つい話しすぎてしまう人へ|あとで落ち込まないために
— 止まらないのは、性格ではなく仕組みの問題です
ポイント
- 話しすぎるのは、興味のあることに入り込んでしまうことと関係しています
- 「気をつける」では止まりません。外からの合図を作ってください
- 話しすぎたあとに強く落ち込むなら、そちらの対処も要ります
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気づいたら自分ばかり話している。相手が相づちだけになっているのに、止まらない。
家に帰ってから「また話しすぎた」と思って、しばらく落ち込む。
その場で気づくのは、かなり難しいです。
なぜ止まらないのか
1. 好きな話に入り込んでいる
興味のあることを話しているとき、深く入り込んでしまうことがあります。入り込んでいる最中は、外の情報が入ってきません。
過集中については研究で議論されていますが、研究ごとに定義が揃っていないのが実情です。「ADHDがあれば誰でもこうなる」とまでは言えませんが、実感として当てはまる人は多いです。
2. 沈黙が気まずい
黙るのが怖くて、埋めるために話し続ける。相手は気にしていないのに、自分だけが焦っていることがあります。
3. 思いついたことを言わずにいられない
浮かんだことを言わないと忘れてしまう、という感覚があると、割り込んででも言いたくなります。
4. 感情が動くと止まりにくい
成人ADHDでは感情が大きく動きやすいことが、複数の研究をまとめた分析で報告されています。怒っているとき、興奮しているときほど止まりにくくなります。
【その場で止まる方法】
1. 時間ではなく「回数」で数える
「長く話さない」は測れません。「3つ言ったら止める」にしてください。
伝えたいことを3つ言ったら、いったん相手に返します。数えられるので実行できます。
2. 話し終わったら質問する
自分の話をしたあと、必ず相手に質問を返すと決めておきます。
「……という感じなんですけど、◯◯さんはどうですか?」
質問で終わるというルールにすると、自然に会話が渡ります。
3. 息継ぎで確認する
一区切りついたところで、相手の様子を見ます。見るポイントは3つだけ。
- 相づちが「はい」「ええ」だけになっていないか
- 時計やスマホを見ていないか
- 体が出口のほうを向いていないか
どれか出ていたら、そこで止めてください。
4. 手元に合図を置く
飲み物を持つ、ペンを持つ。手に何か持っていると、それを見たときに我に返ることがあります。
腕時計やブレスレットに触れる、というのを合図にする人もいます。
5. 相手に合図をお願いする
近い人になら、頼めます。
「話しすぎたら、教えてもらえますか。合図でいいので。」
先に頼んでおくと、相手も言いやすくなります。
6. 話す前に「長くなるけど」と言う
「ちょっと長くなるんですけど、いいですか?」
先に断っておくと、相手も構えられます。 そして自分も「長くなる」と自覚できます。
話しすぎたあとに落ち込むとき
これがけっこうつらいところです。
反すうを止める
同じ場面を何度も思い返してしまうときは、
- 紙に一言書いて、閉じる
- 体を動かす
- 別のことを始める
考えないようにするのは無理なので、別のものに置き換えるほうが効きます。
相手はそこまで気にしていない
多くの場合、相手は覚えていません。自分が思っているほど、他人は他人の話を覚えていないものです。
気になるなら、次に会ったときに一言
「この前、話しすぎちゃってすみません」
言ってしまえば、たいてい「そんなことないよ」で終わります。抱え続けるより早いです。
責め続けない
「またやってしまった」を繰り返しても、次は変わりません。責める時間があるなら、合図を1つ決めてください。
「また話しすぎた」と落ち込む人が多いですが、相手はそこまで気にしていないことがほとんどです。
- 謝りすぎない(謝られるほうが気を使います)
- 次から気をつければいい
- 落ち込んで、その相手を避けるようになるほうが損です
一度で完璧にならなくていいです。
場面別
会議・打ち合わせ
- 発言の前に、言いたいことを1行メモする
- メモした1行だけ言って、いったん止める
- 補足は聞かれてからにする
メモを書く時間が、そのまま冷静になる時間になります。
雑談
雑談は、短く終わらせるほうが安全です。5分で切り上げる。相手の話を聞く時間を意識的に作る。
雑談そのものが苦手な人は雑談がしんどい人へも見てみてください。
好きなものの話
いちばん止まらない場面です。
- 話す相手を選ぶ(同じ趣味の人には、いくら話しても大丈夫です)
