仕事中の眠気がひどい人へ|午後に落ちる人の対策
— 気合いでは押し返せない時間帯があります
ポイント
- 午後に眠くなるのは、体のつくりと作業の中身が重なって起きています
- 昼休みの終わりに15分だけ目を閉じておくと、午後の後半が変わります
- 眠気と戦うより、眠くなる時刻に動く仕事を置くほうが早いです
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昼休みが終わって、席に戻る。時計は13時半。画面の同じ行を三回読んでいるのに、意味が入ってこない。まぶたが勝手に落ちる。となりの席から見えていないか、そればかりが気になる。
会議室はもっと危ないです。話は続いているのに、途中から音が遠くなる。はっと顔を上げたときには、何の話をしているのか分からなくなっている。
先に結論を書きます。 仕事中の眠気は、気持ちの強さで押し返すものではありません。昼休みの終わりに短く目を閉じておくことと、眠くなる時刻に「動く仕事」を置くこと。この2つで、午後の落ち方はかなり変わります。
夜の睡眠が足りていないなら、本丸はそちらです。ただ、今日の午後をどうにかしたい人のために、この記事は日中の話に絞ります。
なぜ午後に落ちるのか
1. もともと眠くなりやすい時間帯がある
人の体は、夜だけでなく昼過ぎにも眠気が出やすいつくりになっています。昼ごはんを食べても食べなくても、この時間帯は来ます。
「食べたから眠い」だけではないので、昼食を抜いても解決しないことが多いです。
2. 夜のぶんが足りていない
ADHDのある大人は、眠りに関する困りごとが出やすいと報告されています。寝つきが遅くなりやすい人では、体の中の時計そのものが後ろにずれていた、という研究もあります。
夜に足りなかったぶんは、翌日の午後に顔を出します。順番でいえば、こちらのほうが根っこです。
3. 刺激の少ない作業で、脳が起きていられない
数字の入力、長い資料の読み込み、聞くだけの会議。こういう場面だけ急に落ちる、という人はけっこういます。
難しいから眠いのではなく、刺激がないから眠い。 逆に、興味のある作業のときはまったく眠くならない。この落差が大きい人ほど、まわりから「やる気の問題」と誤解されやすいです。
4. 午前に、力を使い切っている
朝から気を張って、聞き取りにくい話に耐えて、まわりに合わせる。ここで頭の力を使い切ると、午後に一気に落ちます。眠気は疲れの出方のひとつでもあります。
眠くなる時間帯が毎日ほぼ同じ人と、日によってバラバラな人がいます。毎日同じなら体のリズム寄り、バラバラなら前日の睡眠や午前の負荷が効いていると考えると、手をつける場所が決めやすくなります。
【いちばん効く1つ】昼休みの15分を、目を閉じる時間にする
いろいろある中で、いちばん確実なのがこれです。
- 昼ごはんを先に、20分以内で済ませます
- 残った時間で、15分のアラームをかけます
- 机に伏せる、車の中、休憩室のいす。場所はどこでもいいので目を閉じます
- 眠れなくてもかまいません。 目を閉じているだけで数えます
- 鳴ったら、必ず立ちます
大事なのは長さです。 30分を超えると、起きたあとに頭が重くなって逆効果になることがあります。15分から20分で切ってください。
15時より後には取らないようにします。その夜の寝つきに響きやすくなります。
眠れないから意味がない、と思わなくて大丈夫です。目を閉じて入ってくる情報を減らすだけでも、午後の後半の粘りが変わります。短い休憩そのものについても、疲れにくさには効くという研究のまとめがあります。
職場に横になれる場所がないときは、トイレの個室で3分だけ目を閉じるでも、ゼロよりはるかにましです。
仕事中の眠気がひどい人へ/眠くなる時刻に、眠くならない仕事を置く
眠くなる時刻に、眠くならない仕事を置く
眠気と正面から戦うより、置き場所を変えるほうが早いです。
1. 眠くなった時刻を、1週間だけ記録する
手帳の隅に時刻を書くだけです。5日ぶん並べると、たいてい山が見えます。13時台なのか、15時台なのか。自分の山が分かると、対策の置き場所が決まります。
2. 山の時間に、体が動く仕事を入れる
- 書類を出しに行く、備品を取りに行く
- 電話をかける
- 立ったままできる作業
- 人と話す打ち合わせ
歩く・声を出す・人と関わる。 この3つが入る仕事は、眠気に強いです。
3. 山の時間に置かないもの
- 長い資料を黙って読む
- 数字の確認や入力の続き
- 聞くだけの会議(動かせるなら午前へ)
「午前は頭を使う仕事、午後は手と足を使う仕事」と決めてしまえば、毎日その場で考えなくてよくなります。
4. 会議の時刻を自分で置けるなら
午前か、15時以降に置きます。理由を聞かれたら「13時台は集中が落ちるので」で十分通ります。
その場でできる応急処置
来てしまったあとにも、できることはあります。効きやすい順に並べます。
