なくし物が多い人へ|紛失防止タグは何に効いて、何に効かないか
— 買う前に知っておきたいことがあります
ポイント
- 効くのは「家の中で見失った」場面。屋外で落としたものが必ず戻るわけではありません
- 音より「置き忘れ通知」のほうが効きめが大きいです
- 他人の持ち物や車に無断で付けるのは、法的な問題になりえます
目次を開く(18項目)
鍵、財布、カバン、リモコン。なくすたびに探す時間が消えていく。
「AirTagを買えばいいよ」と言われて調べたけれど、本当に効くのか分からない。
この記事では、効く場面と効かない場面を先にはっきりさせます。
そもそも、なぜなくすのか
ADHDのある大人は、「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいという研究があります。
置いたとき、あなたは別のことを考えています。だから置いた記憶が残りません。 記憶していないものは、思い出せません。
タグは、この「思い出せない」を別の手段で埋める道具です。記憶の代わりに、電波で探します。
効く場面
| 場面 | 効き方 |
|---|---|
| 家の中で鍵が見つからない | スマホから音を鳴らせる。数十秒で解決します |
| カバンの中で埋もれた | 同じく、音で分かります |
| 店を出るときに置き忘れた | 「置き忘れ通知」が来れば、その場で気づけます |
| どこに置いたか記憶がない | 最後に接続した場所が地図に残ります |
いちばん価値があるのは「置き忘れ通知」
音より、置き忘れ通知のほうが効きめが大きいです。
持ち物から一定の距離離れると、スマホに通知が届く機能です。
紛失に気づくのが「家に帰ってから」ではなく「店を出た直後」になるので、そもそも紛失が起きにくくなります。
タグを買うなら、この機能を必ずオンにしてください。 ここを設定していない人がけっこういます。
効かない場面
正直に書きます。万能ではありません。
屋外で落として、人通りがない場所にある
多くのタグは、近くを通った他人のスマホを中継して位置を伝える仕組みです。
人通りがなければ、位置は更新されません。山や田んぼで落としたら、まず見つかりません。
電池が切れている
1年前後で交換が必要な製品が多いです。切れたことに気づかないのが最大の落とし穴です。
「なくして探したら、タグの電池が切れていた」というのが、いちばん悲しいパターンです。
電池交換の日をカレンダーに入れておいてください。
スマホ自体をなくした
タグはスマホから探すものなので、スマホがない状態では機能しません。
スマホをなくしがちな人は、タグではなく別の対策(ストラップ、置き場所の固定)のほうが確実です。
メーカーが合っていない
iPhoneユーザーとAndroidユーザーで、使えるタグが違います。
- iPhone → Appleのネットワークに対応したもの
- Android → Googleのネットワークに対応したもの
ここを間違えると、位置の精度が大きく落ちます。 買う前に必ず確認してください。
同居家族と共有したい場合も、全員のスマホの種類を確認してください。
音が鳴っても聞こえない
タグの音は、そこまで大きくありません。布団の下、ソファの隙間、厚いカバンの中だと聞こえないことがあります。
静かな環境で探してください。
選び方
1. 自分のスマホに合わせる
これが最優先です。ここを間違えると、他が良くても意味がありません。
2. 付けたいものの形に合わせる
| 付けるもの | 向いている形 |
|---|---|
| 鍵 | キーホルダー型 |
| 財布 | カード型(薄いもの) |
| カバン | キーホルダー型かシール型 |
| リモコン・パソコン | シール型 |
| 自転車 | 目立たない場所に付けられるもの |
3. 電池が交換できるか確認する
交換できないタイプは、電池切れ=買い替えです。長く使うなら、交換できるものを選んでください。
4. まず1つだけ買う
全部の持ち物に付けると、通知が多すぎて通知そのものを無視するようになります。
いちばんよくなくすもの1つから始めてください。効くと分かってから増やせば十分です。
全部の持ち物に付けると、通知が多すぎて通知そのものを無視するようになります。
