比較しすぎて決められない人へ|スマホプランも保険も
— いちばん得な答えを探すのをやめると、決まります
ポイント
- 候補が増えるほど比べる回数は急に増えます。まず候補のほうを減らします
- いちばん得なものではなく、これなら合格という線を先に3つ書きます
- 決めたあとは調べません。見直す日を決めて、その日まで開かないようにします
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スマホのプランを見直そうと思ったのが、3週間前。比較サイトを5つ見て、表まで作りました。でも、契約はまだ変わっていません。
保険も同じです。見積もりを3社から取って、封筒が机の上に積まれたまま半年たちました。
調べる時間はちゃんと使っているのに、決まらない。そのうち「まだ決めていない自分」のほうがしんどくなってきます。
これは、優柔不断ではありません。比べ方の設計の問題です。
決められないことを、性格の弱さのように言われることがあります。そうではありません。選択肢が増えるように作られている場面で、増えたぶんを一人で処理しようとしているだけです。処理の量を減らせば、決まります。
先に結論を書きます。いちばん得なものを探すのをやめて、これなら合格という線を先に3つ書く。あとは、その線を最初に超えたものに決めます。ほとんどの比較は、それで30分あれば終わります。
なぜ比べるほど決まらなくなるのか
比べる回数は、思っているより速く増える
候補が3つなら、比べる組み合わせは3通りです。5つなら10通り、10個なら45通りになります。候補が増えた分だけ増えるのではなく、もっと急な増え方をします。
しかも、見る項目も増えていきます。料金、通信量、解約金、家族割、店舗があるかどうか。項目が5つあれば、候補10個で225回ぶんの比べ物です。
これを頭の中でやり切るのは無理があります。 途中で分からなくなるのは、当たり前の反応です。
「最高」を探す設定になっている
決められない人の多くは、探し方が「合格を探す」ではなく「最高を探す」になっています。
最高を探すやり方には、終わりがありません。どこまで調べても「まだ見ていないものがあるかも」が残るからです。しかも決めたあとにも「もっといいのがあったのでは」が残ります。
合格を探すやり方は逆です。線を先に引いて、超えた時点で終わります。終わりが最初から決まっているところが、いちばんの違いです。
「決めない」も、選んだことになっている
決まらないまま置いておくのは、何も選んでいないように見えて、実際には「今のまま」を選んでいます。
お金の使い方については、あとの大きい得よりも、いまの小さい得を選びやすい傾向がある、という研究があります。手続きの面倒くささを避けるのが「いまの小さい得」で、月々の支払いが軽くなるのが「あとの大きい得」です。放っておくと、前者が勝ちます。
高いままのプランを1年払い続けたぶんは、決めなかったことの代金です。
夜に決めようとしている
比較を始めるのは、たいてい一日の終わりです。仕事が終わって、家事が終わって、やっと座った時間。ここは頭の力がいちばん残っていない時間帯でもあります。
疲れているときは、「決めない」がいちばん楽な選択肢に見えます。だから調べるところまでは進むのに、最後の一手だけが毎回残ります。
調べるのは夜でもいいので、決めるのは休みの日の午前に置いてください。 これだけで決着がつくことがあります。
【いちばん効く1つ】合格ラインを3つだけ先に書く
比べ始める前に、紙かメモアプリに3行だけ書いてください。
・月5,000円以下 ・今の電話番号のまま使える ・店舗がなくてもいい
これが合格ラインです。3つ全部を満たすものが出てきたら、そこで終わりにします。 4つめの候補を見に行きません。
3つに絞るのには理由があります。条件を4つ5つと足していくと、条件どうしがぶつかって「全部を満たすものは存在しない」状態になりやすいからです。そうなると、また比較が始まります。
書くときのコツは2つです。
- 数字で書く(「安い」ではなく「月5,000円以下」)
- 譲れる条件は入れない(「あったらうれしい」は合格ラインではありません)
「あったらうれしい」は、別の行に分けて書いてください。同点になったときの決め手として、あとで使います。
比較しすぎて決められない人へ/決めるまでの5ステップ
