言葉をそのまま受け取って傷つく人へ|裏の意味との付き合い方
— 「言われたとおりに受け取る」は、悪いことではありません
ポイント
- 言葉どおりに受け取ることは、正確に聞いているということでもあります
- 全部の裏を読もうとすると疲れます。確認するほうが早くて確実です
- 傷ついたときは、事実と解釈を分けて書き出すと落ち着きます
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「今度ごはん行こう」と言われて楽しみにしていたら、その話は二度と出てこなかった。
「大丈夫?」と聞かれて「大丈夫です」と答えたら、あとで「気が利かない」と言われた。
「適当にやっといて」と言われたとおりにやったら、「そうじゃない」と怒られた。
言われたとおりに受け取ることは、正確に聞いているということでもあります。
言葉と意図はよくずれる
日本語の会話では、言葉と本当に言いたいことがずれていることがよくあります。
| 言葉 | 意図のことがある |
|---|---|
| 「今度ごはん行こう」 | 挨拶(予定を立てるつもりはない) |
| 「大丈夫?」 | 「手伝おうか」の意味 |
| 「ちょっと考えさせて」 | 断りたい |
| 「参考にします」 | 使わないつもり |
| 「難しいですね」 | できません |
| 「そこに置いといて」 | 場所は本当にどこでもいい/実は決まっている |
これを全部読み取るのは、けっこう高度な作業です。
そして大事なのは、うまく伝わらないのは片方のせいではないということです。伝言ゲームの形式で調べた研究では、同じ特性のある人どうしの伝達は正確で、混ざったときにいちばん精度が落ちました。
かみ合わせの問題であって、あなたの受け取り方が壊れているわけではありません。
【いちばん確実な方法】確認する
読み取るのが難しいなら、聞けばいいです。
社交辞令かどうか確認する
「いいですね。いつごろがいいですか?」
具体的な日程の話に進めてみると、本気かどうか分かります。社交辞令なら「また連絡します」で終わります。
そして、終わっても気にしないでいいです。挨拶だっただけです。
指示の意図を確認する
「◯◯という形で進めればいいですか?」
言われたとおりにやる前に、自分の理解を言って確認します。くわしくは「適当にやっといて」で固まってしまう人へへ。
相手の求めているものを確認する
「聞いてほしいだけ? それとも一緒に考えたほうがいい?」
この一言で、返し方の大半が決まります。
冗談かどうか確認する
「それって冗談ですか?」
聞いてもいいです。判断できないまま傷つくより、聞いたほうが早いです。
場面別|こう対処する
「今度」「そのうち」と言われた
予定として数えないでください。 具体的な日付が出るまでは、予定ではありません。
期待して待つのがつらいなら、自分から日程を出してみるのが確実です。
「大丈夫?」と聞かれた
「大丈夫です」と答えるかどうかで迷うなら、状況を答えるのが安全です。
「いまここで詰まっています」
大丈夫かどうかではなく、事実を言う。 相手が判断してくれます。
「なんでもいいよ」と言われた
本当になんでもいい場合と、実は希望がある場合があります。
「じゃあAでいいですか?」
選択肢を出して確認すると、希望があれば言ってくれます。
遠回しに断られた
「難しいですね」「検討します」は、断りのことがあります。深追いしないのが安全です。
気になるなら、「難しそうでしたら、別の方法を考えます」と言って引くと、相手も答えやすくなります。
冗談で言われたことを本気にした
気づいた時点で切り替えれば大丈夫です。 「あ、冗談だったんですね」と言えば、それで終わります。
皮肉を言われた
皮肉は分かりにくいうえに、分かってもつらいものです。分からなかったなら、それはそれで得と考えていいこともあります。
繰り返し皮肉を言ってくる相手なら、それは相手の問題です。距離を取っていいです。
「もういい」と言われた
これは怒っているサインのことが多いです。言葉どおり「もういい(=気にしなくていい)」ではありません。
「何かまずかったですか。教えてもらえると助かります」と聞いてみてください。
傷ついたときの整理のしかた
言葉をそのまま受け取って傷ついたとき、事実と解釈を分けて書くと落ち着きます。
| 事実(起きたこと) | 解釈(自分が思ったこと) |
|---|---|
| 「今度ごはん行こう」と言われた | 誘われた。行けると思った |
| その後、連絡がなかった | 嫌われたのかもしれない |
右側は、まだ確かめていないことです。
多くの場合、「相手はただの挨拶のつもりだった」という可能性が抜けています。書き出すと、その可能性が見えてきます。
