飲み会がつらい人へ|行く回数を自分で決める
— 毎回悩むのをやめて、出る回数を先に決めてしまいます
ポイント
- 出るか断るかを毎回考えるほど、判断そのものに消耗します
- 年に何回まで出るかを先に決めると、断る理由を作らずに済みます
- 出る日は席と帰る時刻を先に決めておくと、負担が半分になります
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日程の候補が回ってきた時点で、気持ちが重くなる。断る理由を考えはじめて、その日まで頭から離れない。
行けば行ったで、店の中は声と音楽と食器の音が重なっていて、正面の人が何を言っているのか半分しか分かりません。分からないまま笑うところだけ合わせる。手洗いに立つ回数が増える。
帰ってからも寝つけません。あのとき変なことを言ったかもしれない、と思い返す。翌日は使いものになりません。
つらいのは、お酒でも人づきあいでもなく、聞く・合わせる・終われないが同時に続くからです。 まず、出る回数を自分で決めるところから始めます。
なぜ飲み会でここまで消耗するのか
音の中から一人の声を拾い続けている
店の中では、会話の声、BGM、隣の席の笑い声、皿の音が全部同じくらいの大きさで入ってきます。その中から目の前の人の声だけを選び続けるのは、それ自体が作業です。 2時間続ければ、内容を覚えていないのは当然です。
合わせている時間が長い
表情、相づち、笑うタイミング、話す量。飲み会は、合わせる要素が同時に多い場です。特性を隠してまわりに合わせる行動には心の負担がともなうことが、研究をまとめた分析で整理されています。疲れるのは気の持ちようではありません。
終わる時間を自分で決められない
会議とちがって、飲み会には終わりの時刻がありません。二次会の話が出るかどうかも、その場の流れで決まります。いつ終わるか分からない状態は、それだけで消耗します。
話す内容が予測できない
仕事の話なら準備できますが、飲み会の話題は事前に分かりません。準備できない場では、その場で考える量が増えます。
【いちばん効く1つ】年に何回出るかを、先に決める
毎回「今回は行くべきか」と考えるのをやめます。回数を先に決めておけば、そのつど判断しなくて済みます。
- 1年に出る回数を決める(例:年3回)
- 外しにくいものを先に埋める(歓迎会、送別会、忘年会など)
- 残りの誘いは、枠が埋まっているので断ると決めておく
- 手帳やカレンダーに、埋めた枠を書いておく
年3回でも、年1回でも、ゼロでも構いません。大事なのは数ではなく、自分で決めた枠があることです。 枠があると、断るときに毎回新しい理由を考えずに済みます。
「今年はもう出た」という感覚があるだけで、誘いを見たときの重さが変わります。
出るか迷ったときの3つの基準
枠を使うかどうかは、次の3つで決められます。その場の気分ではなく、条件で判断します。
- 話せる相手が1人でもいるか — ゼロなら、消耗だけが残りやすい会です
- 終わる時刻が決まっているか — 決まっていなければ、自分で決めて先に伝える前提で考えます
- 翌日に外せない予定がないか — あるなら、今回は見送ります
2つ以上が当てはまらないときは、出ない側に倒して構いません。 行かなかった飲み会を、あとから強く悔やむことはあまりありません。
自分の歓迎会や、仕事を引き継ぐ相手が来る会は、少し事情が変わります。出ておくと、あとの働きやすさにつながることがあります。ただし、出る義務があるわけではありません。出ると決めたときだけ、短時間で切り上げる形を用意してください。
飲み会がつらい人へ/断り方には型がある
断り方には型がある
早く返すほど軽く済む
返事を保留にしている間も、頭のどこかで気にし続けます。候補が出た日のうちに返すのが、いちばん消耗しません。
理由は1つだけにする
理由を並べるほど、こちらが困っている感じが強くなり、押し戻されやすくなります。短い一文で十分です。
「その日は予定があって、今回は失礼します」 「最近立て込んでいて、今回は見送ります」 「夜の時間が取りづらくて、次の機会にお願いします」
誘い自体は断らない
参加を断るときに、相手そのものを断っている形にならないようにします。次があると分かる一言を足しておくと、関係は続きます。
「昼のご飯なら行けます」
押し切られそうなときは、条件で返す
「顔だけ出して」と言われたら、こちらから条件を出します。
「1時間だけ顔を出して、先に失礼してもいいですか」