決めるまでの5ステップ
合格ラインが書けたら、あとは作業です。
- 決める日時を先にカレンダーに入れる(例:木曜の21時から30分)
- 合格ラインを3つ書く
- 候補を3つまでに減らす(減らし方は次に書きます)
- 3つを表にする。列は合格ラインの3つだけ。ほかの情報は書かない
- 上から順に見て、3つとも満たした最初のものに決める
大事なのは4番です。表に口コミの点数やデザインの好みまで書き込むと、そこからまた比べ物が始まります。表に置いていい列は、自分で決めた3つだけです。
3つとも満たすものが1つも出てこなければ、合格ラインが厳しすぎます。いちばん譲れるものを1つゆるめて、もう一度やってください。
候補を3つに減らすやり方
比較でくたびれる人は、たいてい候補を減らす前に比べ始めています。順番が逆です。
- 検索結果やランキングの上から3つを、そのまま候補にする
- 詳しい人に「3つだけ挙げて」と頼む(「おすすめは」と聞くと候補が増えます)
- 開かない条件を1つ作る(例:解約金があるものは開かない)
- 今使っているものを、候補の1つとして残す(今のままも立派な選択肢です)
上から3つでいいのか、と思うかもしれません。ここで効いてくるのは、候補の質より、比べる回数の少なさです。上位のものはたいてい合格ラインを超えます。超えなければ、次の3つを見ればいいだけです。
調べる時間に、先に上限をつける
合格ラインを決めても、調べ始めると時間がふくらみます。だから、時間の側にも先に線を引きます。
- タイマーを30分にセットしてから、比較サイトを開く
- 見る場所を1か所に決める(比較サイトを何個も回らない)
- 鳴ったら、そこまでに集めた情報だけで決める
- どうしても決まらなければ、もう1回だけ30分。それで終わりにする
「情報が足りないから決められない」と感じるときは、たいてい情報が足りないのではなく、情報が多すぎて並べ切れていない状態です。追加で調べるより、メモに3行で書き出すほうが早く進みます。
調べたことは、そのつどメモに1行で残してください。頭の中に置いておくと、同じことを何度も調べ直すことになります。
比較しすぎて決められない人へ/決めたあとに調べないための仕組み
決めたあとに調べないための仕組み
契約した直後に検索して「もっと安いのがあった」と落ち込む。これが、比較でいちばん消耗する場面です。
- 開いていたタブとブックマークを、決めた日のうちに全部消す
- 比較サイトからのメール通知を切る
- 決めたことを声に出して誰かに言う(家族でも、メモアプリの日記でもかまいません)
- 見直す日を1年後のカレンダーに入れる。その日まで開かないと決める
差額を計算してみるのも効きます。月200円の差なら、1年で2,400円です。そこに3時間かけたなら、時給800円の作業をしたことになります。比べている時間のほうにも値段がついていると考えると、線を引きやすくなります。
それでも見てしまったときは、乗り換えにかかる手間と時間を先に数えてください。手続きに1時間かかるなら、差額が年に1,000円では割に合いません。見直す日まで待つという判断も、ちゃんとした判断です。
それでも決まらないときの逃がし方
「戻せるかどうか」で時間の配分を変える
- 戻せるもの(スマホプラン、サブスク、日用品)は早く決めて、合わなければあとで直す
- 戻しにくいもの(住まい、車、大きな契約)は、時間をかけていい
決められないもの全部に同じだけ時間をかけているなら、そこがしんどさの原因です。
差が小さいときは、決め方を外に預ける
合格ラインを全部満たす候補が2つ残ったなら、それはどちらでも合格という意味です。コインを投げても、五十音順で先に来るほうでも構いません。ここで悩んだ時間は、そのまま持ち出しになります。
人に決めてもらう
「AとB、どっちがいいと思う」ではなく、「この3つの条件なら、AとBのどっち」と聞いてください。条件を先に渡すと、相手も答えやすくなります。
場面別|よく詰まる比較
スマホのプラン
合格ラインの例は、月の上限額、使うデータ量、今の番号のまま使えるかの3つです。データ量は、直近3か月のうち、いちばん多かった月に合わせておくと迷いません。
保険
「必要かどうか」と「どこの会社にするか」を、分けて考えてください。先に決めるのは、かけられる金額の上限と、何が起きたときのためのお金かの2つです。ここが決まらないまま商品を比べても、終わりが来ません。判断に迷うときは契約を急がず、商品を売っていない相談先を先に探すほうが安全です。
