報告のタイミングが分からない人へ|いつ何を言えばいいか
— 「終わってから」だと、たいてい遅すぎます
ポイント
- 報告が遅れるのは、タイミングの基準を持っていないからです
- 「終わったら報告」ではなく「決められたタイミングで報告」にします
- 悪い知らせほど早く。遅れるほど相手の選択肢が減ります
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報告が遅いと言われる。でも、いつ言えばいいのか分からない。
順調に進んでいるときに報告すると「わざわざ言わなくていい」と言われ、詰まってから言うと「もっと早く言って」と言われる。
基準がないと、判断のしようがありません。 この記事では、その基準を作ります。
なぜタイミングが分からないのか
1. 「終わったら報告」だと思っている
多くの人が「終わったら報告する」と考えています。でも、上司が知りたいのは終わる前の状況です。
終わってから「できませんでした」と言われても、もう手の打ちようがありません。
2. 迷惑をかけたくない
忙しそうな相手に声をかけるのが申し訳ない。でも、あとで大きな問題になるほうが迷惑です。
3. 何を伝えればいいか分からない
全部話すと長くなる。要点だけだと足りない。型がないと、その場で組み立てることになります。
4. 悪い知らせを言いたくない
ミスや遅れは、言いたくないのが自然です。でも、遅れるほど相手の選択肢が減ります。
【基準】このときは必ず報告する
タイミングを、状況で決めてしまいます。迷う必要がなくなります。
| こうなったら | すぐ報告 |
|---|---|
| 30分やって進まない | 相談する |
| 締め切りに間に合わなそう | 報告する(気づいた時点で) |
| ミスをした | 報告する(すぐ) |
| 指示と違うことをしそう | 確認する |
| 判断が必要になった | 相談する |
| 相手(お客さん・他部署)から何か言われた | 報告する |
| 予定より早く終わった | 報告する |
この7つを覚えておけば、判断はほぼ要りません。
タイミングが分からないという声が多いので、目安を出します。
必ず報告する場面
- 終わったとき
- 予定より遅れそうなとき(気づいた時点で)
- 判断に迷ったとき
- ミスをしたとき
定期的に報告する
長い仕事は、終わるまで黙っていると不安がられます。
- 週に1回、進み具合を送る
- 「今こういう状況です」だけでいいです
曜日と時間を決めておくと、忘れません。
定期的に報告する形にする
その場その場で判断するのをやめて、決まったタイミングで報告する形にすると、抜けがなくなります。
1日1回、終わりに3行
「今日やったこと:◯◯ 明日やること:△△ 困っていること:なし」
「困っていることなし」も報告です。 何もなくても送ってください。
週に1回、進捗を出す
長い仕事は、週に1回まとめて報告します。「順調です」の一言でも、相手は安心します。
相談する時間を決めてもらう
「週に1回、15分でいいので相談の時間をいただけませんか。」
定期の時間があると、その場で声をかける必要がなくなります。 これは相談していい依頼です。
自閉スペクトラム症のある人の働き方を調べた研究でも、役割や手順がはっきりしていることが働きやすさに関わると報告されています。
報告の型
覚えるのは順番だけです。
順調なとき
「◯◯の件、いま△割ほど進んでいます。予定どおり◯日に出せそうです。」
「予定どおりです」を伝えるのが目的です。短くていいです。
遅れそうなとき
「◯◯の件、◯日までに間に合わない見込みです。△日までなら出せます。どうしましょうか。」
遅れる事実 → いつなら出せるか → 判断を仰ぐ、の順です。
ミスをしたとき
「◯◯でミスをしました。△△という影響が出ています。□□で対応しようと思いますが、いかがでしょうか。」
事実 → 影響 → 対応案 → 確認、の順です。
言い訳を先に言わない。 相手が知りたいのは、何が起きたかと、どうするかです。
くわしくは同じミスを何度もして怒られる人へへ。
相談したいとき
「◯◯で詰まっています。AとB、どちらで進めるか迷っているのですが、どう思われますか。」
丸投げにしない。 自分の案を1つ以上出すと、相手も答えやすくなります。
判断が要るとき
「◯◯について、判断をお願いしたいのですが、5分お時間いただけますか。」
先に「5分」と言うと、相手が時間を作りやすくなります。
毎回考えるから、できなくなります。型を1つ持ってください。
3行で報告する
1. 何の件か 2. 今どうなっているか 3. どうしてほしいか(または次にどうするか)
