手帳3級だと使えないと思っている人へ|等級で何が変わるか
— 「3級だと使えない」は本当か
ポイント
- 税の障害者控除・障害者雇用枠・福祉サービスは3級でも問題なく使える
- 等級で差が出やすいのは交通運賃、公営住宅、医療費助成など自治体裁量の部分
- 自治体独自の制度は申請しないと使えない。窓口で一覧をもらうのが確実
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大人の発達障害で手帳を取ると、多くの人が3級になります。すると気になるのが「3級だと結局あまり使えないのでは?」という点です。
結論を先に言えば、実利の大きい制度はほぼ3級でも使えます。使えないもの・差がつくものは、主に自治体裁量の部分です。
3級でも問題なく使えるもの
税金の障害者控除
- 所得税:27万円の控除
- 住民税:26万円の控除
これは3級でも同額です(1級のみ特別障害者として40万円/30万円に増額)。働いていて所得税を払っているなら、ここが一番大きな実利になります。年末調整または確定申告で申告します。
障害者雇用枠での就職
等級による制限はありません。3級の手帳でも障害者雇用枠に応募できます。企業側の法定雇用率のカウントも、精神障害者の場合は等級で差が出ません。
障害福祉サービス
就労移行支援、就労継続支援A型・B型、自立訓練などは、等級ではなく必要性の判断で利用できます。そもそも手帳がなくても医師の意見書等で利用できるケースもあります。
携帯電話料金の割引
大手キャリア各社の障害者向け割引プランは、等級を問わず手帳所持者が対象です。基本料の割引や特定オプションの無料化など、内容は各社で異なります。
各種施設の入場料減免
美術館、博物館、動物園、水族館、公営プールなど。多くは等級を問わず本人が無料または半額、加えて介護者1名まで同料金という扱いが一般的です。国立の施設や自治体運営の施設で広く実施されています。
自立支援医療(精神通院医療)
これは手帳とは別制度ですが、あわせて知っておきたいものです。精神科の通院医療費の自己負担が原則1割になります。手帳の等級とは無関係で、手帳がなくても申請できます。通院を続けるなら、手帳よりこちらのほうが効果が大きい場合もあります。
等級で差が出やすいもの
交通運賃の割引
ここが最も差の出るところであり、自治体・事業者によって扱いがバラバラです。
まず押さえておきたいのは、JRは2025年4月1日から精神障害者割引を開始したことです。3級は「第2種」に区分され、単独利用の場合は片道の営業キロが100kmを超える普通乗車券が5割引になります。利用には手帳への第1種/第2種の記載と顔写真の貼付が必要なので、記載がない手帳は自治体窓口で追加を申請してください。
そのほかの事業者は次のように分かれます。
- 都営交通(東京都):都内在住の手帳所持者は等級を問わず「精神障害者都営交通乗車証」の対象
- 一部の私鉄・バス:1級のみ、または1・2級のみ対象
- タクシー:自治体の福祉タクシー券は1・2級限定のことが多い
- 航空:国内線の障害者割引は、等級を問わず適用する航空会社が多い(満12歳以上が条件)
「精神3級だから交通割引は無理」と決めつけず、住んでいる自治体の交通局と、よく使う路線の事業者を個別に確認してください。同じ3級でも、住む場所で結果が変わります。
NHK受信料の減免
- 全額免除:世帯全員が住民税非課税で、かつ世帯構成員に手帳所持者がいる場合
- 半額免除:重度障害者が世帯主かつ受信契約者の場合。精神障害者保健福祉手帳では1級のみが該当します(2級は対象外)
3級の場合、半額免除の対象にはなりません。ただし世帯全員が住民税非課税であれば、3級でも全額免除の対象です。
公営住宅の優遇
入居時の抽選優遇や、収入基準の緩和が受けられることがあります。等級で線を引く自治体(1・2級のみ等)と、等級を問わない自治体があります。
医療費助成(重度心身障害者医療費助成)
自己負担分を自治体が助成する制度ですが、精神の場合は1級のみを対象とする自治体が多く、3級では対象外になりがちです。
一方で、等級で切られることが多いのはこのあたりです。
| 制度 | 傾向 |
|---|---|
| 鉄道・バスの運賃割引 | 事業者によって扱いがまったく違います |
| 公営住宅の優遇 | 自治体の裁量が大きい |
| 医療費の助成 | 自治体によって対象等級が異なります |
| 自動車税の減免 | 都道府県によって条件が違います |
| NHK受信料の免除 | 世帯の課税状況と等級の組み合わせで決まります |
| タクシー券の交付 | 自治体独自。等級で区切ることが多い |
