自炊が続かない人へ|作る前に力尽きる問題
— レシピではなく、工程の数を減らします
ポイント
- 自炊が止まるのは料理の腕ではなく、献立・買い物・調理・片づけの工程数です
- レパートリーを増やさない。3パターンを回すほうが続きます
- 「ちゃんとした食事」を目指すのをやめて、食べていれば合格にします
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料理をしようと思っている。材料もある。でも、キッチンに立つまでが遠い。
そして結局、何も食べないか、お菓子で済ませてしまう。夜中に空腹で目が覚める。
自炊が続かないのは、料理が下手だからではありません。
自炊は工程が多すぎる
「自炊する」は1つの作業ではありません。
- 何を作るか決める
- 必要な材料を確認する
- 買い物に行く
- 材料を出す
- 調理する
- 食べる
- 洗い物をする
7工程です。 しかも1と2は判断、3は外出、5は複数の並行作業。
切り替えには手間がかかることが研究で整理されています。どこか1か所で止まると、全部が止まります。
そもそも空腹に気づいていないことがある
体の内側の感覚(空腹、疲れ)について、ASDのある人を対象にした研究をまとめた分析では、本人の実感としての「気づきにくさ」が一貫して報告されています(実験で調べた結果でははっきりした差が出ていません)。
「お腹が空いた」という信号が届いていないなら、食事の動機がそもそも発生しません。
この場合は「時間で食べる」に切り替える必要があります。くわしくは気づいたら限界になっている人へへ。
【工程を減らす】
1. 献立を決めない
3パターンだけ決めて、それを回します。
| 例 | 工程 |
|---|---|
| 丼もの(卵かけ・納豆・鮭フレーク) | 米を炊く+のせる |
| 具だくさんの汁物 | 切って煮る(鍋1つ) |
| 焼くだけ(肉・魚+カット野菜) | フライパン1つ |
レパートリーを増やそうとすると、決める工程が重くなります。 同じものを繰り返すほうが続きます。
飽きたら、そのとき1つ足せばいいです。
2. 切らない
- カット野菜、冷凍野菜を使う
- キッチンばさみで切る(まな板を出す工程が消えます)
- 肉は小分け冷凍のものを買う
まな板と包丁を出す工程がないだけで、着手率が上がります。
3. 洗い物を減らす
洗い物が残っていると、次に作れません。逆に言えば、洗い物が少ない料理は次も作れます。
- 鍋1つ、フライパン1つで完結するものにする
- 食器を減らす(丼1つで済ませる)
- 食洗機を使う(手間が1つ減ります)
- 使い捨ての皿を使ってもいい
4. 家電に任せる
- 電気圧力鍋・自動調理鍋(材料を入れてスイッチを押すだけ)
- 炊飯器(保温しておけば、食べたいときに食べられます)
- 食洗機
数万円かかりますが、毎日の工程が減ります。 家事の投資としては効きます。
5. 買い物を減らす
- ネットスーパーを使う(外出の工程が消えます)
- 食材の定期宅配を使う(献立を考える工程も減ります)
- 買うものを固定する(判断が減ります)
くわしくは買い忘れと二重買いが多い人へへ。
「ちゃんとした食事」をやめる
冷凍食品もレトルトも、栄養は取れます。
- 冷凍うどん+卵+冷凍ほうれん草
- パックご飯+レトルトのカレー+カット野菜
- 冷凍餃子+カット野菜のスープ
- 惣菜+ご飯+インスタントの味噌汁
目標は「食べていること」であって、「作っていること」ではありません。
「手抜き」と言われることがありますが、食べないよりはるかにいいです。
動き出す合図を決める
行動をきっかけと結びつけて先に決めておく方法は、目標を達成しやすくすると報告されています。
「帰宅してカバンを置いたら、米を炊く」
米を炊く(またはレンジにかける)だけなら、疲れていてもできます。炊き始めてしまえば、そのあとが続きやすくなります。
作れない日のために
作れない日は必ずあります。そのときのために、手を動かさずに食べられるものを常備してください。
- 栄養調整食品、プロテイン飲料
- 温めるだけの冷凍食品
- 常温保存できるパックご飯とレトルト
- カップスープ
- バナナ、ナッツ
冷蔵庫が空だと、詰みます。 何も作れない日の在庫を切らさないことが、いちばん現実的な対策です。
週に1回、まとめて作る
余裕のある日に多めに作って冷凍しておく、という方法もあります。
ただし「作り置きが続かない」人も多いので、無理なら市販の冷凍食品でいいです。
毎日作ろうとすると、続きません。
