趣味まで三日坊主になる人へ|楽しいことすら続かない
— 飽きたのは、そういう仕組みだったというだけです
ポイント
- 最初に熱が出きってしまう入り方だと、そのあとの落差が大きくなります
- お金と道具は後ろに回して、離れても戻れる置き方にしておきます
- 飽きは終わりの合図ではなく、休んでいるだけのこともあります
目次を開く(10項目)
始めた最初の週は、寝る時間を削ってでもやっていました。二週目に少し減って、三週目には道具に触っていません。
押し入れを開けると、値札の残った箱が並んでいます。ギター、水彩の道具、キャンプ用の一式。どれも、いちばん楽しかったところで止まっています。
仕事や家事が続かないのなら、まだ言い訳はできます。楽しいはずのことまで続かないとなると、自分の根っこがだめなような気がしてきます。
先に結論を書きます。飽きたのは性格の問題ではなく、始まり方が急すぎただけです。 最初にお金と気力を出しきる形をやめて、離れても戻れる置き方に変えると、同じ趣味に何度も帰ってこられるようになります。
もうひとつ。続かなかった趣味は、失敗ではありません。 三週間おもしろかったなら、その三週間はすでに手に入っています。あとから返す必要はありません。
楽しいはずのことが続かないのはなぜか
最初にいちばん強い熱が出る
始めたばかりのころは、調べる時間も、道具を選ぶ時間も全部おもしろく感じます。一日中そのことを考えていられます。
ひとつのことに深く入り込む状態は、気の向き方のひとつとして研究でも取り上げられています。ただし呼び方も中身もまだ揃っていない段階なので、「こういう人はこうなる」と言えるものではありません。 そういう入り方をする人もいる、くらいに読んでください。
厄介なのは、この熱が続く前提で予定を組んでしまうことです。毎日2時間やるつもりで教材をそろえる。熱が下がったときに残るのは、手の届かない量の予定と、使っていない道具です。
「ちゃんとやらないと」が後から追いかけてくる
最初は触っているだけで楽しかったのに、しばらくすると上手い人の作品が目に入るようになります。
そこから、楽しむための時間が、上達しなければいけない時間に変わります。 変わったとたん、それは趣味ではなく宿題です。宿題は続きません。
買ったものが、責める道具になる
道具は、使っていないと責めてきます。値段が高いほど強く責めてきます。
すると、触るたびに「これだけ払ったのに」という気持ちがくっついてきます。気が重いものに、人は近づけません。 道具を見ないようにする、押し入れに入れる、そのまま忘れる。この順で消えていきます。
飽きは、終わりの合図とはかぎらない
日常のなかで習慣がどう育つかを追った研究では、身につくまでにかかる日数の個人差がとても大きいことと、一日抜けたくらいでそれまでの積み重ねが消えるわけではないことが報告されています。
つまり、離れた期間があること自体は、終わったことを意味しません。終わりにしているのは、たいてい自分の判断のほうです。
【いちばん効く1つ】最初のお金を、いちばん後ろに回す
始めたばかりのときは、判断がいちばん甘くなっています。ここで大きな買い物をすると、あとで自分を責める材料が増えるだけです。
順番を決めておきます。
- 借りる、または1回だけの体験から入る。 図書館、レンタル、体験教室、友人に貸してもらう。0円から数千円で試せる入口が、たいていあります
- どうしても買うなら、上限を先に決める。 最初の一式は3,000円まで、のように数字で決めます
- 中古か、いちばん安いものを選ぶ。 上等な道具は、続くと分かってからで間に合います
- 買うのを2週間待つ。 2週間後もほしければ買います。そのあいだに熱が下がってしまうことも、よくあります
「ほしくなったら、カートに入れて2週間置く。2週間後にまだほしければ買う」
この形にしておくと、やめたときの痛みが小さくなります。 痛みが小さいと、また別のことを気軽に始められます。気軽に始められる人は、結果としてたくさんの趣味に出会えます。
すぐ買ってしまう癖があるなら、勢いで買ってしまう人へのほうが土台の話です。
趣味が続かない人へ/熱が高いうちに、戻り道を作っておく
熱が高いうちに、戻り道を作っておく
