ポモドーロが続かない人へ|25分が合わないときの調整
— 休憩の研究は「疲れにくさ」を支えています
ポイント
- 短い休憩は「活力の向上」と「疲労の低下」に効くが、作業成績への効果は確認されていない
- 25分という数字に根拠はない。自分が集中できる長さに合わせてよい
- 乗ってきたところで中断されるのが苦痛な人には、逆効果になることがある
目次を開く(21項目)
25分作業して5分休む、を繰り返すポモドーロ・テクニック。集中法として広く紹介されていますが、合う人と合わない人がはっきり分かれます。
休憩の研究は何を言っているか
短い休憩(マイクロブレイク)の効果を検証した研究をまとめた分析があります。22の研究サンプル・約2,300名を対象にした結果は、次のとおりです。
- 活力の向上:統計的に有意
- 疲労の低下:統計的に有意
- 作業成績の向上:有意ではなかった
そして、休憩は長いほど成績への効果が大きい傾向も報告されています。
つまり、休憩を挟むことは「疲れにくくなる」ためには支持されていますが、「作業がはかどるようになる」とは言い切れません。 ここは正直に押さえておくべきところです。
なお、この研究はADHD・ASDを対象にしたものではありません。
過集中がある場合の使い方
作業に深く入り込むタイプの人にとって、ポモドーロは「集中させるため」ではなく「止めるため」の道具になります。
食事や水分、トイレを飛ばしてしまうなら、時間を区切る意味があります。ただし、過集中そのものは研究上まだ定義が揃っておらず、「ADHDの人は過集中する」とだれにでも当てはまる話にはできません。詳しくは過集中との付き合い方をご覧ください。
休憩の質を上げる
休憩中にスマホを見ると、休んだことになりません。 情報を受け取り続けているからです。
効く休憩
- 立ち上がる、歩く
- 窓の外を見る(目を遠くに向ける)
- 水を飲む
- 伸びをする
- 何もしない
効きにくい休憩
- SNSを見る
- ニュースを読む
- 動画を見る(再生した瞬間に休憩は終わりません)
休憩でスマホを触ると、休憩が20分に伸びます。 これがいちばんよくある失敗です。
対策は、休憩中はスマホを手の届かない場所に置くこと。気づくとスマホを触っている人へもご覧ください。
戻れなくなる休憩には共通点があります。スマホを見ることです。
| 戻りやすい休憩 | 戻りにくい休憩 |
|---|---|
| 立ち上がって歩く | SNSを開く |
| 水を飲む | 動画を見る |
| 窓の外を見る | ゲームをする |
| ストレッチをする | ニュースを読む |
画面から離れる休憩を選んでください。同じ画面の中で切り替えるのは、休憩になりにくいうえに戻りにくくなります。
戻れなくなる休憩には共通点があります。スマホを見ることです。
| 戻りやすい休憩 | 戻りにくい休憩 |
|---|---|
| 立ち上がって歩く | SNSを開く |
| 水を飲む | 動画を見る |
| 窓の外を見る | ゲームをする |
| ストレッチをする | ニュースを読む |
| トイレに行く | メッセージを返す |
合わない場合の見分け方
次のような状態なら、ポモドーロは合っていない可能性があります。
乗ってきたところでタイマーが鳴るのが苦痛
中断にはコストがかかるので、無理に切るのが最善とは限りません。
この場合は、タイマーを「終わりの合図」ではなく「始めの合図」に使ってください。
休憩から戻れない
5分の休憩が40分になるなら、休憩の設計を変える必要があります。
- スマホを見ない
- 立ち上がって歩く
- 水を飲む
- 窓の外を見る
画面から離れる休憩を選んでください。同じ画面の中で切り替えるのは、休憩になりにくいうえに戻りにくくなります。
タイマーが気になって集中できない
タイマー自体が気を散らす対象になっているなら、外してください。
タイマーの選び方
- スマホのタイマー(0円。ただし触ったついでに他のアプリを開きがち)
- キッチンタイマー(数百円。スマホを触らずに済みます)
- 残り時間が面積で見えるタイマー(1,500〜3,000円。時間の経過に気づけない人向け)
まずスマホで試して、合うなら物理タイマーを買うという順番で十分です。
会社や家族に説明しておく
タイマーで区切って作業していると、「サボっている」と誤解されることがあります。
「集中が続く時間が短いので、区切って作業したほうが結果的に速いんです。」