1. 立つ
これがいちばんです。座ったまま粘るより、30秒立つほうが早い。トイレでも給湯室でも、席を離れる口実はいくらでも作れます。
2. 外の明るさを浴びる
窓ぎわに行く、建物の外に1〜2分出る。室内の照明より、外のほうがずっと明るいです。天気が悪い日でも差はあります。
3. 手首を冷やす
顔を洗いにくい職場でも、手首なら洗えます。冷たい水をひと口飲むのも同じ理屈です。
4. 階段を1階分だけ上る
心拍が上がると、頭がはっきりします。1階分でやめるのがコツです。やりすぎると、そのあと動けなくなります。
5. 背中を背もたれから離す
足の裏を床につけて、背筋を起こします。楽な姿勢は、眠くなる姿勢でもあります。
6. 手を動かす
メモを取る、資料に線を引く、指で数える。会議中でも不自然に見えないやり方です。
7. 自分がしゃべる
「今の部分、確認させてください」と一言はさむ。声を出すと、たいてい目が覚めます。
どれも、効くのはせいぜい20〜30分です。応急処置でしのげるのは1回か2回までだと思っておいてください。同じ日に三度目が来たら、それは根性で埋める場面ではなく、その日の仕事の順番を組み替える合図です。難しい作業を明日の午前に回して、今日は手が動くものに切り替えてください。
仕事中の眠気がひどい人へ/会議中に落ちないための準備
会議中に落ちないための準備
会議での居眠りは、いちばん困る場面だと思います。ここは前もって減らせます。
座る場所を選ぶ
- 出入り口の近く(席を立ちやすい)
- 話す人の正面(見られている場所は眠りにくい)
- 窓の近く(明るさが入る)
- 暖房の風が直接当たる席は外す
手が動く役割をもらう
記録係、進行係、時間を見る係。役割があると落ちません。 「メモを取ります」と自分から言うのが、いちばん自然です。
発言をひとつ予約しておく
始まる前に「ここで質問する」と決めておきます。出番があると、そこまでは意識が持ちます。
冷たい飲み物にする
温かい飲み物で落ち着いてしまう人もいます。氷入りのほうが向いている場合があります。
内容が頭に入らないほうが困る、というときは会議の内容が頭に入らない人へも見てください。
眠気を呼び込む環境を減らす
室温
暖かいと眠くなります。上着で調節して、少し涼しいを保ってください。小さな扇風機を置ける職場もあります。
昼ごはんの量
満腹まで食べると、午後がつらくなります。 腹八分で止めて、足りなければ15時に少し足すほうが、結果として眠くなりません。
丼ものや麺の単品より、おかずが混ざっているほうが楽だという人もいます。合う形は人によります。
画面の高さ
画面が低いとうつむき姿勢になり、眠気を呼びます。台をひとつ入れて、目線が下がりすぎない位置にしてください。
音
静かすぎて眠くなる人と、うるさくて消耗する人がいます。自分がどちらかを知っておくと、対策が逆になりません。→ 音が気になって集中できない人へ
飲み物
コーヒーやお茶に頼っている人は、量を増やすより、飲む時刻を前に寄せるほうが安全です。夕方の1杯がその夜の寝つきを遅らせ、翌日の眠気につながることがあります。
場面別
運転や機械の操作がある仕事
ここだけは、我慢して続けないでください。眠気を感じた時点で止まるのが唯一の正解です。車なら安全な場所に停めて、15分目を閉じる。止まったせいで遅れる損は、その先で起きうることに比べればずっと小さいです。
接客・立ち仕事
歩ける仕事は眠気に強いですが、待ち時間が長いと来ます。休憩のたびに外の光を浴びる、水を飲む、姿勢を変える。1回の休憩でやることを先に決めておくと、休憩がただのスマホ時間になりません。
研修や長時間の講義
いちばん落ちやすい場面です。前のほうに座る、手を動かして書く、休憩ごとに立って歩く。それでも落ちるときは、あとで内容を確認できる形(配布資料、録音の許可、同僚に聞く約束)を先に確保しておくと、気持ちが軽くなります。
在宅勤務
ベッドが近いのが最大の敵です。作業する場所と寝る場所を分ける、着替える、午前中に一度外に出る。→ 在宅勤務だとまったく仕事が進まない人へ
居眠りを指摘されたとき
謝ったあとに、今やっている対策をひとつ具体的に伝えると、受け取られ方が変わります。「昼休みに15分休むようにしました」「午後は入力作業を後ろに回しています」。やる気の話が、調整の話に移ります。
よくある質問
眠気覚ましのガムやドリンクは効きますか
その場しのぎとしては使えます。ただ、量を増やす方向に進むと、夜の睡眠を削って翌日の眠気が増えるという往復になりがちです。使うなら早い時間に1回まで、と決めておくほうが長持ちします。強い成分の入ったものを足していくやり方は、ここではすすめません。
昼寝できる場所がありません
完全に横になる必要はありません。机に伏せる、階段の踊り場、車の中、トイレの個室。3分でも、入ってくる情報を減らすと違います。 休憩室がある職場なら、使う人が少ない時間帯を探してみてください。