まずはいちばんよくなくすもの1つ。効くと分かってから、2つめを検討してください。
3つを超えると、管理する対象が増えて、かえって混乱することがあります。
やってはいけないこと
他人の持ち物、車、荷物に無断で取り付けないでください。
位置情報を継続的に把握する行為は、ストーカー規制法などに触れる可能性があります。
家族であっても、本人の同意なしに付けるべきではありません。子どもの持ち物に付ける場合も、年齢に応じて説明してください。
なお、多くのタグには「知らないタグが自分についてきている」ことを検知して通知する仕組みが入っています。無断で付けても、相手に気づかれます。
なくし物が多い人へ/費用の目安
費用の目安
1個あたり3,000〜6,000円程度です。鍵・財布・カバンの3つに付けると1万円前後になります。
まずは1つ。 効果を確かめてから増やしてください。
安い互換品もありますが、位置を伝えるネットワークの規模が違うことがあります。屋外での発見率を重視するなら、大手のものを選んだほうが確実です。
タグ以外の選択肢
スマートロック
鍵そのものを持たなくて済みます。鍵をなくす問題を、根本からなくす方法です。
工事のいらない貼り付けタイプなら、賃貸でも使えるものがあります。
ストラップ・リール
財布やカードキーを、カバンやベルトにつなぎます。物理的に離れないので、確実です。
見た目は好みが分かれますが、費用は数百円です。
音の出るキーホルダー
鈴やチャームを付けると、動かしたときに音がします。カバンの中で埋もれたときに見つけやすくなります。
スマホの「探す」機能
スマホ本体は、タグがなくても探せます。設定を1回オンにするだけです。
買ったあとの設定チェック
買っただけで安心しないでください。設定していないと効きません。
- スマホとペアリングした
- 「置き忘れ通知」をオンにした(これがいちばん大事)
- 音が鳴ることを一度試した
- 電池の交換時期をカレンダーに入れた
- 「探す」アプリの場所を覚えた
とくに置き忘れ通知は、初期設定でオフになっていることがあります。 必ず確認してください。
家族と共有するとき
家族のスマホからも探せるように設定できる製品があります。
- 鍵を共有している場合
- 子どもの持ち物に付ける場合
- 高齢の家族の持ち物に付ける場合
ただし、本人の同意なしに付けないでください。子どもの場合も、年齢に応じて説明してください。
なくす場所を減らす
タグを付ける前に、なくす回数そのものを減らす工夫もしておくと効きます。
帰ったら必ず同じ場所に置く
玄関に浅いトレイを1つ置いて、帰った瞬間にそこへ。部屋に入ってからでは遅いです。
くわしくは玄関で毎回何か忘れる人へへ。
持ち歩くカバンを固定する
カバンを替えるたびに、移し忘れが起きます。1つに固定するのがいちばん確実です。
くわしくは毎日カバンの中身を入れ替えて忘れ物する人へへ。
鍵をカバンにつなぐ
リールやストラップで物理的につないでしまえば、離れません。 数百円です。
大事なところなので、はっきり書きます。
タグは「なくさないための道具」ではなく「なくしたときに探す道具」です。
置き場所を決める対策のほうが、根本的に効きます。
- 鍵は玄関のフックに掛ける
- 財布は決まったポケットに入れる
- 席を立つ前に、座っていた場所を見る
こちらを先にやってください。 そのうえで、それでもなくすものにタグを付ける、という順番が現実的です。
置き場所の固定については鍵をよくなくす・置き忘れる人へと忘れ物が多すぎてしんどい人へにまとめました。
なくし物が多い人へ/なくしたときの探し方
なくしたときの探し方
タグがない場合や、タグを付けていないものをなくしたとき。
- 最後に使った場面を思い出す(場所ではなく、何をしていたか)
- 座った場所の周りを探す(ソファの隙間、椅子の下)
- その日着ていた服のポケット
- 持って入った部屋を1つずつ
焦って家中を歩き回ると、余計に見つかりません。 1か所ずつ、順番に。
電池と設定の管理
- 電池の交換時期を、買った日から1年後でカレンダーに入れる
- 引っ越しやスマホの機種変更のあとは、再設定が必要になることがあります