断ること自体が難しいときは、頼まれると断れない人へも合わせて読んでください。
断ったあとが気になるとき
断ること自体より、そのあとどう思われたかが気になって消耗する人がいます。
反応を読みにいかない
返信が短かった、既読がついたまま止まっている。そこから気持ちを読み取ろうとしても、答えは出ません。確かめられないことを考え続けると、断って浮いたはずの体力が戻りません。
埋め合わせをしすぎない
断ったぶんを取り返そうとして、別の頼まれごとを引き受けると、負担は元どおりになります。断った日は、断ったままで終わらせてください。
参加の回数と仕事の評価は分けて考える
飲み会に出ないことで評価が変わるとすれば、それは本来おかしな話です。ただ、そうした空気の職場が実際にあるのも確かです。その場合は、自分の性格の問題ではなく、職場の性質として扱ってください。 昼の時間に短く話す、報告をこまめにするなど、別のところで信頼を作るほうが消耗は少なく済みます。
出ると決めた日の準備
出る日は、当日その場で考えることを減らしておきます。ここで負担が半分くらい変わります。
席を先に決めておく
- 出入口に近い席(抜けやすい)
- 端の席(片側だけ人がいる状態にする)
- スピーカーの真下を避ける
- 大人数なら、話しやすい人の隣
早めに着いて、座りたい席に先に座るのがいちばん確実です。遅れて行くと、席は選べません。
帰る時刻を、最初に言っておく
始まる前に伝えておくと、抜けるときに説明せずに済みます。
「今日は21時で失礼します」
役割を1つ持つ
注文を通す、飲み物を配る、会計をまとめる、写真を撮る。やることがあると、会話が途切れても居場所ができます。 話題を探すより、動いているほうが楽な人もいます。
帰りの手段を確認しておく
終電、バスの最終、タクシー乗り場。帰り方が分かっていると、いつでも帰れると思えます。 これがあるだけで、その場にいられる時間が延びることがあります。
飲み会がつらい人へ/会の最中にできること
会の最中にできること
全部を聞き取ろうとしない
聞き取れなかった言葉を頭の中で再生している間に、話は先へ進みます。分からなかったところは、そのまま流して構いません。 大事な話なら、あとで別の場で出てきます。
席を1回外す
手洗いに立つ、飲み物を取りに行く。10分に満たない時間でも、音が少ない場所に出ると戻ってこられます。限界まで我慢してから帰るより、途中で抜けるほうが長く持ちます。
食べることに集中していい
話し続ける必要はありません。食べている間は、聞き役でいられます。
飲む量は自分で決める
お酒を飲むかどうかは、体質や事情によります。飲まない選択を説明する義務はありません。 「今日はやめておきます」で十分です。ソフトドリンクを頼み続けても、失礼にはなりません。
一次会で帰る
二次会の相談が始まる前に立つのが、いちばん静かに帰れます。流れが決まってからだと抜けにくくなります。
聞き取りづらさへの備え
店の中で話が分からないのは、耳が悪いからとは限りません。いろいろな音が混ざる場所では、一つの声を選び出すこと自体が難しくなります。
席と向きでかなり変わる
- 話したい相手の正面より、斜め前に座る
- 壁を背にすると、後ろからの音が減る
- 広い座敷より、仕切りのある席のほうが聞き取りやすいことがある
聞き返し方を1つ決めておく
何度も聞き返すのが気まずいなら、言い方を決めておきます。
「すみません、まわりの音で聞こえませんでした。もう一度お願いします」
自分の耳のせいにせず、店の音のせいにしておくほうが、何度でも使えます。
音を弱める道具を使う
音を少し下げる耳栓は1,000円前後から買えます。全部の音を消す種類ではなく、弱めるだけの種類を選ぶと、会話は残ります。つけているのを見られたくないなら、行き帰りだけ使う手もあります。
帰ってからと、翌日
帰り着いたら、まず音と光を切る
部屋の明かりを落とす、耳をふさぐ、しばらく何もしない。すぐ寝ようとしなくていいです。 刺激を切る時間を取ってからのほうが、結果的に早く落ち着きます。
翌日を空けておく
飲み会の翌日に予定を入れないだけで、当日の負担が下がります。回復の時間は、あとから取るのではなく、先に空けておきます。
思い返しが止まらないとき
「あの言い方はまずかったかもしれない」と繰り返し思い出すことがあります。ほとんどの場合、相手は覚えていません。それでも止まらないときは、頭の中で考え続けるのをやめて、紙に書き出すか、体を動かすほうが早く抜けます。
