休憩の取り方が下手な人へ|昼休みに休めていない
— 休むのが下手なのではなく、休み方が決まっていないだけです
ポイント
- 休憩は、余った時間ではなく先に置いておく予定として扱います
- 休むたびに中身を選ばず、やることを1つに固定しておきます
- 会社の中に休める場所を3か所さがしておくと、戻りやすくなります
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昼休みになった。とりあえずスマホを開く。気がついたら12時50分で、まだ何も食べていない。
かき込んで席に戻り、午後は午前よりも頭が重い。夕方には、自分が何をしていたのか分からなくなっている。
あるいは、そもそも休憩を取っていない。時計を見ないまま作業していて、気づいたら15時。朝からトイレにも行っていない。
休むのが下手なのは、意志が弱いからではありません。 休む時刻も、休む場所も、休んで何をするかも、何ひとつ決まっていないからです。
決まっていないことは、その場で選ぶしかありません。疲れているときの「選ぶ」は、いちばん重い作業です。
この記事では、休憩を「選ばなくていい形」に変えていきます。決めるのは、時刻と場所と中身の3つだけです。
なぜ休憩が取れないのか
時計を見ていない
作業に入り込んでいると、時間が飛びます。休憩を拒んでいるのではなく、休憩という考えが頭に浮かぶ場面がないだけです。
「区切りのいいところ」が永遠に来ない
「ここまで終わったら休もう」と考えていると、その「ここまで」がずっと先に動いていきます。仕事は、都合よく区切りがつくようにはできていません。
一度止まると、戻るのがつらい
止まったら再開が重い。だから止まらない。これは、その場では正しい判断でもあります。ただ、そのぶんの反動が夕方や翌日にまとめて来ます。
休むと悪いような気がする
まわりが手を動かしているなかで席を立ちにくい。忙しい職場ほど、休む人が目立って見えることがあります。
休憩でかえって疲れている
これがいちばん多いかもしれません。座ったまま画面を追い続ければ、頭は働き続けます。時間だけ使って、休めていない状態です。
短い休憩については、たくさんの研究をまとめた分析があり、元気の戻り方と疲れの減り方には効果が見られたと報告されています。ただし、作業の成績まで上がるとは言えませんでした。「休めばはかどる」ではなく「休むと疲れにくい」くらいに考えておくと、ちょうどいいです。
【いちばん効く1つ】休憩を予定に書いて、名前をつける
いちばん効くのは、休憩を「余った時間」から「先に置いてある予定」に変えることです。
やり方は2つだけです。
- 1日2回、休憩の時刻を決める。 たとえば10時30分と15時00分
- その時刻にアラームを置いて、名前を動作にする
アラームの名前が大事です。「休憩」だと何をすればいいか分からないので、止めて終わります。
✗ 休憩 ○ いすから立つ ○ 水を入れに行く
名前が動作になっていると、体が先に動きます。 考える手前で立ち上がれるのが強みです。
時刻は、疲れてきた頃ではなくまだ元気なうちに置いてください。「疲れたら休む」は、疲れに気づける人向けの作戦です。気づきにくい自覚があるなら、気づいたら限界になっている人へも合わせて読んでみてください。
アラームを止めるだけで動けない日が続くなら、鳴らし方のほうを変える手もあります。タイマーとアラームの使い方にまとめました。
休憩の取り方が下手な人へ/昼休み60分の使い方を、先に割っておく
昼休み60分の使い方を、先に割っておく
昼休みが溶けるのは、60分をひとかたまりで扱っているからです。中で割ってしまえば、後半が守れます。
割り方の一例
| 時間 | やること |
|---|---|
| 最初の20分 | 食べる |
| 次の10分 | 立ち上がって外の空気に触れる、または席を離れる |
| 次の20分 | 目を閉じる、座って何もしない |
| 最後の10分 | 午後いちばんにやることを1行書いて戻る |
この形が合わなければ、時間の数字は変えて構いません。大事なのは「食べる時間」と「休む時間」を分けることです。 食べながら休んだつもりになると、どちらも中途半端になります。
スマホは前半だけにする
スマホを禁止にすると、たいてい守れません。時間帯で区切るほうが現実的です。
- 食べているあいだは見ていい
- 食べ終わったら、かばんか引き出しに入れる
- 見たいものがあるなら、あとで見るぶんとして1つ保存だけしておく
