衝動買いが止まらない人へ|我慢しないでお金を守る方法
— 意志で止めようとするから、止まりません
ポイント
- 衝動買いは意志の弱さではなく、「いま手に入るもの」を選びやすい傾向で説明できます
- 反省しても次は止まりません。買えない状態を先に作ってください
- 「1日置く」「口座を分ける」「カードを預ける」の3つで、かなり減らせます
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気づいたらカートに入っている。ポチった瞬間は気持ちいいのに、届くころには興味がなくなっている。給料日前になると、なぜかお金がない。
そして「もう買わない」と決めて、翌週にはまた買っている。
このループにいる人へ。まず、あなたの意志が弱いわけではありません。
なぜ止められないのか
「あとの得」より「いまの得」を選びやすい
ADHDの特性がある人は、「あとで手に入る大きい得」より「いま手に入る小さい得」を選びやすいという研究があります。
3か月後の10万円より、いまの5,000円。将来の貯金より、いまのうれしさ。この計算が無意識に働きます。
これは価値観の問題ではなく、選び方のクセです。 責めても変わりません。
買い物の「スピード」が速すぎる
いまの買い物は、思いついてから支払いまで10秒で終わります。
昔なら、店に行って、レジに並んで、財布を出して——という時間がありました。その間に冷める時間があったんです。いまはありません。
冷める時間を、こちらで作り直します。
買うこと自体が気分転換になっている
疲れているとき、落ち込んでいるとき、退屈なときに買い物が増える人は多いです。
これは買い物が「気分を切り替える手段」になっているということです。この場合、買い物だけ止めても苦しくなります。別の手段を用意する必要があります。
【まずやる3つ】ここだけで大きく変わります
1. カード情報をアプリから消す
いちばん効きます。
ショッピングアプリやサイトに保存してあるクレジットカード情報を、全部削除してください。
そうすると、買うたびにカードを取り出して、16桁を入力することになります。この手間が、冷める時間になります。
「面倒だな」と思った時点で、その買い物は本当に必要ではなかったということです。
2. カートに入れて1日置く
買いたいものを見つけたら、カートに入れるところまでで止めます。 買うのは明日。
翌日見て、まだ欲しかったら買ってください。半分くらいは欲しくなくなっています。
高いもの(1万円以上)は、3日置くルールにするともっと安全です。
3. 使えるお金を物理的に分ける
口座を分けて、その月に使っていい分だけを生活用の口座に入れます。それ以外は別の口座へ。
「使いすぎないように気をつける」ではなく、そもそも引き出せない状態にします。
くわしいやり方は給料日前にいつもお金がない人へに書きました。
買いにくくする仕組み
4. アプリを消す
ショッピングアプリをスマホから消してください。買いたくなったらブラウザで開きます。
アイコンが目に入らないだけで、開く回数が減ります。
5. 通知とメールを切る
セールの通知、タイムセール、ポイント◯倍。これは全部「買わせるための合図」です。
- アプリの通知をオフ
- 通販サイトからのメールを配信停止
- SNSの広告を「興味がない」で消す
自分から探しに行かないと買えない状態にします。
6. デビットカードかプリペイドにする
クレジットカードは「あとで払う」ので、痛みを感じません。
デビットカード(口座から即引き落とし) や プリペイド(先にチャージ) にすると、残高が減るのが見えます。使いすぎたら止まります。
7. カードを人に預ける
家族やパートナーがいるなら、クレジットカードを預かってもらうのも手です。
「情けない」と思うかもしれませんが、借金が増えるほうがずっと困ります。
8. 限度額を下げる
カード会社に連絡して、利用限度額を下げてもらえます。電話1本で終わります。
50万円の枠を10万円にするだけで、大きな事故は防げます。
9. リボ払いの設定を確認する
これは必ず確認してください。 知らないうちにリボ払いになっていると、金利で大きく損をします。
カード会社のサイトで「支払い方法」を見て、「1回払い」になっているかを確認します。自動リボの設定があればオフにしてください。
10. 「もし〜したら」で先に決めておく
行動を先に決めておくと、その場で迷わずに済みます。
「カートに入れたら、そのまま閉じて明日開く」 「セールのメールが来たら、開かずに消す」 「3,000円を超えるものは、一度誰かに話してから買う」
その場で判断しない形にするのがコツです。
衝動買いが止まらない人へ/場面別|買ってしまうきっかけを断つ
場面別|買ってしまうきっかけを断つ
夜にポチってしまう
