大学の授業・レポートがつらい人へ|学生支援の使い方
— 成績が落ちきる前に、学内の窓口に予約を入れます
ポイント
- 大学の支援は自分から申し出て、話し合って決まります。黙っていると始まりません
- 何をどこまで頼めるかは大学ごとに違うので、まず窓口で今の困りごとを話します
- 単位を落としてからでも手はあります。休学や再履修も相談の材料になります
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大学に入ってから、何かがおかしいと感じている。高校まではなんとかなっていたのに、レポートの締め切りが近づくたびに手が止まる。
授業には出ています。それなのに、終わったあとに頭にも手元にも何も残っていない。履修登録の画面を開いては閉じる日が何日も続く。出席は足りているのに、提出物だけが出せない。気づいたら単位が落ちていて、次の学期はもっと重くなっている。
先に結論を書きます。大学の支援は、自分から言わないと始まりません。 そして、成績が落ちきる前のほうが、打てる手はずっと多いです。
もうひとつ先に書いておきます。何をどこまで頼めるかは、大学によって違います。 ここに書くのは、多くの大学に共通する考え方と流れです。あなたの大学での答えを持っているのは、学内の窓口です。
高校と大学で、何が変わったのか
つまずいたのは、頭が悪くなったからではありません。求められることの形が、入学した日に切り替わったからです。
高校までは、時間割も提出物の期限も、学校の側が決めてくれていました。次に何をすればいいかは、まわりを見ていれば分かった。大学では、その足場がまとめてなくなります。
変わったのは、おもに次の4つです。
- 時間割を自分で組む — しかも卒業までの見通しをつけて組む必要がある
- 締め切りが遠い — 3週間先の課題には、今日から始める理由が見あたらない
- 連絡が文章で1回だけ来る — 掲示やシラバスに書いてあるだけで、口では言われない
- 聞くだけの時間が長い — 90分ずっと話を聞き、手元には何も残らない
どれも、段取りと記憶をひとりで背負う形です。そこが苦手な人は、やる気の量と関係なく詰まります。なまけているわけではありません。
大学での配慮の決め方を扱った国内の論文では、学生が申し出て、状況を確かめて、話し合って決めるという順で進むことが説明されています。裏を返すと、大学の側から困っている人を見つけに来てくれる仕組みではない、ということです。
【いちばん効く1つ】単位を落とす前に、窓口に予約を入れる
やることは1つです。「このままだと落としそうだ」と思った時点で、学内の相談窓口に予約のメールを送ってください。
理由は単純です。学期が終わってから動くと、残る選択肢が「来年もう一度取る」しかなくなるからです。学期の途中なら、提出の形を変える、履修を減らす、代わりの課題を相談する、といった手がまだ残っています。
メールは長く書かなくていいです。
「〇年の〇〇です。授業の課題が出せずに困っています。相談の時間をいただけますか。」
これで通ります。診断がなくても、何を頼みたいか決まっていなくても、予約はできます。 何が起きているかを整理するのは、窓口の人の仕事です。
大学の授業・レポートがつらい人へ/窓口は大学によって名前が違う
窓口は大学によって名前が違う
探すときにつまずきやすいのが、名前です。同じような役割の部署が、大学ごとに違う看板を出しています。
- 障害学生支援室、アクセシビリティ支援室
- 学生相談室、学生支援センター
- 保健管理センター、健康支援センター
- 学生課、教務課(履修や試験の手続きはここが窓口です)
どこに行けばいいか分からないときは、学生課で「授業のことで相談できるのはどこですか」と聞くのが早いです。 一度で正解にたどり着かなくても、動いた記録は残ります。
大学のサイトで「支援」「配慮」と検索するのも手です。申し出の用紙や、相談から決定までの流れを載せている大学もあります。
相談すると、何が決まるのか
窓口で話しても、その場で「これをします」と即決するわけではありません。困っている場面を聞き取り、授業を担当する先生と調整して、できる形を探すという流れになります。
よく相談される内容を並べます。ここにあるものが必ず通るわけではありません。 授業の性質と大学の体制によって変わります。
授業について
- 講義を録音する許可をもらう
- スライドや資料を、授業の前か後にデータでもらう
- 座席を決めてもらう(前のほう、出入口の近くなど)
- グループワークの組み方や役割を、先に相談しておく
課題とレポートについて
