掃除がまったくできない人へ|1日1か所に決める
— 「気づいたらやる」は、気づけない日に何も起きません
ポイント
- 「気づいたらやる」は、気づけない日に何も起きません
- 曜日ごとに場所を1か所だけ割り当てると、判断がなくなります
- 道具を使う場所に置くと、取りに行く工程が消えます
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掃除をしようとは思っている。でも、いつやるか決めていないので、いつまでもやらない。
そして気づいたときには、手がつけられない状態になっている。
「気づいたらやる」は、気づけない日に何も起きません。
「まとめてやる」が失敗する理由
週末にまとめて掃除する、という計画はよく立てられます。しかし、
- 週末に予定が入ると、そのまま2週間空く
- 量が多いと、始めるのが重くなる
- 途中で力尽きて、中途半端な状態になる
1回の量が多いほど、失敗したときの被害が大きくなります。
【いちばん効く1つ】曜日ごとに1か所だけ
曜日ごとに場所を1つだけ決めます。その日はそこだけ。それ以外はやりません。
| 曜日 | 場所 | 時間 |
|---|---|---|
| 月 | トイレ | 5分 |
| 火 | 洗面台 | 5分 |
| 水 | 床(掃除機かフロアワイパー) | 10分 |
| 木 | キッチンのシンク | 5分 |
| 金 | 風呂 | 10分 |
| 土日 | 何もしない(予備日) | — |
やることが1つなら、判断は発生しません。 「今日は何をするか」を考えない状態を作るのが目的です。
土日を予備日にしておくと、平日に飛んだぶんを取り返せます。 全部の曜日を埋めないでください。
引き金の動作にくっつける
行動をきっかけと結びつけて先に決めておく方法は、目標を達成しやすくすると報告されています。習慣が同じ合図と行動のくり返しで育つことも研究で示されています。
「歯をみがいたら、洗面台をさっと拭く」 「風呂から出たら、鏡を拭く」 「朝、湯を沸かしているあいだにシンクを流す」
すでにやっている動作の直後に置くと、新しい時間を作らずに済みます。
道具を「使う場所」に置く
掃除が始まらない原因の1つが、道具を取りに行く工程です。ここを消します。
- トイレに掃除シートを置く
- 洗面台の下に使い捨てのクロスを置く
- 風呂にスポンジを吊るしておく
- 各部屋にフロアワイパーを置く(安いものでいい)
- キッチンに除菌シートを出しておく
取りに行く必要がなければ、思いついた瞬間にできます。
「掃除道具は1か所にまとめる」という一般的なアドバイスは、この場合は逆効果です。使う場所に置いてください。
合格ラインを下げる
完璧を目指すと続きません。「見た目が許容範囲」で合格にしてください。
| 場所 | 合格ライン |
|---|---|
| 床 | ものが置かれていない |
| トイレ | 便器の中が汚れていない |
| シンク | 洗い物が残っていない |
| 洗面台 | 鏡が曇っていない |
| 風呂 | 床がぬるぬるしていない |
細かいところは諦めていいです。 諦めた結果続くほうが、完璧を目指して2週間止まるより清潔です。
お金で解決する
家事を減らす投資は、贅沢ではありません。 できないことに使うエネルギーを、別のことに回せます。
食洗機(数万円〜)
シンクに洗い物がたまらなくなります。キッチンが回るかどうかは、ここで決まることがあります。
家事代行(1回5,000〜10,000円)
月1回でも、リセットが入ると立て直しやすくなります。
「他人を家に入れるのが無理」という人もいます。その場合は無理しなくていいです。
使い捨てを増やす
洗って使うものを、使い捨てに変えるだけで工程が減ります。掃除シート、キッチンペーパー、使い捨てのスポンジ。
場所別のコツ
床
ものが置いてあると掃除できません。 掃除の前に片づけが必要になる時点で、ハードルが2倍です。
まず「床にものを置かない」から。くわしくは部屋が片づかない人へへ。
トイレ
使うたびにシートで1か所だけ拭く、という方法もあります。1日1か所なら30秒です。
風呂
入っているあいだに、手が届くところだけ洗う。専用の時間を作らないほうが続きます。
キッチン
洗い物をためないのがいちばん効きます。 食洗機がないなら、「使ったらすぐ洗う」より「1日1回まとめて」のほうが現実的なことがあります。
窓・換気扇・エアコン
年に1回でいいです。 業者に頼むのも選択肢です。
掃除がまったくできない人へ/続かなくなったとき
