雑談がしんどい人へ|何を話せばいいか分からないとき
— うまくやる必要はありません。乗り切れれば十分です
ポイント
- 雑談は「内容」より「やりとりが成立すること」が目的です
- 話題を3つ用意しておくだけで、その場で考えなくて済みます
- 全部の雑談に参加する必要はありません。逃げていいです
目次を開く(22項目)
エレベーターで上司と2人になる。飲み会で隣の人と話す。休憩室で顔を合わせる。
何を話せばいいか分からない。沈黙が気まずい。話しても盛り上がらない。そして終わったあとにぐったりする。
雑談は、内容ではなく「やりとりが成立すること」が目的です。
雑談の目的を知っておく
雑談で情報を伝える必要はありません。ほとんどの雑談は、「敵ではない」という確認をしているだけです。
だから、
- 中身が薄くていい
- 結論がなくていい
- 短くていい
うまくやる必要はありません。 30秒やりとりすれば、それで成立しています。
【準備】話題を3つ用意しておく
その場で考えるのがいちばん難しいので、先に用意しておきます。
使いやすい話題
| 話題 | 例 |
|---|---|
| 天気・気温 | 「暑いですね」「急に涼しくなりましたね」 |
| 移動・通勤 | 「電車混んでました?」 |
| 食べ物 | 「お昼どうしました?」 |
| 目の前のもの | 「そのカバン、便利そうですね」 |
| 相手の直近の出来事 | 「先週のあれ、どうでした?」 |
内容が薄いほうが安全です。 深い話は雑談には要りません。
避けたほうがいい話題
- 政治や宗教
- 相手の家族構成、結婚、子どもの有無
- 年齢、体型、容姿
- 給料
- 健康状態(相手の)
迷ったら、目の前にあるものの話にしてください。
雑談が苦手な人ほど、自分が何を話すかを考えています。
逆です。相手に話してもらうほうが、はるかにラクです。
使い回せる質問
- 「最近どうですか」
- 「それ大変じゃないですか」
- 「どうやってるんですか」
- 「いつからやってるんですか」
この4つで、たいていの会話が回ります。
相手の言葉を拾って返す
相手「週末、山に行ってきて」 自分「山、いいですね。どのへんですか」
相手が言った単語を、そのまま質問に変える。 考えなくて済みます。
【その場】乗り切るやり方
1. 質問を返す
自分から話題を出すのが難しいなら、聞く側に回るのがラクです。
「そうなんですね。それってどんな感じなんですか?」
「どんな感じですか」は万能です。だいたいの話題に使えます。
2. オウム返し+一言
相手「昨日、映画見に行ったんですよ」 自分「映画いいですね。何を見たんですか?」
相手の言葉を繰り返して、質問を足す。 これだけで会話が続きます。
3. 沈黙を埋めようとしない
沈黙が気まずいのは、たいてい自分だけです。5秒くらいの沈黙は、相手は気にしていません。
無理に埋めようとして話しすぎると、そちらのほうが疲れます。
4. 終わらせ方を用意しておく
始め方より、終わらせ方を持っているほうが安心できます。
「じゃあ、そろそろ戻りますね」 「また今度ゆっくり」 「お疲れさまです」
「お疲れさまです」は、どんな場面でも会話を終われる魔法の言葉です。
5. 3分で切り上げる
長くいるほど、話題が尽きてつらくなります。短く切り上げるほうが、印象もよくなります。
雑談を避けてもいい
全部の雑談に参加する必要はありません。
- 忙しいふりをする(実際に忙しいことも多いはずです)
- イヤホンをつける
- 席を外す
- 参加する回数を減らす
まわりに合わせ続けることには、心理的な負担がともなうことが研究で整理されています。避けることも対策です。
ただし、完全にゼロにはしない
雑談を全部避けると、必要なときに話しかけにくくなることがあります。
週に1〜2回、30秒だけでも構いません。「挨拶+一言」ができていれば十分です。
雑談が苦手でも、仕事はできる
自閉スペクトラム症のある人の働き方を調べた研究では、役割や手順がはっきりしていることが働きやすさに関わると報告されています。雑談の上手さは、そこには入っていません。
「雑談ができないと仕事ができない」と言われることがありますが、仕事の中身とは別のことです。
雑談が求められすぎる職場は、難易度が高い職場というだけです。
場面別
エレベーター・廊下ですれ違う
会釈と「お疲れさまです」で十分です。話す必要はありません。
休憩室・給湯室
- 飲み物を淹れて、すぐ戻っていい
- 「お疲れさまです」だけで出ていい
- 混んでいる時間を避ける
昼休み
一人で過ごしていいです。 毎日誰かと食べる必要はありません。
