支払いを忘れて延滞してしまう人へ|自動化で防ぐ
— 覚えておくのをやめて、機械に払わせます
ポイント
- 支払い忘れは記憶の問題です。覚えておく前提をやめてください
- 自動引き落としにできるものは、全部自動にします
- 紙の納付書がいちばん危ない。届いたその日に処理する形を作ります
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カードの引き落としで残高が足りなかった。家賃を払い忘れて連絡が来た。税金の納付書が、気づいたら期限を過ぎていた。
支払い忘れは、記憶の問題です。
ADHDのある大人は「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいという研究があります。金額が大きくても、大事でも、忘れるときは忘れます。
だから、覚えておく前提をやめます。
自動にできるものを全部自動にする
支払い方法を選べるものは、全部、自動引き落としかクレジットカード払いにしてください。
| 対象 | 手続き先 |
|---|---|
| 電気・ガス・水道 | 各社のサイトかコールセンター |
| 携帯・ネット | 契約している会社 |
| 家賃 | 管理会社・大家 |
| 保険 | 保険会社 |
| 税金(住民税、自動車税など) | 自治体(口座振替の申込書) |
| 国民年金・国民健康保険 | 自治体・年金事務所 |
| 奨学金の返済 | 貸与元 |
| サブスク | 各サービス |
一度手続きすれば、以後ずっと効きます。 1時間の作業で、毎月の心配が消えます。
ただし、残高を切らさない
自動にしても、口座にお金がなければ落ちません。 そして落ちなかったことに気づかないと、延滞になります。
引き落とし専用の口座を作って、1か月分の余裕を持たせてください。やり方は給料日前にいつもお金がない人へへ。
紙の納付書がいちばん危ない
自動にできないものの代表が、紙で届く納付書です。
- 住民税
- 自動車税
- 固定資産税
- 国民健康保険
これは「届く → 置いておく → 忘れる」の典型パターンです。
対策1:届いたその日に払う
コンビニでもスマホ決済でも払えます。封を開けたその場でスマホで払うのがいちばん確実です。
対策2:口座振替に切り替える
多くの自治体で、口座振替の申込ができます。次の年から、紙が来なくなります。
来年の自分を助けるために、今年のうちに申し込んでおいてください。
対策3:届いたら決まった場所に置く
すぐ払えないなら、「支払い待ち」の場所を1か所作って、そこにだけ置きます。
くわしくは提出物や手続きを忘れてしまう人へへ。
通知を作る
自動にできないものは、通知でカバーします。
カレンダーに繰り返し予定を入れる
- 「毎月◯日 家賃の残高確認」
- 「毎年5月 自動車税」
- 「毎年6月 住民税の通知が届く」
年に1回のものほど忘れます。 必ず入れてください。
通知は「払える時刻」に
通勤中に通知が来ても払えません。家にいる時間か、昼休みに設定してください。
前倒しで通知する
期限当日に通知しても間に合いません。3日前に設定してください。
延滞してしまったとき
すぐ払う
延滞金は日割りで増えます。気づいた瞬間に払ってください。
連絡する
払えないなら、先に連絡するほうがずっといいです。
- 家賃 → 管理会社に「◯日に払います」と連絡
- 税金 → 自治体の窓口に相談(分割にできることがあります)
- 公共料金 → 止まる前に連絡すれば、待ってもらえることがあります
放置がいちばん悪い結果になります。 連絡すれば、たいてい選択肢が出てきます。
記録に残るものに注意する
カードやローンの延滞は、信用情報に記録されることがあります。 将来のローンや契約に影響します。
「うっかり」で済まないものがあるので、カードの引き落としだけは特に気をつけてください。
お金が足りなくて払えないとき
忘れているのではなく、払えないのなら、話が別です。
- 自治体の窓口に相談する(分割、猶予、減免の制度があります)
- 保険料や税金は、相談すれば待ってもらえることがあります
- 生活が立ち行かないなら、生活支援の窓口へ
「払えないので放置」がいちばん状況を悪くします。 相談すれば、選択肢が出てきます。
引き落としに変える
支払い忘れを根本から消す方法は、自分が手を動かさなくていい形にすることです。
口座振替・クレジットカード払いにする
- 電気・ガス・水道
- 携帯・ネット
- 保険
- 税金(自動車税、住民税なども対応していることがあります)
「払いに行く」という行動をなくす。 これがいちばん確実です。
手続きは、各社のサイトか、届く用紙に書いてあります。1回やれば、二度と忘れません。