謝りに行くのは、翌日の自分が判断しなくていいです。 数日たっても気になるときだけ、短く一言伝えれば足ります。
場面別
歓迎会・送別会
主役がいる会は、顔を出す価値が比較的はっきりしています。最初の30分だけ出て帰るという形でも、出席したことになります。
忘年会・新年会
人数が多く、時間も長くなりがちです。年に出る枠を使うなら、この種類より少人数の会に使うほうが、消耗あたりの見返りは大きくなります。
取引先との会食
仕事の一部なので、断りにくい場です。同席者に、聞き取りづらいときは補足してほしいと事前に頼んでおくと楽になります。席順を決められるなら、相手の正面より斜めのほうが聞き取りやすいことがあります。
友人同士の飲み会
気が楽な相手でも、店の音は同じです。店を選ぶ側に回ると、静かな店や個室を選べます。人数を4人までにすると、会話が1本にまとまって聞きやすくなります。
上司から1対1で誘われた
いちばん断りにくい形ですが、時間を区切れば受けやすくなります。夜が難しいなら、昼に置き換える提案が使えます。
「夜は難しいのですが、お昼をご一緒するのはどうでしょうか」
少人数の誘い
2〜3人なら音は少なくて済みますが、そのぶん途中で抜けにくくなります。人数が少ないときほど、帰る時刻は最初に伝えておいてください。
オンラインの飲み会
音は聞きやすい一方で、抜けるタイミングがつかみにくい場です。開始時に退出時刻を伝えておく、時間になったら手を振って落ちる、と決めておいてください。
関連する困りごと
飲み会のつらさは、いくつかの困りごとが同時に来ている状態です。
- 誘いを断れない → 頼まれると断れない人へ
- 店の音がつらい → 音がつらい人へ
- 人といると消耗する → 人といると異常に疲れる人へ
- 翌日から動けない → 外出したあと2日動けない人へ
まず今日、これだけやってみる
- 今年あと何回出るかを決めて、手帳の余白に書く
- 断りの一文を作って、スマホのメモに保存する
- 次の飲み会の翌日を、何も入れない日として先に押さえる
この記事について
まわりに合わせて特性を隠すようにふるまうことと、心の負担との関係は、たくさんの研究をまとめた分析で整理されています。飲み会のあとに強く疲れるのは、その場での合わせる量が多いためだと説明できます。ただし、隠すのをやめれば負担が減るのか、負担が少ないから隠さずにいられるのか、原因の向きまでは分かっていません。
同じテーマは国内でも整理されていて、特性を隠し続けることに心理的な負担があるとまとめられています。こちらの論文自体が、実際に確かめた研究はまだ少ない領域だと述べています。現時点で言えるのは、消耗が起きやすいことまでです。
この記事に書いた席の選び方、断りの例文、帰る時刻を先に伝える方法は、研究で効果を確かめたものではありません。職場の空気や相手によって、使えるものと使えないものが分かれます。
お酒の量や体調への影響については、体質や個別の事情によるため、ここでは扱っていません。飲み会のたびに強い不安が出る、行けないことで仕事に支障が出ている、という状態が続くときは、無理に慣らそうとしないでください。困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
飲み会って、始まる前から疲れているんですよね。行くか断るかを何日も考えて、当日は聞き取れない会話に相づちを打って、帰ってから反省会をする。中身より、その前後のほうが重かったりします。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討自閉スペクトラム症における「特性を隠す・補う行動」:たくさんの研究をまとめた分析
(原題:Camouflaging in autism: A systematic review)
この研究でわかっていること:「普通に見えるようにふるまう」ことに消耗が伴うと言えます。
ここはまだ分かっていません:隠すのをやめれば楽になる、とどちらが原因かまでは分かりません。
研究で検討ADHDマスキング行動および関連要因の分類—文献レビューによる概念化の試み
この研究でわかっていること:特性を隠し続けることに負担があると整理できます。
ここはまだ分かっていません:実際に確かめた研究がまだ少ない領域だと論文自体が述べています。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。