夜は判断が甘くなります。「22時以降は買わない」と決めてください。
そもそも夜にスマホを見る時間を減らすほうが早いこともあります。気づいたら2時間 動画を見ていた人へも見てみてください。
セールに勝てない
「安いから買う」は、買う理由になっていません。 元々欲しくなかったものが安くなっても、必要ではありません。
セールのときは、「定価だったら買うか?」と自分に聞いてください。答えがノーなら買わなくていいです。
ストレスがたまると買う
これは買い物の問題ではなく、気分を切り替える手段の問題です。
買い物以外に、切り替えられるものを3つ用意してください。
- 散歩する、シャワーを浴びる
- 好きな音楽を1曲聴く
- 誰かに連絡する
- ゲームを15分やる
「買う代わりに何をするか」を先に決めておくと、実行しやすくなります。
推しやコレクションにお金が消える
好きなものにお金を使うこと自体は悪いことではありません。問題は、生活が回らなくなることです。
「推し用の口座」を作って、毎月の上限を決めるのがおすすめです。その中でなら、罪悪感なく使えます。
上限を守るために、その口座にだけカードをひもづけて、他のカードでは買わないようにします。
コンビニで小さく積み上がる
1回500円でも、月に60回行けば3万円です。
- 現金だけ持っていく(1,000円以内)
- 週に行っていい回数を決める
- 家に飲み物とお菓子を常備する(そのほうが安いです)
ネットスーパー・出前で使いすぎる
便利ですが、単価が高くなりがちです。「疲れた日だけ」と決めて、週の上限回数を作ってください。
疲れた日に自炊できないのは当然なので、やめる必要はありません。 回数だけ決めます。
買う前の5つの質問
どうしても迷ったときに使うチェックです。1つでも「いいえ」があったら、今日は買いません。
- これがなくて、今週困ったことがあったか?
- 同じ用途のものを、すでに持っていないか?
- 置く場所は決まっているか?
- 定価でも買うか?
- 来月の支払いに響かないか?
3番の「置く場所」は見落とされがちですが、大事です。置き場所のないものを買うと、部屋も散らかります。
家族やパートナーと暮らしている場合
お金の話は「責める場」にしない
「また買ったの?」と言われると、隠すようになります。隠すと、もっと使います。
責めるのではなく、仕組みを一緒に作るほうが結果が出ます。
上限を決めて、その中は自由にする
「一切買うな」は続きません。「月に2万円までは自由」のように決めるほうが現実的です。
その2万円をどう使ってもいい。そのかわり、超えたら止まる。自由な枠があると、隠さなくて済みます。
共有の口座と、個人の口座を分ける
生活費は共有の口座から。個人の買い物は個人の口座から。混ざっていると、どこまで使っていいか分からなくなります。
頼めることは頼む
カードを預かってもらう、大きい買い物は相談してから決める。これは情けないことではありません。
伝え方は家族に特性を分かってもらえない人へも参考にしてください。
よくある疑問
「ポイントが貯まるからカードのほうが得では?」
ポイントの還元率はだいたい1%前後です。1万円使って100円。 使いすぎて1万円多く払ったら、その時点で赤字です。
使いすぎる人にとっては、現金かデビットのほうが結果的に得です。
「必要なものかどうか、判断できない」
判断できないときは、買わないほうを選んでください。 本当に必要なものは、また必要になります。そのときに買えばいいです。
「セールを逃すのがこわい」
セールはまた来ます。「二度と手に入らないもの」はほとんどありません。
「買い物が唯一の楽しみで、それも取り上げられるのがつらい」
取り上げる必要はありません。上限のある枠を作って、その中で楽しんでください。 罪悪感なく使えるお金があるほうが、精神的にはずっとラクです。
衝動買いが止まらない人へ/買ってしまったあとの対応
買ってしまったあとの対応
返品できるか調べる
未開封なら返品できることがあります。買った直後に「これは要らなかった」と思ったら、その日のうちに調べてください。
責めるのをやめる
「また買ってしまった」と落ち込んでも、次は止まりません。落ち込む時間があるなら、設定を1つ変えてください。
カード情報を消す。限度額を下げる。それだけで次が変わります。
記録を取る(家計簿ではなく)
細かい家計簿はつけなくていいです。「衝動買いをした日」だけメモしてください。
- いつ(日付・時間)
- 何を
- そのときの気分
1か月で、パターンが見えます。「夜が多い」「疲れた日が多い」「給料日直後が多い」。パターンが分かれば、そこだけ対策できます。
細かい家計簿はつけなくていいです。「衝動買いをした日」だけメモしてください。
- いつ(日付・時間)
- 何を
- そのときの気分