家電・パソコン
置ける大きさ、予算の上限、必ず使う機能を1つ。この3つで候補はかなり減ります。買い替えなら、今使っているものも候補に残しておくと、決めやすくなります。
部屋探し
条件がふくらみやすい場面です。家賃の上限、通勤時間の上限、譲れない設備を1つ。内見は3件までと先に決めておくと、体力が最後まで持ちます。
電気・ガス・ネット回線
似た名前のプランが並んでいて、条件も複雑になりがちな分野です。合格ラインは、月の上限額と、解約するときにお金がかかるかどうかの2つで足ります。
解約金がかかるものを候補から外すと、あとで乗り換え直せるので、決めるときの怖さが減ります。今より高くなければ合格、くらいの線でも十分です。
日用品や食べ物
ここは毎回決めないのが正解です。合うものが見つかったら、同じものを買い続けます。安いものを探し直すのは、半年に1回でも遅くありません。
よくある質問
適当に決めて、損をしたらどうするんですか
合格ラインを自分で決めているので、適当ではありません。「3つの条件を満たしている」という保証つきの選択です。
そのうえで、損の大きさを見ておくと安心できます。月に数百円の差なら、決めるのが1か月遅れるほうが高くつくこともあります。損の額を先に数字にしてしまうと、怖さが小さくなります。
家族と一緒に決めるときは
条件を出す人と、候補を集める人を分けると早いです。先に3人で合格ラインを3つ決めてしまい、候補集めは1人が担当します。 全員で全部の候補を見ると、比べる回数が人数分に増えます。
意見が割れたときは、割れている条件を1つに絞って、そこだけ話してください。
調べるのが好きなので、やめたくありません
やめる必要はありません。困っているのは「調べること」ではなく「終われないこと」のはずです。
決める日を先に置いて、その日までは好きなだけ調べる。この形なら、楽しみは残ります。
関連する困りごと
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まず今日、これだけやってみる
- 決めきれずに残っている比較を、1つだけ選んで紙に書く
- その下に、合格ラインを3行だけ書く
- 決める日時を、3日以内でカレンダーに入れる
3つとも5分で終わります。比べるのは、その日が来てからで十分です。
この記事について
ここに書いたのは、比べることでくたびれないための手順です。何を契約すべきかという助言ではありません。
お金の使い方について、あとの大きい得よりいまの小さい得を選びやすい傾向があることは、成人のADHDの特徴とお金の使い方の関連を調べた研究で報告されています。ただしこれは本人が答えたアンケートをもとにした小さな規模の分析で、合格ラインで決めるやり方そのものの効果を確かめた研究ではありません。この記事の手順は、比べる回数を減らすという仕組みの面から組み立てたもので、うまくいくことを保証するものではありません。合わないと感じたら、途中でやめて構いません。
料金プランや保険の条件は、しょっちゅう変わります。具体的な商品を選ぶときは、提供元が出している最新の案内を確認してください。
困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
3時間かけて選んだプランと、10分で選んだプラン。差は月に200円だったりするんですよね。比べている時間のほうが、たぶん高くついています。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討ADHDと、目先の得を選びやすい傾向、そしてリスクの高いお金の使い方
(原題:Attention-deficit/hyperactivity disorder, delay discounting, and risky financial behaviors)
この研究でわかっていること:「あとの大きい得より、いまの小さい得」を選びやすい傾向を説明できます。
ここはまだ分かっていません:本人が答えたアンケートをもとにした、小さな規模の分析です。家計術の効果を示すものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。