会議の内容が頭に入らない人へ|聞き漏らしを減らすやり方
— その場で全部理解しようとするのを、やめます
ポイント
- 会議で頭に入らないのは、聞く・理解する・書くを同時にやっているからです
- 全部理解するのをあきらめて、「決まったこと」だけ拾えば十分です
- 会議の前に資料を見ておくと、当日の負担が大きく減ります
目次を開く(16項目)
会議に出ている。聞いている。なのに内容が入ってこない。
途中で別のことを考えていて、気づいたら話が進んでいる。終わったあとに「何が決まったんだっけ」となる。そして自分の担当を聞き漏らして、あとで困る。
これは集中力の問題というより、やることが多すぎる問題です。
会議中、同時に何をやっているか
会議に出ているとき、実は同時にこれだけのことをやっています。
- 話を聞く
- 意味を理解する
- 自分に関係あるか判断する
- メモを取る
- 次に何を言うか考える
- 表情や態度を保つ
6つを同時進行です。作業を切り替えるときには手間がかかることが研究で整理されていますが、会議は切り替えの連続です。
疲れて当然だし、どこかが抜けて当然です。
【考え方】全部理解しなくていい
まず前提を下げてください。
会議で拾うべきものは3つだけです。
- 決まったこと
- 自分がやること(期限つき)
- 次にいつ何をするか
議論の流れも、他の人の担当も、細かい背景も、あとから資料を見れば分かります。
「全部理解しよう」とすると、どれも取れません。3つに絞ると、取れるようになります。
【会議の前】これで半分決まります
1. 資料を先に見ておく
いちばん効きます。事前に配られている資料があるなら、5分でいいので目を通してください。
初めて聞く話を、聞きながら理解するのはとても難しいです。一度見ておくだけで、当日は「あ、これか」になります。
資料が配られないなら、「事前に資料をいただけますか」と頼んでいいです。これは正当な依頼です。
2. 議題を確認しておく
何の話をするのかが分かっていれば、構えて聞けます。会議の招待に議題がなければ、主催者に聞いてください。
3. 自分に関係ある部分を予想しておく
「たぶん自分は◯◯について聞かれる」と予想しておくと、その部分だけ集中できます。
4. 聞きたいことをメモしておく
自分から確認したいことを、先に1〜2個書いておきます。 会議中に思いつくのは難しいので、事前に用意します。
【会議中】やることを減らす
5. メモは「決まったこと」だけ
全部書こうとすると、書くのに必死で聞けなくなります。書くのは3つだけ。
| 書くこと | 例 |
|---|---|
| 決まったこと | 納期を9/15に変更 |
| 自分がやること+期限 | 自分:見積を9/5までに出す |
| 次回 | 9/8 10時 進捗確認 |
それ以外は書かなくていいです。
6. 紙とペンを使う
パソコンで打つと、打つことに意識が持っていかれることがあります。紙に殴り書きのほうが、聞きながら書けることがあります。
自分に合うほうを試してみてください。
7. 録音する(許可を取って)
「あとで確認したいので録音してもいいですか」と聞けば、たいてい大丈夫です。
録音があると分かっているだけで、「聞き漏らしたらどうしよう」という緊張が減って、かえって聞けるようになります。
社外の会議や機密の内容では許可が下りないこともあるので、必ず確認してください。
8. 自動で文字にする機能を使う
オンライン会議には、文字起こしの機能がついていることがあります。あとから検索できるので、聞き漏らしても取り戻せます。
9. その場で確認する
分からなかったら、その場で聞くのがいちばん早いです。
「すみません、いまの部分をもう一度お願いできますか」 「確認ですが、◯◯という理解で合っていますか」
聞き返すのは失礼ではありません。 間違えて進めるほうが迷惑です。
10. 自分の担当は必ず復唱する
会議の終わりに、これだけは言ってください。
「自分は◯◯を◯日までに、で合っていますか?」
これ1つで、聞き漏らしの被害がほぼ防げます。
【会議の後】5分で固める
11. 会議が終わったら、その場で5分
席に戻る前に、メモを見ながら3行にまとめてください。
- 決まったこと
- 自分がやること(期限つき)
- 次回
時間がたつと、メモを見ても思い出せなくなります。熱いうちにやってください。
12. 自分のやることをカレンダーに入れる
「◯日までに見積を出す」なら、その作業をする日をカレンダーに入れます。締め切りだけ入れても動けません。
やり方は締め切り直前まで動けない人へに書きました。
13. 認識が合っているか、文字で送る
大事な会議なら、あとで確認のメッセージを送ります。
「本日の打ち合わせ、以下の認識で進めます。 ・納期は9/15 ・自分は見積を9/5までに提出 認識ちがいがあればお知らせください。」
ずれていたら、この時点で分かります。 そして記録にも残ります。
会議の内容が頭に入らない人へ/議事録を頼まれてしまったとき
議事録を頼まれてしまったとき
