予定が抜ける人へ|カレンダーを1本にまとめる
— 手帳とスマホと頭の中に分けているうちは、必ず漏れます
ポイント
- 予定が漏れるのは記憶力ではなく、予定の入り口が複数あることが原因です
- 1本に決めたら、それ以外を「予定の置き場所」として認めません
- 仕事とプライベートは色で分ける。カレンダーは分けません
目次を開く(19項目)
予定を忘れる。ダブルブッキングする。「その日は空いてます」と言ったのに、実は別の予定が入っていた。
原因は、たいてい記憶ではありません。予定がいくつもの場所に散らばっていることです。
会社のグループウェア、スマホのカレンダー、紙の手帳、メッセージのやりとり、机の付箋、そして頭の中。
この状態では、どれか1つを見ても全体は分かりません。
「見る場所」を1つに決める
まず1本選びます。基準はシンプルです。
- スマホで見られること(外出先で確認できないと意味がありません)
- 通知が出せること
- 他の人と共有できること(家族や職場と予定を合わせる場合)
多くの人にとってはスマホのカレンダーアプリになります。
紙の手帳が好きな人もいますが、通知が出ないという一点で不利です。紙を使うなら、通知の役割は別に用意してください。
アプリは何でもいい
標準のカレンダーで十分です。アプリ探しに時間を使わないでください。 大事なのは1本にすることであって、どれを選ぶかではありません。
移行の手順(1〜2時間・一度で終わらせる)
少しずつやると、二重管理の期間が長引いて余計に混乱します。 まとまった時間を取って、一度で終わらせてください。
1. いま持っている予定を全部書き出す
手帳、付箋、メール、頭の中。紙に殴り書きで構いません。
「そのうちやろうと思っていること」も出してください。
2. 全部カレンダーに入れる
この時点では雑でいいです。日付と件名だけ。
3. 繰り返しの予定を登録する
- 毎月の支払い
- 定期通院
- ゴミの日
- 家賃の引き落とし
- 年に1回の手続き(税金、更新、健康診断)
年に1回のものほど忘れます。 必ず入れてください。
4. 職場のカレンダーを同期する
同期できない場合は、週の初めに手で転記する時間を5分決めてください。
5. 他の入り口を捨てる
手帳をやめるなら、本当にやめる。残すと必ずそちらに書きます。
1本にしたあとのルール
ルールは3つだけです。
1. カレンダーに入っていない予定は、存在しないものとして扱う
これがいちばん大事です。「頭の中にある」は、入り口として認めません。
2. 予定が決まった瞬間に入れる
あとで入れるは、入れないと同じです。
病院の受付で、メッセージのやりとりの最中で、会話中で。その場で出してください。
3. 移動時間も入れる
14時の会議なら、13時20分から「移動」も入れます。
3つめは見落とされがちですが、遅刻を減らす効果が大きい一手です。
仕事とプライベートを分けたいとき
カレンダーそのものは分けず、色で分けてください。
分けてしまうと、「仕事のカレンダーには入っているが、私用のほうには何も入っていないので空いていると思った」というダブルブッキングが起きます。
1つの画面で全部見えることが大事です。
職場の都合で分けざるを得ない場合は、私用のカレンダーに「仕事」というブロックだけでも入れておいてください。中身は書かなくていいです。
タスクと予定を混ぜない
「資料を作る」はタスクであって、予定ではありません。
ただし、やる時間を決めたタスクは予定になります。
- 締め切りだけあるもの → タスクリストへ
- やる時間を決めたもの → カレンダーへブロックとして入れる
締め切りの管理は締め切り直前まで動けない人へにまとめました。
予定を細かくしすぎない
15分未満の予定を全部入れると、画面が真っ黒になって見えなくなります。短いものはタスクリスト側に置いてください。
予定が抜ける人へ/よくある崩れ方と対策
よくある崩れ方と対策
| 崩れ方 | 対策 |
|---|---|
| 通知が多すぎて全部無視する | 通知は本当に動く必要がある予定だけに絞る |
| 予定を入れるのが面倒でやめる | 音声入力を使う。「明日15時に歯医者」と言うだけで入ります |
| 予定が細かすぎて画面が埋まる | 15分未満の予定は入れない |
| 職場のカレンダーとずれる | 週1回、月曜の朝に照合する時間を5分取る |
