音が気になって集中できない人へ|ノイズは効くのか
— 研究はありますが、対象は子ども・若者です
ポイント
- 白色・ピンクノイズの研究をまとめた分析はあるが、対象は主に子ども・若者
- 成人やブラウンノイズ、音楽への一般化はできない
- 音が助けになる人と、音が負担になる人がいる。両方いることが前提
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「作業中にホワイトノイズを流すと集中できる」「ブラウンノイズがADHDに効く」——こうした話をよく見かけます。研究はどこまで言っているのでしょうか。
研究をまとめた分析はある。ただし対象に注意
白色・ピンクノイズと課題成績の関係を検討したたくさんの研究をまとめた分析があります(2024年)。
ただし、対象は主に子どもと若者です。この結果を成人にそのまま当てはめることはできません。
さらに、よく話題になるブラウンノイズについては、この研究をまとめた分析の対象ではありません。 音楽についても同様です。「ADHDにはブラウンノイズ」という説は、研究による裏づけがある主張ではありません。
それでも試す価値はある
研究が薄いことと、効かないことは違います。費用がほぼかからず、害も考えにくいので、試してみる価値はあります。
試すときは、次の順番が現実的です。
- 無料の音源で試す。 動画サイトや音楽アプリに、ホワイトノイズ・雨音・カフェの環境音があります
- 1週間、同じ条件で試す。 「今日ははかどった」は気分にも左右されます。何日か試して判断する
- 効くなら、投資する。 ノイズキャンセリングイヤホン(1万円前後〜)や、専用のスピーカーを検討
最初から高いものを買わないでください。 合わない人もいます。
音が「負担」になる人もいる
逆のパターンもあります。自閉スペクトラムの感覚処理については、感覚過敏・鈍麻を神経生理学の知見から整理した国内レビューがあります。音が刺激として負担になる人にとって、ノイズを足すのは逆効果です。
- 音があると内容が入ってこない
- 特定の音(人の話し声、キーボードの音、空調)だけが耐えられない
- 音がある場所にいるだけで疲れる
この場合は「足す」ではなく「減らす」方向が正解です。音の過敏と対策をご覧ください。
音以外の環境も一緒に見る
音だけ整えても、目に入るものがうるさいと集中できません。
- 机の上のものを減らす(机に向かっても気が散る人へ)
- 光を調整する(蛍光灯や画面がまぶしくてつらい人へ)
- スマホを遠ざける(作業中につい スマホを触ってしまう人へ)
環境は組み合わせで効きます。
音を変える以外の手
音の対策だけで解決しないこともあります。組み合わせで効きます。
場所を変える
同じ音でも、場所によって感じ方が変わります。
- 壁を背にする(背後の音が減ります)
- エアコンの真下を避ける
- 出入口、通路、コピー機から離れる
時間を変える
空いている時間帯は、音の量がまったく違います。
- 早朝や夜に作業する
- 人が少ない曜日を選ぶ
- 昼休みをずらす
作業の種類を変える
音が気になる日は、音があってもできる作業に切り替えてください。
- 整理、入力、片づけ → 音があってもできる
- 文章を書く、考える → 静かな環境が要る
「今日は集中できない」ではなく「今日はこっちの作業をする」と切り替えると、一日がむだになりません。
音が気になって集中できない人へ/家での音
家での音
家の音がつらいと、回復できないまま翌日を迎えます。 ここも整えてください。
- 冷蔵庫や洗濯機の音が気になるなら、運転する時間を変える
- カーテンや布を増やすと、部屋の反響が減ります
- 扉に緩衝材を貼ると、閉まる音が小さくなります
- テレビをつけっぱなしにしない
「家に帰れば静か」という状態があるかどうかで、翌日がまったく違います。
同居している人がいる場合
音を完全に消すのは無理なので、時間で分けるのが現実的です。
「21時以降は動画を見るときイヤホンにしてもらえると助かる」
相手を責める言い方にしないのがコツです。「うるさい」ではなく「こうしてもらえると助かる」。
職場で相談するとき
イヤホンや耳栓が禁止されている職場もあります。相談する価値はあります。
「周りの話し声があると、内容が頭に入らなくなります。作業中だけイヤホンを使わせていただけませんか。」
「集中したい」より「ミスが減ります」のほうが通りやすいです。
- 骨伝導イヤホンなら、呼ばれたら聞こえます