午後ではなく、朝から眠いです
出社した時点で眠いなら、日中の工夫より先に、朝と夜の側を整えるほうが早いです。起きる時刻をそろえる、起きてすぐ外の光を入れる。この2つだけでも数日で差が出ることがあります。
寝ているつもりなのに、一日じゅう眠いです
時間は足りていても、眠りの中身のほうで足りていないことがあります。まずは寝室の光と音を見直してみてください。それでも変わらないなら、生活の工夫だけでは届かない範囲のことが起きているかもしれません。早めに相談したほうが、遠回りになりません。
職場には何を頼めますか
思っているより、頼めることはあります。
- 単調な作業の時間帯を、午前に寄せてもらう
- 昼休みに15分、静かな場所を使わせてもらう
- 長い会議の途中で、席を立って戻ることを認めてもらう
- 眠気が出やすい時間帯に、立ってできる仕事を回してもらう
「眠いので休ませてください」ではなく、「この時間帯はミスが増えるので、作業の順番を入れ替えたい」と、仕事の中身の話にすると通りやすいです。
関連する困りごと
- 夜が足りていないと、日中の眠気は減りません → 夜、なかなか眠れない人へ
- 朝の起き方は、その日の午後まで響きます → 朝どうしても起きられない人へ
- 眠気は疲れの出方のひとつです → 気づいたら限界になっている人へ
- 職場に相談したいとき → 職場に「これがつらい」と言えない人へ
まず今日、これだけやってみる
- 昼休みの終わりに15分のアラームをかけて、目を閉じる
- 眠くなった時刻を、手帳の隅に書く(5日ぶんでいいです)
- 明日の午後に、歩く用事をひとつ入れておく
この記事について
成人ADHDでは睡眠に関する困りごとが起きやすいことが、たくさんの研究をまとめた分析で報告されています。ただし、これはどうすれば眠れるようになるかを調べた研究ではありません。
また、寝つきの悪い成人ADHDで、睡眠の時間帯と眠気に関わるホルモンの出る時刻が後ろにずれていた、という研究があります。人数の少ない研究で、どうすれば時計が戻るかまでは分かっていません。
短い休憩については、活力が上がり疲れが下がったという研究のまとめがあります。ただし「休憩をはさめば成績が上がる」とまでは言えず、ADHDやASDのある人を対象にした研究でもありません。
そのうえで、ここに書いた職場での工夫そのものを調べた研究は見つかっていません。仕組みとして筋が通るものを並べています。合わないものは飛ばしてください。
十分に寝ているのに日中の眠気が強い、話している最中に意識が飛ぶ、寝ているあいだの呼吸を指摘された——こうしたときは、生活の工夫の範囲を超えていることがあります。困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
会議室でまぶたが落ちそうになる時間、あれは本当に苦しいですよね。ただ、あの眠気は根性の量とはほとんど関係がなくて、置き場所を変えるだけで軽くなることが多いんです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDの睡眠:本人の実感と測定データを合わせたたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:Sleep in adults with ADHD: Systematic review and meta-analysis of subjective and objective studies)
この研究でわかっていること:成人ADHDで睡眠の問題が起きやすいことを、まとまった根拠として示せます。
ここはまだ分かっていません:どうすれば眠れるようになるかを調べた研究ではありません。
(原題:Delayed Circadian Rhythm in Adults with ADHD and Chronic Sleep-Onset Insomnia)
この研究でわかっていること:夜型がなおらないことを、体内時計のずれとして説明できます。
ここはまだ分かっていません:人数の少ない研究。どうすれば時計が戻るかまでは分かりません。
研究で検討「休ませて!」:短い休憩の効果についてのたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:"Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks)
この研究でわかっていること:短い休憩は疲れにくさに効くと言えます。休憩は長いほど成績への効果が大きい傾向も報告されています。
ここはまだ分かっていません:「休憩をはさめば成績が上がる」とは言えません。ADHD・ASDを対象にした研究でもありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。