離れたあとに帰ってこられるかどうかは、熱があるうちに何を用意したかで決まります。楽しくてたまらない時期にしかできない準備があります。
- 一式を、ひとつの箱にまとめる。 探すところから始まると、それだけで戻れません
- 箱を、押し入れの奥ではなく手前に置く。 見えなくなったものは存在しないのと同じです
- 次にやることを1行だけ書いて、箱に入れておく。 「3ページ目の練習から」「青の絵の具を買い足す」で十分です
- 説明書や設定を、写真に撮っておく。 半年後の自分は、使い方を完全に忘れています
いちばん効くのは3つ目です。再開できない理由の多くは、やる気ではなく「何からやればいいか分からない」ことです。 1行あるだけで、再開のとっかかりが残ります。
戻る日を決めておく手もあります。「連休の初日に箱を開ける」のように、向こうからやって来る日に置いておくと、思い出す必要がなくなります。
再開する日の中身は、うんと軽くしておいてください。箱を開けて15分だけ触る、で終わりにしていいことにします。久しぶりの日に前と同じ量をやろうとすると、その一日で息が切れて、また離れます。
いくつか持って、行き来する
ひとつに絞ろうとすると、飽きた時点で行き先がなくなります。2〜3個を並べて持って、そのときに向いているほうをやる形にすると、全部をやめる日が減ります。
選ぶときは、性質をばらけさせておくと使い分けができます。
| その日の状態 | 向いているもの |
|---|---|
| 元気があって集中できる | 手を動かすもの、外に出るもの |
| 疲れているが起きていたい | 眺めるだけのもの、音を聞くもの |
| 何もしたくない | 過去にやったものを見返すだけ |
大事なのは、いちばん下の欄を空けておかないことです。ここが空白だと、疲れた日は自動的に何もない日になります。何もない日が続くと、そのまま全部から離れます。
行き来することを、浮気のように感じる必要はありません。戻ってくる場所が複数あるだけの話です。
「うまくなる」を目的から外す
続かない原因が、飽きではなく比較にあることもあります。
- 人の作品を見る場所を、やる前ではなくやったあとにする。 先に見ると、始める前にしぼみます
- 発信を義務にしない。 毎日投稿すると決めた時点で、それは仕事の形です
- 記録をつけるなら、日付だけにする。 上達の度合いを書き始めると、伸びない時期に手が止まります
- 人に見せる予定を、最初は入れない。 発表会や締め切りは、続いてからで十分です
上達したくなる日が来たら、そのときに教室でも先生でも足せばいいです。順番を逆にすると、楽しかった部分が先に削れます。
深く入り込みすぎて、そのあと数日動けなくなるタイプの人は、量のほうを先に区切ってください。やり始めると止まれない人へに、止まるための仕掛けをまとめています。
趣味が続かない人へ/やめるときの、後片づけの決め方
やめるときの、後片づけの決め方
やめてもいいのですが、残骸だけは片づけないと次に響きます。 使っていない道具と、止まっている月額の支払いは、静かに気力を削ります。
- 半年触っていない道具は、箱ごと「保留」と書いて一か所に集める
- 保留のまま一年たったものは、売るか、譲るか、手放す
- 月額の支払いは、やめた月のうちに止める。 「また始めるかも」で残すと、そのまま数年たちます
- 手放すときに、写真を1枚だけ撮る。 記録が残ると、物を手放しやすくなる人がいます
道具を捨てるのがどうしてもつらいなら、ものが捨てられない人へを先に読んでください。無理に捨てる必要はありませんが、置き場所だけは決めておくほうが、次に始めるときに楽になります。
止まっている月額の支払いは、使っていないサブスクを整理したい人への手順でまとめて見直せます。
よくある質問
何をやっても3日で飽きます
3日でも、始められています。始められない人より前に進んでいます。
やめた回数ではなく、これまでに何種類やってみたかを数えてみてください。数が多い人は、自分に合うものを探すのが上手だという見方もできます。
飽きっぽいのは、なくせますか
なくす対象として考えないほうが、うまくいくことが多いです。飽きる前提で、お金と手間を小さくしておくほうが現実的です。
同じ趣味に3回戻ってきているなら、その3回はもう十分に「続いている」と言えます。