外に出る、車で食べる、自席で食べる。昼まで人といると、午後がもちません。
飲み会
- 一次会だけで帰る
- 端の席に座る
- 隣の人と話せなくても、聞いていればいい
- 「1時間だけ」と最初に宣言しておく
初対面
いちばん難しい場面です。自己紹介を1つ用意しておくとラクになります。
「◯◯部の△△です。普段は□□の仕事をしています。」
用意した文を言うだけにすると、その場で考えなくて済みます。
会話に入るタイミングが分からない
無理に入らなくていいです。聞いているだけで、その場にいることになります。
入りたいなら、「なんの話ですか?」と聞くのがいちばん簡単です。
美容院・タクシー
話しかけられるのがつらいなら、「今日は少し疲れているので」と最初に言うか、目を閉じる・本を出すなどのサインを出してください。
美容院は「静かに過ごしたい」と伝えられる店を選ぶ手もあります。
職場の雑談
- 業務の話から入ると自然
- 全部の雑談に参加しなくていい
- 無理に輪に入らなくても、あいさつだけしていれば大丈夫です
エレベーター、廊下
10秒で終わります。「お疲れさまです」だけで十分。
雑談がしんどい人へ/終わったあとに落ち込むとき
終わったあとに落ち込むとき
「変なことを言った」「盛り上がらなかった」と、あとで思い返してしまうことがあります。
- 相手はほぼ覚えていません
- 雑談は中身が薄いのが普通です。盛り上がらなくて正常です
- 思い返しが止まらないときは、体を動かすか、別のことを始める
「うまくできた雑談」というものが、そもそもあまりありません。
話題のストックを作る
とっさに出てこないなら、先に用意しておけばいいです。
- 天気、気温
- 最近見たもの(ドラマ、動画、本)
- 食べもの、店
- 通勤、交通
- 休みの予定
3つくらい持っておくと、沈黙が怖くなくなります。
終わり方を決めておく
始めるより、終わるほうが難しいと感じる人が多いです。
- 「じゃあ、また」
- 「そろそろ戻りますね」
- 「お疲れさまです」
この3つのどれかで、いつでも終われます。
きれいに終わらせようとしなくていいです。 会話は途中で終わっていいものです。
沈黙は怖くない
黙る時間があっても、相手はそれほど気にしていません。
埋めようとして早口になったり、話しすぎたりするほうが、疲れます。
くわしくは話しすぎてしまう人へへ。
苦手なままでいい
雑談が得意になる必要はありません。
- あいさつだけはする
- 聞かれたら答える
- 質問を1つ返す
これだけで、失礼にはなりません。
雑談が苦手なことと、仕事ができることは、別の話です。
まず明日、これだけやってみる
- 話題を3つ、スマホのメモに書いておく(天気・食べ物・目の前のもの)
- 「どんな感じですか?」を使ってみる
- 3分で「お疲れさまです」と言って切り上げる
うまくやらなくていいです。 30秒やりとりできれば成立しています。
聞き役でいい
話すのが苦手でも、聞くのが上手ければ、会話は成立します。
- うなずく
- 「そうなんですね」と返す
- 相手の言葉をそのまま質問に変える
話す量は、相手のほうが多くていいです。 むしろ、そのほうが好かれます。
相づちを3つ持っておく
- 「へえ、そうなんですね」
- 「それは大変でしたね」
- 「いいですね」
この3つで、ほとんどの話に返せます。 考えなくて済みます。
雑談がしんどい人へ/名前を覚えられないとき
名前を覚えられないとき
雑談でいちばん困るのが、名前が出てこないことです。
- 会ったらすぐスマホにメモする(名前+特徴)
- 「お名前をもう一度伺ってもいいですか」と聞く(失礼ではありません)
- 名札があるときは、さりげなく見る
間違えるより、聞くほうが安全です。
疲れたら抜けていい
雑談は、続けるほど消耗します。
- 飲み物を取りに行く
- トイレに立つ
- 「そろそろ戻りますね」と言う
抜ける口実をいくつか持っておくと、限界まで我慢せずに済みます。
くわしくは人といると異常に疲れる人へへ。
得意な形を1つ持つ
全部の雑談をこなす必要はありません。自分がやりやすい形を1つ持っておけば十分です。
- 1対1なら話せる
- 仕事の話なら話せる
- 質問されれば答えられる
苦手な場面は避けていいです。 得意な形で人と関われていれば、それで足ります。
沈黙のあとの立て直し方
話が途切れて気まずくなったとき、そのまま終わらせていいです。
無理に続けようとすると、かえって疲れます。
- 「じゃあ、また」
- 「お疲れさまです」
- 「そろそろ戻りますね」
この3つのどれかで、いつでも終われます。
苦手な場面を減らす