手の届く場所にあると、置いたつもりでも戻ってきます。距離を作るのがいちばん確実です。 くわしくは作業中につい スマホを触ってしまう人へにあります。
最後の10分は、戻る準備に使う
昼休みの終わりが苦しいのは、休んだ状態からいきなり仕事に戻ろうとするからです。
戻る前に、午後いちばんにやることを1行だけ書いておきます。
午後いちばん:見積書のひな形を開く
これがあると、席に着いてから「何からやろう」で止まりません。
休める場所を3か所さがしておく
休憩が取れない理由の半分は、休める場所がないことです。席で休もうとすると、誰かに話しかけられて休憩が終わります。
社内と近所で、条件のちがう場所を3か所さがしておいてください。
- すぐ行ける場所(片道1分)。 階段の踊り場、給湯室、非常口の前
- 人が少ない場所(片道3分)。 別のフロアのトイレ、使っていない会議室、駐車場
- 座って目を閉じられる場所(片道5分)。 車の中、近くの公園のベンチ、コンビニのイートイン
3か所あると、その日の混み具合で選べます。1か所しかないと、そこが使えなかった日にあきらめることになります。
見つけるコツは、休憩の日にさがさないことです。手が空いている日に、社内を1周して候補を書き出しておきます。 疲れてから場所をさがすのは、まず無理です。
音や明かりがつらくて休憩室が休めない場所になっている人もいます。その場合は場所を変えるか、耳を守る道具を用意するほうが早いです。人の声や生活音がつらい人へを参考にしてください。
休憩の取り方が下手な人へ/5分の休憩は、中身を1つに固定する
5分の休憩は、中身を1つに固定する
短い休憩がうまくいかないのは、そのつど何をするか選んでいるからです。選べる状態にしておくと、いちばん手軽なスマホに毎回負けます。
自分の定番を1つだけ決めて、それしかやらないと決めてください。
- 立ち上がって、フロアの端まで歩いて戻る
- 水を入れに行って、その場で飲みきる
- 窓の近くまで行って、遠くを1分見る
- 階段を1階分だけ下りて、上がる
どれでもいいです。大事なのは、毎回同じにすること。 同じ動きにすると、考えなくても始められるようになります。
決めるときのコツが1つあります。始めたら終わりが来るものを選んでください。歩いて戻れば終わります。水を飲みきれば終わります。画面を開く休憩は、自分で終わらせないかぎり終わりません。
定番が決まったら、1か月は変えないでください。途中で「もっといい休憩があるかも」と探しはじめると、また選ぶ作業に戻ります。
やり始めると止まれない自覚がある人は、やり始めると止まれない人への止まる仕掛けも合わせて使えます。
休憩から戻れないときは、出口を先に作る
休憩に入るのが怖いのは、戻れなくなった経験があるからです。入口より先に、出口のほうを作っておくと安心して休めます。
- アラームを2本置く。 1本目は「戻る5分前」、2本目は「戻る」
- 戻ってすぐやることを、机に出してから休憩に入る(開いた資料、書きかけのメモ)
- 飲み物を持って戻る。 席に置くものがあると、足が席へ向きます
- 休憩の終わりに、次の休憩の時刻を見ておく
いちばん効くのは2つ目です。机の上が「続きから始められる状態」になっていると、戻ったときの重さが変わります。
戻れなかった日は、休憩が長すぎたというより、戻る先が決まっていなかっただけのことが多いです。
場面別|働き方ごとの休み方
デスクワークが続く仕事
- 1時間に1回、立って歩くだけの30秒を入れる
- 画面から目を離す時間を、意識して1分作る
- 打ち合わせの前後に、5分の余白を予定として入れておく
- 座りっぱなしの日は、コピー機や給湯室をわざと遠いほうに使う
接客・立ち仕事
- 立ちっぱなしの人にとっての休憩は「座ること」です。座れる場所を先に確保しておきます
- 休憩に入る時刻が決まっていないなら、上長に「何時ごろに抜けますか」と朝のうちに聞いておく
- 短くてもいいので、人と話さない時間を1回作る
接客の仕事では、休憩が「人からの刺激が止まる時間」になっているかどうかが大きいです。黙っていられる場所を1つ確保できると、同じ休憩時間でも回復のしかたが変わります。
在宅勤務
家だと休憩の境目が消えます。仕事の場所と休む場所を、部屋の中で分けてください。
- 休憩は必ず机から離れる。同じいすで休まない
- 洗濯や皿洗いを休憩に入れない。家事は仕事の続きです
