朝、着る服が決まらない人へ|選ぶのをやめる
— 選択肢を減らすほど、朝は楽になります
ポイント
- 朝に服を選ぶのは、判断力がいちばん低い時間帯に判断を集中させる行為です
- 組み合わせを固定すると、判断がゼロになります
- 感覚の問題で着られる服が少ない場合は、同じものを複数買うのが現実的です
目次を開く(21項目)
クローゼットの前で立ち尽くす。着るものはあるのに決まらない。決めたあとに「やっぱり違う」と着替える。
そして遅刻する。
朝に判断を置いているのが、そもそもの問題です。
朝は判断に向いていない
服選びは、選択肢が多い判断です。上下、靴下、季節、天気、その日の予定、気分。
判断のたびに手間がかかることは研究で整理されています。
そして朝は、一日でいちばん判断力が落ちている時間帯です。ここに選択肢の多い判断を置くのは、条件として最悪です。
対策は2方向あります。判断を前の晩に移すか、判断そのものをなくすかです。
組み合わせを固定する
いわゆる「制服化」です。やり方は2つあります。
A. 全部が組み合わせられるようにする
- 色を絞る。 上は白・グレー・紺、下は黒・紺・ベージュ、のように決める
- 柄物を減らす。 柄があると組み合わせを考える必要が出ます
- どれとどれを合わせても成立する状態にする
これができれば、手に取ったものを着るだけになります。
B. 同じものを複数買う
気に入った服が見つかったら、同じものを2〜3着買います。 色ちがいでもいいです。
洗濯のサイクルを気にせず着られるようになり、判断も消えます。
服の数を減らす
数が多いほど選べなくなります。 目安は、1週間分+αで足ります。
減らすときの基準
「好きかどうか」より、「この1年で着たか」が判断しやすいです。
| 状態 | どうするか |
|---|---|
| 1年着ていない | 手放す |
| 着ようとして着心地が悪くてやめた | 手放す |
| 「痩せたら着る」 | 手放す(痩せたときに買うほうが楽しいです) |
| 高かったから捨てられない | 別の箱に入れて半年置く。開けなければ手放す |
| よく着ている | 残す(そして同じものを買い足す) |
捨てられないこと自体がつらい場合はものが捨てられない人へをご覧ください。
選択肢が多いほど、決められなくなります。
着ていない服を出す
1年着ていない服は、別の場所にしまうか、手放してください。
クローゼットに入っているだけで、毎朝それを見て判断しています。
ハンガーの数を決める
「ハンガー20本まで」と決めると、増えません。買ったら1枚出す。
くわしくはものが捨てられない人へへ。
感覚の問題で着られる服が少ない場合
タグが痛い、縫い目が気になる、特定の素材が耐えられない。
ASDのある人は、感覚が過敏になることがあります。 感覚の敏感さと暮らしにくさに関係があることも、研究で報告されています。
着られる服が少ないのは、わがままではありません。
この場合の現実的な対策は1つです。
着られる服が見つかったら、同じものをまとめて買う。
型番を控えておき、廃番になる前に買い足してください。
くわしくは服のタグや縫い目が痛い人へへ。
収納も判断を減らす形にする
たたまない
掛けられるものは全部掛ける。 たたむ工程が減ると、片づけが続きます。
見えるようにする
引き出しの奥のものは、存在ごと忘れます。
掛ける収納にするか、引き出しなら立てて並べてください。重ねると下のものを忘れます。
オフシーズンは別の場所へ
今の季節に着るものだけを目の前に置くと、選択肢が半分になります。
「よく着る5着」を手前に置く
実際に着ているのは、持っている服のごく一部です。その5着を取りやすい場所に置いてください。
場面別
仕事着
制服化がいちばん効く場面です。 職場では同じ服を着ていても、たいてい誰も気にしていません。
私服
「毎日ちがう服を着なければいけない」というルールはありません。同じでいいです。
季節の変わり目
いちばん迷う時期です。「◯度なら長袖」と気温で決めておくと、判断が減ります。
天気アプリで気温を見て、決めた服を着る。それだけです。
冠婚葬祭
年に数回しか着ないものは、一式まとめて、すぐ出せる場所に置いておきます。
