LINEやチャットの返信ができないまま放置してしまう人へ
— 既読をつけて閉じる、をやめます
ポイント
- 開いて閉じた時点で、そのメッセージは頭から消えます
- 遅れるほど返しにくくなるので、まず短く返してください
- 「ちゃんとした返信」を目指すのをやめると、返せるようになります
目次を開く(15項目)
メッセージが来る。開いて読む。「あとで返そう」と思って閉じる。
3日たつ。返しにくくなる。1週間たつ。もう返せない。そして関係が切れる。
この雪だるまは、最初の1回で止められます。
なぜ返せないのか
1. 開いて閉じた時点で消える
ADHDのある大人は「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいという研究があります。既読をつけて閉じた瞬間、そのメッセージの存在は頭から消えます。
そして、相手からは「読んだのに返してこない」ように見えます。
2. ちゃんと返そうとしている
長い返信を書こうとすると、時間と気力が要ります。だから後回しになります。
3. 内容が重い
断らないといけない、謝らないといけない、決めないといけない。重いメッセージほど後回しになります。
4. 遅れたことへの謝罪が必要になる
1日遅れると「遅れてごめん」が必要になり、3日遅れると言い訳が必要になり、1週間で返せなくなる。遅れそのものが、返信を重くします。
【いちばん効く1つ】開いたら、その場で何か返す
ルールはこれだけです。
開いたら、閉じる前に何か返す。
内容が決まっていなくても構いません。「読んだ」ことだけ伝えます。
「見たよ! あとでちゃんと返す」 「ありがとう、確認します」 「ごめん、いま手が離せないので夜に返します」
これで相手は待てます。 そして自分も、返信済みリストから外れないので忘れにくくなります。
開けないときは開かない
すぐ返せないと分かっているなら、そもそも開かないという手もあります。
通知だけ見て、返せるタイミングで開く。既読にしなければ、相手も待っている状態が分かります。
返す時間を決める
1日2回でいい
- 昼休み
- 夜(決まった時間)
それ以外は通知を切ってください。 一日中気にしているほうが疲れます。
通知を切る
通知が来るたびに気になって、そのたびに作業が切り替わります。切り替えには手間がかかることが研究で整理されています。
通知を切っても、たいてい困りません。
未読を残さない
「あとで返す」ものは、未読に戻すか、ピン留めするか、タスクリストに書く。
頭の中に置かないでください。
来るたびに返そうとすると、一日中中断され続けます。
- 10時、14時、17時にまとめて見る
- それ以外は通知を切る
「すぐ返す人」だと思われると、すぐ返すことが期待され続けます。 最初にペースを作っておくほうが、長い目で見てラクです。
急ぎの連絡だけ通知を残す
- 特定の人だけ通知オン
- 「メンションされたときだけ通知」に設定する
多くのチャットアプリで設定できます。全部オフにするのが不安な人は、ここから。
重いメッセージへの対処
断らないといけない
いちばん後回しになるパターンです。早く返すほど、断りやすくなります。
「せっかく誘ってくれたのに、今回は行けません。また声かけて。」
断り方は頼まれごとを断れない人へに書きました。
謝らないといけない
遅れるほど、謝罪が重くなります。 いますぐ、短く。
「返事が遅くなってごめん。◯◯の件、大丈夫です。」
言い訳を長く書かないでください。相手が知りたいのは、返事の中身です。
決めないといけない
「どこに行く?」「いつがいい?」という返事は、決めるのが面倒で止まります。
選択肢を出してもらうか、こちらから1つ出すのが早いです。
「◯日の夜なら空いてます。だめならまた調整します。」
感情的なメッセージが来た
すぐ返さないでください。一晩置くほうが安全です。
そして、返すときは事実だけにします。感情には触れません。
LINEやチャットの返信ができないまま放置してしまう人へ/放置してしまったあと
放置してしまったあと
何日たっていても返していい
返さないより、遅れて返すほうがずっといいです。
「返事がすごく遅くなってごめん。元気にしてる?」
たいてい「大丈夫だよ」で終わります。気にしているのは自分だけのことが多いです。
言い訳を長く書かない
「実は忙しくて、それから体調も崩して……」と書くと、かえって重くなります。「遅くなってごめん」の一言で十分です。