聞き漏らしが多い人ほど、議事録係がつらいです。それでも回ってきたときのやり方です。
完璧を目指さない
議事録に必要なのは、「決まったこと」「担当」「期限」「次回」の4つだけです。会話の再現は要りません。
その場で書き切ろうとしない
会議中はキーワードだけ拾って、終わってから15分で整えるほうが結果的に速いです。
録音か文字起こしを併用する
「議事録を担当するので録音させてください」と言えば、たいてい通ります。オンラインなら文字起こし機能を使ってください。
テンプレートを用意しておく
毎回同じ形にしておくと、埋めるだけになります。
- 日時/参加者
- 決まったこと
- 担当と期限(表にする)
- 次回
早く出す
完璧な議事録を3日後に出すより、荒くても当日中に出すほうが喜ばれます。間違いがあれば、参加者が直してくれます。
会議の種類ごとの構え方
定例会議(毎週・毎月)
型が決まっているので、いちばん対策しやすいです。
前回の議事録を見て、「今回はここを聞かれる」と予想しておくと、当日がかなりラクになります。
打ち合わせ(少人数)
聞き返しやすい場です。分からなかったらその場で聞くを徹底してください。
少人数なら「メモを取るので少しお待ちください」と言っても、問題になりません。
報告会・全体会議(大人数)
自分が発言する場面が少ないぶん、聞き続けるのがつらいタイプです。
無理に全部追わず、自分に関係する議題のときだけ集中してください。資料が配られるなら、あとで読めば十分です。
商談・社外の打ち合わせ
録音の許可が下りないことがあります。その場合は、終わったあとすぐに車内や駅で5分まとめるのがいちばん確実です。
一人で行かないようにできると、そもそも安心です。可能なら同行をお願いしてください。
面談・1on1
自分のことを話す場なので、話したいことを事前に3つ書いていくと、その場で困りません。
言われたことを覚えておくのも難しいので、メモを取っていいか最初に確認しておくとラクです。
会議そのものを減らす・変える
工夫で埋まらないときは、会議のやり方を相談する道があります。
- 議事録を共有してもらう
- 資料を事前に配ってもらう
- 自分に関係のある議題だけ出席する
- 会議を短くする(60分を30分に)
- 決まったことをチャットに1行残してもらう
自閉スペクトラム症のある人の働き方を調べた研究では、役割や手順がはっきりしていることが働きやすさに関わると報告されています。「議事録がほしい」は、わがままではありません。
相談の仕方は職場に「これがつらい」と言えない人へに書きました。
場面別のつらさ
大人数の会議で誰の話か分からない
話している人の名前をメモに書くだけで、追いやすくなります。オンラインなら発言者が画面に出るので、そこを見てください。
雑談から本題に入るタイミングが分からない
議題のリストを手元に置いて、いま何番の話をしているかを追ってください。分からなければ「いまは◯番の話でしょうか」と聞いていいです。
発言を求められると頭が真っ白になる
事前に「もし聞かれたらこう答える」を1つ用意しておくと、だいぶ違います。
その場で思いつかないときは、「少し考えてから、あとでお伝えしてもいいですか」と言って大丈夫です。
オンライン会議で音が聞き取りにくい
- 有線のイヤホンを使う(無線より遅れが少ないことがあります)
- 字幕機能をオンにする
- 「音が途切れました。もう一度お願いします」と言っていい
音が聞き取りにくいこと自体については人の声や生活音がつらい人へも見てみてください。
会議が長くて途中から集中が切れる
60分を超えたら、誰でも切れます。 切れたときは無理に戻そうとせず、「決まったこと」だけ拾うモードに切り替えてください。
記録を自分の耳だけに頼らない
聞き漏らしを減らすいちばん確実な方法は、あとから確認できる形にすることです。
録音する
許可を取れば、録音は有効です。
「メモが追いつかないので、録音してもよろしいですか。あとで自分の確認用に使います。」
断られることは、あまりありません。
自動で文字にする
オンライン会議には、話した内容を自動で文字にする機能が付いているものが増えています。
- Zoom、Teams、Google Meetなど
- 無料の範囲で使えることもあります
完璧ではありませんが、あとから検索できるのが大きいです。
議事録を誰かと分担する
「私が書きます」と引き受けると、書くことに集中して話が聞けなくなります。
分担するか、録音と併用してください。
会議の内容が頭に入らない人へ/会議中のメモの取り方
会議中のメモの取り方
全部書こうとすると、話が聞けなくなります。3つだけにしてください。
- 決まったこと
- 自分がやること
- 期限
これ以外は書かなくていいです。
略語と記号を決めておく
- 「→」=結果、次にやること
- 「★」=自分の担当
- 「?」=あとで確認する
書く速度が上がります。
分からなかったところに「?」を打つ
その場で聞けなくても、印だけ残しておけば、あとで確認できます。