「◯◯社の見積もりの件です。 先方から追加の要望が来て、金額が変わりそうです。 金曜までに新しい案を作って、確認をお願いしてもいいですか。」
これで完成です。 長く説明しようとすると、書けなくなります。
報告のタイミングが分からない人へ/「30分ルール」
「30分ルール」
いちばん使いやすい基準です。
30分やって進まなかったら、聞く。
一人で悩む時間は、たいてい成果になりません。30分で切って相談するほうが、全体では速いです。
「30分も考えたのに分かりませんでした」と言えば、相手も「ちゃんと考えたんだな」と受け取ります。
報告しやすくする工夫
チャットで送る
口頭が苦手なら、文字で送っていいです。相手も自分のタイミングで読めるので、実は喜ばれます。
そして記録に残ります。 これがあとで効きます。
「相談していいですか」を先に言う
いきなり内容から入ると、相手が構えられません。
「いま5分いいですか? ◯◯の件で相談があります。」
忙しそうでも、聞いていい
「あとにしよう」と思って結局言えなかった、が最悪です。
「お忙しいところすみません。1分だけいいですか。」
1分と言えば、たいてい聞いてもらえます。
メモを持っていく
その場で説明を組み立てるのが難しいなら、紙に3行書いてから行ってください。
悪い知らせほど早く
これがいちばん大事です。
遅れれば遅れるほど、相手の選択肢が減ります。
- 3日前に言えば → 誰かに手伝ってもらえる、期限を延ばせる
- 前日に言えば → できることが限られる
- 当日に言えば → もう手の打ちようがない
「もう少し様子を見てから」は、たいてい悪化します。
そして、早く言った人は「報告が早い人」と評価されます。同じ失敗でも、印象がまったく違います。
言いにくいことほど、早く言うほど傷が浅くなります。
- 遅れそう → 今言えば、手が打てます
- ミスした → 今言えば、直せます
- 分からない → 今聞けば、間に合います
「申し訳ありません、◯◯が遅れそうです。今の見込みは△日です。」
理由の説明より、「いつになるか」を先に。 相手が知りたいのはそこです。
報告しても伝わらないとき
伝わり方は、片方のせいとは限りません。伝言ゲームの形式で調べた研究では、同じ特性のある人どうしの伝達は正確で、混ざったときにいちばん精度が落ちました。
- 文字でも送る(口頭+チャット)
- 相手に復唱してもらう
- 図や表にする
言い方を変えて何度か試すと、通る形が見つかることがあります。
配慮としてお願いする道もあります。国内の論文でも、配慮は本人の困りごとと実際の仕事に合わせて決めるべきだとされています。伝え方は職場に「これがつらい」と言えない人へへ。
結論を先に言う
✗「◯◯社に連絡したら、担当が変わっていて、それで確認したところ……」 ○「納期が1週間遅れます。 理由は先方の担当変更です。」
相手がいちばん知りたいことを、最初に。
数字と日付を入れる
「そろそろ」「もうすぐ」ではなく、「◯日」「◯件」。あいまいな言葉は、相手にも判断できません。
相手が何をすればいいか言う
「確認だけお願いします。」 「判断をいただきたいです。」 「共有までです。対応は不要です。」
「これは報告か、相談か」を先に言うと、相手が構えを決められます。
報告のタイミングが分からない人へ/相談の仕方
相談の仕方
「相談していいのか分からない」で止まる人が多いです。
選択肢を出して聞く
「AとB、どちらがよいでしょうか。私はAがいいと思っています。」
丸投げではなく、案を持っていく形にすると、相談しやすくなります。
そして、5秒で答えが返ってくることがあります。一人で1時間悩むより、はるかに速いです。
「15分いいですか」と時間を区切る
「10分ほど、相談してもよろしいですか。」
時間を先に言うと、相手が受けやすくなります。
口頭が苦手なら、文字で
話すのが苦手でも、チャットやメールなら書ける人は多いです。
- 記録が残る
- 相手の都合のいいときに読んでもらえる
- 落ち着いて書ける
「文字でお送りしてもいいですか」と聞いてみてください。 断られることは、ほとんどありません。
忘れてしまうとき
報告そのものを忘れるなら、仕組みで防いでください。
- 終業前の10分を「報告の時間」としてカレンダーに入れる
- 金曜の16時に「週報を送る」の通知を入れる
- タスクリストに「報告する」を1行として入れる
「作業が終わった=タスク完了」ではなく、「報告まで=完了」と決めておくのがコツです。
くわしくはやることが大きすぎて手がつかない人へへ。
まず明日、これだけやってみる