- 相手が興味を持っていないときは、3分で切る
- 「詳しく話すと長くなるので、興味あったら聞いてください」と言っておく
好きなものについて話すのは、悪いことではありません。 相手を選べばいいだけです。
感情が動いているとき
怒っているとき、興奮しているときは、その場で長く話さないのが安全です。
- いったん時間を置く
- 文章にしてから伝える
- 「あとで話していいですか」と言う
その場で全部言い切ろうとすると、たいてい後悔します。
電話
相手の様子が見えないので、いちばん長くなりがちです。
- 用件を先に紙に書いてからかける
- 「◯分で終わります」と最初に言う
- タイマーをかける
面接・プレゼン
話す時間が決まっている場面では、練習の段階で時間を測ってください。
本番は緊張して早口になるか、逆に長くなります。1分あたりの文字数を知っておくと調整できます。
会議
先に「3つあります」と言うと、自分でも区切れます。
長くなりそうなら「詳しくはあとで個別に」と切り上げてください。
打ち合わせ・商談
話しすぎると、相手が話す時間がなくなります。相手の話す時間のほうが多いくらいでちょうどいいです。
友人との会話
親しい相手なら、先に言っておくという手があります。
「話し始めると長くなるから、飽きたら止めてね」
言っておくと、相手も止めやすくなります。
好きなことの話
いちばん止まらなくなる場面です。
- 相手が質問してきたら続けていい
- 相手が黙ったら、いったん止める
- 同じ趣味の人となら、思いきり話していいです
全部の場面で抑える必要はありません。 好きなだけ話せる相手や場所を、別に持っておくのがいちばんいい解決です。
相手に返す型を持っておく
話しすぎを止めるいちばん確実な方法は、相手に話を渡すことです。
- 「そっちはどう?」
- 「◯◯さんはどう思います?」
- 「長くなっちゃった、ごめん。で、さっきの話は?」
質問で終わると、自然に相手の番になります。
質問を3つ用意しておく
雑談が苦手な人ほど、自分の話で埋めようとします。先に質問を用意しておくと、埋めなくて済みます。
- 「最近どうですか」
- 「それ、大変じゃないですか」
- 「どうやってるんですか」
くわしくは雑談が続かない人へへ。
つい話しすぎてしまう人へ/長さの目安を持っておく
長さの目安を持っておく
「どれくらいで長いのか」が分かりにくい、という声があります。
目安は1分です。
- 1分話したら、一度相手に渡す
- 相手が質問してきたら、続けていい
- 相手が黙ったら、止める
時計を見なくても、「ひと呼吸置く」を意識するだけで変わります。
まず次の会話で、これだけやってみる
- 自分の話をしたら、必ず質問を返す
- 伝えたいことを3つ言ったら、いったん止める
- 相手の相づちが短くなったら、そこで終わる
1つめだけでも、会話のバランスがかなり変わります。
話す量を先に決めておく
会議や打ち合わせでは、話す前に量を宣言すると、自分でも区切れます。
「3点あります。」 「2分で説明します。」
言った時点で、終わりが決まります。
そして、話しながら「あと1点」と数えられるので、脱線しても戻れます。
相手の反応を見る目印を持つ
表情を読むのが難しくても、分かりやすいサインはあります。
- 相手が時計を見た
- 相手の返事が「はい」「ええ」だけになった
- 相手が資料を閉じた、体の向きを変えた
このどれかが出たら、一度止める。 それだけ決めておけば十分です。
全部を読み取ろうとしなくていいです。 1つだけ見てください。
書いて伝えるという手
話し始めると長くなるなら、先に書いて渡すという方法があります。
- 要点を3行のメールで送っておく
- 資料を先に共有する
- チャットで済ませる
書けば、長さを自分で調整できます。 話すときのように、その場の勢いで伸びません。
くわしくは「報告・連絡・相談」がうまくできない人へへ。
つい話しすぎてしまう人へ/話せる場所を別に持つ
話せる場所を別に持つ
抑えることばかり続けると、疲れます。
思いきり話していい相手や場所を、別に持っておいてください。
- 同じ趣味の人と話す
- オンラインのコミュニティ
- 家族や親しい友人
全部の場面で抑える必要はありません。 出せる場所があると、抑える場面でも保ちやすくなります。
相手によって変える
全員に同じ量で話す必要はありません。
| 相手 | 目安 |
|---|---|
| 仕事の相手 | 短く。用件だけ |
| 初対面 | 相手のほうが多く話すくらい |
| 親しい友人 | 気にしなくていい |
| 同じ趣味の人 | 思いきり話していい |