| 入力を忘れる | その場で入れる。「あとで」を禁止する |
| 見るのを忘れる | 毎朝、決まった動作のあとに見る(コーヒーを淹れたら見る、など) |
毎日見る仕組みを作る
入れても見なければ意味がありません。
朝、決まった動作のあとに見る
「席についたら見る」「コーヒーを淹れたら見る」。動作とセットにすると忘れにくくなります。
ウィジェットをホーム画面に置く
スマホのホーム画面に今日の予定を表示させると、開かなくても目に入ります。
夜、明日の予定を見る
前の日の夜に明日を確認すると、持ち物の準備ができます。 くわしくは朝バタバタして何も進まない人へへ。
入れても、見なければ意味がありません。
- 朝、起きたら1回
- 夜、寝る前に1回(明日の予定を確認)
寝る前に見るのがいちばん効きます。準備ができます。
くわしくは朝バタバタして何も進まない人へへ。
入れ方のルールを3つだけ決める
道具より、入れ方で決まります。
1. 予定は「動作」で書く
「打ち合わせ」ではなく、「◯◯社と打ち合わせ(オンライン・Zoomリンクは本文)」。
見た瞬間に、何をどこでやるか分かる形にしてください。
2. 移動と準備も予定として入れる
- 移動時間
- 準備の時間
- 「この日は資料を作る」という作業の時間
空欄に見えると、そこに予定が入ります。 埋めておくのが防御になります。
3. 締切は「やる日」で入れる
「10月31日締切」ではなく、「10月25日に提出する」。
締切日に入れると、その日に忘れて終わります。
くわしくは締め切りをいつも守れない人へへ。
通知の設定
通知が多すぎると、全部無視するようになります。絞ってください。
- 前日の夜に1回(準備できます)
- 開始の30分前に1回(移動できます)
この2つで十分です。5分前の通知は、間に合いません。
通知の名前を動作にする
「打ち合わせ」ではなく「家を出る」。
鳴った瞬間に何をするか決まっていないと、止めて終わります。
共有する
家族と予定を共有すると、ダブルブッキングと言った言わないが減ります。
- 家族用のカレンダーを1つ作る
- 家族の予定も同じカレンダーで見る
- 子どもの学校行事も入れる
「言ったよね」の喧嘩が減るという効果もあります。
同居している人がいるなら、共有のカレンダーを作ると便利です。
- お互いの帰宅時間
- 子どもの行事
- 来客の予定
- ゴミの日
「言った」「聞いてない」が減ります。口頭のやりとりを減らせるのが最大の利点です。
予定が抜ける人へ/続かないとき
続かないとき
入れ忘れる
予定が決まった瞬間に入れるしかありません。「あとで」は来ません。
- 電話中でも、その場でスマホに入れる
- 紙で予定をもらったら、その場で入れてから紙をしまう
アプリを開くのが面倒
ホーム画面の1ページ目に置くか、ウィジェットで予定を表示してください。
開く手間がゼロになります。
紙の手帳を併用してもいい
「スマホだと見ない」という人は、紙を併用しても構いません。
ただし、予定の正本はどちらか一方に決めてください。両方に書くと、必ずずれます。
- 正本=スマホ、紙は「今週の予定を書き写すだけ」
- 正本=紙、スマホは通知用
役割を分ければ、二重管理になりません。
まず今日、これだけやってみる
- カレンダーを1つ決める(スマホの標準アプリでいい)
- いま頭の中にある予定を、全部そこに入れる
- 繰り返しの予定を3つだけ登録する(支払い、ゴミの日、定期通院など)
完璧に移行しなくていいです。 「頭の中を入り口にしない」だけで、抜けはかなり減ります。
入れ忘れをなくす
いちばんの問題は、予定が決まった瞬間に入れないことです。
- 電話中でも、その場でスマホに入れる
- 立ち話でも、その場で入れる
- 紙で予定をもらったら、入れてから紙をしまう
「予定を入れますね。少しお待ちください。」
一言添えれば、失礼になりません。 むしろ、きちんとした人に見えます。
音声で入れる
手が使えないとき、打つのが面倒なときは、音声で入れられます。
- 「明日15時に◯◯」と話しかけるだけ
- 運転中、歩いているとき、料理中でも入れられる
スマホのアシスタント機能を1回試してみてください。 使えると分かると、入れ忘れが減ります。
関連する困りごと
- 約束を忘れる → 約束を忘れて信用をなくす人へ