言葉をそのまま受け取って傷つく人へ/全部を読み取ろうとしない
全部を読み取ろうとしない
裏の意味を全部読もうとすると、会話のたびに疲れます。
まわりに合わせて自分を抑えることには、心理的な負担がともなうことが研究で整理されています。読み取る努力も、その一種です。
読まなくていい相手を持つ
言葉どおりに話してくれる人といる時間を増やしてください。疲れ方がまったく違います。
周囲に受け入れられている感覚と心の健康に関係があるという研究もあります。
言葉にしてもらうようお願いする
近い相手には、一度言っておく価値があります。
「察するのが苦手なので、思っていることは言葉で言ってもらえると助かります。」
これを言うだけで、あとの何十回分かの誤解が減ります。
職場では、はっきりした環境を選ぶ
自閉スペクトラム症のある人の働き方を調べた研究では、役割や手順がはっきりしていることが働きやすさに関わると報告されています。
「察してほしい」文化の職場は、難易度が高い職場です。あなたの能力の問題ではありません。
確認の型を3つ持っておく
その場で使える言い方を、決めておくとラクです。
1. 期限を確認する
「いつまでにやればいいですか。」
「なるべく早く」「時間があるとき」と言われたら、必ず日付にしてください。
「今日中でしょうか、それとも今週中でしょうか。」
2. 完成の形を確認する
「どこまでやれば完了ですか。」 「A4で1枚くらいのイメージでしょうか。」
「ざっくりでいい」も人によって違います。 具体的な量を出して聞くと、答えが返ってきます。
3. 自分の理解を言い直す
「◯◯を△△して、□□さんに送る、ということで合っていますか。」
自分の言葉で言い直すのがいちばん確実です。ずれていれば、相手がその場で直してくれます。
社交辞令かどうか分からないとき
「今度ごはん行きましょう」「また誘ってください」。
これが本気か社交辞令か、判断しづらいことがあります。
判断しなくていい方法
具体的な日付を出してみるのが、いちばん確実です。
「ぜひ。来週か再来週だといつが空いていますか。」
- 本気なら日程が返ってきます
- 社交辞令なら「また連絡します」で終わります
どちらでも失礼になりません。 判断を相手にゆだねられます。
断られても気にしない
社交辞令だったとしても、それはあなたが嫌われているわけではありません。 会話の潤滑油として使われる決まり文句です。
遠回しな言い方の翻訳
よく使われる言い回しを、意味と並べておきます。そのまま覚えてしまうのが早いです。
| 言われたこと | だいたいの意味 |
|---|---|
| 「ちょっと難しいですね」 | ほぼ無理、断り |
| 「検討します」 | 今は決めない、断りのことも多い |
| 「参考にします」 | 採用しない可能性が高い |
| 「そこは大丈夫?」 | 大丈夫じゃないと思っている |
| 「今忙しい?」 | 何か頼みたい |
| 「別にいいけど」 | よくない |
| 「なるはやで」 | 今日か明日 |
完璧に読み取らなくていいです。 「たぶんこの意味かも」と思ったら、確認してください。
言葉をそのまま受け取って傷つく人へ/冗談が分からないとき
冗談が分からないとき
その場で全部を理解しようとしなくて大丈夫です。
- 笑っている人がいたら、たぶん冗談
- 分からなければ「え、どういう意味ですか」と聞いていい
- 聞くのは失礼ではありません
真に受けて傷つくくらいなら、聞いたほうがいいです。
確認を「感じよく」する
確認が多いと嫌がられるのでは、と心配になるかもしれません。
やり方しだいで印象は変わります。
- 最初にまとめて聞く(あとから小出しにしない)
- 「確認させてください」と前置きする
- 自分の理解を先に言う(丸投げしない)
「分かりません」より「◯◯という理解で合っていますか」のほうが、ずっと印象がいいです。
くわしくは「報告・連絡・相談」がうまくできない人へへ。
分からないままにしない
いちばん困るのは、分からないまま進めて、あとでやり直しになることです。
- 分からなければ、その場で聞く
- 聞きそびれたら、あとからチャットで聞く
- 「たぶんこうだろう」で進めない
聞くのは1分、やり直しは1日。 どちらが迷惑かは明らかです。
自分の言い方も具体的にする
受け取るときだけでなく、自分が伝えるときも、あいまいな言葉を避けると、相手とのずれが減ります。
- ✗ 「なるべく早くお願いします」
- ○ 「明日の15時までにお願いします」
- ✗ 「ざっくりでいいです」
- ○ 「A4で1枚くらいのイメージです」