- 靴、バッグ、ネクタイ、ストッキングまで一緒に
- 「これ一式で行ける」状態にしておく
急に必要になるので、探すところから始めると間に合いません。
朝、着る服が決まらない人へ/それでも決まらないとき
それでも決まらないとき
選択肢を3つに絞る
前の晩に候補を3つ出して、朝はその中から選ぶ。ゼロから選ぶより、はるかに軽いです。
曜日で決める
「月曜はこれ、火曜はこれ」と決めてしまう方法もあります。極端に見えますが、効きます。
人に選んでもらう
家族やパートナーに選んでもらうのも手です。判断を外注できます。
「今日の服」を写真で記録する
うまくいった組み合わせを写真に撮っておくと、次から見るだけで済みます。
「制服」を作る
いちばん効くのは、毎日ほぼ同じ服を着ると決めることです。
同じものを複数枚買う
着心地がよくて、着回せる服が見つかったら、同じものを3〜5枚買ってください。
- 洗濯の心配が減る
- 選ばなくていい
- 組み合わせを考えなくていい
服は廃番になります。 気に入ったら、そのときに買っておくのが正解です。
組み合わせを固定する
「このパンツにはこのシャツ」と、セットで決めてしまいます。
ハンガーにセットで掛けておくと、そのまま取れます。
色を絞る
黒・紺・白・グレーなど、3色くらいに絞ると、どれを組み合わせても成立します。
「合うかどうか」を考える時間がゼロになります。
前の晩に出しておく
朝に選ぼうとするから、時間がかかります。前の晩に出す。
- 上下・下着・靴下まで一式
- 椅子の上に置くだけでいい
- 天気を見て、上着も決めておく
朝の判断がゼロになります。 くわしくは朝バタバタして何も進まない人へへ。
曜日ごとに決める手も
「月曜はこれ」と曜日で固定してしまう方法もあります。考える余地をなくすのが目的です。
上下・靴下・下着まで一式、前の晩に出しておきます。
ハンガーに掛けなくていいので、椅子の上に重ねるだけ。
これで朝の判断はゼロになります。前の晩の設計は朝バタバタして何も進まない人へへ。
着心地で選ぶ
見た目で買っても、着心地が悪ければ着ません。結局、決められない服が増えるだけです。
- タグを切れるか
- 縫い目が当たらないか
- しめつけがないか
肌の感覚がつらい人は、服のタグや縫い目がつらい人へもご覧ください。
決められない日のために
「今日はどうしても決められない」という日があります。
そのための1着を決めておいてください。
- 何も考えずにこれを着る、という服
- 洗濯から戻ったら、必ずその位置に戻す
「迷ったらこれ」があると、止まりません。
まず今夜、これだけやってみる
- 明日着る服を、一式まとめて椅子に出す(たたまなくていい)
- クローゼットの「よく着る5着」を、手前に移す
- 1年着ていない服を、5着だけ選んで別の箱に入れる
捨てなくていいです。 目の前から減らすだけで、朝が変わります。
朝、着る服が決まらない人へ/買うときのルール
買うときのルール
選べない状態を作らないために、買う段階で決めておくことがあります。
手持ちと合うかを、その場で考えない
「これに合わせる服がある服」しか買わないと決めてください。
「合わせる服はあとで買う」で買ったものは、着ないまま残ります。
1枚買ったら1枚出す
上限を決めておかないと、必ず増えます。 増えると、また選べなくなります。
迷ったら買わない
試着して「うーん」と思ったものは、家でも着ません。買った服の中に迷いを持ち込まない。
季節の変わり目
いちばん決められなくなるのが、春と秋です。
- 気温が日によって変わる
- 冬服と夏服が混ざっている
対策
- 衣替えの日を決めてしまう(中途半端に混ざっている期間をなくす)
- 気温別に「これを着る」を決めておく(15度以下ならこれ、20度以上ならこれ)
- 羽織るもの1枚で調整する
天気アプリの気温だけ見て決めると、迷いません。
家族の服も同じ
子どもの服選びで毎朝もめるなら、同じ方法が使えます。
- 前の晩に一式出しておく
- 曜日ごとに決めておく
- 選択肢を2つにしぼって、本人に選ばせる
「どれでもいい」と言われるといちばん困るのは、大人も子どもも同じです。