一つのことを極めている人がうらやましいです
その人の生活のなかで、そうなっているというだけの話です。極めることは、趣味の条件ではありません。
そして、極めている人も途中で何度か離れていることがほとんどです。見えているのは残った部分だけです。
始めたことを人に言うと、続かなかったとき気まずいです
言わないでおく、という選択肢があります。趣味は報告の義務がない領域です。
言いたくなったら、「最近ちょっと試している」くらいの言い方にしておくと、やめたときに説明がいりません。
家族に「また買って」と言われるのがつらいです
先に上限を伝えておくと、言われにくくなります。「3,000円までで試す」と最初に共有しておく形です。
「今回は3,000円までで試す。続いたら、そのとき相談させて」
言い方を先に決めておくと、その場で考えずに済みます。
関連する困りごと
- 勢いで買ってしまう → 勢いで買ってしまう人へ
- 始めると止まれなくなる → やり始めると止まれない人へ
- 道具が捨てられない → ものが捨てられない人へ
- 使っていない支払いが残る → 使っていないサブスクを整理したい人へ
まず今日、これだけやってみる
- いま止まっている趣味の道具を、ひとつの箱にまとめて手前に置く
- その箱に、次にやることを1行だけ書いた紙を入れる
- これから始めるものの上限金額を決めて、紙かメモに書く
やらない日が続いても、箱はそのままにしておいてください。戻ってきたときに、探すところから始めなくて済みます。
この記事について
ひとつのことに深く入り込む状態については、気の向き方のひとつとして整理した研究があります。ただし研究ごとに定義が揃っておらず、特定の人がそうなると決めつけられるものではありません。 この記事でも、そういう入り方をする人がいる、という範囲でしか書いていません。
習慣の育ち方については、日常生活を追いかけた研究があります。そこでは、定着までの日数に大きな個人差があることと、一日抜けても積み重ねがなくなるわけではないことが示されています。「何日やれば身につく」という数字は、この研究から出たものではありません。またこれは、発達障害のある人だけを対象にした研究ではありません。
そのうえで、「借りてから始める」「箱にまとめる」「いくつか持って行き来する」といったこの記事の組み立て方そのものは、研究で確かめられたものではありません。お金がほとんどかからず、失っても困らない範囲で試せるという理由で紹介しています。合わなければ、そのまま捨ててください。
趣味から離れているあいだに、何も楽しめない状態が長く続くことがあります。日常生活のほうがしんどくなっているときも同じです。そういうときは、趣味の話として扱わないほうがいいこともあります。困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
楽しいことまで続かないと、自分の根っこがだめな気がしてくるんですよね。でも三週間おもしろかったなら、その三週間はもう手に入っているわけで。返さなくていいんです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討習慣はどうやってできるのか:日常生活での習慣づくりを追った研究
(原題:How are habits formed: Modelling habit formation in the real world)
この研究でわかっていること:同じ合図と同じ行動の反復が習慣化を支えること、定着に個人差が大きいことを示せます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDを対象にした研究ではありません。「21日で習慣化」も本研究の結論ではありません。
研究で検討過集中:忘れられてきた注意の領域
(原題:Hyperfocus: the forgotten frontier of attention)
この研究でわかっていること:過集中が注意の一形態として議論されていると示せます。
ここはまだ分かっていません:定義が定まっておらず、「ADHDの人は過集中する」と一般化はできません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。