会議の前後にやること
前:資料に目を通す
5分でいいです。 何の話をするか分かっているだけで、聞き取りやすさが変わります。
後:3分で整理する
会議が終わった直後に、メモを見て3行にまとめてください。
- 決まったこと
- 自分がやること
- 期限
時間がたつと思い出せません。 会議の直後の3分が、いちばん効率がいいです。
次の予定を詰めないでください。 この3分が取れなくなります。
聞き返し方
聞き逃したとき、そのままにするのがいちばん危ないです。
その場で
「すみません、もう一度お願いできますか。」 「◯◯という理解で合っていますか。」
自分の理解を言い直す形が、いちばん確実です。ずれていれば相手が直してくれます。
あとから
「先ほどの件、念のため確認させてください。◯◯を△△する、で合っていますでしょうか。」
チャットやメールで聞くと、記録も残ります。
聞き返すのは失礼ではありません。間違ったまま進めるほうが、迷惑がかかります。
環境を変える
- 話す人の近くに座る
- 出入口や機械の音から離れる
- オンラインなら、イヤホンを使う
音がつらい人は、それだけで聞き取りが落ちます。 まわりの音が気になって集中できない人へもご覧ください。
まず次の会議で、これだけやってみる
- 始まる前に、資料か議題に5分目を通す
- メモは「決まったこと・自分がやること・次回」の3つだけ
- 終わる前に「自分は◯◯を◯日まで、で合っていますか」と確認する
3つめだけでも、あとで困ることがかなり減ります。
この記事について
作業を切り替えるときには手間がかかることが研究で整理されています。会議は聞く・考える・書くを切り替え続ける場なので、疲れやすいのは自然です。
また、ADHDのある大人は「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいという研究があります。会議で決まった自分の担当を覚えておくのは、まさにこの力を使う作業です。
自閉スペクトラム症のある人の働き方を調べた研究では、役割や手順がはっきりしていることが働きやすさに関わると報告されています。議事録や事前資料を求めるのは、筋が通っています。
そのうえで、「メモは3つだけ」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。 会議の性質によって合う・合わないがあります。
会議のたびにしんどい、参加が苦痛だという状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
会議が終わったあとに「で、何が決まったんだっけ」ってなるやつ、めちゃくちゃ多いです。あれは聞いていないんじゃなくて、同時に3つやらされているからです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討作業の切り替えについて
(原題:Task switching)
この研究でわかっていること:割り込みや並行作業が実際に効率を落とすことを、一般的な認知の性質として説明できます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASD固有の研究ではありません。
研究で検討成人ADHDにおける「あとでやることを覚えておく力」の困難
(原題:Complex Prospective Memory in Adults with Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
この研究でわかっていること:予定や約束を忘れるのは記憶の使い方の問題で、意欲の問題ではないと説明できます。
ここはまだ分かっていません:リマインダーなど外部化の道具そのものの効果はまだ調べられていません。
研究で検討働いている自閉スペクトラム症のある成人の経験:系統的な検索とまとめ
(原題:The Lived Experience of Autistic Adults in Employment: A Systematic Search and Synthesis)
この研究でわかっていること:明確な役割・理解ある上司・感覚環境が働きやすさに効くと示せます。
ここはまだ分かっていません:質的統合であり、どの配慮が最も効くかの順位づけはできません。
研究で検討「車いすの人にとってのスロープのようなもの」:自閉スペクトラム症のある従業員にとっての職場の使いやすさ
(原題:"It’s like a ramp for a person in a wheelchair": Workplace accessibility for employees with autism)
この研究でわかっていること:物理環境・手順・人の3つが働きやすさを左右すると整理できます。
ここはまだ分かっていません:聞き取りをもとにした研究であり、配慮の効果量を示すものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。