カフェインに頼りすぎている人へ|減らすなら順番がある
— やめる前に、飲まない時刻だけ先に決めます
ポイント
- 量を数えるより先に「ここから先は飲まない」という時刻を1つ決めます
- ゼロにせず、同じ器・同じ時刻のまま中身だけ入れ替えると続きます
- 頭痛や動悸などの不調が続くときは、自分で加減せず医療機関へ相談してください
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起きぬけに1杯。昼を食べたあとに1杯。夕方、まぶたが重くなってもう1杯。気がつくと、飲んでいない時間のほうが短くなっている。
そのくせ夜は目がさえます。寝るのが遅くなって、朝は起きられない。だからまた濃いものを入れて一日を始める。この輪の中にいると、自分がいま本当に眠いのか、切れただけなのかも分からなくなります。
「明日からやめる」と決めて、頭が痛くなって二日で戻った経験がある人もいると思います。それはやる気が足りなかったからではなく、順番が逆だっただけです。
眠気が強い日ほど「気合いが足りない」と自分を責めがちですが、眠気は気合いでは消えません。足りない眠りは、どこかで必ず返すことになります。
結論を先に書きます。杯数を数えるより、「ここから先は飲まない」という時刻を1つ決めるほうが先です。 総量の話は、そのあとで大丈夫です。
なぜ量が増えていくのか
足りない眠りを、後ろに送っている
飲むと一時的にしゃきっとします。ただ、足りていない眠りが返ってくるわけではありません。 効き目が薄れたころに、その分の眠さがまとめて戻ってきます。そこでもう1杯足すと、返す時期がさらに後ろへずれます。
背景として、成人のADHDでは睡眠の困りごとが多いことが、たくさんの研究をまとめた分析で報告されています。寝つきにくい人では、眠くなる時間帯そのものが後ろにずれているという報告もあります。
つまり、夜ふかしが好きでそうしているとは限りません。朝が眠い→足す→夜が遅くなる→朝がもっと眠い。 この輪が一周するたび、必要な量が少しずつ増えていきます。
飲む動作が、切り替えの合図になっている
カップを持って席を立つ。お湯を沸かす。ふたを開ける。この一連の動きが、やることを切り替えるスイッチになっている人は多いです。
だとすると、ほしいのは中身ではなく「区切り」のほうです。ここを分けて考えておくと、あとの置き換えがずっとラクになります。
眠くないのに手が伸びる回数がある
退屈なとき、気が乗らないとき、人と話す前。数えてみると、眠くないのに飲んでいる回数がたいてい何回かあります。ここは削っても、失うものがほとんどありません。
前ほど効かない気がする
同じ飲み方では足りなくなってきた、と感じることがあります。ここで足す方向へ進むと、輪がもう一段きつくなります。
足りなく感じるときは、もとの眠りが前より削れていることが多いです。手を入れる場所は、カップではなく夜のほうです。
【いちばん効く1つ】飲まない時刻の壁を決める
やることはこれだけです。
- 紙かスマホのメモに「◯時以降は飲まない」と書く
- 最初の壁は、いまの最後の1杯の1時間前に置く。いきなり昼までにしない
- その時刻にアラームを鳴らす。名前は「ラストオーダー」にしておく
- 壁の手前で飲みたくなったら、我慢しない。壁の向こう側だけ替える
- まる1週間、壁の時刻は動かさない
壁は量の制限ではありません。その日の最後の1杯を、自分で決めた時刻に置くだけです。何杯飲んだかは、いったん数えなくて大丈夫です。
時刻で区切ると、その場で判断しなくて済みます。 「あと1杯いくかどうか」を毎回考えるのは、思っているより力を使います。決めるのは一度だけにして、あとはアラームに任せてください。
「17時のアラームが鳴ったら、最後の1杯にするか、白湯にするかを選ぶ」
守れない日があっても失敗ではありません。たいていは壁の時刻が早すぎただけです。30分うしろへずらして、もう1週間やってみてください。時刻を決める作業そのものは、「あとでやる」がいつまでもできない人へと同じ考え方です。
カフェインに頼りすぎている人へ/ゼロにしない。中身だけ入れ替える
ゼロにしない。中身だけ入れ替える
急に断つと、頭が重くなったり、だるくなったりします。そのつらさが理由で元へ戻る人がとても多いので、動作は残して、注ぐものだけ替えるやり方をおすすめします。
同じ器、同じ場所、同じ時刻。変えるのは中身だけです。
| いまの1杯 | 入れ替えの候補 |
|---|---|
| 朝の1杯 | そのまま残す(朝は削らない) |
| 昼のあとの1杯 | 半分だけ注いで、残りはお湯を足す |
| 夕方の1杯 | 炭酸水/麦茶/白湯 |