- 片耳だけにするという折衷案もあります
- 会議中は外す、と決めておくと納得されやすいです
伝え方は職場に「これがつらい」と言えない人へへ。
イヤホンを付けたいが、職場で許可されない——という相談は多いです。
- 「作業に集中するため」と説明する。 音楽を聴きたいのではなく、まわりの音を減らしたいのだと伝える
- 時間帯を区切る提案をする。 「午前中だけ」「集中作業のときだけ」なら通りやすいことがあります
- 耳栓やデジタル耳栓にする。 「音楽を聴いている」と誤解されにくいです
正式に配慮として求める道もあります。進め方は職場に「これがつらい」と言えない人へへ。
音がつらい日の過ごし方
対策をしても、日によってつらさが変わります。
- 音が特にきつい日は、静かな作業に切り替える
- 昼休みに、人のいない場所で目と耳を休める
- 早めに帰る
「今日は無理な日」と認めて、量を減らすほうが、結果的に長く働けます。
くわしくは気づいたら限界になっている人へへ。
自分に合う音を探す
「無音がいい」とは限りません。人によってかなり違います。
- 完全な無音(耳栓)
- 一定の音(雨音、扇風機、換気扇)
- 歌詞のない音楽
- カフェのざわめき
2〜3日ずつ試して、いちばん進んだものを使ってください。
「静かなほうがいいはず」と思い込んで、無音でずっと苦戦している人がいます。試してみる価値があります。
耳栓とイヤホンの使い分け
道具によって、消せる音が違います。用途で使い分けてください。
| 道具 | 得意な音 | 価格の目安 |
|---|---|---|
| 耳栓(フォーム) | ほぼ全部の音 | 100円〜 |
| ノイズキャンセリングイヤホン | エアコン、電車、機械音 | 5,000円〜 |
| イヤーマフ | 大きい音、工事音 | 2,000円〜 |
| 骨伝導イヤホン | 音楽を流しつつ、呼ばれたら気づける | 5,000円〜 |
人の話し声は、ノイズキャンセリングでも完全には消えません。 話し声がつらいなら、耳栓+音楽の組み合わせが効くことがあります。
まずは100円の耳栓から試すのがおすすめです。効くかどうかが数百円で分かります。
効き方には個人差が大きいので、いくつか試してみてください。
| 種類 | 向きそうな場面 |
|---|---|
| ホワイトノイズ・雨音 | 周囲の話し声を消したいとき |
| 環境音(カフェ・図書館) | 静かすぎると落ち着かないとき |
| 歌詞のない音楽 | 単純作業のとき |
| 歌詞のある音楽 | 文章を書く作業には向かないことが多い |
| 無音(耳栓) | 音そのものが負担なとき |
文章を読む・書く作業に歌詞のある音楽を流すと、言語の処理がぶつかります。 ここは多くの人に共通しやすいところです。
音がつらい日を減らす
音への耐性は、その日の体調でかなり変わります。
- 寝不足の日はつらくなります
- すでに音を浴びたあとはつらくなります
- 疲れがたまっている日はつらくなります
睡眠を整えるほうが、道具を買うより効くことがあります。
くわしくは夜、なかなか眠れない人へへ。
音が気になって集中できない人へ/職場で使う道具の選び方
職場で使う道具の選び方
音の対策は、周りからどう見えるかも考えておくと、続けやすくなります。
| 道具 | 見た目 | 呼ばれたら気づくか |
|---|---|---|
| フォームの耳栓 | 目立ちにくい | 気づきにくい |
| 骨伝導イヤホン | やや目立つ | 気づく |
| ノイズキャンセリングイヤホン | 目立つ | 設定しだい |
| イヤーマフ | かなり目立つ | 気づきにくい |
「呼ばれたら気づける」ものを選ぶと、職場で通りやすくなります。
「集中したい」より、「聞き漏らしが減ります」と言うほうが納得されやすいです。
伝え方は職場に「これがつらい」と言えない人へへ。
音を消せない環境での工夫
工場、店頭、保育、医療現場など、耳をふさげない仕事もあります。
- 休憩時間に、静かな場所で耳を休める(5分でも効きます)
- 音の少ない時間帯に、集中が要る作業を寄せる
- 帰宅後に音を入れない時間を作る
その場で減らせないなら、前後で回復させるしかありません。
くわしくは外出したあと2日動けない人へへ。
気になるのが自分だけでも
「これくらいで気になるのはおかしい」と思う必要はありません。
同じ場所にいても、受け取っている音の量は人によって違います。 静かな場所で作業が進むなら、それが事実です。
