を変える

くわしくは音がうるさくてつらい人へへ。

  • サングラス、つばの広い帽子
  • 天井の照明を使わず、間接照明にする
  • 画面をダークモードにする

くわしくはまぶしくてつらい人へへ。

服・肌ざわり

  • タグを切る、縫い目のない下着を選ぶ
  • 合った服を見つけたら、まとめて買う
  • 素材で選ぶ(綿、シルク)

くわしくは服のタグや縫い目がつらい人へへ。

におい

  • 無香料の洗剤・柔軟剤に変える
  • 換気する
  • マスクを使う(においを減らせます

味・食感

  • 食べられるものだけ食べていいです
  • 無理に「いろいろ食べる」を目指さない
  • 足りない栄養は、飲み物やサプリで補う手もあります

つらい日と平気な日がある

同じ刺激でも、日によってつらさが変わります。 これは普通のことです。

つらくなりやすいのは、

  • 疲れている日
  • 寝不足の日
  • すでに刺激を浴びたあと
  • 体調が悪い日

「今日はつらい日」と分かったら、量を減らしてください。 予定を減らす、早く帰る、静かな作業に切り替える。


限界の前に抜ける

我慢し続けると、あとで数日動けなくなります。

  • 15分でいいので、刺激のない場所に行く
  • トイレの個室、車の中、階段の踊り場
  • 目を閉じるだけでも効きます

「まだいける」と思っているときに抜けるのがコツです。

くわしくは気づいたら限界になっている人へへ。


我慢しなくていい

「これくらいで」と思う必要はありません。

同じ場所にいても、受け取っている刺激の量は人によって違います。 あなたの感じ方が正しいです。

耳栓やサングラスを使うことを、わがままだと思わないでください。メガネをかけるのと同じことです。

痛みを感じるほどつらい、生活に支障が出ている。こういうときは、相談先の探し方をご覧ください。


いちばん言いたいのはここです。

「そのうち慣れる」と言われて我慢を続けても、たいてい慣れません。むしろ、疲れているときほど過敏になります。

疲れる → 過敏になる → もっと疲れる、という循環が起きます。

だから対策は、慣れることではなく、刺激を減らすことになります。

まず今日、これだけやってみる

  1. スマホとパソコンの明るさを下げて、夜間モードをオンにする(3分・0円)
  2. 数百円の耳栓を1つ買って、持ち歩く
  3. 家の照明を1段階暗くしてみる

合わなければやめていいです。 全部やる必要はありません。


この記事について

ASD(自閉スペクトラム症)のある人では、感覚が過敏になったり、逆に鈍くなったりすることがあると、国内の研究で整理されています。

また、感覚の敏感さと暮らしにくさに関係があることが、複数の研究をまとめたレビューで報告されています(関係があるという話で、対策すれば生活の質が上がると示したものではありません)。ASDのある大人を対象にした研究では、感覚の負担が外出や活動のしづらさにつながることも報告されています。

まわりに合わせて我慢し続けることには心理的な負担がともなうことも、研究で整理されています。

そのうえで、ここに書いた道具や環境の工夫は、研究で効果が確かめられたものではありません。 合うものだけ使ってください。

感覚のつらさで生活や仕事に支障が出ているときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。

とら先生のひとこと

「そんなの気にしすぎだよ」と言われ続けると、自分がおかしいのかなと思ってしまいますよね。でも、感じ方は人によってちがいます。気にしすぎではありません。

この記事の出どころ

研究で検討
論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
  1. 研究で検討自閉スペクトラム症に見られる感覚処理障害の臨床神経生理学

    池田一成/2023/臨床神経生理学 51(2), 68–72(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:感覚の違いが「気のせい」でも「わがまま」でもないことの裏づけになります。

    ここはまだ分かっていません:個別の対策グッズ(イヤーマフ等)の効果を調べた研究ではありません。

  2. 研究で検討感覚の処理のしかたと生活の質の関係:たくさんの研究をまとめた分析

    (原題:Relationship between Sensory Processing and Quality of Life: A Systematic Review)

    Costa-López B, et al./2021/Journal of Clinical Medicine 10(17), 3961(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:感覚の敏感さが暮らしにくさと関連することを示せます。

    ここはまだ分かっていません:関係があるという話で、感覚の対策をすれば生活の質が上がるとまでは言えません。

  3. 研究で検討自閉スペクトラム症のある成人における感覚の処理と、地域での活動への参加

    (原題:Sensory Processing and Community Participation in Autistic Adults)

    Bagatell N, Chan DV, et al./2022/Frontiers in Psychology 13, 876127(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:感覚の負担が外出のしづらさにつながることを、成人対象の研究として示せます。

    ここはまだ分かっていません:「対策すれば外出できる」という実際に何かを試して調べた研究ではありません。

  4. 研究で検討自閉スペクトラム症における「特性を隠す・補う行動」:たくさんの研究をまとめた分析

    (原題:Camouflaging in autism: A systematic review)

    Cook J, Hull L, Crane L, Mandy W/2021/Clinical Psychology Review 89, 102080(2026-08-27 確認)

    この研究でわかっていること:「普通に見えるようにふるまう」ことに消耗が伴うと言えます。

    ここはまだ分かっていません:隠すのをやめれば楽になる、とどちらが原因かまでは分かりません。

制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。

合わなかったら、別のやり方を試してください

ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。