バイトが続かない学生へ|辞めたくなる理由から選び直す
— 続かないのは、根性がないからではありません
ポイント
- 続かない理由は、やる気ではなく仕事の中身と自分の相性のことが多いです
- 辞めた理由を1行ずつ書き出すと、次に避ける条件がはっきりします
- 限界まで我慢せず、辞め方も先に決めておくと選び直しがラクになります
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「今度こそ続けよう」と思って始めたのに、1か月でシフトに行くのがしんどくなる。3か月で辞める。友だちは同じ店で2年続けているのに、自分はどこへ行っても長くもたない。
そのたびに、社会に出てからもやっていけないんじゃないか、と不安になります。
バイトが続かないのは、根性の問題ではありません。 仕事の中身と自分の相性が合っていないことが、かなりの割合を占めます。
学生のうちは、その相性を確かめる期間だと考えて大丈夫です。合わなかったバイトは失敗ではなく、合わない条件が1つ分かったという結果です。
なぜバイトが続かなくなるのか
バイトは、短い時間のなかに「初めてのこと」がまとめて来ます。
- 覚えることが、最初の数日に集中する
- 手順書がなく、口で説明されて終わる
- 混む時間帯に、いくつもの作業が同時に来る
- レジの音、店内の音楽、におい、人の多さ
- お客さんや先輩との会話
- シフトが週ごとに変わる
このうち一つでも重いと、働いている時間そのものより、行く前と帰ったあとがつらくなります。 家に帰ってから何もできない、次のシフトのことを考えると眠れない。この状態が続けば、辞めるしかなくなります。
やっかいなのは、つらさの中身が自分でもよく分からないところです。なんとなく合わなかった、で終わらせると、次も似た条件の場所を選んでしまいます。
自閉スペクトラムのある大人の就労支援については、支援のやり方をまとめた研究があります。ただしその研究自体が、研究の数も質もまだ足りないと書いています。だれにでも効く決まった答えは、まだありません。 だからこそ、自分の記録がいちばん役に立ちます。
【いちばん効く1つ】辞めた理由を1行ずつ書き出す
やることは1つだけです。これまでのバイトを、辞めた理由と並べて書き出してください。
- 紙かスマホのメモを開く
- 働いた店や仕事の名前を、古い順に並べる
- それぞれの横に、いちばんつらかったことを1行だけ書く
- 人間関係で止めず、もう一段くわしくする
- 3つ並んだら、同じ言葉が出ていないか探す
4がいちばん大事です。人間関係と書いた時点で、そこから先が見えなくなります。何が起きたときにつらかったのかまで下ろしてください。
「忙しいときに、別の人から同時に指示が来て固まった」
「休憩に入るタイミングが分からず、言い出せないまま4時間立っていた」
同じ言葉が2回以上出てきたら、それがあなたが次に避ける条件です。
まだ1件しか経験がない人は、学校の係、部活、家の手伝いで同じように書いてみてください。同じ形で使えます。
合う条件と合わない条件を表にする
書き出した言葉を、店選びに使える条件に変えます。
| 重くなりやすい条件 | 軽くなりやすい条件 |
|---|---|
| いくつもの作業が同時に来る | 1つずつ順番に終わる |
| その場で判断がいる | 手順が決まっている |
| 話しかけられる回数が多い | 一人で進める時間がある |
| 明るくて音が大きい | 静かで人が少ない |
| シフトが毎週変わる | 曜日と時間が固定 |
| 初対面の人が多い | 同じ人と長く働く |
全部が理想どおりの職場はありません。 この表から、絶対に避けたい条件を2つだけ選んでください。2つに絞るのが大事です。多くすると、応募できる先がなくなります。
同じ職種でも、店によって中身はまるで違います。「飲食は無理」で切らないでください。開店直後の時間帯なら大丈夫かもしれない、というところまで下ろすと、選べる幅が広がります。
バイトが続かない学生へ/職種ではなく、作業の中身で見る
職種ではなく、作業の中身で見る
「コンビニは無理だった」で終わらせると、選べる先がどんどん減っていきます。同じコンビニでも、時間帯と店によって中身は変わります。
- 品出しや発注が中心の時間帯
- レジと接客が続く時間帯
- 掃除や在庫の整理が中心の時間帯
つらかったのは職種そのものではなく、そのなかの一部の作業かもしれません。 そこを分けておくと、次に応募する先が広がります。
やった作業を細かく分けて、丸とバツを付けてみてください。
| 作業 | 自分にとってどうだったか |