「短くする場面」と「話していい場面」を分けるほうが、続きます。
遮られたときに気にしない
話の途中で相手が話し始めることがあります。
これは失礼ではなく、会話の普通のやり取りであることが多いです。
- 遮られたら、いったん譲る
- 言いたいことが残っていれば、あとでもう一度言えばいい
- 腹を立てない
「最後まで聞いてもらえなかった」と落ち込まなくて大丈夫です。
沈黙を埋めようとしない
話しすぎる原因の1つが、沈黙が気まずくて埋めてしまうことです。
沈黙は、相手にとっては気まずくないことが多いです。
数秒黙っていても、会話は壊れません。埋めようとして話し始めると、長くなります。
まとめ:話しすぎを減らす5つ
- 1分話したら、一度相手に渡す
- 話す前に「3点あります」と量を宣言する
- 質問で終わる
- 相手が時計を見たら止める
- 思いきり話せる相手を、別に持っておく
全部の場面で抑えなくていいです。 場面を分けてください。
関連する困りごと
会話の困りごとは、いくつかの記事とつながっています。
- 場の空気が読めない → 空気が読めないと言われる人へ
- 雑談が続かない → 雑談が続かない人へ
- 言葉をそのまま受け取る → 「なるはやで」と言われて動けない人へ
- 報告がうまくいかない → 「報告・連絡・相談」がうまくできない人へ
- 人といると疲れる → 人といると異常に疲れる人へ
話しすぎること自体は、悪いことではありません。 場面で調整できれば十分です。
この記事について
成人ADHDでは、感情が大きく動きやすいことが、13の研究・2,535名を対象にした分析で報告されています。感情が動いているときに止まりにくいのは、自然なことです。
深く入り込む状態(過集中)については研究で議論されていますが、研究ごとに定義がそろっておらず、誰にでも当てはまる話としてだれにでも当てはまる話にはできません。
また、伝わり方は片方のせいとは限りません。伝言ゲームの形式で調べた研究では、同じ特性のある人どうしの伝達は正確でした。話が合う相手といるときは、そもそも問題になりません。
そのうえで、ここに書いた止め方は、研究で確かめられたものではありません。 合うものだけ使ってください。
人間関係でずっとしんどい状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
話し終わったあとに「またやってしまった」と思う、あの感じ。分かります。でも、その場で気づくのは相当難しいので、仕組みで止めましょう。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDにおける感情の調節のしにくさ:研究をまとめた分析
(原題:Emotion dysregulation in adults with attention deficit hyperactivity disorder: a meta-analysis)
この研究でわかっていること:感情が大きく動きやすいことを、性格ではなく特性の一部として説明できます。
ここはまだ分かっていません:対処法の効果を調べたものではありません。
研究で検討過集中:忘れられてきた注意の領域
(原題:Hyperfocus: the forgotten frontier of attention)
この研究でわかっていること:過集中が注意の一形態として議論されていると示せます。
ここはまだ分かっていません:定義が定まっておらず、「ADHDの人は過集中する」と一般化はできません。
研究で検討自閉スペクトラム症における「特性を隠す・補う行動」:たくさんの研究をまとめた分析
(原題:Camouflaging in autism: A systematic review)
この研究でわかっていること:「普通に見えるようにふるまう」ことに消耗が伴うと言えます。
ここはまだ分かっていません:隠すのをやめれば楽になる、とどちらが原因かまでは分かりません。
研究で検討自閉スペクトラム症のある人どうしの情報の伝わり方は、とても正確である
(原題:Autistic peer-to-peer information transfer is highly effective)
この研究でわかっていること:すれ違いは片方の能力不足ではなく、相互のかみ合わせの問題として説明できます。
ここはまだ分かっていません:実験のなかでの結果です。日常の会話すべてに当てはまるとは言えません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。