先に言っておくと、余計な説明が要らなくなります。
ポモドーロが続かない人へ/25分が合わないとき
25分が合わないとき
25分は「よく使われている数字」であって、正解ではありません。
合わない人のほうが多いくらいです。自分に合う長さを探してください。
短くする(10分・15分)
- 始めるのがつらい人
- 集中が続かない日
- 気が乗らない作業
「10分だけ」なら始められることがあります。 そして10分たっても続けたければ、続けていいです。
長くする(45分・50分)
- 乗ってくるまでに時間がかかる人
- 資料を広げる作業(片づけて再開するのが手間)
- プログラミングや文章を書く作業
25分で切られると、乗りかけたところで壊されて逆効果になることがあります。
タイマーを止める日があってもいい
深く入り込めている日は、タイマーで邪魔しないほうがいい場合もあります。ただし終了時刻だけは決めておいてください。くわしくは気づいたら5時間たっている人へへ。
ポモドーロの「25分」は考案者が決めた数字で、研究で最適と示された時間ではありません。
自分に合う長さに変えて構いません。
| こういう人 | 試す長さ |
|---|---|
| 5分ももたない | 3分やって1分休む。まず「始める」ことだけを目標にする |
| 25分だと短く感じる | 45〜50分やって10分休む |
| 乗ると1時間以上いける | 90分やって20分休む。ただし休憩は必ず取る |
| 何分でも続かない | 時間ではなく「1項目終わったら休む」に変える |
何日か試して、いちばん自然だった長さを採用してください。
うまくいかないときの直し方
タイマーを無視してしまう
音が小さいか、止めやすすぎます。
- 音を大きくする
- タイマーを部屋の反対側に置く(止めに行くために立つ必要があります)
- スマホではなくキッチンタイマーを使う
記録が面倒でやめる
記録は必須ではありません。タイマーだけで十分です。
アプリを使うなら、起動が速いものを選んでください。起動に手間がかかるものは続きません。
相性のいい作業・悪い作業
相性がいい
- 事務作業、入力、片づけ
- 勉強、暗記
- 気の進まない作業(始める理由になります)
相性が悪い
- 人と話す作業(途中で切れません)
- 深く考える作業(乗るまでに時間がかかります)
- 締め切り直前(区切っている場合ではありません)
全部の作業に使わなくていいです。 「始められない作業」に使うのがいちばん効きます。
記録しなくていい
「何ポモドーロやった」を数える方法が紹介されることがありますが、数えなくていいです。
記録が目的になると、記録が面倒になった時点でやめてしまいます。
タイマーを押す。鳴ったら休む。それだけで十分です。
休憩を取りすぎてしまうとき
「5分の休憩が30分になる」というのが、いちばんよくある失敗です。
休憩にもタイマーをかける
作業だけでなく、休憩にもタイマーを。 これを忘れる人が多いです。
休憩中にやらないことを決める
- 動画を再生しない
- SNSを開かない
- ゲームを起動しない
始めると終われないものを、休憩に入れないでください。
立ったまま休む
座って休むと、そのまま動けなくなります。立ち上がって、歩く。 これだけで戻りやすくなります。
合わなかったらやめていい
この方法が合わない人もいます。合わないのは、あなたの問題ではありません。
- 区切られると集中が切れる
- タイマーの音がストレスになる
- 25分でも長すぎる/短すぎる
合わなければ、環境を変える方向(机に向かっても気が散る人へ)や、始め方を変える方向(最初の一歩がどうしても踏み出せない人へ)を試してください。
方法は1つではありません。
ポモドーロが続かない人へ/何をやるか決めてから始める
何をやるか決めてから始める
タイマーを押しても、やることが決まっていないと動けません。
- 始める前に「この25分で何をやるか」を1行書く
- 「資料を作る」ではなく「3ページ目まで書く」
具体的なほど、始まります。
くわしくはやることが大きすぎて手がつかない人へへ。
1日に何回やるか決めない
「1日8回」のように決めると、達成できない日に落ち込みます。
「1回でもできたら成功」にしてください。
調子のいい日は続ければいいし、悪い日は1回で終わっていいです。
場所を変えて試す
同じ机で効かないなら、場所を変えると効くことがあります。
- カフェ(終わりの時刻が自然に決まります)