1か月で、パターンが見えます。
| よくあるパターン | そこだけの対策 |
|---|---|
| 夜が多い | 22時以降は買わないと決める |
| 疲れた日が多い | 疲れた日用の別の気分転換を用意する |
| 給料日直後が多い | 給料日に貯金を先に移す |
| セールのときだけ | セールのメールを配信停止する |
| 特定のアプリだけ | そのアプリを消す |
パターンが分かれば、そこだけ対策できます。 全部我慢する必要はありません。
借金が増えているとき
リボ払いの残高が減らない、複数のカードを使っている、返済のために借りている——という状態なら、買い物の工夫の話ではありません。
- クレジットカードをすべて止める
- 自治体や国が用意している無料の相談窓口に行く
- 家族に打ち明ける
早いほど選択肢が多いです。 一人で抱えないで、専門の窓口に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
「買わない」以外の選択肢
我慢だけだと反動が来ます。別の出口を作ってください。
欲しいものリストを作る
買わずに、リストに書くだけ。1週間後に見て、まだ欲しければ買います。
「書く」という行為で、いったん満たされることがあります。
上限のある「自由なお金」を作る
「月に2万円までは何に使ってもいい」と決めておくと、罪悪感なく使えます。
罪悪感があると、隠すようになり、隠すともっと使います。
買う代わりにやることを3つ決めておく
- 散歩する
- シャワーを浴びる
- 好きな音楽を1曲聴く
- 誰かに連絡する
「買う代わりに何をするか」を先に決めておくと、実行しやすくなります。
まず今日、これだけやってみる
- 通販サイトに保存しているカード情報を全部消す(5分)
- ショッピングアプリの通知を全部オフにする(3分)
- カードの支払い方法が「1回払い」になっているか確認する(5分)
この3つだけで、しばらく様子が変わります。 我慢は一切していません。
この記事について
ADHDの特性がある人は、「あとで手に入る大きい得」より「いま手に入る小さい得」を選びやすい傾向があると報告されています。ただしこれは、本人が答えたアンケートをもとにした、まだ小さな規模の研究です。
また、「もし〜したら〜する」と先に決めておく方法は、目標を達成しやすくすると報告されています。この記事の「カートに入れたら1日置く」といった書き方は、ここから来ています。
そのうえで、口座を分けることや、カード情報を消すことの効果を調べた研究は見つかっていません。ここに書いたのは、日常で試せる形に組み立てたものです。 合わないものは飛ばしてください。
お金のことで生活が立ち行かない状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
使いすぎたあとに反省しても、次も同じことが起きます。反省の代わりに、口座を分けてください。仕組みは裏切りません。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討ADHDと、目先の得を選びやすい傾向、そしてリスクの高いお金の使い方
(原題:Attention-deficit/hyperactivity disorder, delay discounting, and risky financial behaviors)
この研究でわかっていること:「あとの大きい得より、いまの小さい得」を選びやすい傾向を説明できます。
ここはまだ分かっていません:本人が答えたアンケートをもとにした、小さな規模の分析です。家計術の効果を示すものではありません。
研究で検討「もし〜なら〜する」と先に決めておく方法が目標達成に与える効果の研究をまとめた分析
(原題:A Meta-Analysis of the Effects of Mental Contrasting With Implementation Intentions on Goal Attainment)
この研究でわかっていること:行動を「場面」と結びつけて決めておく方法に一定の効果があると言えます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDだけを対象にした研究ではありません。一般の人向けの知見を当てはめています。
研究で検討大人の注意欠如多動症の認知行動療法(考え方と行動を整える心理的な治療)
この研究でわかっていること:整理・計画・先延ばしを「性格」ではなく介入対象として扱う枠組みを示せます。
ここはまだ分かっていません:レビューであり、個々の生活術の効果量を示すものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。