- 週◯回だけ作る
- 疲れる曜日は最初から買うと決めておく
- 冷凍食品の日を作る
「今日は作らない」を計画に入れておくと、罪悪感なく休めます。
疲れて帰った日は、まず作れません。その日のための備えを、元気なうちに。
- レトルト、冷凍食品を切らさない
- カップスープ、ゼリー飲料を置いておく
- 作りおきを冷凍しておく(作れた日に多めに作る)
「食べない」がいちばん危ないです。 何でもいいので食べてください。
自炊が続かない人へ/家族の食事を作らなければいけないとき
家族の食事を作らなければいけないとき
自分だけならなんとかなっても、家族のぶんがあると難易度が上がります。
- 同じものを人数分(別々に作らない)
- 惣菜を1品足す(全部手作りにしない)
- 家族に工程を分ける(切るのは相手、焼くのは自分)
- 宅配の食事サービスを使う
毎日3食を全部作る必要はありません。
体調が心配なとき
食事が偏っている、痩せてきた、いつも疲れている。心配なら、栄養の話は専門家に聞いてください。
この記事は「作れるようにする」ための工夫であって、栄養の助言ではありません。
洗い物が回らないとき
自炊が止まる原因の半分は、洗い物です。
- 使ったらすぐ水につける(こびりつくと重くなります)
- 洗う時間を決める(「風呂に入る前」など)
- 食洗機を入れる(いちばん効きます)
- 皿の数を減らす(洗う量が減ります)
シンクが空いていると、次が作れます。
「作らない自炊」から始める
自炊=レシピを見て一から作る、ではありません。
加熱するだけ、混ぜるだけでも自炊です。
火を使わないもの
- 納豆ごはん
- 豆腐にかつおぶしとしょうゆ
- サラダチキンとカット野菜
- 缶詰(さば缶、ツナ缶)
5分で食べられて、外食より安くて、体にも悪くない。 これで十分です。
冷凍と缶詰を常備する
- 冷凍野菜(切らなくていい)
- 冷凍うどん
- 冷凍ごはん
- 缶詰
買い物に行けない日でも、何か作れる状態を保つのが目的です。
道具でラクをする
電子レンジで完結させる
レンジ調理用の容器があれば、パスタも野菜も肉も加熱できます。数百円です。
フライパンを洗わなくていいのが、いちばん大きいです。
電気圧力鍋・炊飯器
材料を入れてボタンを押すだけ。火の前にいなくていいので、他のことができます。
1万円前後から買えます。
洗い物を減らす
- 使う道具を減らす(1つの鍋で完結させる)
- 使い捨ての容器を使う日があってもいい
- 食洗機を検討する
洗い物が嫌で自炊をやめる人は、かなり多いです。 ここを解決すると続きます。
献立を考えない
「今日何食べよう」で止まる人は、考えることをやめてください。
曜日で決める
- 月曜=麺
- 火曜=丼
- 水曜=焼くだけ
中身は毎回違っていいです。カテゴリだけ決まっていると、迷いません。
同じものを食べていい
飽きないなら、毎日同じでも問題ありません。「毎日違うものを食べなきゃ」という決まりはありません。
買うものを固定する
買い物リストを固定すると、スーパーで迷いません。
くわしくは買い物で毎回何か買い忘れる人へへ。
自炊が続かない人へ/続かなくても大丈夫
続かなくても大丈夫
自炊が続かないことを、責める必要はありません。
- 外食や中食でも生きていけます
- 栄養が気になるなら、野菜ジュースやサプリで補う手もあります
- できる日にできるだけでいいです
「毎日ちゃんと作る」を目指すと、続きません。週に1回でも作れたら、それは自炊です。
まず今週、これだけやってみる
- 3パターンだけ決める(丼、汁物、焼くだけ)
- カット野菜と冷凍食品を買っておく
- 「帰ってカバンを置いたら米を炊く」を1回やってみる
作れない日のために、レトルトを3つ買っておいてください。 それが安心につながります。
買い物をラクにする
自炊が止まる原因の半分は、買い物にあります。
- ネットスーパーを使う(重いものを運ばなくて済みます)
- 買うものを固定する
- 冷凍と缶詰を切らさない
「材料がないから作れない」を減らすだけで、作れる日が増えます。
くわしくは買い物で毎回何か買い忘れる人へへ。
洗い物を先に減らす
洗い物が嫌で自炊をやめる人は、かなり多いです。
- 使う道具を減らす(1つの鍋で完結させる)
- レンジ調理用の容器を使う
- 食洗機を検討する
- 使い捨ての容器を使う日があってもいい
「作るのは平気だけど洗うのが無理」なら、そこを解決すれば続きます。
冷凍を活用する
作れた日に多めに作って、1食分ずつ冷凍しておいてください。
- ごはんは炊いたら小分けにして冷凍
