謝りすぎてしまう人へ|「すみません」を減らす言い換え
— 反射で出る「すみません」を、別の言葉に入れ替えます
ポイント
- 謝りすぎるのは性格ではなく、先に謝ると場が収まると身につけた結果です
- 「すみません」の多くは「ありがとうございます」に置き換えられます
- 本当に謝る場面では、短く3点だけ伝える型を用意しておきます
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ドアを押さえてもらって「すみません」。書類を受け取って「すみません」。会議で発言する前にも「すみません」。数えたことはないけれど、たぶん1日に何十回も言っています。
悪いことは何もしていません。それでも口が先に動きます。ときどき「そんなに謝らなくていいよ」と言われて、その返事にまた「すみません」と言ってしまう。
言うたびに、自分が少しずつ小さくなる感じがする。でも、止め方が分かりません。
結論から書きます。口ぐせは止めるより入れ替えるほうが早く減ります。 代わりに何を言うかを先に決めておけば、反射のままでも別の言葉が出るようになります。
なぜ「すみません」が先に出てしまうのか
理由はいくつかあります。どれか1つではなく、重なっていることが多いです。
先に謝ると、その場が早く収まるから
忘れ物やうっかりで注意されることが多かった人ほど、この形になりやすいです。説明するより先に謝ったほうが、相手の機嫌が早く戻る。それを何度も経験すると、謝罪が反射になります。
身につけてきたやり方であって、心が弱いという話ではありません。
相手が怒っているのかどうか、読み取りにくいから
表情や声の調子から相手の気持ちを推し量るのが苦手だと、「怒っているかもしれない」という可能性に備えて、とりあえず謝る形になります。安全なほうに倒しているだけです。
自分のせいかどうか、その場で判断がつかないから
何かがうまく進まなかったとき、原因が自分にあるのか、段取りにあるのか、相手の勘違いなのか。その場で切り分けるのは難しいです。切り分けが終わるのを待つより、自分のせいにしたほうが早く片づきます。
その場は片づきます。ただし、原因は自分に寄せられたまま残ります。これが積み重なると、実際より多くの責任を自分で背負う形になります。
気まずさが強く動くと、その場で下げたくなるから
気持ちが大きく動きやすい人がいることは、研究をまとめた分析でも整理されています。謝ると、その場の気まずさは一瞬だけ下がります。下がるからまた謝る。これがくり返されて癖になります。
「すみません」という言葉が、便利すぎるから
日本語のこの一言は、謝罪だけの言葉ではありません。呼びかけにも、お礼にも、恐縮にも、あいさつにも使えます。便利なので、意味を考えないまま出てきます。
つまり、あなたが弱いから謝っているのではありません。使いやすい言葉が、たまたま謝罪の形をしていただけです。
謝りすぎると、どこが損なのか
減らしたほうがいい理由を、先に確認しておきます。
- 自信がなさそうに見えて、仕事の評価が下がることがある
- 相手が「そんなに謝らせるつもりはなかった」と気を使う
- 本当に謝りたいときに、言葉が軽くなってしまう
- 口に出すたび、自分は迷惑な存在だという感覚が濃くなる
最後のものがいちばん大きいです。自分の言葉は、自分の耳にも入ります。
謝りすぎてしまう人へ/【いちばん効く1つ】お礼に置き換える
【いちばん効く1つ】お礼に置き換える
やることは1つです。謝っている場面の多くは、お礼で足ります。
- 席を空けてもらった → 「ありがとうございます」
- 待ってもらった → 「お待たせしました。ありがとうございます」
- 手伝ってもらった → 「助かりました。ありがとうございます」
- 教えてもらった → 「よく分かりました。ありがとうございます」
伝わる中身はほとんど同じです。でも、受け取る側の気持ちは大きく変わります。謝られた相手は「責めたつもりはないのに」と困ります。お礼を言われた相手は、ただうれしいだけです。
止めるのではなく、入れ替える
「言わないようにしよう」と決めても、反射は止まりません。止めようと気づいたときには、もう言い終わっています。
だから止めません。入れ替える言葉を1つだけ決めておきます。 候補を3つ用意すると、その場で選べずに元に戻ります。
まずは1週間、これだけ
覚えるのは「ありがとうございます」だけで十分です。ほかの言い換えは、慣れてからで間に合います。
場面別|そのまま使える言い換え
お礼では置き換えられない場面もあります。そこだけ、別の言葉を持っておきます。
人に声をかけるとき
呼びかけの「すみません」は謝罪ではないので、そのまま使っても構いません。ただ、癖を減らしたい時期は言い換えたほうが練習になります。