| 夜の作業のおとも | ノンカフェインの茶、温かいスープ |
| エナジードリンク | 甘い炭酸水と、5分の外歩き |
コツは3つです。
- 朝の1杯は最後まで残す。 いちばん困っている時間から削ると、続きません
- 温度と器を変えない。 温かいものは、温かいもので替えます
- 買い置きを先に入れ替える。 家と職場の両方に、替えるほうを置いておきます
替えるものは「おいしいと思えるもの」にしてください。罰として飲むものを置くと続きません。 少し高くても、飲みたくなる1本を選ぶほうが、結局は安くつきます。
「わざわざ買うのが面倒」と感じたなら、その感覚は正しいです。手間が少ないほうが勝ちます。 水道のお湯を注ぐだけでもかまいません。
やめはじめの数日は、頭が重い、いつもより気分が上がらない、という感じ方をする人がいます。一気にゼロにしないほうが、こうしたつらさは出にくいと言われています。つらい日が続くときは、そこで止まってください。 先へ進めることより、続けられることのほうが大事です。
動かすのは、1週間に1つだけ
一度に全部変えると、何が効いたのか分からなくなり、しんどさだけが残ります。動かすのは週に1つにします。
- 1週目:壁の時刻を決めるだけ。杯数は数えない
- 2週目:壁を30分から1時間、前へ動かす
- 3週目:眠くないのに飲んでいた1杯を、置き換えに替える
- 4週目:ここまでで変わったかどうかを見る
うまくいっているかの目安は、飲んだ量ではありません。見るのは次の2つだけです。
- 布団に入る時刻が、前より早くなったか
- 朝、起きてから最初の1杯までの時間が、少し延びたか
メモは1行で十分です。「入った時刻」だけ書いてください。きれいな記録を作ろうとすると、記録のほうが先に続かなくなります。
途中で元に戻っても、同じ週をもう一度やればいいだけです。やめた回数ではなく、戻ってこられた回数を数えてください。
4週間たっても何も変わらないなら、原因はカフェインではないのかもしれません。そのときはこの記事をいったん置いて、眠りそのものや日中の負荷のほうを見てください。
置き場所を変えると、回数が変わる
飲む回数は、意志よりも距離で決まっている部分があります。手が届くところにあれば飲むし、なければ飲みません。
- 机の上に置きっぱなしにしない。1杯ごとに給湯室まで歩く形にする
- 家では、替えるほうを手前に、いつものものを奥に置く
- まとめ買いをやめて、1本ずつ買う。箱で家にあると必ず減ります
- 自動販売機の前を通らない道を、1本決めておく
「歩くのが面倒だから飲まなかった」で減った回数は、我慢して減らした回数より戻りにくいです。がんばりを使わずに減った分だけが、あとに残ります。
カフェインに頼りすぎている人へ/眠気の逃げ道を、飲み物以外に持っておく
眠気の逃げ道を、飲み物以外に持っておく
壁の時刻の向こう側で眠くなったとき、選べる手が飲み物しかないと、結局そこへ戻ります。先に3つ用意しておくと、その場では選ぶだけで済みます。
- 光:外に出る、窓ぎわに立つ、部屋の照明を一段明るくする
- 体:階段を1階ぶん上る、肩を回す、洗面所で顔と手を洗う
- 短い休み:椅子に座ったまま5分だけ目を閉じる。眠るというより、目を休ませるつもりで
3つとも効かない日は、そもそも作業に向いていない日です。その日は早めに切り上げるのが、いちばん安上がりなやり方です。
手が伸びた理由を、その場で分ける
カップに手が伸びた瞬間に、3秒だけ考えます。理由によって、効く手当てが違うからです。
本当に眠いとき
眠いなら、短く目を閉じる・外の明るさを浴びる・階段を1階分上るのほうが早いことがあります。5分から10分で足りる眠気もあります。
それで足りなければ飲んでください。壁の時刻の手前なら、我慢する必要はありません。
眠気の正体が寝不足なら、飲み物では埋まりません。その日は夜の予定を1つ削るほうが、翌日への効きめは大きいです。
飽きている・気が乗らないとき
これは眠気ではありません。器を持って歩く、席を替える、水を飲む。動作だけやってみると、それで済むことがあります。
やることが重すぎて動けないのなら、飲み物の問題ではありません。大きい仕事を前に固まってしまう人へのほうが役に立ちます。
そわそわして落ち着かないとき
温かいものを手に持つだけで収まることがあります。中身は何でもかまいません。持つこと自体が目的の1杯だった、と分かる回もあります。
まわりが飲んでいるとき
差し入れや、みんなで買いに行く時間。断りにくい場面はあります。
このときは中身を替えるより、受け取って持っているだけでもかまいません。飲みきらなければいけない決まりはありません。半分残して席に戻っても、たいていの人は見ていません。