- カレーや汁物は多めに作って冷凍
- 野菜は切って冷凍しておくと、下ごしらえが要りません
疲れた日の自分に、元気な日の自分が作っておく。 これがいちばん効きます。
関連する困りごと
- 買い物を忘れる → 買い物で毎回何か買い忘れる人へ
- 片づかない → 部屋がすぐ散らかる人へ
- 疲れて動けない → 気づいたら限界になっている人へ
- お金が心配 → お金の管理ができない人へ
毎日作らなくていいです。 週に1回でも、それは自炊です。
- 洗い物が嫌 → 掃除がまったく続かない人へ
- 買い物に行けない → 買い物で毎回何か買い忘れる人へ
外食や中食でも生きていけます。 できる日にできるだけで十分です。
まとめ:自炊を回す5つ
- 「加熱するだけ・混ぜるだけ」を自炊に数える
- 冷凍と缶詰を切らさない
- レンジ調理で、洗い物を減らす
- 献立を曜日で決めて、考えない
- 作らない日を、先に決めておく
毎日作らなくていいです。
よくある質問
栄養が偏りませんか
偏るより、食べないほうが心配です。
野菜ジュース、冷凍野菜、サプリで補う手もあります。完璧を目指すより、続けられる形を選んでください。
外食のほうが安くつくことは?
一人分だと、外食のほうが安い場合もあります。 無理に自炊しなくていいです。
自炊の目的が「節約」なのか「体調」なのか「安心」なのかで、選ぶ形が変わります。
同じものばかりでいいのですか
飽きないなら問題ありません。「毎日違うものを食べなきゃ」という決まりはありません。
この記事について
作業を切り替えるときには手間がかかることが研究で整理されています。自炊が7工程あって途中で止まるのは、自然なことです。
体の内側の感覚への気づきにくさは、ASDのある人を対象にした研究をまとめた分析で、本人の実感としての差として報告されています(実験で調べた結果でははっきりした差が出ていません)。
行動をきっかけと結びつけて先に決めておく方法は、目標を達成しやすくすると報告されています。
そのうえで、「3パターンを回す」「切らない」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。 栄養面の助言は当サイトの専門外です。
食事が取れない状態が続いて体調が心配なときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
料理を作れないことより、何も食べないほうが問題です。冷凍でもコンビニでもいい。まず食べてください。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討作業の切り替えについて
(原題:Task switching)
この研究でわかっていること:割り込みや並行作業が実際に効率を落とすことを、一般的な認知の性質として説明できます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASD固有の研究ではありません。
研究で検討自閉スペクトラム症における「体の内側の感覚」のちがい:症例対照研究のたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:Characterizing Interoceptive Differences in Autism: A Systematic Review and Meta-analysis of Case–control Studies)
この研究でわかっていること:「疲れや空腹に気づきにくい」という自己報告の訴えに、まとまった裏づけがあると言えます。
ここはまだ分かっていません:体の感覚が客観的に鈍い、と単純に言い切ることはできません。
研究で検討「もし〜なら〜する」と先に決めておく方法が目標達成に与える効果の研究をまとめた分析
(原題:A Meta-Analysis of the Effects of Mental Contrasting With Implementation Intentions on Goal Attainment)
この研究でわかっていること:行動を「場面」と結びつけて決めておく方法に一定の効果があると言えます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDだけを対象にした研究ではありません。一般の人向けの知見を当てはめています。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。