家計簿が3日で終わる人へ|つけないでお金を把握する
— 記録するのをやめると、続きます
ポイント
- 家計簿が続かないのは、毎日の入力という作業が重いからです
- 記録するのをやめて、自動で記録される形にします
- そもそも細かく把握しなくても、口座を分ければ使いすぎは止まります
目次を開く(22項目)
家計簿をつけようと思って、アプリを入れる。3日は続く。1週間後には開かなくなる。
レシートは財布にたまるだけ。何にいくら使ったか、結局分からない。
家計簿が続かないのは、毎日の入力という作業が重いからです。
続かない理由
1. 毎日やらないといけない
1日でも抜けると、そこで終わります。 抜けた分を埋めるのが面倒で、開かなくなる。
ADHDのある大人は「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいという研究があります。毎日決まったことをやり続けるのは、この力を毎日使う作業です。
2. 分類が面倒
「これは食費? 日用品?」と迷う。判断が入るたびに重くなります。
3. つけても何も変わらない
記録しただけでは、使う額は変わりません。手間だけかかって効果を感じないと、続きません。
4. レシートをもらい忘れる・なくす
そもそも入力する材料がありません。
細かく把握しなくていい
そもそも「何に何円使ったか」を1円単位で知る必要はありません。
知りたいのは、たいていこれだけです。
- 今月、使いすぎていないか
- 何にお金が消えているか(大まかに)
- 貯金できているか
この3つは、口座を分けるだけで分かります。
生活用の口座の残高を見れば、「今月あといくら使えるか」が分かります。記録は要りません。やり方は給料日前にいつもお金がない人へに書きました。
それでも「見る」だけはする
記録はしなくていいですが、見るのは必要です。
週に1回、残高を見る
曜日を決めて、生活用の口座の残高を見るだけ。1分で終わります。
「毎週日曜の夜、風呂から出たら見る」のように、動作とセットで決めておくと忘れにくくなります。
月に1回、明細をざっと見る
カードの明細を、上から下まで眺めるだけです。分類しなくていいです。
「あれ、これ何だっけ」というものが1つ2つ見つかれば、それで十分です。使っていないサブスクが見つかることもあります。
見る場所を1つにする
複数のカードや口座があると、見るのが面倒になります。1枚・1口座に絞ってください。
大きい支出だけ記録する
どうしても記録したいなら、全部やらずに、大きいものだけにしてください。
- 1万円以上のものだけメモする
- 「変な買い物をした日」だけメモする
- 月に1回、その月の大きい支出を3つ書く
細かい支出は、たいてい合計に大きく影響しません。 大きいものだけ見れば十分です。
現金派の場合
現金だと自動記録ができないので、別の方法になります。
封筒に分ける
週ごとに使える現金を封筒に入れて、そこからだけ使う。残りが見えるので、記録が要りません。
レシートを1か所に入れる
分類せず、箱か封筒に放り込むだけ。 月末にざっと見る用です。
現金を減らす
いちばん簡単なのは、現金を使う場面を減らすことです。
つまずいたときの立て直し
何日か抜けた
抜けた分は埋めなくていいです。 今日から再開してください。
「全部埋めないと意味がない」と思うと、そこで終わります。
アプリを開かなくなった
開かなくてもいいです。連携しておけば記録は残っています。 気が向いたときに見れば十分です。
結局お金が残らない
記録の問題ではなく、入ってくる額と出ていく額の問題です。
固定費を見直すか、収入を増やすか、使える制度を調べるか。数字を見て初めて分かることがあります。給料日前にいつもお金がない人へに、固定費を下げるチェックリストを書きました。
家計簿が3日で終わる人へ/確定申告がある場合
確定申告がある場合
自営業や副業がある人は、記録が必要になります。この場合は、
- 専用の口座とカードを分ける(事業用と私用を混ぜない)
- 会計ソフトと連携させる(手入力を減らす)
- レシートは撮るだけ(アプリで読み取れます)
分けておくと、確定申告の作業が大幅に減ります。
記録をやめて、口座で分ける
記録しなくても、お金は管理できます。
いちばん確実なのは、口座やカードを分けて、使っていい範囲を物理的に決めることです。
3つに分ける
| 口座 | 用途 |