- 「30分やって進まなかったら聞く」を決める
- 一日の終わりに、3行の報告を送る(やったこと/明日やること/困っていること)
- 遅れそうなことがあれば、今日中に言う
「終わってから報告」をやめてください。 途中で報告するほうが、ずっと歓迎されます。
よくある質問
報告するタイミングが分かりません
「30分考えて分からなかったら聞く」と決めてください。
一人で悩んだ時間は、成果になりません。
何度も聞くと迷惑になりませんか
最初にまとめて聞くほうが、小出しにするより迷惑になりません。
そして、やり直しになるほうが、はるかに時間を使わせます。
報告する内容が整理できません
3行で書いてください。「何の件か/今どうか/どうしてほしいか」。それ以上は要りません。
関連する困りごと
- 指示が分からない → 「なるはやで」と言われて動けない人へ
- 会議で聞き漏らす → 会議で話を聞き漏らす人へ
- 締め切りを落とす → 締め切りをいつも守れない人へ
- 職場に言いにくい → 職場に「これがつらい」と言えない人へ
まとめ:報連相を回す5つ
- 3行で報告する(何の件か/今どうか/どうしてほしいか)
- 遅れそうなときは、気づいた瞬間に言う
- 相談は「AとB、どちらがよいでしょうか」の形にする
- 口頭が苦手なら、文字で送っていいか聞く
- 「報告まで」をタスクの完了にする
言いにくいことほど、早く言うほど傷が浅くなります。
この記事について
自閉スペクトラム症のある成人の働き方を調べた研究では、役割や手順がはっきりしていることが働きやすさに関わると報告されています。職場の使いやすさに手順が関わることも、質的研究で示されています。
伝わり方は片方のせいとは限りません。伝言ゲームの形式で調べた研究では、同じ特性のある人どうしの伝達は正確でした。
職場での配慮は、診断名だけで決めるのではなく、本人の困りごとと実際の仕事に合わせて決めるべきだと、国内の論文が述べています。
そのうえで、「30分ルール」「3行報告」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。 職場によって求められる形がちがいます。
報告のことで責められ続けてつらい状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
「なんでもっと早く言わないの」と言われて、「早くってどれくらい?」と思ったことありませんか。基準がないと、判断のしようがないんです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討働いている自閉スペクトラム症のある成人の経験:系統的な検索とまとめ
(原題:The Lived Experience of Autistic Adults in Employment: A Systematic Search and Synthesis)
この研究でわかっていること:明確な役割・理解ある上司・感覚環境が働きやすさに効くと示せます。
ここはまだ分かっていません:質的統合であり、どの配慮が最も効くかの順位づけはできません。
研究で検討合理的配慮(働きやすくするための調整)に基づく就労支援
この研究でわかっていること:配慮は診断名でなく本人の困りごとと職務に合わせて決める、という原則を示せます。
ここはまだ分かっていません:個別の配慮メニューの効果を比較した研究ではありません。
研究で検討「車いすの人にとってのスロープのようなもの」:自閉スペクトラム症のある従業員にとっての職場の使いやすさ
(原題:"It’s like a ramp for a person in a wheelchair": Workplace accessibility for employees with autism)
この研究でわかっていること:物理環境・手順・人の3つが働きやすさを左右すると整理できます。
ここはまだ分かっていません:聞き取りをもとにした研究であり、配慮の効果量を示すものではありません。
研究で検討自閉スペクトラム症のある人どうしの情報の伝わり方は、とても正確である
(原題:Autistic peer-to-peer information transfer is highly effective)
この研究でわかっていること:すれ違いは片方の能力不足ではなく、相互のかみ合わせの問題として説明できます。
ここはまだ分かっていません:実験のなかでの結果です。日常の会話すべてに当てはまるとは言えません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。