|---|---|
| 決まった手順のくり返し | |
| お客さんとの短いやりとり | |
| 電話に出る | |
| 数を数える・お金を扱う | |
| 重いものを運ぶ | |
| 複数の人から同時に指示を受ける | |
| 立ちっぱなしで過ごす |
丸が多い作業が中心の仕事を探すほうが、未経験でもできる仕事という言葉で探すより当たります。
学生が始めやすい形としては、次のようなものもあります。
- 品出しや仕分けなど、会話の少ない仕事
- 1日だけの単発の仕事
- 家庭教師や採点など、時間と場所が決まっている仕事
- 在宅でできる入力の仕事
単発の仕事は、相性を試す場としても使えます。 合わなくても、その1日で終わります。
応募する前に確かめておくこと
募集ページだけでは分かりません。面接は、こちらが確かめる場でもあります。
- 忙しい時間帯はいつで、そのとき何人で回すか
- 最初の1か月は、だれが教えてくれるか
- 手順のマニュアルが、紙かデータであるか
- シフトは何日前に決まり、変更ができるか
- 休憩は何分で、どこで取るか
聞き方の例です。
「働き始めの時期は、どなたに教えていただく形になりますか。」
「シフトはどれくらい前に決まりますか。試験の期間だけ減らすことはできますか。」
答えにくそうにされたら、それも情報です。 入ってから困りそうな場所が先に見えます。
できれば、応募する前に一度、客として行ってみてください。 音の大きさ、明るさ、店員さんの動き方が分かります。15分いるだけで、募集ページの何倍も分かります。
始めてから2週間でやること
続くかどうかは、最初の2週間の作り方でかなり変わります。
自分用の手順書を作る
教わったことは、その日のうちに1行ずつメモにします。
- スマホのメモに、日付と教わったことを書く
- 順番のあるものは番号をつける
- 分からなかったところに「?」を付けておく
次のシフトでは、この「?」から聞きます。同じことを3回聞くより、メモを見せて確認するほうがラクです。
「ここまでは合っていますか。このあとの順番だけ、もう一度お願いします。」
この手順書は、辞めたあとも残ります。次のバイトでも、自分の覚え方の型として使えます。
聞くタイミングを先に決めておく
忙しいときに聞くのは、お互いにつらいです。最初のうちに、この一言を使えるようにしておきます。
「今すぐでなくて大丈夫なので、手が空いたときに5分だけ確認させてください。」
聞けないまま自己流でやって怒られるのが、いちばん消耗します。
シフトを最初から増やしすぎない
慣れる前に週4や週5で入ると、消耗してから減らす相談をすることになります。最初の1か月は少なめにして、あとから増やす。 この順番のほうが続きます。
くわしくは予定を入れすぎて後で潰れる人へへ。
バイトが続かない学生へ/学業と両立するシフトの組み方
学業と両立するシフトの組み方
続かない原因が、仕事の中身ではなく量のこともあります。
- 授業と課題の予定を、先にカレンダーへ入れる
- 残った時間の半分までを、バイトに使える上限にする
- 試験の2週間前は、最初から入れない前提で伝えておく
- 連続で入る日は2日までにする
空いている時間を全部うめると、回復する時間がなくなります。 半分にしておけば、体調をくずした週も立て直せます。
シフトを出すときに、この一言を先に置いておくとラクです。
「試験の期間は入れない形にしたいので、日程が出たら早めにお伝えします。」
親と暮らしている人は、稼ぐ金額の目安も先に話しておくと、あとで揉めにくくなります。
つらくなってきたときの対処
限界まで我慢してから辞めると、次を探す力が残りません。まだ動けるうちに手を打ちます。
辞める前に試せること
- シフトを週1〜2に減らす
- 時間帯を変える(夜から昼へ、混む時間から静かな時間へ)
- 担当する作業を変えてもらえないか相談する
「学業との両立が難しくなってきたので、しばらくシフトを週2に減らしていただけないでしょうか。」
学生であることは、そのまま使える正当な理由です。無理に体調の話をしなくて構いません。
辞めると決めたときの伝え方
- 店長に、直接か電話で伝える
- 1か月前を目安にする(決まりがあれば確認する)
- 理由は長く説明しない
- 最終日までのシフトと、給料の受け取り方を確認する
「◯月末で辞めさせていただきたいです。学業のほうに時間を使いたいと考えています。」
連絡しないまま行かなくなるのは避けてください。 気まずさは長くても数日で終わりますが、無断で辞めると給料や書類の受け取りで自分が困ります。
辞めた回数は、あなたの価値とは関係ありません。