- 図書館
- 別の部屋
「ここでは作業する」という場所があると、座っただけで始まることがあります。
くわしくは机に向かっても気が散る人へへ。
まず今日、これだけやってみる
- タイマーを15分にセットして、1回だけやってみる
- 始める前に「この15分でやること」を1行書く
- 休憩中はスマホを触らないと決めて、立ち上がる
関連する困りごと
- 始められない → 最初の一歩がどうしても踏み出せない人へ
- 止まらない → 気づいたら5時間たっている人へ
- 気が散る → 机に向かっても気が散る人へ
- タイマーが効かない → タイマーをうまく使えない人へ
家族や同僚に説明しておく
タイマーで区切っていると、途中で声をかけられて崩れます。
「25分だけ集中するので、そのあとに声をかけてもらえますか。」
先に言っておくと、待ってもらえます。
在宅なら、チャットのステータスやドアの札でも伝わります。
くわしくは話しかけられると作業が飛ぶ人へへ。
効いているか、1週間で見る
新しい方法は、1週間試してから判断してください。
- 1日目は慣れなくて当然です
- 3日やって「進んだ感じがあるか」を見る
- 1週間たって変わらなければ、別の方法へ
合わない方法を続けるのが、いちばん時間を失います。
合う人・合わない人
合うかどうかは、やってみないと分かりません。
合いやすい人:
- 始めるのがつらい
- 気づくと時間が過ぎている
- 終わりが決まっていないと動けない
合いにくい人:
- 区切られると集中が切れる
- 乗るまでに時間がかかる
- 音そのものがストレスになる
1週間試して、進んだ感じがなければ、別の方法へ移ってください。
この記事について
短い休憩については、活力を高めて疲れを減らすことがたくさんの研究(22件・約2,300名)をまとめた分析で報告されています。ただし作業の成績が上がるかどうかは、はっきりしていません。 そして休憩は長いほど成績への効果が大きい傾向も報告されています。
この研究は、発達障害のある人を対象にしたものではありません。
作業を切り替えるときには手間がかかることも研究で整理されています。乗ってきたところで中断されるのがつらいのは、自然なことです。
過集中については、研究ごとに定義がそろっていないことがレビューで指摘されています。
一方で、ポモドーロ・テクニックそのものを検証した研究は見つかっていません。 「25分」という数字にも研究上の根拠はありません。この記事は「編集部で試行中」の内容として、時間の刻み方を自分に合わせる方法を整理したものです。
25分は目安であって、聖典ではありません。10分でも90分でも、自分に合うほうが正解です。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
- 編集部で試行中
- この工夫そのものを調べた研究は見つかっていません。仕組みとしては筋が通るので、小さく試してみてください。
研究で検討「休ませて!」:短い休憩の効果についてのたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:"Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks)
この研究でわかっていること:短い休憩は疲れにくさに効くと言えます。休憩は長いほど成績への効果が大きい傾向も報告されています。
ここはまだ分かっていません:「休憩をはさめば成績が上がる」とは言えません。ADHD・ASDを対象にした研究でもありません。
研究で検討作業の切り替えについて
(原題:Task switching)
この研究でわかっていること:割り込みや並行作業が実際に効率を落とすことを、一般的な認知の性質として説明できます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASD固有の研究ではありません。
研究で検討過集中:忘れられてきた注意の領域
(原題:Hyperfocus: the forgotten frontier of attention)
この研究でわかっていること:過集中が注意の一形態として議論されていると示せます。
ここはまだ分かっていません:定義が定まっておらず、「ADHDの人は過集中する」と一般化はできません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。