- 提出の期限を相談する
- 指示を、口頭ではなく文章でもらう
- 求められている形式の見本を見せてもらう
試験について
- 試験の時間を延ばす
- 別の部屋で受ける
- 解答のしかたを変える
学生生活について
- 履修の組み方を一緒に考える
- 実習や実験の進め方を相談する
- 体調が崩れたときの連絡先を決めておく
これらは「頼めば必ず出てくるメニュー」ではなく、話し合いを始めるための材料です。国は事業者に対して、重すぎる負担にならない範囲で調整するよう求めています(内閣府の公開情報)。ただし、何が重すぎる負担にあたるかは、事情によって判断が分かれます。
講義が頭に残らないときの手当て
90分の話を聞き続けて、あとから何も思い出せない。これは記憶力の問題というより、入ってきた話をその場で整理し続けるのが重いために起きます。
対策の方向は2つです。あとで見返せる形を作ることと、その場で完璧に理解しようとするのをやめることです。
- 資料を先に開いておく。スライドが配られている授業なら、そこに直接メモを足す形にすると、書く量が減ります
- 言葉ではなく場所を残す。「今日の話は資料の12ページから」とだけ書いておけば、あとで戻れます
- 分からなかった時刻を残す。録音が許可されているなら、「35分ごろが分からなかった」と1行残すだけで復習が短くなります
- 質問はその場でしなくていい。授業のあとにメールで送るほうが、落ち着いて書けます
すべてを書き取ろうとすると、聞くほうが止まります。 残すのは、あとで自分が戻れる目印だけで十分です。
録音は、無断でしないでください。先生に一言ことわるか、窓口を通して確認してから使ってください。
大学の授業・レポートがつらい人へ/レポートが出せないときの進め方
レポートが出せないときの進め方
レポートが書けない原因は、文章力ではないことがほとんどです。始められない、終われない、出せない。 どれで止まっているかで、手当てが変わります。
始められないときは、書く前の作業を分けてしまうのが早いです。
- 課題の指示を、そのままコピーしてファイルの先頭に貼る
- 求められている「問い」だけを1行に書き直す
- 使えそうな資料を3つ集める(読まなくていい。並べるだけ)
- 見出しだけを4つ書く
- いちばん書けそうな見出しの下に、3行だけ書く
1日1つでかまいません。 最初から通しで書こうとすると、いつまでも始まりません。
終われないときは、完成の基準を先に決めます。 「文字数を満たす」「引用を3つ入れる」「誤字を1回だけ見直す」。この3つを満たしたら出す、と決めておく。満点を目指すと、提出そのものが消えます。
出せないときは、提出の手順のほうを疑ってください。締め切りの日ではなく、提出する時刻を予定に入れると抜けにくくなります。提出システムの操作でつまずいているなら、それは窓口で言っていい内容です。
締め切りを1か所に集める
大学がつらくなる大きな理由に、締め切りの置き場所がばらばらなことがあります。授業支援システムの中、掲示板、メール、口頭の連絡。どこかにあるのは分かっていても、全部は見に行けません。
やることは1つです。どこで見つけた締め切りも、必ず同じ1か所に書き写す。 カレンダーでもメモアプリでもかまいません。大事なのは、場所を増やさないことです。
書き写すときは、次の3つだけ入れてください。
- 科目名
- 提出物の名前
- 出す日と時刻(「23時59分まで」のように、時刻まで書く)
そして、提出日の3日前にも同じ予定を入れておきます。 当日に思い出しても間に合わないものが多いからです。
週に1回、決まった曜日に見直す時間を10分だけ取ると、抜けがかなり減ります。毎日確認しようとすると続きません。
卒業までを組み立て直す
単位を落としても、卒業できなくなるわけではありません。残りをどう並べるかの問題に変わるだけです。
学期のはじめに、次の3つを確認しておいてください。
- 卒業に必要な単位と、いま取れている単位の差(教務課で確認できます)
- 必修科目が、次にいつ開かれるか(年に1回しかない科目は落とすと痛いです)
- 1学期に入れられる上限
そのうえで、取りすぎないことをおすすめします。全部に手が回らず全部が中途半端になるより、数を減らして確実に取るほうが、結果として早く進みます。
朝の1限を続けて入れる時間割は、起きられない人にとっては地雷です。自分が実際に動ける時間帯で組んでください。 理想の時間割ではなく、現実に出席できる時間割が正解です。