「お忙しいところ失礼します。」 「いま3分だけいいですか。」
必要な時間を先に言うと、相手も答えやすくなります。
質問するとき
「1つ確認させてください。」 「認識が合っているか、聞いてもいいですか。」
「こんなことを聞いてすみません」と前置きをつけると、質問そのものが悪いことのように聞こえます。前置きは要りません。
返事が遅れたとき
「お待たせしました。確認しました。」 「お返事が今になりました。ありがとうございます。」
数日のうちなら、謝らずに済む場面がほとんどです。
人の前を通るとき
「失礼します。」 「後ろを通ります。」
頼まれごとを断るとき
「今回は難しいです。声をかけてくれてありがとうございます。」
断りの前と後に謝罪を重ねると、相手のほうが気まずくなります。
お願いをするとき
「お願いしたいことがあります。◯◯を金曜までにいただけますか。」
「お忙しいのにすみません」から入ると、頼む前から下がった位置に立つことになります。用件から始めて構いません。
休むと連絡するとき
「本日は体調不良でお休みします。◯◯の件は△△さんに引き継ぎました。」
謝罪を長くするより、引き継ぎを1行入れるほうが、相手の困りごとは減ります。
相手を待たせている最中
「あと5分で終わります。」
待たせているときに相手が欲しいのは、謝罪より見通しです。
ほめられたとき
「ありがとうございます。うれしいです。」
ほめられて「いえ、そんな」と縮こまるのも、同じ癖の仲間です。受け取っておいて大丈夫です。
口ぐせを減らす4つの仕掛け
気合いで減らすのは難しいので、仕掛けのほうを変えます。
- 書く場面から始める — チャットやメールは送る前に読み返せます。謝罪の言葉を探して、お礼か用件に書き換えてから送ります。1日3通でも練習になります。
- 回数を数える — 減らす前に、まず知ります。スマホのメモに「正」の字を書くだけで十分です。どの場面で言っているかが見えてきます。
- 重ねない — 「本当に、すみません、申し訳ないです」と重ねるのをやめます。謝罪の言葉は1回までと決めておきます。
- 語尾から外す — 「〜だと思うんですけど、すみません」のように、文の最後に付ける癖があります。言い切って終わります。言い切っても失礼にはなりません。
数えるのは3日で足ります。目的は反省ではなく、癖が出る場所を見つけることです。
謝りすぎてしまう人へ/メールとチャットの書き換え例
メールとチャットの書き換え例
話し言葉より、書き言葉のほうが直しやすいです。送る前の30秒でできます。
書き換える前の文です。
「お忙しいところ何度もすみません。すみませんが、先日お送りした資料の件、まだご確認いただけていないようでしたら、お手すきのときで結構ですのでご確認いただけますとありがたいです。お手数をおかけしてすみません。」
書き換えたあとの文です。
「先日の資料について、確認をお願いします。金曜までにご返信いただけると助かります。よろしくお願いします。」
謝罪を3つ外して、期限を1つ足しました。短くなったうえに、相手のやることははっきりしています。謝罪の言葉は、情報を1つも運びません。 外したぶんに期限や見通しを入れると、読み手はぐっと楽になります。
送る前に文中の「すみません」を探して、残すのは多くて1つ。書き言葉は、ここから変わりはじめます。
本当に謝るときの型
謝罪を減らすのは、謝らない人になるためではありません。必要なときに、ちゃんと届く謝り方をするためです。
伝えるのは3つだけです。
- 何について謝るのか
- 相手にどんな影響が出たのか
- これからどうするのか
「昨日の資料、期限に間に合いませんでした。会議の準備を止めてしまい、申し訳ありません。今日の15時に出します。次からは前日に進み具合を確認します。」
理由を先に置かない
「体調が悪くて」「立て込んでいて」を先に出すと、謝罪が薄まります。理由は、聞かれてから短く答えれば十分です。
長く謝らない
長い謝罪は、相手に「もういいよ」と言わせるための時間になってしまいます。短いほうが誠実に届きます。
同じ件を何度も持ち出さない
翌日にまた「昨日はすみませんでした」と持ち出すと、相手はもう一度その話に付き合うことになります。1回で終わらせて、あとは行動で返します。
謝ったあと、頭から離れないとき
謝りすぎる人は、謝ったあとも長く考え続けます。あの言い方でよかったか、まだ怒っていないか。夜になっても止まりません。
紙に出して、区切る
頭の中だけで回すと、同じところをぐるぐるします。起きたこと、自分がしたこと、次にすることを、3行だけ紙に書きます。書いたら、その日はそこで終わりにします。
確かめたくなったら、行動に変える
