タイマーとアラームの使い方|鳴らしても効かない人へ
— 音を増やすより、動作を決めるほうが効く
ポイント
- アラームが効かないのは、鳴ったあとにやる動作が決まっていないから
- 「終わりの合図」より「始めの合図」に使うほうが効きやすい
- 残り時間が目で見えるタイマーは、時間の経過に気づけないときに向く
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アラームは設定しているのに、止めて終わってしまう。時間になっても作業をやめられない。タイマーを使っているのに時間が守れない——。
この場合、問題はタイマーではなく設定の仕方にあります。
【いちばん効く1つ】アラームの名前を「動作」にする
多くのアラームアプリはラベルを付けられます。ここにやることではなく、最初の動作を書きます。
| ありがちなラベル | 動作にしたラベル |
|---|---|
| 出発準備 | 靴を履く |
| 仕事終わり | パソコンを閉じる |
| 寝る時間 | 歯をみがく |
| 洗濯 | 洗濯機のフタを開ける |
| 薬 | 引き出しを開ける |
| 休憩 | 立ち上がる |
鳴った瞬間に考えずに済むことが目的です。
鳴ったときに「何をするんだっけ」と考える余地があると、そこでいちばん楽な選択(=止めて続ける)が選ばれます。
いちばん効く工夫です。
- ✗ 「作業」
- ○ 「パソコンを開く」
- ✗ 「休憩終わり」
- ○ 「3ページ目の続き」
鳴った瞬間に何をするか決まっていないと、止めて終わります。
くわしくは「〜したら〜する」で行動が変わるへ。
「終わり」より「始め」に使う
タイマーは「◯分やったらやめる」より、「◯時になったら始める」に使うほうが機能しやすいことがあります。
やめるのは難しい。でも始めるのは、合図があれば動けることがあります。
- 「20時にアラーム → 洗い物を始める」
- 「14時にアラーム → メールの返信を始める」
- 「21時にアラーム → 風呂に入る」
やめられない側の問題(過集中)についてはやり始めると止まれない人へへ。
残り時間が「見える」タイマーを使う
時間の経過に気づけないタイプの困りごとには、残り時間が面積で見えるタイマーが向くことがあります。円グラフのように残りが減っていくタイプの製品です(1,500〜3,000円程度)。
スマホのタイマーは画面を閉じると見えなくなりますが、置き型なら目に入り続けます。成人ADHDでは時間の体感にズレが出やすいことが研究レビューで整理されており、時間を「見えるもの」に変換するという発想はここに沿っています。
ただし効果には個人差があります。まずスマホのタイマーを画面に出しっぱなしにして試し、それで効くなら買う——という順番で十分です。
数字だけだと、残りがどれくらいか感覚でつかめない人がいます。
残り時間が色や面積で見えるタイマー(時間が減ると色の部分が減っていくもの)があります。
- 数字を読まなくても分かる
- ちらっと見るだけで残りが分かる
- 子ども向けにも使われています
数千円ですが、時間の感覚がつかみにくい人には、かなり効きます。
アラームを減らす
通知が多すぎると、通知そのものを無視するようになります。
1日に鳴らすアラームは3〜5個までに絞ってください。
「毎日鳴っているが、実際には従っていないアラーム」は削除します。守れない通知が残っていると、通知全体の信頼度が下がります。
スヌーズを使わない設定にする
スヌーズは「あと5分」を制度化したものです。起床用も含めて、スヌーズをやめて、代わりに時間をずらしたアラームを2〜3個並べるほうが効くことがあります。
なぜなら、スヌーズは同じボタンを押すだけですが、別々のアラームは毎回止める操作が必要になるからです。
場面別の使い方
作業を区切る
25分・45分・90分。自分に合う長さを試してください。くわしくはポモドーロが続かない人へへ。
出かける時間
出発の10分前に「靴を履く」。5分前だと、もう間に合いません。
家事
「15分だけ片づける」と決めて、鳴ったらやめる。終わりが見えると始められます。
通話・会議
長くなりがちな人は、開始時にタイマーをかけておいてください。
子どもとの約束
「あと10分でおしまい」を、口約束ではなくタイマーにすると、揉めにくくなります。
薬・食事
決まった時刻に必要なことは、繰り返しアラームにしてください。毎回セットするのは続きません。
鳴っても動けないとき