学校の窓口を使う
大学や専門学校には、障害のある学生の相談を受ける窓口があります。学生相談室、保健センター、障害学生支援室などの名前で置かれています。
大学での配慮について書かれた国内の論文では、申し出て、話し合って、決めるという順で進めることが説明されています。バイト先そのものは学校の外の話ですが、次のことは相談できます。
- 授業とバイトの組み合わせがきついときの見直し
- 生活やお金が回らないときの相談先の案内
- 検査や診断を受けたいときの窓口の紹介
高校生なら、担任やスクールカウンセラー、家の人に話してください。一人で決めなくていいです。
よくある質問
3か月で辞めたら、次の面接で不利になりますか
短い期間が並ぶと、聞かれることはあります。理由を短く言えるようにしておけば足ります。
「夜の時間帯が体に合わなかったので、昼に働ける場所を探しています。」
前の職場を責める言い方をしないのがコツです。
バイトをしないという選択はありですか
あります。学業も生活も回らない状態なら、先に生活のほうを守ってください。 奨学金や授業料の減免など、お金の相談先は学校の窓口にあります。
特性のことを、バイト先に伝えたほうがいいですか
人によります。伝えると頼みやすくなる一方で、伝えたことで働きにくくなる場合もあります。頼み方の型は職場に「これがつらい」と言えない人へにまとめています。
伝えるなら、診断名より具体的にしてほしいことを短く言うほうが通りやすいです。
「口で言われると抜けてしまうので、手順だけメモさせてください。」
面接で緊張して話せません
面接で聞かれることは、だいたい決まっています。先に3つだけ答えを作って、声に出して読んでおいてください。 志望した理由、入れる曜日と時間、これまで続けてきたこと。この3つで足ります。
関連する困りごと
- 社会に出てからも続かない → 仕事が続かない人へ
- シフトを頼まれると断れない → 頼まれごとを断れない人へ
- 同じミスをくり返して怒られる → 同じミスを何度もして怒られる人へ
- どんな働き方が合うか知りたい → ADHDに向いてる仕事を知りたい人へ
まず今日、これだけやってみる
- これまでのバイトを、辞めた理由と並べて3行書き出す
- その中から、次に避けたい条件を2つだけ選ぶ
- 面接で聞く質問を3つ、スマホのメモに保存する
この記事について
この記事は、次の資料をもとにしています。
自閉スペクトラムのある成人向けの就労プログラムをまとめた研究からは、働くための支援が研究されている分野であることが言えます。ただしその研究自体が、研究の数も質もまだ足りないと述べています。特定のやり方がだれにでも効く、という話にはなりません。
大学での配慮について書かれた国内の論文からは、申し出て、話し合って、決めるという手続きの型を示せます。これは大学での知見です。バイト先は制度も立場の差も違うため、そのまま当てはめることはできません。
どちらの研究も、学生のアルバイトそのものを調べたものではありません。ここに書いた選び方や聞き方は、研究で確かめられた方法ではありません。 自分に合いそうなところだけ試してください。
働くことや学校のことで困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
3か月で辞めた、半年で辞めた。そこだけ見ると続かない人に見えるんですよね。でも中身を聞くと、だいたい毎回おなじ条件でつまずいてるんです。そこが分かれば、次は変えられます。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討自閉スペクトラム症のある成人向けの就労プログラムと支援:たくさんの研究をまとめた分析
(原題:Employment programmes and interventions targeting adults with autism spectrum disorder: A systematic review)
この研究でわかっていること:就労支援プログラムが研究されている領域だと示せます。
ここはまだ分かっていません:研究数と質に限界があるとレビュー自体が述べています。
研究で検討神経発達障害の大学生に対する合理的配慮(働きやすくするための調整)
この研究でわかっていること:「申し出 → 対話 → 決定」という配慮の手続きの型を示せます。
ここはまだ分かっていません:大学での知見。職場は制度も力関係も違うため、そのままは当てはめられません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。