返せなかった相手が複数いる
全部を一度に返そうとすると、また止まります。1日1人にしてください。
どうしても返せない相手がいる
無理に返さなくてもいい関係もあります。全部の関係を維持しなければいけないわけではありません。
古いものから見ない
新しいものから見てください。 古い連絡は、すでに解決していることが多いです。
3つに分ける
- すぐ返す(1分で返せるもの)
- 時間が要る(あとでまとめて)
- 返さなくていい(既読にして閉じる)
3の量が意外と多いことに気づくはずです。
遅れたときの一言
「返信が遅くなり失礼しました。」
これだけでいいです。長い言い訳を書こうとして、さらに遅れるのがいちばんよくないパターンです。
グループチャットの場合
全部読まなくていい
グループの会話を全部追うのは、かなりの負担です。自分の名前が出たところだけ見れば十分です。
多くのアプリに「メンション」の通知設定があります。自分宛だけ通知にしてください。
反応しなくていい
全員が反応しているときに、自分だけ反応していないと気になるかもしれません。でも、誰も数えていません。
既読だけつけて返さないのが気になる
気になるなら、スタンプ1つでも構いません。それで「読んだ」は伝わります。
流れが速くて追えない、というのはよくあることです。
- 自分宛て(メンション)だけ見る
- 通知はメンションのみに設定する
- 全部読もうとしない
全部読む必要はありません。 必要なことは、たいてい名前を呼ばれます。
返しやすくする
定型文を用意する
よく使う返事を、スマホの辞書登録に入れておいてください。
- 「かしこまりました。◯日までに対応します。」
- 「確認して、明日ご連絡します。」
- 「ありがとうございます。助かりました。」
打つ手間がゼロになると、返信のハードルが下がります。
スタンプ・リアクションを使う
読んだことだけ伝えればいい場面では、リアクション1つで十分です。
「返信しなきゃ」と思うから溜まります。 反応するだけでいい連絡を、分けてください。
短く返していい
チャットは、メールと違ってあいさつも署名もいりません。
「了解です。金曜までにやります。」
これで十分です。長く書こうとするから、書けなくなります。
短くていい
LINEやチャットは、1行で十分です。
「了解!」 「ありがとう」 「いいね、行こう」
長く書くほど、相手も返すのが大変になります。 短いほうが親切です。
スタンプ・絵文字を使う
返す言葉が思いつかないときは、スタンプ1つでも「返信」になります。
「返信していない」状態から抜けるのが目的なので、これで十分です。
音声入力を使う
打つのが面倒なら、話してください。歩きながらでも返せます。
テンプレートを持っておく
よく使う返しを、スマホの単語登録に入れておくとラクです。
- 「ごめん、遅くなった。」
- 「確認して連絡します。」
- 「今回は行けないけど、また誘って。」
チャットは、メールと違ってあいさつも署名もいりません。
「了解です。金曜までにやります。」
これで十分です。長く書こうとするから、書けなくなります。
定型文を登録する
よく使う返事を、スマホの辞書登録に入れておいてください。
- 「かしこまりました。◯日までに対応します。」
- 「確認して、明日ご連絡します。」
打つ手間がゼロになると、返信のハードルが下がります。
読んだことだけ伝えればいい連絡には、スタンプやリアクション1つで十分です。
「返信しなきゃ」と思うから溜まります。 反応するだけでいい連絡を、分けてください。
複数のアプリに散らばっているとき
LINE、Slack、メール、SMS、SNSのDM。多いほど抜けます。
- 仕事の連絡先を1つに絞ってもらう
- 「LINEではなくメールでお願いします」と伝える
- 通知を1か所にまとめる
「どこに来たか分からない」状態をなくすのが、いちばん効きます。
くわしくはメールの返信がどんどんたまる人へへ。
LINEやチャットの返信ができないまま放置してしまう人へ/まず今日、これだけやってみる
まず今日、これだけやってみる
- 開いたら、閉じる前に一言返す(「見たよ、あとで返す」でいい)
- 返す時間を1日2回決めて、それ以外は通知を切る
- 放置していた相手に1人だけ、短く返す
ちゃんとした返信を目指さないでください。 短くていいです。
通知を絞る