続かなくなったとき
1週間飛んだ
そこで終わりではありません。 今週からまた始めてください。
習慣は途切れても再開できることが、研究でも示されています。「今日から仕切り直し」でOKです。
やる気が出ない
5分だけやってください。5分でやめていいです。
汚れがひどくて手をつけられない
1回だけ業者を入れるか、1か所だけリセットする。
きれいな場所が1か所あると、そこを保ちたくなります。
「ついで掃除」で回す
掃除の時間を作ろうとすると、いつまでも作れません。別の行動にくっつけてください。
- 歯をみがきながら、洗面台を拭く
- お湯がわくあいだに、コンロを拭く
- トイレを出る前に、便座を1枚のシートで拭く
- お風呂を出る前に、シャワーで壁を流す
1回30秒以内にするのがコツです。長いと続きません。
道具を「使う場所」に置く
- トイレに掃除シートを置く
- 洗面所に使い捨ての布を置く
- キッチンに除菌シートを置く
取りに行く距離があると、やりません。 手を伸ばせば届く場所に置いてください。
曜日で分ける
全部を一度にやろうとすると、始められません。1日1か所にしてください。
| 曜日 | 場所 |
|---|---|
| 月 | トイレ |
| 火 | 洗面所 |
| 水 | キッチン |
| 木 | 床(掃除機) |
| 金 | お風呂 |
| 土日 | やらない |
「今日はここだけ」と決まっていると、10分で終わります。
やれなかった曜日は、飛ばして次に進んでください。 取り返そうとすると、崩れます。
道具でラクをする
ロボット掃除機
床にものがなければ、勝手にやってくれます。
「床にものを置かなくなる」という副次効果もあります。
使い捨てを使う
- 掃除シート
- 使い捨ての布
- 流せるトイレブラシ
「掃除道具を洗う」という工程がなくなります。 ここで止まる人は多いです。
汚れる前に防ぐ
- コンロにアルミのカバーを敷く
- 排水口にネットを付ける
- 換気扇にフィルターを貼る
貼り替えるだけになります。 掃除するより圧倒的にラクです。
人に頼む
お金で解決していい部分です。
- 家事代行(1回数千円)
- 換気扇やエアコンの専門クリーニング(年1回)
- 実家や家族に手伝ってもらう
手に負えない状態を放置するより、ずっといいです。
とくに、エアコン、換気扇、風呂の排水口あたりは、自分でやろうとして永遠に手をつけない場所です。年に1回、業者を入れると決めてしまうのが早いです。
タイマーで区切る
始めると止まらない人は、タイマーを15分にセットしてください。
鳴ったら途中でもやめる。「今日はここまで」と決められると、次の日も始められます。
気づいたら5時間たっている人へもご覧ください。
まず今週、これだけやってみる
- 曜日ごとに、掃除する場所を1つだけ決める(5か所まで。土日は空ける)
- その場所に、掃除道具を置く
- すでにやっている動作の直後にくっつける(歯をみがいたら、など)
1日5分です。 できなかった日は、土日に取り返せます。
掃除がまったくできない人へ/汚れる前に防ぐ
汚れる前に防ぐ
掃除の回数を減らすには、汚れないようにするのがいちばん効きます。
- コンロにアルミのカバーを敷く
- 排水口にネットを付ける
- 換気扇にフィルターを貼る
- 洗面台やトイレに、汚れ防止のシートを貼る
貼り替えるだけになります。 こすって落とすより圧倒的にラクです。
数百円で、毎週の負担が減ります。
床にものを置かない
床にものがあると、掃除機をかける前に片づけが必要になります。 そこで止まります。
- 床に置いているものに、置き場所を作る
- ロボット掃除機を入れる(床にものを置かなくなります)
- 「床には何も置かない」を1つのルールにする
床が空いていれば、掃除は5分で終わります。
においだけ先に止める
全部を掃除できなくても、においが出る場所だけ押さえておくと、生活の質が変わります。
- 生ゴミは冷凍庫に入れる
- 排水口にネットを付けて、こまめに替える
- トイレに置き型の消臭剤を置く
- 洗濯物を濡れたまま放置しない
見た目より、においのほうが生活に効きます。
できなかった週があっていい
毎週きれいにしようとすると、1回崩れたときにやめてしまいます。
- できなかった曜日は、飛ばして次に進む
- 月に1回できていれば、十分です
- やらなかった自分を責めない
続けるコツは、量を減らすことです。 完璧にやろうとすると続きません。
掃除しやすい部屋にする
掃除が続かない原因の半分は、部屋の作りにあります。