引き落とし日を給料日の直後にそろえる
多くの会社で、引き落とし日を選べます。給料日の2〜3日後にそろえると、残高不足で落ちない事故が減ります。
複数のカードや口座を使っていると、いつ何が落ちるか分からなくなります。
- カードを1枚に絞る
- 引き落とし口座を1つにする
- 可能なら、引き落とし日を揃える
管理する対象が減るほど、失敗が減ります。
支払いを忘れて延滞してしまう人へ/残高不足を防ぐ
残高不足を防ぐ
引き落としにしても、口座にお金がなければ落ちません。
引き落とし専用の口座を作る
生活費と混ぜないでください。引き落とし分だけを入れる口座を1つ用意します。
給料が入ったら、1か月分の固定費をそこに移す(自動送金にすると手間ゼロ)。
くわしくは口座を分けるだけでお金が貯まるへ。
残高を通知する設定にする
多くの銀行アプリに、残高が一定額を下回ったら通知する機能があります。
無料です。設定しておいてください。
引き落としにできないもの
役所の手続きや、一部の請求は、自分で払う必要があります。
届いたその日に払う
「あとで」にすると、紙が行方不明になります。
- コンビニでその日に払う
- スマホ決済のバーコード払いを使う(家から出ずに払えます)
払えないなら、1か所に集める
すぐ払えない請求書は、「未払い」の箱に入れて、玄関に置いてください。
出かけるときに目に入ります。
期限をカレンダーに入れる
締切日ではなく、「払う日」を締切の3日前に入れてください。
忘れたときの対応
気づいたらすぐ払う
遅れても、ほとんどの場合は払えます。 放置するのがいちばん悪い結果になります。
コンビニの期限が切れていても、発行元に連絡すれば再発行してもらえます。
止まってしまったとき
電気・ガス・水道が止まっても、払えば再開します。 連絡すれば、その日のうちに復旧することもあります。
恥ずかしがらずに電話してください。よくあることとして対応してくれます。
携帯が止まったとき
支払い後、数時間で復旧することが多いです。Wi-Fiがあれば、アプリから払えます。
払えないときは相談する
お金がなくて払えないなら、忘れているのとは別の問題です。
- 電気・ガス・水道は、支払いを待ってもらえる制度があります
- 税金や保険料も、分割や猶予の相談ができます
- 自治体の生活相談窓口
連絡すれば、たいてい何か手段があります。 黙って止まるのがいちばん損です。
まず今週、これだけやってみる
- 自動引き落としにできるものを、1つだけ手続きする(いちばん忘れがちなものから)
- 年に1回の支払い(税金など)を、カレンダーに繰り返し予定で入れる
- 引き落とし用の口座に、1か月分の余裕を作る
全部を一度にやらなくていいです。 1つ自動にするだけで、心配が1つ減ります。
引き落とし日を1日にそろえる
複数の日にバラバラに落ちると、残高が読めません。
多くの会社で、引き落とし日を選べます。
- 給料日の2〜3日後にそろえる
- 「毎月27日に全部落ちる」状態にする
そろえるだけで、残高不足の事故がかなり減ります。
手続きは各社のサイトか、届く用紙に書いてあります。1回やれば、ずっと効きます。
支払いを忘れて延滞してしまう人へ/払い方の選択肢を知っておく
払い方の選択肢を知っておく
「払いに行く」のがつらい人向けに、家から払える方法があります。
| 方法 | できること |
|---|---|
| スマホ決済のバーコード払い | 納付書のバーコードを読むだけ |
| クレジットカード納付 | 税金にも使えることがあります(手数料あり) |
| ネットバンキング(ペイジー) | 番号を入力して払う |
| 口座振替 | 何もしなくても落ちる |
外に出なくても払えます。 どれが使えるかは、納付書の裏に書いてあります。
家族の分もある場合
自分の分と家族の分を混ぜると、必ず抜けます。
- 人ごとに封筒やクリアファイルを分ける
- 誰が払うかを先に決めておく
- 共有のカレンダーに入れる
「どっちが払うと思っていた」が、いちばんよくある事故です。
責めなくていい
支払い忘れは、意志の問題ではありません。手作業が残っているから起きます。
自動にできるものを自動にすれば、忘れようがなくなります。
1つずつ自動に切り替えてください。 全部を一度にやろうとすると、始められません。
契約を減らす
支払い先が多いほど、忘れます。そもそも減らせないか見てください。
- 使っていないサブスクを解約する
- 保険が重複していないか見る
- 使っていないカードを解約する
- 携帯を格安プランにする
支払い先が5つ減れば、忘れる機会も5つ減ります。
くわしくはサブスクを解約できない人へへ。
明細をまとめて見る