休学や、卒業を1年延ばす選択も、失敗ではありません。制度として用意されている手続きです。学費や奨学金の扱いが変わるので、決める前に学生課で条件を聞いてください。
よくある質問
診断がないと相談できませんか
相談そのものは、診断がなくてもできます。 ただし、授業のやり方を変える配慮を求める場合には、診断書などの資料を求められることがあります。何が必要かは大学によって違うので、窓口で確認してください。
診断を受けるかどうか迷っている段階でも、話を聞いてもらえます。学内の保健センターから、外の医療機関を案内してもらえることもあります。
親に知られたくありません
大学は、あなたが成人であることを前提に対応します。相談した内容が自動的に家に伝わるわけではありません。 ただし、休学や退学のように学費に関わる手続きでは、保護者への連絡が前提になっている大学もあります。
心配なら、最初の相談のときに「家には伝わりますか」と確かめておいてください。先に聞いておけば、話す範囲を自分で選べます。
先生に直接お願いしてもいいですか
かまいません。ただ、窓口を通したほうが記録が残り、次の学期にも引き継がれます。 先生が変わるたびに一から説明し直すのは消耗します。
グループワークがつらいです
役割を決めずに始まる話し合いが、いちばんきついです。最初に「自分は資料をまとめる係をやります」と先に取ってしまうと、その場で話し続けなくて済みます。
必修でどうしても避けられないときは、窓口に相談してください。組み方を先生に伝えてもらえることがあります。
実習や卒業論文が進みません
期間が長く、指示が細かくない課題は、いちばん詰まりやすい形です。指導の先生と、次に会う日を先に決めてください。 会う日が決まっていると、そこまでの分だけ進みます。
進んでいないことを言いにくいときは、「ここまでできて、ここで止まっています」と2行で伝えれば足ります。止まっていること自体は、報告してよい内容です。
もう単位を落としてしまいました
落としたあとでも相談できます。次の学期をどう組むかが相談の中身に変わるだけです。同じことをくり返さないために、どこで止まったのかを話してください。
関連する困りごと
- 資料や論文が読めない → 長い文章が読めない人へ
- 締め切りが守れない → 締め切りが守れない人へ
- 提出物を出し忘れる → 提出物・書類を出し忘れる人へ
- 配慮の頼み方を知りたい → 職場に「これがつらい」と言えない人へ
まず今日、これだけやってみる
- 大学のサイトで「障害学生支援」「学生相談」と検索して、窓口の名前とメールアドレスを控える
- いま危ない科目を1つだけ書き出す
- 窓口に2行のメールを送る(学年と名前、困っている場面だけでいいです)
この記事について
大学での配慮が申し出・状況の確認・話し合いという順で決まることは、国内の論文で解説されています。これは大学を対象にした知見です。職場は制度も立場の差も違うため、そのままは当てはめられません。
事業者に調整の義務があることと、重すぎる負担のときは例外になることは、内閣府の公開情報にあります。ただし、どこからが重すぎる負担かは事案ごとに判断が分かれます。
この記事に書いたレポートの進め方や時間割の組み方は、研究で効果を確かめられたものではありません。 大学ごとの制度の差も大きいので、最終的な答えは学内の窓口で確かめてください。
うまくいかない状態が続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
「これくらいで相談していいのかな」と迷っているうちに、期末が来るんですよね。窓口の人からすると、落とす前に来てもらえたほうが、動かせるものがずっと多いんです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
- 専門家・公的情報
- 厚生労働省などの公的な機関や、専門家が出している情報をもとにしています。
研究で検討神経発達障害の大学生に対する合理的配慮(働きやすくするための調整)
この研究でわかっていること:「申し出 → 対話 → 決定」という配慮の手続きの型を示せます。
ここはまだ分かっていません:大学での知見。職場は制度も力関係も違うため、そのままは当てはめられません。
専門家・公的情報障害を理由とする差別の解消の推進
この研究でわかっていること:合理的配慮(働きやすくするための調整)を求める法的な土台を示せます。
ここはまだ分かっていません:どこまでが「重すぎる負担」にあたるかは、事情によって判断が分かれます。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。