- 締め切りを落とす → 締め切りをいつも守れない人へ
- 予定を詰め込みすぎる → 予定を詰め込みすぎる人へ
- 会議に遅れる → 会議や約束の時間に間に合わない人へ
1本にまとめるだけで、抜けはかなり減ります。
- メモが機能しない → メモを取っても結局見返さない人へ
- 書類の期限を落とす → 書類の提出をいつも忘れる人へ
「あとで入れよう」は来ません。 その場で入れてください。
まとめ:カレンダー1本にする5つ
- 見る場所を1つに決める(スマホか紙か)
- 予定が決まった瞬間に、その場で入れる
- 移動と準備も予定として入れる
- 通知は前日の夜と、開始30分前の2つ
- 朝と夜に1回ずつ見る
2番ができれば、抜けはほとんどなくなります。
よくある質問
紙とスマホ、どちらがいい?
続くほうが正解です。 ただし、正本はどちらか一方に決めてください。両方に書くと必ずずれます。
予定が多すぎて見づらい
色で分けてください(仕事=青、私用=緑、家族=オレンジ)。
終わった予定は消さなくていいです。記録として残ります。
家族と共有すると見られたくない予定も出ませんか
共有用のカレンダーを別に作って、そこに入れた予定だけ共有できます。個人の予定は非公開のまま保てます。
予定を入れる時間がありません
音声で入れられます。 「明日15時に◯◯」と話しかけるだけです。
運転中、歩いているとき、料理中でも入れられます。1回試してみてください。
通知が多すぎて無視してしまいます
2つに減らしてください。 前日の夜と、開始30分前。それ以外は切ります。
通知が多いほど、鳴っても反応しなくなります。
この記事について
ADHDのある大人は、「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいことが実験で確かめられています。頭の中に予定を置いておくのが難しいのは、この力に頼る方法だからです。
成人ADHDに対して、時間の使い方や整理・計画のスキルを練習する方法を調べた研究では、うっかりしやすさの改善が報告されています。整理と計画は、大人のADHDに対する心理的な治療が扱う分野のひとつでもあります。
予定管理は、性格ではなく工夫と練習の対象として扱われている、ということです。
そのうえで、「カレンダーを1本にする」「移動時間も入れる」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。 どのアプリがよいかを比べた研究もありません。
予定が守れないことで生活や仕事がつらい状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
手帳とスマホとメモアプリを併用している人ほど、予定が漏れます。管理する場所を増やすほど、管理は失敗します。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDにおける「あとでやることを覚えておく力」の困難
(原題:Complex Prospective Memory in Adults with Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
この研究でわかっていること:予定や約束を忘れるのは記憶の使い方の問題で、意欲の問題ではないと説明できます。
ここはまだ分かっていません:リマインダーなど外部化の道具そのものの効果はまだ調べられていません。
研究で検討成人ADHDに対するメタ認知療法の効果
(原題:Efficacy of Meta-Cognitive Therapy for Adult ADHD)
この研究でわかっていること:時間管理・整理・計画のスキルの練習が成人ADHDのうっかりしやすさを減らしうると言えます。
ここはまだ分かっていません:個々の道具(付箋・アプリ等)単独の効果を調べたものではありません。
研究で検討大人の注意欠如多動症の認知行動療法(考え方と行動を整える心理的な治療)
この研究でわかっていること:整理・計画・先延ばしを「性格」ではなく介入対象として扱う枠組みを示せます。
ここはまだ分かっていません:レビューであり、個々の生活術の効果量を示すものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。