- スマホを買い替えたら、必ず動作を確認する
「付けたから安心」で放置すると、いざというときに動きません。
使ってみて分かること
効くのは「置き忘れ通知」
音を鳴らして探す機能より、「離れたときに知らせてくれる機能」のほうが、実際には役立ちます。
なくす前に気づけるからです。設定を必ずオンにしてください。
圏外だと探せない
タグは、近くにあるスマホの電波を借りて位置を知らせます。人の少ない場所では見つかりにくいことがあります。
完璧ではない
- 電池が切れていれば動きません
- 家の中で座布団の下にあると、音が聞こえないことがあります
「これがあれば絶対大丈夫」ではありません。 置き場所を決めることと、両方やるのが確実です。
まず今日、これだけやってみる
- 自分がいちばんよくなくすものを1つ決める
- まず置き場所を決めて、1週間やってみる(0円)
- それでもなくすなら、そのものにだけタグを1つ買う
いきなり全部に付けないでください。 通知が増えすぎると、逆効果になります。
よくある質問
いくつ付ければいいですか
まず1つ。 いちばんよくなくすものだけです。
3つを超えると、通知が増えて全部無視するようになります。効くと分かってから足してください。
プライバシーは大丈夫ですか
位置情報は、自分(と共有した相手)だけが見られます。
ただし、本人の同意なしに他人の持ち物に付けないでください。子どもの場合も、年齢に応じて説明してください。
電池はどれくらいもちますか
製品によりますが、1年前後が目安です。交換できるタイプを選ぶと長く使えます。
買った日から1年後を、カレンダーに入れておいてください。
関連する困りごと
- 鍵をなくす → 家の中で毎日何かをなくす人へ
- 財布やスマホをなくす → 財布とスマホを毎回どこかに置いてくる人へ
- カバンの中で迷子になる → 毎日カバンの中身を入れ替えて忘れ物する人へ
- 玄関で忘れる → 玄関で毎回何か忘れる人へ
まとめ:タグを効かせる5つ
- いちばんよくなくすもの1つに付ける
- 「置き忘れ通知」を必ずオンにする
- 音が鳴ることを、一度試しておく
- 電池交換の日をカレンダーに入れる
- 置き場所を決めることと、両方やる
タグは補助です。 置き場所を決めるほうが根本の対策になります。
この記事について
ADHDのある大人は、「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいことが実験で確かめられています。持ち物を「思い出す」以外の方法で管理する必要がある、という考え方は、ここに裏づけがあります。
一方で、紛失防止タグそのものの効果を調べた研究は見つかっていません。 この記事は、実際の製品の仕様と、使ってみた範囲での整理です。「編集部で試行中」の内容として読んでください。
製品の仕様は変わります。購入前に、必ず最新の情報をご確認ください。 とくに対応するスマホの種類と、電池の交換可否は要確認です。
なくし物で生活に支障が出ている状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
「タグを買えば解決」と思って全部に付けると、通知が多すぎて全部無視するようになります。まず1つだけ、いちばんなくすものに付けてください。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
- 編集部で試行中
- この工夫そのものを調べた研究は見つかっていません。仕組みとしては筋が通るので、小さく試してみてください。
研究で検討成人ADHDにおける「あとでやることを覚えておく力」の困難
(原題:Complex Prospective Memory in Adults with Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
この研究でわかっていること:予定や約束を忘れるのは記憶の使い方の問題で、意欲の問題ではないと説明できます。
ここはまだ分かっていません:リマインダーなど外部化の道具そのものの効果はまだ調べられていません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。