鳴った瞬間に立つ
「あと1分だけ」と思ったら、もう終わりです。考える前に体を動かしてください。
タイマーを遠くに置く
止めに行くために立ち上がる必要があると、そのまま次の行動に移りやすくなります。
音を変える
同じ音に慣れると、反応しなくなります。たまに音を変えると復活することがあります。
人に頼む
家族がいるなら、「◯時に声をかけて」と頼むのがいちばん確実です。人の声はアラームより強いです。
アラームが鳴った瞬間、あなたはたいてい別の作業の途中です。作業を中断して、別の行動に移る——これは注意の切り替えであり、コストがかかります。
しかも「鳴ったら何をするか」が決まっていないと、脳はその場で判断する必要があります。判断のコストがかかると、いちばん楽な選択(=止めて続ける)が選ばれます。
タイマーとアラームの使い方/止められてしまうタイマーの直し方
止められてしまうタイマーの直し方
タイマーが効かない理由は、たいてい簡単に止められるからです。
遠くに置く
部屋の反対側に置いてください。 止めに行くために立つ必要があります。
立った時点で、体が切り替わります。
スマホのアラームをやめる
スマホは、止めた流れでそのまま見てしまいます。キッチンタイマーのほうが安全です。 数百円で買えます。
用途別の使い分け
始めるためのタイマー
5分にセットして、5分だけやる。
たいていの場合、5分たつと続けられます。続けられない日は、それでいいです。
終わらせるためのタイマー
入り込むと止まらない人向け。終了時刻にセットして、鳴ったら途中でもやめる。
これができないなら、予定を入れるほうが強力です。人や約束は、アラームより止まります。
くわしくは気づいたら5時間たっている人へへ。
見積もりを測るタイマー
「何分かかるか分からない」作業を、測るためだけに使う。
1週間測ると、自分の実力値が分かります。くわしくは「15分で終わる」が毎回1時間かかる人へへ。
長さの決め方
25分は「よく使われている数字」であって、正解ではありません。
- 始めるのがつらい → 10分
- 集中が続かない日 → 15分
- 乗るまでに時間がかかる → 45分
自分に合う長さを、2〜3回試して決めてください。
くわしくは25分作業して5分休むだけで進むへ。
使いすぎない
全部の作業にタイマーをかけると、鳴るたびに疲れます。
- 始められない作業だけ
- 止まらなくなる作業だけ
必要な場面だけに絞るほうが、長く続きます。
通知を減らして、効きを取り戻す
アラームが多いと、鳴っても反応しなくなります。
- 本当に必要なものだけ残す
- 同じ音を使い回さない
- 反応しなくなったら、音を変える
1日に5回以上鳴るなら、多すぎます。
タイマーが合わない作業もある
- 人と話す作業(途中で切れません)
- 深く考える作業(乗るまでに時間がかかります)
- 締め切り直前(区切っている場合ではありません)
全部の作業にタイマーを使わなくていいです。 「始められない作業」に使うのがいちばん効きます。
音以外で知らせる方法
音に気づけない、音がつらい、という人向けです。
- 振動(スマートウォッチ、スマホをポケットに)
- 光る目覚まし(音が苦手な人、家族を起こしたくない人向け)
- スマート電球(時間になったら部屋の色が変わる)
音に反応しない人でも、振動なら気づくことがあります。
タイマーとアラームの使い方/時間を「見える」形にする
時間を「見える」形にする
数字だけでは、残りの量が実感しづらい人がいます。
- 残り時間が色や面積で減っていくタイマー
- 大きめのアナログ時計(針の位置で残りが分かります)
- 砂時計(15分、30分のものがあります)
ちらっと見るだけで残りが分かるのが利点です。数百円〜数千円で買えます。
タイマーを使う前にやること
タイマーが効かないとき、原因が別のところにある場合があります。
| 効かない理由 | 見るところ |
|---|---|
| そもそも始められない | 最初の一歩がどうしても踏み出せない人へ |
| やることが大きすぎる | やることが大きすぎて手がつかない人へ |
| 何をやるか決まっていない | 何から手をつければいいか分からない人へ |
| 疲れている | 気づいたら限界になっている人へ |
タイマーは万能ではありません。 「やることは決まっているが、始まらない・止まらない」ときに効きます。
アプリか、専用の機械か
スマホのタイマーが続かない人は、専用の機械のほうが確実です。