- ものが多い → 動かす手間が増える
- 家具が多い → 隙間が増える
- 布が多い → ほこりが出る
減らすと、掃除の時間が短くなります。
くわしくはものが捨てられない人へ、部屋がすぐ散らかる人へへ。
手順を1つに減らす
「掃除機を出す → コードを挿す → かける → 片づける」だと、4工程です。ここで止まります。
- コードレスの掃除機を、出しっぱなしにする
- フローリングワイパーを、手の届く場所に立てておく
- 卓上ほうきを、テーブルの近くに置く
手に取ってすぐ使える状態にすると、やります。
人が来る日を作る
いちばん強力な方法です。
- 友人を呼ぶ
- 家事代行を頼む
- 修理や点検を呼ぶ
外の予定を、掃除のきっかけとして使う。 自分の意志より、はるかに確実です。
まとめ:掃除を回す5つ
- 曜日ごとに1か所だけと決める
- 道具を「使う場所」に置く
- タイマーを15分にセットして、鳴ったらやめる
- 汚れる前に防ぐ(フィルター・シート・ネット)
- 年に1回は業者を入れる(換気扇・エアコン・風呂)
全部やらなくていいです。 1番と2番だけでも変わります。
関連する困りごと
掃除が回らない背景には、別の困りごとがあることもあります。
- ものが多い → ものが捨てられない人へ
- すぐ散らかる → 部屋がすぐ散らかる人へ
- 洗濯が回らない → 洗濯物が山になる人へ
- ゴミが出せない → ゴミの日をいつも逃す人へ
- 始められない → 最初の一歩がどうしても踏み出せない人へ
掃除だけを頑張るより、原因のほうを見たほうが早いことがあります。
この記事について
習慣は同じ合図と行動のくり返しで育つこと、身につくまでの期間に大きな個人差があること、途切れても再開できることが研究で示されています。
行動をきっかけと結びつけて先に決めておく方法は、目標を達成しやすくすると報告されています。
作業を切り替えるときには手間がかかることも研究で整理されています。道具を取りに行く工程が着手を妨げるのは、自然なことです。
そのうえで、「曜日ごとに1か所」「合格ラインを下げる」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。 この「先に決めておく」やり方と習慣づくりの研究は、発達障害のある人を対象にしたものでもありません。
家事が回らない状態が続いて生活がつらいときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
掃除の日を作ると、その日にできなかったとき全部が飛びます。1日1か所のほうが、崩れても取り返せます。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討習慣はどうやってできるのか:日常生活での習慣づくりを追った研究
(原題:How are habits formed: Modelling habit formation in the real world)
この研究でわかっていること:同じ合図と同じ行動の反復が習慣化を支えること、定着に個人差が大きいことを示せます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDを対象にした研究ではありません。「21日で習慣化」も本研究の結論ではありません。
研究で検討「もし〜なら〜する」と先に決めておく方法が目標達成に与える効果の研究をまとめた分析
(原題:A Meta-Analysis of the Effects of Mental Contrasting With Implementation Intentions on Goal Attainment)
この研究でわかっていること:行動を「場面」と結びつけて決めておく方法に一定の効果があると言えます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDだけを対象にした研究ではありません。一般の人向けの知見を当てはめています。
研究で検討作業の切り替えについて
(原題:Task switching)
この研究でわかっていること:割り込みや並行作業が実際に効率を落とすことを、一般的な認知の性質として説明できます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASD固有の研究ではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。