自分が言われて困った言い方を、自分も使わない。 これだけで、周りとのやり取りがかなり楽になります。
くわしくは「報告・連絡・相談」がうまくできない人へへ。
まず明日、これだけやってみる
- 「今度」「そのうち」は、予定として数えない
- 迷ったら「◯◯という理解で合っていますか?」と聞く
- 傷ついたときは、事実と解釈を紙で分けてみる
言葉どおりに受け取るのをやめる必要はありません。 確認する回数を増やすだけで十分です。
よくある質問
何度も確認すると嫌がられませんか
最初にまとめて聞くほうが、あとから小出しにするより印象がいいです。
そして、間違ったまま進めてやり直しになるほうが、はるかに迷惑をかけます。
冗談かどうか分からず、真に受けてしまいます
聞いていいです。 「え、それ本気ですか」と笑って聞けば、たいてい教えてもらえます。
真に受けて傷つくくらいなら、聞いたほうが早いです。
自分の言い方が誤解されます
数字と日付を入れてください。 「なるべく早く」ではなく「明日の15時までに」。
自分が言われて困った言い方は、自分も使わない。これだけで、やり取りがかなり楽になります。
関連する困りごと
- 空気が読めない → 空気が読めないと言われる人へ
- 報告がうまくできない → 「報告・連絡・相談」がうまくできない人へ
- 会議で聞き漏らす → 会議で話を聞き漏らす人へ
- 雑談が苦手 → 雑談が続かない人へ
この記事について
伝わり方は、片方のせいとは限りません。伝言ゲームの形式で調べた研究では、同じ特性のある人どうしの伝達は、そうでない人どうしと同じくらい正確でした。いちばん精度が落ちたのは、両者が混ざったときです。
まわりに合わせて自分を抑えることには、心理的な負担がともなうことがたくさんの研究をまとめた分析で整理されています。周囲に受け入れられている感覚と心の健康の関係を示した研究もあります(ある時点で調べたもので、どちらが原因かまでは分かりません)。
職場については、役割や手順がはっきりしていることが働きやすさに関わると報告されています。
そのうえで、ここに書いた確認のしかたは、研究で確かめられたものではありません。 相手や場によって合う・合わないがあります。
人間関係でずっとしんどい状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
「今度ごはん行こう」を本気で待っていた、という話をよく聞きます。あれは言った側が悪いとも言い切れないんですが、少なくともあなたの受け取り方がおかしいわけではありません。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討自閉スペクトラム症のある人どうしの情報の伝わり方は、とても正確である
(原題:Autistic peer-to-peer information transfer is highly effective)
この研究でわかっていること:すれ違いは片方の能力不足ではなく、相互のかみ合わせの問題として説明できます。
ここはまだ分かっていません:実験のなかでの結果です。日常の会話すべてに当てはまるとは言えません。
研究で検討自閉スペクトラム症における「特性を隠す・補う行動」:たくさんの研究をまとめた分析
(原題:Camouflaging in autism: A systematic review)
この研究でわかっていること:「普通に見えるようにふるまう」ことに消耗が伴うと言えます。
ここはまだ分かっていません:隠すのをやめれば楽になる、とどちらが原因かまでは分かりません。
研究で検討働いている自閉スペクトラム症のある成人の経験:系統的な検索とまとめ
(原題:The Lived Experience of Autistic Adults in Employment: A Systematic Search and Synthesis)
この研究でわかっていること:明確な役割・理解ある上司・感覚環境が働きやすさに効くと示せます。
ここはまだ分かっていません:質的統合であり、どの配慮が最も効くかの順位づけはできません。
研究で検討自閉スペクトラム症のある成人における「受け入れられた経験」と心の健康
(原題:Experiences of Autism Acceptance and Mental Health in Autistic Adults)
この研究でわかっていること:周囲に受け入れられている感覚と心の健康が関連することを示せます。
ここはまだ分かっていません:ある時点で調べたもので、どちらが原因かまでは分かりません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。