「まだ怒っていますか」と聞くのは、相手にもう一度その件を思い出させることになります。聞く代わりに、次の仕事を少し早めに出します。
翌朝、修復の行動を1つだけする
言葉を重ねるより、行動のほうが早く終わります。翌朝いちばんに、その件に関係する小さなことを1つ済ませて、短く報告します。相手の中では、たいていそれで話が終わります。
そっけない返事は、必ずしも自分のせいではない
返事が短い日は、相手が忙しいだけのことが多いです。自分のせいだと決めるには、まだ根拠が足りません。
よくある質問
謝らないと、冷たい人だと思われませんか
謝罪をお礼に置き換えるだけなので、無言になるわけではありません。反応の量は変わりません。お礼のほうが、会話はむしろ続きやすいです。
職場で「謝りすぎ」と言われました
「口ぐせなので、直しているところです。教えてくれてありがとうございます。」
ここで謝ると、また同じところを回ります。お礼で返すのが、いちばん軽く終わります。
家族やパートナーにも謝りすぎてしまいます
近い相手ほど回数が増えます。家では「ありがとう」「助かった」に置き換えます。毎日くり返す場面なので、置き換えが早く身につく場所でもあります。
接客や電話の仕事で、謝るのが役目になっています
仕事として必要な謝罪は、この記事で減らす対象ではありません。分けたいのは、役目としての謝罪と、口ぐせの謝罪です。休憩中や同僚とのやりとりでも同じ言葉が出ているなら、そちらから減らします。
「すみません」をゼロにしないとだめですか
いいえ。呼びかけとしては自然な日本語ですし、必要な謝罪もあります。目安は、1つの場面で2回以上言わないことです。ゼロを目指すと、今度は言葉が出てこなくなります。
関連する困りごと
- 引き受けすぎて潰れるなら、断り方から → 頼まれごとを断れない人へ|角を立てずに断る言い方
- 人に合わせることで消耗しているなら → 人といると異常に疲れる人へ|合わせ続けることの負担
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まず今日、これだけやってみる
- 今日1日、「すみません」と言った回数だけ数える(減らさなくていい)
- 明日から、お礼で足りる場面は「ありがとうございます」に置き換える
- 謝罪の言葉は1回までと決める
1つめだけでも構いません。
この記事について
まわりに受け入れられている感覚と心の健康が関連することは、自閉スペクトラム症のある成人を対象にした研究で報告されています。ただしこれは、ある時点で両方を調べたものです。どちらが原因でどちらが結果なのかまでは分かりません。受け入れられていない感覚が謝罪の癖につながる、と示した研究ではないことに注意してください。
気持ちが大きく動きやすいことについては、成人ADHDを対象にした複数の研究をまとめた分析があります。感情の揺れやすさを、性格ではなく特性の一部として説明できます。ただしこの分析は、対処のしかたの効果を調べたものではありません。
そして、この記事に書いた言い換えの文例、回数を数える方法、謝罪の3点の型は、研究で効果を確かめられたものではありません。仕組みとしては筋が通ると考えて整理したものです。相手や職場によって合う・合わないがあります。使えそうなものだけ試してください。
困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
謝ってるつもりもないのに「すみません」って出ちゃうんですよね。あれは口ぐせなので、止めようとするより、代わりに言う言葉を1つ決めるほうがずっと早いです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討自閉スペクトラム症のある成人における「受け入れられた経験」と心の健康
(原題:Experiences of Autism Acceptance and Mental Health in Autistic Adults)
この研究でわかっていること:周囲に受け入れられている感覚と心の健康が関連することを示せます。
ここはまだ分かっていません:ある時点で調べたもので、どちらが原因かまでは分かりません。
研究で検討成人ADHDにおける感情の調節のしにくさ:研究をまとめた分析
(原題:Emotion dysregulation in adults with attention deficit hyperactivity disorder: a meta-analysis)
この研究でわかっていること:感情が大きく動きやすいことを、性格ではなく特性の一部として説明できます。
ここはまだ分かっていません:対処法の効果を調べたものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。