耳栓やイヤホンを使うことは、わがままではありません。メガネをかけるのと同じです。
音そのものが痛い、頭痛や吐き気が出るという場合は、音がうるさくてつらい人へもご覧ください。生活に支障が出ているなら、相談先の探し方から専門家に相談してください。
音以外の理由で集中できていないか
音の対策をしても進まないなら、原因が別にある可能性があります。
| 状況 | 見るところ |
|---|---|
| そもそも始められない | 最初の一歩がどうしても踏み出せない人へ |
| 何をやるか決まっていない | 何から手をつければいいか分からない人へ |
| 話しかけられて飛ぶ | 話しかけられると作業が飛ぶ人へ |
| 疲れている | 気づいたら限界になっている人へ |
音の対策は、そのうちの1つです。 効かなければ、別のところを見てください。
まとめ:音がつらいときの5つ
- 100円の耳栓から試す
- 一定の音(雨音・扇風機)を流してみる
- 座る場所を、出入口や機械から離す
- 音がつらい日は、静かでなくてもできる作業に切り替える
- 職場には「聞き漏らしが減ります」と伝えて相談する
まず1番。 数百円で、効くかどうかが分かります。
まず今日、これだけやってみる
- 100円の耳栓を買って、1日使ってみる
- 雨音などの一定の音を流して、30分作業してみる
- 座る席を、出入口やコピー機から遠い場所に変えられないか確認する
関連する困りごと
- 音そのものがつらい → 音がうるさくてつらい人へ
- 光がまぶしい → まぶしくてつらい人へ
- 机で集中できない → 机に向かっても気が散る人へ
- 職場に言いにくい → 職場に「これがつらい」と言えない人へ
この記事について
白色・ピンクノイズと課題の成績の関係を調べた研究をまとめた分析があります(2024年)。ただし調べたのは主に子どもと若者で、大人やブラウンノイズ、音楽については分かっていません。
「ADHDにブラウンノイズが効く」という話をよく見かけますが、研究による裏づけがある主張ではありません。
一方で、ASDのある人では感覚が過敏になることがあると国内の研究で整理されています。音が刺激として負担になる人にとっては、ノイズを足すのは逆効果です。
作業を切り替えるときには手間がかかることも研究で整理されています。
そのうえで、どの音がどの作業に向くかを比べた研究はありません。この記事の使い分けは目安として扱ってください。
「ADHDにはブラウンノイズが効く」という話をよく見ますが、そこまでの研究はまだありません。効く人がいるのは確かなので、試すのは自由です。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討ホワイトノイズやピンクノイズは、ADHDや注意の困りごとがある子ども・若者の課題成績を助けるか:たくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:Systematic Review and Meta-Analysis: Do White Noise or Pink Noise Help With Task Performance in Youth With Attention-Deficit/Hyperactivity Disorder or With Elevated Attention Problems?)
この研究でわかっていること:ノイズを流す方法は、試してみる価値があります。
ここはまだ分かっていません:調べたのは主に子どもと若者。大人やブラウンノイズ、音楽については分かりません。
研究で検討自閉スペクトラム症に見られる感覚処理障害の臨床神経生理学
この研究でわかっていること:感覚の違いが「気のせい」でも「わがまま」でもないことの裏づけになります。
ここはまだ分かっていません:個別の対策グッズ(イヤーマフ等)の効果を調べた研究ではありません。
研究で検討作業の切り替えについて
(原題:Task switching)
この研究でわかっていること:割り込みや並行作業が実際に効率を落とすことを、一般的な認知の性質として説明できます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASD固有の研究ではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。