- 昼休みは、玄関を出て1分だけでも外に出る
在宅そのものがうまく回らないときは、在宅勤務だとまったく仕事が進まない人へもどうぞ。
休憩を取りにくい職場
- 「疲れたので休みます」ではなく「10時半に5分抜けます」と時刻で伝える
- トイレと水分補給は、誰も止めません。まずそこから使う
- 休憩の取り方そのものを相談したいときは、言い方の型があります
伝え方は職場に「これがつらい」と言えない人へにまとめました。
よくある質問
休むと、かえってしんどくなります
休憩の中身が合っていないことがあります。座って画面を見る休憩では頭が働き続けますし、逆に、歩き回る休憩のほうが消耗する人もいます。1週間だけ、2種類の休憩を交互にためして比べてみてください。 どちらが合うかは、やってみないと分かりません。
昼休みに寝てしまって、起きられません
横にならず、座ったまま目を閉じるだけにします。時間は15分くらいで切って、アラームは2つかけてください。 1つだと止めて寝ます。それでも日中の眠気が強い日が続くようなら、休憩の工夫だけの問題ではないこともあります。
まわりが休んでいないので、席を立ちづらいです
働く時間が長い日には休憩を取れるように、法律でも決まりが置かれています。取ることが特別なわけではありません。 それでも言い出しにくいときは、トイレと水分補給から始めてください。そこは誰も止めません。
そもそも休憩する時間がありません
30秒でも休憩になります。立ち上がる、肩を回す、窓の外を見る。まとまった時間を待っていると、一日中来ません。 予定が詰まりすぎているなら、引き受け方のほうを見直す手もあります。予定を入れすぎて後で潰れる人へもどうぞ。
関連する困りごと
- 疲れに気づけないまま倒れてしまうとき → 気づいたら限界になっている人へ
- 始めると止まれなくて休憩を飛ばすとき → やり始めると止まれない人へ
- 作業と休憩の区切り方を試したいとき → ポモドーロが続かない人へ
- 休憩のつもりが何時間も溶けるとき → 気づいたら2時間 動画を見ていた人へ
まず今日、これだけやってみる
- スマホのアラームを1つ、15時00分に足す
- アラームの名前を「いすから立つ」にする
- 鳴ったら立ち上がって、水を入れに行って、その場で飲みきる
これで1回ぶんの休憩ができます。うまく休めた日を数えるより、立ち上がれた回数を数えるほうが続きます。
この記事について
短い休憩の効き方については、たくさんの研究をまとめた分析があります。そこでは、元気の戻り方と疲れの減り方に効果が見られた一方で、作業の成績が上がるとまでは言えなかったと報告されています。休憩は長いほど成績への効果が大きい傾向も示されています。
つまり、「休憩をはさめば仕事がはかどる」とは言えません。この記事も、はかどるためではなく、疲れをためにくくするための話として読んでください。
この分析は、ADHDやASDのある人を対象にしたものでもありません。休憩の取りにくさの理由は人によってちがい、ここに書いた手順が全員に合うわけでもありません。合わないものは飛ばして構いません。
休んでも回復しない、朝から夕方までずっと消耗している、そういう状態が何週間も続くときは、休憩の工夫だけの話ではないかもしれません。困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
「休憩ちゃんと取ってる?」と聞かれて「取ってます」と答える人ほど、実際は座ったままスマホを見ているだけだったりするんですよね。休むのって、けっこう難しい作業なんです。作業なら、手順を決めれば軽くなりますよ。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討「休ませて!」:短い休憩の効果についてのたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:"Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks)
この研究でわかっていること:短い休憩は疲れにくさに効くと言えます。休憩は長いほど成績への効果が大きい傾向も報告されています。
ここはまだ分かっていません:「休憩をはさめば成績が上がる」とは言えません。ADHD・ASDを対象にした研究でもありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。