手入れの手間で選ぶ
見た目と着心地で選んでも、洗いにくい服は着なくなります。
- 洗濯機で洗えるか
- アイロンが要らないか
- しわになりにくいか
- 乾きやすいか
手洗いやクリーニングが必要な服は、着る回数が減ります。
「洗濯機で洗えて、干してそのまま着られる」服だけにすると、回転が速くなります。
くわしくは洗濯物が山になる人へへ。
汚れが目立たない色にする
食べこぼしや汚れが気になって着替える回数が増える人は、色でかなり減らせます。
- 濃い色(紺、黒、チャコール)
- 柄物
- 白いトップスを減らす
気にする回数が減るだけで、外出のハードルが下がります。
全身を写真に撮っておく
うまくいった組み合わせを、その場でスマホで撮っておいてください。
- 迷ったときに見返せる
- 「これでいい」と決めやすくなる
- 買い物のときにも役立つ
5枚もあれば足ります。 アルバムを1つ作って、そこに入れておくと探せます。
まとめ:迷わないための5つ
- 同じ服を複数枚買って、制服にする
- 組み合わせをセットで決めて、掛けておく
- 前の晩に一式出しておく
- 色を3色くらいに絞る
- 1年着ていない服を、視界から外す
1番がいちばん効きます。 気に入った服が見つかったら、まとめて買ってください。
関連する困りごと
服の困りごとは、朝の準備や感覚の話とつながっています。
- 服がつらい → 服のタグや縫い目がつらい人へ
- 朝バタバタする → 朝バタバタして何も進まない人へ
- 起きられない → 毎朝ぎりぎりで起きられない人へ
- 洗濯が回らない → 洗濯物が山になる人へ
- 服が減らせない → ものが捨てられない人へ
選ぶ回数を減らすのが、いちばん確実な方法です。
この記事について
作業を切り替えるときには手間がかかることが研究で整理されています。選択肢の多い判断が朝につらいのは、自然なことです。
ASDのある人では、感覚が過敏になることがあると国内の研究で整理されています。感覚の敏感さと暮らしにくさに関係があることも、複数の研究をまとめたレビューで報告されています(関係があるという話で、対策すれば生活の質が上がると示したものではありません)。
そのうえで、「制服化」「服を減らす」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。 判断を減らすという原則を、服という場面に当てはめたものです。
服のことで外に出られない、生活に支障が出ているというときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
毎朝10分服を選んでいるなら、年間で60時間です。選ばなくて済む状態を1回作るほうが、圧倒的に得です。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討作業の切り替えについて
(原題:Task switching)
この研究でわかっていること:割り込みや並行作業が実際に効率を落とすことを、一般的な認知の性質として説明できます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASD固有の研究ではありません。
研究で検討自閉スペクトラム症に見られる感覚処理障害の臨床神経生理学
この研究でわかっていること:感覚の違いが「気のせい」でも「わがまま」でもないことの裏づけになります。
ここはまだ分かっていません:個別の対策グッズ(イヤーマフ等)の効果を調べた研究ではありません。
研究で検討感覚の処理のしかたと生活の質の関係:たくさんの研究をまとめた分析
(原題:Relationship between Sensory Processing and Quality of Life: A Systematic Review)
この研究でわかっていること:感覚の敏感さが暮らしにくさと関連することを示せます。
ここはまだ分かっていません:関係があるという話で、感覚の対策をすれば生活の質が上がるとまでは言えません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。