ここは「住んでいる場所」で結論が変わります。 ネットで調べた他県の情報は当てになりません。
自治体独自の制度は「聞かないと教えてもらえない」
ここが実務上、一番大事なポイントです。上に挙げた以外にも、自治体ごとに次のような制度があります。
- 上下水道料金の基本料減免
- 粗大ごみ処理手数料の減免
- 自動車税・軽自動車税の減免(精神は1級限定とし、自立支援医療受給者証の併用を求める自治体が多い。3級は対象外)
- 駐車禁止除外指定車標章の交付
- 就労支援・住宅支援の独自給付
これらは自動的には適用されません。手帳を受け取るときに、窓口で次のように聞いてみてください。
「この手帳で使える市(区)独自のサービスの一覧はありますか?」
たいていの自治体には冊子やPDFの一覧があります。もらっておけば、後から「実は使えた」と気づいて悔しい思いをせずに済みます。
等級を上げたい場合
更新のタイミングで等級が変わることはあります。ただし、等級は「日常生活能力の程度」で決まるため、状態が改善していれば等級は下がり、悪化していれば上がるというのが原則です。
意図的に等級を上げようとするより、更新時の診断書で実際の困りごとを正確に伝えることのほうが重要です。調子のいい日を基準に話すと実態より軽く見積もられます。「できる日もあるが、月の半分はできない」という現実を、そのまま伝えてください。更新手続きの流れは申請の流れの記事と同じです。
手帳3級だと使えないと思っている人へ/等級で差がつきにくいもの
等級で差がつきにくいもの
3級でも問題なく使えるものを先に並べます。ここは等級で切られにくい部分です。
| 使えるもの | 内容 |
|---|---|
| 所得税・住民税の障害者控除 | 3級も対象(控除額は等級で変わります) |
| 障害者雇用枠での就職 | 等級は問われません |
| 障害福祉サービス(就労移行支援など) | 等級ではなく必要性で判断されます |
| 携帯電話の割引 | 各社が独自に設定。3級対象のことが多いです |
| 公共施設・美術館の割引 | 自治体・施設によりますが、等級を問わないことが多いです |
| 障害者職業センターの支援 | 等級は問われません |
「3級だから使えない」と最初から諦める必要はありません。
窓口での確認のしかた
いちばん確実なのは、窓口で一覧をもらうことです。
「精神障害者保健福祉手帳の3級を持っています。この市で使える制度の一覧はありますか。」
これで、たいてい冊子か紙をもらえます。
聞く場所
- 市区町村の障害福祉担当課(いちばん広く分かります)
- 税のことは税務担当課
- 医療のことは保険年金の窓口
「一覧をください」と言うのがコツです。個別に聞くと、聞き漏らします。
申請しないと使えない
多くの人が損をしているのがここです。
自治体独自の制度は、こちらから申請しないと使えません。 手帳を持っているだけでは自動的に適用されません。
- 割引や助成は、申請書を出して初めて受けられます
- 更新のタイミングで切れるものもあります
- 引っ越すと、使える制度が変わります
手帳を取ったら、一度は窓口で一覧をもらってください。
等級が上がる可能性
手帳の等級は、更新のときに変わることがあります。
- 状態が変われば、等級も変わります
- 更新は2年ごとです
- 診断書の内容が判断材料になります
いまの困りごとを、主治医に正確に伝えておくことが大事です。診察のときに「調子はどうですか」と聞かれて「まあまあです」と答えていると、実態が伝わりません。
困っている場面を具体的にメモして持っていくのがおすすめです。
手帳3級だと使えないと思っている人へ/更新を忘れないために
更新を忘れないために
手帳には有効期限(2年)があります。切れると使えなくなります。
- 取得したその日に、カレンダーに更新の予定を入れる
- 更新は期限の3か月前から申請できます
- 診断書が必要になるので、通院の予約も一緒に入れておいてください
更新忘れは、けっこう多い失敗です。予定を忘れやすい人は約束や予約をすっぽかしてしまう人へも見てみてください。
手帳には2年の有効期限があります。
- 期限の3か月前から更新できます
- 更新にも診断書が必要です(自治体によって扱いが異なります)
- 忘れると、いったん使えなくなります
交付されたその日に、2年後の日付をカレンダーに入れてください。さらに、その3か月前にも通知を入れておくと確実です。
申請から交付までの流れ
だいたい1〜2か月かかります。急ぎで必要な場合は、早めに動いてください。
- 市区町村の窓口で申請書をもらう(障害福祉課など)
