会議でじっと座っていられない人へ|そわそわ対策
— 動きたくなる体を、目立たない形で逃がします
ポイント
- 動きたくなるのは行儀の問題ではないので、我慢ではなく逃がし先を作って対処します
- 音も動きも出ないものを手元に1つ置くだけで、体の落ち着かなさはかなり収まります
- 立つ口実と席の位置を先に決めておくと、長い会議でも最後まで持ちこたえられます
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会議が始まって10分。まだ前置きが続いているのに、足がひとりでに動きはじめます。膝が上下する。ペンを回す。座り直す。そのたびに、まわりに気づかれていないか気になります。
30分を過ぎると、議題より「あと何分あるのか」のほうが大きくなります。腰が痛い。立ちたい。でも立てない。頭の中は、体を止めることでいっぱいになります。
そして会議が終わったあと、内容をほとんど覚えていない。じっと座っていられない自分に、また少し嫌気がさす。
先に結論を書きます。そわそわは、我慢で消すものではありません。 消そうとするほど、そこに力を取られます。やることは反対で、動きたくなる分をどこへ流すかを、会議が始まる前に決めておきます。
なぜ会議中にじっとしていられないのか
理由はひとつではありません。人によって、混ざり方が違います。
1つめは、体を動かすことで集中を保っている場合があることです。足の動きや指先の動きが、眠気や落ち着かなさを打ち消していることがあります。止めれば行儀はよくなりますが、そのぶん話が入らなくなる人もいます。
2つめは、会議という時間の作りです。入ってくる情報は少ないのに、席は立てません。 手を動かす仕事なら、退屈しても体は動いています。会議は、退屈と拘束が同時に来ます。
3つめは、感覚の負荷です。椅子が硬い。空調が寒い。プロジェクターの音がずっと鳴っている。ひとつひとつは小さくても、30分ぶん重なると、体のほうが先に逃げようとします。
4つめは、終わりが見えないことです。何分で終わるか分からない時間は、実際より長く感じます。残り時間が分かるだけで、体感はかなり変わります。
短い休憩については、研究をまとめた分析があります。こまめに休むと疲れにくくなることは報告されていますが、成績まで上がるとは言えないという結果でした。休憩は成果のための道具ではなく、持ちこたえるための道具だと考えてください。
【いちばん効く1つ】音も動きも出ないものを、手元に1つ置く
いちばん早いのは、動かしていいものを手元に用意することです。動きたくなる分を、指先に集めてしまいます。
条件は3つだけです。
- 音が出ない
- 大きく動かない(まわりの気が向く先を奪わない)
- 落としても転がらない
この条件に合うものは、たいてい机の上にあります。消しゴム。クリップ。ふたを外したペン。ノートの角。ポケットの中で握れる小さなもの。専用の道具を買わなくても始められます。
やり方はかんたんです。
- 会議に入る前に、手元に置くものを決める
- 机の下、または資料の陰で持つ
- 押す、なでる、握る。回したり音を出したりはしない
足のほうが動くという人は、靴の中でつま先を動かすのが目立ちません。 かかとを床につけたまま、指だけを開いて閉じる。上から見ても分かりません。かかとを上げ下げする動きは机ごと揺れることがあるので、机に触れていない足でやります。
姿勢を変えるのも同じ効果があります。3分に1回、背もたれから背中を離す。それだけで、体は「動いた」と受け取ります。
道具を持ち込むことに気が引けるなら、資料に線を引きながら聞く方法もあります。手が止まらないので、そわそわが行き場を失いません。メモの中身は、あとで読めなくてもかまいません。
立つ口実を、先に3つ用意しておく
30分を超える会議は、手元だけでは持ちません。立てる理由を、会議が始まる前に作っておきます。 その場で思いつこうとすると、たいてい思いつきません。
使いやすい口実です。
- 飲み物を取りに行く(会議室に入る前に、あえて持ち込まない)
- ホワイトボードに書く、資料を配る、機材を調整する役を引き受ける
- 資料を1部だけ手元に置かず、途中で取りに行く形にする
3のように仕込んでおくと、席を立つのが自然になります。役割を持っている人は、動いても不自然に見えません。
どうしても理由が作れないときは、短く言い切るのがいちばん通ります。