支払いをカード1枚にまとめると、明細を見るだけで全部把握できます。
- 何にいくら払っているか分かる
- 変な引き落としに気づける
- 記録をつけなくていい
月に1回、給料日の翌日に5分だけ見てください。それで十分です。
くわしくは家計簿が続かない人へへ。
止められてしまったときの実務
慌てなくて大丈夫です。払えば戻ります。
| 止まったもの | だいたいの復旧 |
|---|---|
| 電気・ガス・水道 | 払って連絡すれば、当日〜翌日 |
| 携帯 | 払ってから数時間 |
| ネット回線 | 払ってから当日〜数日 |
恥ずかしがらずに電話してください。 窓口では、よくあることとして対応してくれます。
Wi-Fiがあれば、携帯が止まってもアプリから払えます。
まとめ:忘れないための5つ
- 口座振替かカード払いに切り替える
- 引き落とし日を給料日の直後にそろえる
- 引き落とし専用の口座を作って、自動送金する
- 残高が減ったら通知が来る設定にする
- 紙の納付書は、届いたその日に払う
1番だけでも、かなり減ります。
関連する困りごと
支払いの困りごとは、お金まわりの他の記事ともつながっています。
- お金が残らない → お金の管理ができない人へ
- 記録が続かない → 家計簿が続かない人へ
- 口座を分けたい → 口座を分けるだけでお金が貯まる
- サブスクが多い → サブスクを解約できない人へ
- 紙が行方不明になる → 書類の山が片づかない人へ
自動にできるところから、1つずつ切り替えてください。
この記事について
ADHDのある大人は、「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいことが実験で確かめられています。支払い忘れを記憶の問題として扱うのは、筋が通っています。
また、「もし〜したら〜する」と先に決めておく方法は、目標を達成しやすくすると報告されています。「納付書が届いたらその場で払う」は、この考え方です。
ADHDの特性がある人は「あとで手に入る大きい得」より「いま手に入る小さい得」を選びやすい傾向があるという報告もあります(本人の回答をもとにした、まだ小さな規模の研究です)。
そのうえで、ここに書いた具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。
支払いが滞って生活が立ち行かない状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
延滞の督促が来たときの、あの心臓が冷える感じ。あれを何回もやるくらいなら、最初に1時間かけて自動化したほうがずっとラクです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDにおける「あとでやることを覚えておく力」の困難
(原題:Complex Prospective Memory in Adults with Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
この研究でわかっていること:予定や約束を忘れるのは記憶の使い方の問題で、意欲の問題ではないと説明できます。
ここはまだ分かっていません:リマインダーなど外部化の道具そのものの効果はまだ調べられていません。
研究で検討「もし〜なら〜する」と先に決めておく方法が目標達成に与える効果の研究をまとめた分析
(原題:A Meta-Analysis of the Effects of Mental Contrasting With Implementation Intentions on Goal Attainment)
この研究でわかっていること:行動を「場面」と結びつけて決めておく方法に一定の効果があると言えます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDだけを対象にした研究ではありません。一般の人向けの知見を当てはめています。
研究で検討ADHDと、目先の得を選びやすい傾向、そしてリスクの高いお金の使い方
(原題:Attention-deficit/hyperactivity disorder, delay discounting, and risky financial behaviors)
この研究でわかっていること:「あとの大きい得より、いまの小さい得」を選びやすい傾向を説明できます。
ここはまだ分かっていません:本人が答えたアンケートをもとにした、小さな規模の分析です。家計術の効果を示すものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。