|---|---|
| ① 引き落とし用 | 家賃・光熱費・通信費・サブスク |
| ② 使っていい用 | 食費・日用品・お小遣い |
| ③ さわらない用 | 貯金 |
給料が入ったら、①と③に移して、残りが②。
②の残高だけ見ていれば、使いすぎが分かります。記録は一切いりません。
くわしくは口座を分けるだけでお金が貯まるへ。
移すのを自動にする
毎月手で移すのは続きません。自動送金の設定を1回するだけです。
多くの銀行が、無料か数十円でやってくれます。
手で入力するのをやめてください。 代わりに、自動で記録される形にします。
やり方:支払い方法を絞る
カードかスマホ決済に寄せると、履歴が自動で残ります。
- クレジットカードかデビットカードを1枚決める
- 普段の買い物はそれだけで払う
- 現金は最小限にする
これだけで、明細が家計簿になります。 入力は0回です。
家計簿アプリを使うなら、連携するだけ
アプリに手で入力するのではなく、カードや銀行と連携させてください。自動で取り込まれます。
やることは「たまに開いて見る」だけです。
全部を1枚のカードにまとめる
支払い方法がバラバラだと、どこにいくら使ったか分からなくなります。
- 現金
- クレジットカードA
- クレジットカードB
- スマホ決済
これを1枚(または2枚)に絞ると、明細を見るだけで支出が分かります。
アプリで自動的に集計される
家計簿アプリに口座とカードを連携させると、自分で入力しなくても集計されます。
- レシートを撮らない
- 手で入力しない
- 見るだけ
「入力するアプリ」を選ぶと続きません。自動で集まるものを選んでください。
見るのは月1回でいい
毎日見なくていいです。給料日の翌日、5分だけ。
見るのはこの3つだけ。
- 先月いくら使ったか
- 口座②はいくら残っているか
- 変な引き落としがないか
細かい内訳は見なくていいです。 全体の額だけで十分判断できます。
減らすなら「固定費」から
毎月の食費を減らすより、固定費を1回見直すほうが効きます。
- 携帯代(格安プランに変えると月数千円下がることがあります)
- サブスク(使っていないものを解約)
- 保険(内容が今に合っているか)
1回やれば、翌月から自動で効き続けます。 節約を毎日がんばる必要がありません。
くわしくはサブスクを解約できない人へへ。
それでも足りないとき
収入より支出が多い状態が続いているなら、節約でどうにかする段階を超えているかもしれません。
- 自治体の生活相談窓口
- 消費生活センター(借金や契約の相談)
- 法テラス(無料で法律相談ができます)
無料で相談できます。 一人で抱えて、リボ払いやカードローンを重ねるほうが危険です。
「貯まらない」を責めない
お金が貯まらないのは、意志が弱いからではありません。
仕組みがないと、誰でも使います。 仕組みを作れば、意志の強さは関係なくなります。
家計簿が3日で終わる人へ/まず今週、これだけやってみる
まず今週、これだけやってみる
- 普段使うカードを1枚に決める
- 家計簿アプリを使うなら、そのカードと連携させる(手入力はしない)
- 週に1回、残高を見る曜日を決める
記録をやめてください。 見るだけで十分です。
支払い方法を減らす
現金、カードA、カードB、スマホ決済。バラバラだと、どこで何を使ったか分かりません。
1〜2種類に絞ってください。
- メインのカード1枚
- 現金しか使えない場所用に、少額の現金
これだけで、明細を見れば全部分かる状態になります。
スマホ決済も、カードに紐づける
チャージ式ではなく、カードから引き落とす形にすると、明細が1か所にまとまります。
週の予算を決める
月の予算は、感覚がつかみにくいです。4で割って、週で見てください。
- 「今週は1万5千円まで」
- 週のはじめに、その分だけ財布かプリペイドに入れる
残りが目で見えると、使いすぎが止まります。
月末に慌てるより、週で調整するほうがラクです。
「見る日」を決める
記録しなくても、見る日だけは決めてください。
- 給料日の翌日
- 5分だけ
- 見るのは3つ(先月の合計/残高/変な引き落としがないか)
カレンダーに繰り返し予定として入れておくと、忘れません。
くわしくは予定をカレンダー1本にまとめるへ。
関連する困りごと
お金の困りごとは、いくつかの記事に分かれています。
- 口座の分け方 → 口座を分けるだけでお金が貯まる