「すみません、少し体を伸ばしてきます。1分で戻ります。」
長く説明しないほうが、話の流れを止めません。戻る時間を先に言うのも効きます。
立つのが難しい会議もあります。そのときは、荷物を床に置いておいて、途中で取る動きだけでも入れてください。体の向きが変わるだけで、こわばりはだいぶ抜けます。
会議でじっと座っていられない人へ/長い会議は、自分で区切りを作る
長い会議は、自分で区切りを作る
60分をひとかたまりで耐えようとすると、後半は何も残りません。自分の中で20分ずつに割ってしまいます。
割り方の例です。
- 開始時に、議題の数を数える(3つなら3区切り)
- 議題がひとつ終わるたびに、姿勢を変えて一息つく
- 半分を過ぎたら、残り時間を紙の端に書く
紙に「あと25分」と書くだけでも、終わりが見えてきます。見えない時間は長く、見える時間は短く感じます。
会議そのものを短くできる立場なら、そこから手をつけるのが早道です。
「議題が多いので、45分で一度区切って、残りは持ち帰りにしませんか。」
自分だけのための提案に見えないので、通りやすい言い方です。長い会議がつらいのは、たいてい自分だけではありません。
定例会議が毎回90分あるなら、途中に休憩を入れる相談もできます。
「途中で5分だけ休憩を入れると、後半の話が入りやすくなります。」
理由を体調ではなく会議の質で説明すると、話が進みます。
席の位置と座り方を変える
同じ会議でも、どこに座るかで疲れ方が変わります。
- 出入口に近い席にする(立ちやすい。戻りやすい)
- 列の端を選ぶ(両側を人にはさまれない)
- 背中側に人が座らない位置にする(見られている感じが減る)
- 空調の真下と、プロジェクターの音の近くは避ける
座り方も見直す価値があります。
- 足の裏を、両方とも床につける
- 椅子の高さを、膝が直角になるところに合わせる
- 足元に荷物を置かない(足を動かす場所を空けておく)
足が床につかない椅子は、それだけで落ち着きません。低い椅子なら、かばんを足置きにするだけで変わります。
立って参加してよいかを聞いてみるのも、ひとつの手です。後ろに立ってメモを取る形なら、目立ちません。断られたら引けばいいだけです。
席の位置や座り方の調整は、職場に頼んでよいことです。配慮は診断名で決まるのではなく、その人の困りごとと仕事の中身に合わせて決めるものだ、という考え方が国内の研究でも示されています。特別扱いを求めているわけではありません。
会議でじっと座っていられない人へ/オンライン会議は逃がし先が多い
オンライン会議は逃がし先が多い
画面に映るのは上半身だけです。カメラの下は、ほぼ自由だと考えてかまいません。
- 足を動かす、貧乏ゆすりをする、椅子を回す
- 机の下でボールやタオルを握る
- 立って参加する(机の高さが足りなければ、箱を積む)
- その場で足踏みをする
自分が話す番でないときは、部屋の中を歩きながら聞く人もいます。音声だけの会議なら、なお自由が利きます。
カメラを切ってよいかは、職場の空気によります。切れるなら、体はぐっと楽になります。
「通信が重いので、聞くときはカメラを切らせてください。」
無理に理由を作らなくても、最初に一度そう言っておけば、次からは自然になります。
ただし、オンラインには別のつらさもあります。自分の顔がずっと映っていると、そちらに気が向いて疲れます。 自分の映像だけ非表示にする設定がある場合が多いので、探してみてください。自分の顔が見えなくなるだけで、楽になる人もいます。
場面別|会議の種類ごとの逃がし方
毎週の定例会議
回数が多いぶん、仕組みにする価値がいちばん高い場面です。座る位置を固定して、手元に置くものも固定します。毎回同じにすると、考えなくてよくなります。
大人数の研修や全体会議
長く、発言の出番もありません。いちばん後ろの端に座ると、姿勢を変えても目立ちません。休憩が明示されていない研修なら、開始前に主催者へ聞いておくと見通しが立ちます。
社外の商談
ここは無理をせず、手元の対策だけにしぼります。机の下でペンを握る、足裏を床につける。立つのは、相手が立ったときに合わせるくらいで十分です。
面談や1対1の打ち合わせ
相手との距離が近いぶん、動きは目につきます。逆に、事情を伝えやすい場面でもあります。
「長く座っていると集中が切れるので、途中で少し姿勢を変えます。」
先に一言あるだけで、相手の受け取り方が変わります。
よくある質問
足が動くのを注意されました