| 利点 | 弱点 | |
|---|---|---|
| スマホ | 追加費用なし、いつでも使える | 止めた流れでスマホを見てしまう |
| キッチンタイマー | 安い、止めるだけで終わる | 持ち歩けない |
| スマートウォッチ | 振動で気づける | 高い、充電が要る |
「止めたあとにスマホを見て30分」が起きる人は、機械を1つ買ってください。 数百円です。
家族と一緒に使う
子どもや家族と暮らしているなら、タイマーを共有の合図として使う手があります。
- 「タイマーが鳴ったら出発」
- 「タイマーが鳴るまでゲーム」
人が言うと角が立つことも、機械が言うと通ります。
「早くして」と言い合うより、タイマーに任せるほうが、家の中が静かになります。
続かなくなったら、1つに戻す
タイマーの使い方を増やしすぎると、全部やめてしまいます。
続かなくなったら、いちばん効いていた1つだけに戻してください。
多くの人にとっては、「始めるための5分タイマー」が最後まで残ります。
まとめ:タイマーを効かせる5つ
- アラームの名前を「動作」にする
- タイマーを手の届かない場所に置く
- 「始めるための5分」に使う
- アラームの数を減らす
- スヌーズを切る
いちばん効くのは1番です。 ここだけでも変えてみてください。
まず今日、これだけやってみる
- いま使っているアラームの名前を、全部「動作」に書き換える
- キッチンタイマーを1つ買って、机の反対側に置く
- 次に始められない作業が出たら、5分だけタイマーをかける
関連する困りごと
- 始められない → 最初の一歩がどうしても踏み出せない人へ
- 止まらない → 気づいたら5時間たっている人へ
- 時間の見積もりがずれる → 「15分で終わる」が毎回1時間かかる人へ
- 遅刻してしまう → 何度も遅刻してしまう人へ
この記事について
成人ADHDにおける時間の感じ方のズレは、研究をまとめたレビューで整理されています。時間管理のスキルを練習する方法を調べた研究では、うっかりしやすさの改善も報告されています。
行動をきっかけと結びつけて先に決めておく方法は、目標を達成しやすくすると報告されています。アラームの名前を動作にするのは、この考え方です。
一方で、タイマーやアラームという道具そのものの効果を調べた研究は見つかっていません。 残り時間が見えるタイプのタイマーについても同じです。
製品を買う前に、無料でできる範囲で試してみてください。
アラームを止めて「あと5分」を10回やった経験、ありますよね。音を増やしても解決しません。鳴ったときの動作を1つ決めるほうが効きます。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDの時間の感じ方:この10年の研究のまとめ
(原題:Time Perception in Adult ADHD: Findings from a Decade—A Review)
この研究でわかっていること:時間の見積もりや体感にズレが出やすいことを、性格ではなく認知の特徴として説明できます。
ここはまだ分かっていません:特定のタイマー法・時計の効果を直接調べたものではありません。
研究で検討「もし〜なら〜する」と先に決めておく方法が目標達成に与える効果の研究をまとめた分析
(原題:A Meta-Analysis of the Effects of Mental Contrasting With Implementation Intentions on Goal Attainment)
この研究でわかっていること:行動を「場面」と結びつけて決めておく方法に一定の効果があると言えます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDだけを対象にした研究ではありません。一般の人向けの知見を当てはめています。
研究で検討成人ADHDに対するメタ認知療法の効果
(原題:Efficacy of Meta-Cognitive Therapy for Adult ADHD)
この研究でわかっていること:時間管理・整理・計画のスキルの練習が成人ADHDのうっかりしやすさを減らしうると言えます。
ここはまだ分かっていません:個々の道具(付箋・アプリ等)単独の効果を調べたものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。