雑談がつらいなら、その場面自体を減らすという選択があります。
- 昼休みを一人で過ごす
- 飲み会は一次会だけ
- 早めに帰る
- 大人数の集まりを避ける
全部に参加する義務はありません。 あいさつだけしていれば、失礼にはなりません。
相手も緊張していることが多い
雑談が苦手なのは、自分だけではありません。
- 相手も何を話すか困っていることがあります
- 質問すると、たいてい助かります
- 沈黙を気にしているのは自分だけ、ということもよくあります
「うまく話さなきゃ」と思うほど、話せなくなります。
まとめ:雑談を乗り切る5つ
- 質問を3つ用意しておく
- 相手の言った単語を、そのまま質問に変える
- 相づちを3つ持っておく
- 終わりの言葉を1つ決めておく
- つらい場面は避けていい
話す量は、相手のほうが多くていいです。
関連する困りごと
人と話す場面の困りごとは、いくつかの記事に分かれています。
- 話しすぎてしまう → 話しすぎてしまう人へ
- 空気が読めないと言われる → 空気が読めないと言われる人へ
- 人といると疲れる → 人といると異常に疲れる人へ
- 外出のあと動けない → 外出したあと2日動けない人へ
- 断れない → 頼まれると断れない人へ
雑談が苦手なことと、人と関われないことは別です。
この記事について
まわりに合わせて自分のやり方を抑えることには、心理的な負担がともなうことが、たくさんの研究をまとめた分析で整理されています。雑談のあとに疲れるのは、自然なことです。
自閉スペクトラム症のある人の働き方を調べた研究では、役割や手順がはっきりしていることが働きやすさに関わると報告されています。周囲に受け入れられている感覚と心の健康の関係を示した研究もあります。
また、伝わり方は片方のせいとは限りません。伝言ゲームの形式で調べた研究では、同じ特性のある人どうしの伝達は正確でした。話が合う相手とは、雑談も苦になりにくいということです。
そのうえで、ここに書いた話題や言い方は、研究で確かめられたものではありません。 職場や相手によって合う・合わないがあります。
人といることがずっとしんどい状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
雑談って、内容に意味がないんですよね。だから何を話せばいいか分からない。意味のないやりとりをする、という目的だと分かると、少しラクになります。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討自閉スペクトラム症における「特性を隠す・補う行動」:たくさんの研究をまとめた分析
(原題:Camouflaging in autism: A systematic review)
この研究でわかっていること:「普通に見えるようにふるまう」ことに消耗が伴うと言えます。
ここはまだ分かっていません:隠すのをやめれば楽になる、とどちらが原因かまでは分かりません。
研究で検討働いている自閉スペクトラム症のある成人の経験:系統的な検索とまとめ
(原題:The Lived Experience of Autistic Adults in Employment: A Systematic Search and Synthesis)
この研究でわかっていること:明確な役割・理解ある上司・感覚環境が働きやすさに効くと示せます。
ここはまだ分かっていません:質的統合であり、どの配慮が最も効くかの順位づけはできません。
研究で検討自閉スペクトラム症のある成人における「受け入れられた経験」と心の健康
(原題:Experiences of Autism Acceptance and Mental Health in Autistic Adults)
この研究でわかっていること:周囲に受け入れられている感覚と心の健康が関連することを示せます。
ここはまだ分かっていません:ある時点で調べたもので、どちらが原因かまでは分かりません。
研究で検討自閉スペクトラム症のある人どうしの情報の伝わり方は、とても正確である
(原題:Autistic peer-to-peer information transfer is highly effective)
この研究でわかっていること:すれ違いは片方の能力不足ではなく、相互のかみ合わせの問題として説明できます。
ここはまだ分かっていません:実験のなかでの結果です。日常の会話すべてに当てはまるとは言えません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。