その場では止めて、あとで対策を足してください。注意した側は、机が揺れることや音を気にしていることが多いので、机に触れない形に変えるだけで解決することがあります。 足を組み替える、靴の中で指を動かす、机から椅子を10センチ離す。この3つで、たいていの揺れは消えます。
集中していないと思われませんか
見え方が気になるなら、手を動かしながらメモを取る形にすると誤解されにくくなります。書いている人は、聞いていると受け取られます。中身より、手が動いていることのほうが伝わります。
診断名を伝えないと、席の相談はできませんか
できます。席の位置や休憩の入れ方は、誰でも相談してよい範囲の話です。困っていることと、こうすると助かるという要望だけで足ります。 診断名を伝えるかどうかは、それとは別に決めることです。
会議のあと、どっと疲れます
我慢に力を使った分の疲れです。会議のあとに5分だけ、席を離れる時間を先に入れておいてください。予定表に入れておくと、次の用事に押し流されません。疲れてから休むより、疲れる前に区切るほうが、回復が早くなります。
関連する困りごと
- 座れていても内容が頭に残らないなら → 会議の内容が頭に入らない人へ|聞きながら書けないとき
- 会議のあとに休む時間が作れないなら → 休憩の取り方が下手な人へ|昼休みに休めていない
- 席や進め方を職場に相談したいなら → 職場に「これがつらい」と言えない人へ|配慮のお願いのしかた
- 午後の会議で眠気に負けるなら → 仕事中の眠気がひどい人へ|午後に落ちる人の対策
まず今日、これだけやってみる
- 次の会議で手元に置くものを、1つ決める(消しゴムでもクリップでもかまいません)
- 座る席を、出入口に近い端に変える
- 会議が始まったら、紙の端に終わり時刻を書く
3つとも、誰にも言わずに今日から始められます。まずは音が出ないものを1つ、ポケットに入れるところからで十分です。
この記事について
短い休憩の効果については、研究をまとめた分析をもとにしています。こまめな休憩で疲れにくくなり、活力が上がることは報告されていますが、成績が上がるという結果は出ていません。 また、この研究は働く人一般を対象にしたもので、発達障害のある人を対象にした研究ではありません。「休憩をはさめば会議の内容が頭に入る」とまでは言えない、ということです。
職場での配慮については、国内の就労支援の論文をもとにしています。配慮は診断名で決まるのではなく、その人の困りごとと仕事の中身に合わせて決めるものだ、という原則です。ただしこの論文は、個々の配慮のやり方を比べて効果を測ったものではありません。 ここに書いた席の位置や休憩の入れ方は、あくまで例です。
そわそわの原因は人によって違います。眠気が強い、痛みがある、不安が強いなど、別の理由が隠れていることもあります。工夫を足しても変わらないときや、日常生活のほうにも影響が出ているときは、原因を切り分けたほうが早いです。困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
じっとしていられないのって、しつけの話にされがちなんですよね。でも体を止めることに力を使っている間、話の中身はどこにも入っていません。止めるより、逃がす。そのほうが会議に参加できます。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討「休ませて!」:短い休憩の効果についてのたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:"Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks)
この研究でわかっていること:短い休憩は疲れにくさに効くと言えます。休憩は長いほど成績への効果が大きい傾向も報告されています。
ここはまだ分かっていません:「休憩をはさめば成績が上がる」とは言えません。ADHD・ASDを対象にした研究でもありません。
研究で検討合理的配慮(働きやすくするための調整)に基づく就労支援
この研究でわかっていること:配慮は診断名でなく本人の困りごとと職務に合わせて決める、という原則を示せます。
ここはまだ分かっていません:個別の配慮メニューの効果を比較した研究ではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。