場面別の考え方
朝、これがないと動けない
朝の1杯は最後まで残して大丈夫です。削る順番は、夜から朝へ向かってです。
ただ、毎朝の起きられなさがつらいなら、飲み物より先に朝そのものを設計し直すほうが早いです。朝どうしても起きられない人へをご覧ください。
午後の会議で意識が飛ぶ
会議の直前に足すより、会議中に体を小さく動かせる形を用意しておくほうが安定します。立って参加する、手元でメモを書き続ける、足首を動かす。
前の晩にどれだけ眠れたかで、午後の落ち方はかなり変わります。
どうしても夜に作業したい日
締め切り前など、必要な日はあります。その日は使う。翌日は壁を1時間早める。 借りたら返す形にしておくと、常用へ戻りにくくなります。
エナジードリンクが手放せない
本数を減らそうとするより、買う場所を変えるほうが早いです。通勤路のコンビニで買っているなら、その店の前を通らない道にする。家に箱で置かない。
甘さで持ち直している面もあるので、甘い炭酸水に替えると足りることがあります。
関連する困りごと
- 夜、目がさえて寝つけない → 夜、なかなか眠れない人へ
- 朝、どうやっても起きられない → 朝どうしても起きられない人へ
- 疲れや空腹に気づかないまま倒れる → 気づいたら限界になっている人へ
- 予定を入れすぎて休む時間がない → 予定を入れすぎて後で潰れる人へ
まず今日、これだけやってみる
- 「◯時以降は飲まない」を1つ決めて、その時刻のアラームを鳴らす
- 替えの飲み物を1本だけ買って、家か職場の目に入る場所に置く
- 今夜、布団に入った時刻だけをメモに1行書く
三日でやめてもかまいません。やめたら、また1番から始めてください。再開しやすい形にしておくことが、この工夫のいちばん大事なところです。
この記事について
この記事は、カフェインの量や飲み方を指示するものではありません。どのくらいなら平気かは人によって差が大きく、体調や持病、妊娠中かどうか、飲んでいる薬によっても変わります。ここに書いたのは、飲む時刻と置き換えという行動の組み立て方だけです。
背景として、成人のADHDでは睡眠の困りごとが起きやすいことが、たくさんの研究をまとめた分析で報告されています。また、寝つきにくい成人ADHDの人で、眠くなる時間帯が後ろにずれていたという報告もあります。
ただし、どちらもカフェインの減らし方を調べた研究ではありません。 後者は人数の少ない研究で、どうすれば時間帯が戻るのかまでは分かっていません。この記事のやり方で眠りがよくなると約束できるものではなく、合わない人もいます。
また、この記事のやり方そのものを調べた研究はありません。 時刻を決める、中身を替えるという組み立ては、お金がかからず、体に無理をさせずに小さく試せるという理由で紹介しています。効果を保証するものではありません。
頭痛、動悸、手のふるえ、強い不安、眠れない状態が続くときは、自分で加減して様子を見るより、医療機関で相談したほうが早いです。困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先は相談先・公的窓口にまとめています。
コーヒーが悪者にされがちですけど、そもそも眠気がなければ足していないんですよね。減らす話の前に、何を埋めるために飲んでいるのかを見たほうが、たぶん早いです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDの睡眠:本人の実感と測定データを合わせたたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:Sleep in adults with ADHD: Systematic review and meta-analysis of subjective and objective studies)
この研究でわかっていること:成人ADHDで睡眠の問題が起きやすいことを、まとまった根拠として示せます。
ここはまだ分かっていません:どうすれば眠れるようになるかを調べた研究ではありません。
(原題:Delayed Circadian Rhythm in Adults with ADHD and Chronic Sleep-Onset Insomnia)
この研究でわかっていること:夜型がなおらないことを、体内時計のずれとして説明できます。
ここはまだ分かっていません:人数の少ない研究。どうすれば時計が戻るかまでは分かりません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。