- 診断書を医師に書いてもらう(初診から6か月以上たっている必要があります)
- 写真を用意する(縦4cm×横3cm)
- 窓口に提出する
- 審査(1〜2か月)
- 交付の通知が来たら、受け取りに行く
診断書には費用がかかります(数千円〜1万円程度、病院によります)。
くわしくは精神障害者保健福祉手帳の申し方へ。
持っていて損はあるか
「持つと不利になるのでは」と心配する人がいますが、基本的にデメリットはありません。
- 職場や周囲に自動的に知らされる仕組みはありません
- 使いたくない場面では、出さなければいいだけです
- 返還(返すこと)もできます
- 更新しなければ、自然に失効します
選択肢を1つ増やすものとして考えてください。
くわしくは障害者手帳って持つと何が変わるの?へ。
手帳がなくても使えるもの
申請を迷っている間も、使える支援はあります。
- 自立支援医療(医療費の自己負担が軽くなる制度。手帳とは別の申請です)
- 発達障害者支援センター
- 就労移行支援(自治体の判断によります)
くわしくは手帳がなくても使える支援へ。
使えるかどうか迷ったら
サービスの内容は、自治体によってかなり違います。
「◯◯市 精神障害者保健福祉手帳 サービス」で検索するか、窓口で一覧をもらうのがいちばん早いです。
「3級だと、どんなサービスが使えますか。一覧をいただけますか。」
紙でもらっておくと、あとから見返せます。
よくある質問
3級だと使えるサービスが少ないのですか
税の控除や就労支援は、等級に関係なく使えます。
差が出やすいのは、交通機関の割引や自治体独自のサービスです。内容は自治体によってかなり違うので、窓口で一覧をもらってください。
等級は上げられますか
状態が変わっていれば、更新のときに等級が変わることがあります。
医師に、いまの生活の困りごとを具体的に伝えてください。診断書の書きぶりで判断が変わることがあります。
更新を忘れたらどうなりますか
いったん使えなくなります。 ただし、改めて申請すれば取り直せます。
交付されたその日に、2年後と、その3か月前をカレンダーに入れてください。
関連する困りごと
- 手帳の意味を知りたい → 障害者手帳って持つと何が変わるの?
- 申請したい → 精神障害者保健福祉手帳の申し方
- 手帳がまだない → 手帳がなくても使える支援
- 働き方を決めたい → 障害者雇用と一般雇用で迷っている人へ
この記事について
等級による差の説明は、厚生労働省(手帳制度)、国税庁(障害者控除)、NHK(受信料免除)、自治体(鉄道割引・自動車税の減免)の公開情報にもとづいています。
等級で差が出やすい部分の多くは、自治体の判断です。 この記事が挙げた例は「差があること」を示すためのもので、あなたの地域の運用とは異なります。
また、自治体独自の制度は申請しないと使えません。 窓口で一覧をもらうのが確実です。分からないときは相談先・公的窓口をご覧ください。
3級だからと諦めるのは早いです。使えるものは意外と多く、使えないものは等級ではなく「自治体の方針」で決まっていることがほとんどです。
この記事の出どころ
- 専門家・公的情報
- 厚生労働省などの公的な機関や、専門家が出している情報をもとにしています。
専門家・公的情報精神障害者保健福祉手帳
この研究でわかっていること:手帳制度の一次情報として使えます。
ここはまだ分かっていません:自治体独自の上乗せ制度は含まれません。
専門家・公的情報No.1160 障害者控除
この研究でわかっていること:税の控除額を示せます。
ここはまだ分かっていません:住民税や自治体ごとの減免については、別に確認が必要です。
専門家・公的情報放送受信料の免除について
この研究でわかっていること:免除条件を示せます。
ここはまだ分かっていません:世帯の課税状況により結果が変わります。
専門家・公的情報JR旅客会社の精神障害者割引制度について
この研究でわかっていること:鉄道割引の適用範囲を示せます。
ここはまだ分かっていません:事業者・路線により運用が異なります。
専門家・公的情報自動車税の減免
この研究でわかっていること:自治体ごとに差がある例として示せます。
ここはまだ分かっていません:ほかの道府県には当てはまりません。
- NHK 放送受信料の免除について(2026-08-16 確認)
- JR旅客会社 精神障害者割引制度について(山口県)(2026-08-16 確認)
- 東京都主税局 自動車税の減免(2026-08-16 確認)
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。