- 使いすぎる → お金の管理ができない人へ
- 払い忘れる → 支払いを忘れて止められる人へ
- サブスクが多い → サブスクを解約できない人へ
- 衝動買い → 気づくと余計なものを買っている人へ
記録より、仕組みのほうが確実です。
- 衝動買いが止まらない → 気づくと余計なものを買っている人へ
- 買い物で失敗する → 買い物で毎回何か買い忘れる人へ
「貯まらないのは意志が弱いから」ではありません。 仕組みがないと、誰でも使います。
現金しか使わない場合
カードを使いたくない人もいます。その場合も、記録はいりません。
週ごとに封筒を分ける
1週間分の現金を封筒に入れて、その封筒からだけ使う。
残りが目で見えるので、記録しなくても使いすぎが分かります。
家に置く現金を決める
財布に入れる額を毎週決めて、それ以上は持ち歩かない。持っていなければ、使えません。
数字を見るのがつらいとき
お金の数字を見ると不安になる、という人は少なくありません。
- 合計だけ見る(内訳は見なくていい)
- 見る日を決めて、それ以外は見ない
- 誰かと一緒に見る
「毎日確認する」を目指すと、逆に見なくなります。 月1回で十分です。
つらさが強いときは、無理に一人でやらず、自治体の生活相談窓口などを使ってください。
まとめ:記録なしでお金を把握する5つ
- 口座を「引き落とし用・使っていい用・貯金用」に分ける
- 給料日に自動送金する設定を1回だけやる
- 支払い方法を1〜2種類に絞る
- 月1回、5分だけ残高と合計を見る
- 減らすなら固定費から(携帯・保険・サブスク)
記録はいりません。 仕組みだけ作ってください。
この記事について
ADHDのある大人は、「あとでやることを覚えておく力」に困りごとが出やすいことが実験で確かめられています。毎日の記録が続かないのは、意志の問題ではありません。
整理や計画は、大人のADHDに対する心理的な治療が扱う分野のひとつです。性格の問題ではなく、工夫の対象として扱われています。
また、ADHDの特性がある人は「あとで手に入る大きい得」より「いま手に入る小さい得」を選びやすい傾向があると報告されています(本人の回答をもとにした、まだ小さな規模の研究です)。
そのうえで、「記録をやめる」「週1回残高を見る」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。
お金のことで生活が立ち行かない状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
家計簿アプリ、入れた日はやる気があるんですよね。3日目に「あ、昨日つけてない」となって、そこで終わる。あるあるです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDにおける「あとでやることを覚えておく力」の困難
(原題:Complex Prospective Memory in Adults with Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
この研究でわかっていること:予定や約束を忘れるのは記憶の使い方の問題で、意欲の問題ではないと説明できます。
ここはまだ分かっていません:リマインダーなど外部化の道具そのものの効果はまだ調べられていません。
研究で検討ADHDと、目先の得を選びやすい傾向、そしてリスクの高いお金の使い方
(原題:Attention-deficit/hyperactivity disorder, delay discounting, and risky financial behaviors)
この研究でわかっていること:「あとの大きい得より、いまの小さい得」を選びやすい傾向を説明できます。
ここはまだ分かっていません:本人が答えたアンケートをもとにした、小さな規模の分析です。家計術の効果を示すものではありません。
研究で検討大人の注意欠如多動症の認知行動療法(考え方と行動を整える心理的な治療)
この研究でわかっていること:整理・計画・先延ばしを「性格」ではなく介入対象として扱う枠組みを示せます。
ここはまだ分かっていません:レビューであり、個々の生活術の効果量を示すものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。