来るたびに開いていると、一日中中断され続けます。
- メンションされたときだけ通知に設定する
- 特定の人だけ通知を残す
- それ以外は全部オフ
多くのチャットアプリで設定できます。無料です。
全部オフにするのが不安な人は、「名前を呼ばれたときだけ」から始めてください。
関連する困りごと
-
メールがたまる → メールの返信がどんどんたまる人へ
-
話しかけられて飛ぶ → 話しかけられると作業が飛ぶ人へ
-
先延ばししてしまう → やらなきゃと思うほど動けない人へ
-
断れない → 頼まれると断れない人へ
-
予定を忘れる → 約束を忘れて信用をなくす人へ
-
優先順位が決まらない → 何から手をつければいいか分からない人へ
返せていない連絡が10件あっても、たいていは大ごとになりません。 新しいものから返してください。
見落としを減らす
流れが速いと、自分宛ての連絡が埋もれます。
- メンションだけ通知が来る設定にする
- 大事なメッセージにはブックマークやピン留めをつける
- 「あとで返す」ものだけ、未読に戻す
全部を追おうとすると、大事なものを見落とします。
返せないまま時間がたったとき
放置が長引くほど、返しにくくなります。それでも返してください。
「返信が遅くなり、失礼しました。」
この一言で十分です。 長い言い訳を書こうとして、さらに遅れるのがいちばんよくないパターンです。
まとめ:チャットを回す5つ
- 開いたら、その場で何か返す(スタンプでもいい)
- 返す時間を1日3回に決める
- 通知は「名前を呼ばれたときだけ」にする
- よく使う返事を辞書登録する
- 溜まったら、新しいものから返す
丁寧さは、長さではなく速さで伝わります。
この記事について
ADHDのある大人は、「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいことが実験で確かめられています。また、この力の弱さが先延ばしの一部を説明するという研究もあります。「あとで返そう」が実行されないのは、意志の問題ではありません。
作業を切り替えるときには手間がかかることも研究で整理されています。通知のたびに反応していると疲れるのは、そのためです。
そのうえで、「1日2回」「一言返す」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。
人間関係が続かないことでしんどい状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
3日放置すると、返すのに謝罪が必要になって、もっと重くなるんですよね。1週間経つと、もう返せない。この雪だるまを止めましょう。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDにおける「あとでやることを覚えておく力」の困難
(原題:Complex Prospective Memory in Adults with Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
この研究でわかっていること:予定や約束を忘れるのは記憶の使い方の問題で、意欲の問題ではないと説明できます。
ここはまだ分かっていません:リマインダーなど外部化の道具そのものの効果はまだ調べられていません。
研究で検討「あとでやることを覚えておく力」は、ADHD症状と先延ばしの関係を部分的に説明する
(原題:Prospective memory (partially) mediates the link between ADHD symptoms and procrastination)
この研究でわかっていること:先延ばしの一部が「やること自体を思い出せない」ことに由来しうると言えます。
ここはまだ分かっていません:横断的な関連が中心。対策の効果を示すものではありません。
研究で検討作業の切り替えについて
(原題:Task switching)
この研究でわかっていること:割り込みや並行作業が実際に効率を落とすことを、一般的な認知の性質として説明できます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASD固有の研究ではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。