季節の変わり目に体調を崩す人へ|先回りで環境を切り替える
— 体の合図を待たずに、日付で切り替えます
ポイント
- 暑さ寒さの合図に気づきにくいと、切り替えがいつも後手にまわります
- 衣替えも寝具も、必要になってから動くのでは間に合いません
- 日付と気温の数字を先に決めて、その日に動くほうが確実です
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9月の終わり、夜になって急に冷えた。上に羽織るものが、どこにあるか分からない。
薄いままの布団で寝て、翌朝からのどが痛い。
毎年おなじことをしているのに、毎年間に合わない。衣替えをしていないことに気づくのは、いつも寒くなってからです。
気温が変わってから動くのをやめて、日付を先に決めて切り替えます。
なぜ切り替えが、毎回おくれるのか
暑さ・寒さの合図が、届きにくいことがある
暑さ寒さや疲れなど、体の内側で起きていることへの気づきやすさには、人によって差があります。自閉スペクトラム症のある成人を調べた分析(いくつもの研究をまとめたもの)でも、「気づきにくい」という本人の実感がそろって報告されています。
「冷えてきたから1枚足そう」という合図が弱いと、動くきっかけそのものが来ません。 気づいたときには、もう体が冷えきっています。
ただし、これは「感覚が鈍い」と言い切れる話ではありません。どのくらい気づけるかは人によります。
変わるものが、いっぺんに増える
季節の変わり目は、気温・湿度・日の長さ・服の肌ざわり・においが、短い期間にまとめて変わります。
感覚の受け取り方と暮らしやすさの関係を調べた分析もあり、感覚の負担が生活のしづらさと関連することが示されています。負担が重なる時期だと考えると、しんどさに理由がつきます。
期限がないから、後回しになる
衣替えも寝具の入れ替えも、やらなくても今日は何も起きない用事です。
だから毎日あとまわしになり、必要になった日に間に合いません。
崩れる理由は、1つではない
気温の差、眠りのずれ、花粉、行事の増加、年度の切り替わり。何が効いているかは人によってちがいます。
この記事では、そのうち自分の側で先に動かせる部分だけを扱います。
【いちばん効く1つ】カレンダーに「切り替えの日」を先に入れる
年に4回、切り替え作業をする日を決めて、予定として入れてしまいます。
目安は3月・6月・9月・11月の、それぞれ第1日曜です。
1. 1〜2時間を予定として確保する
「気が向いたらやる」ではなく、予定です。買い物や通院と同じ扱いにしてください。
その日にできなければ、翌週へ動かします。消さずに動かすのが要点です。
2. 気温の数字も、引き金にする
日付だけだと、その年の気候とずれます。数字の合図をもう1つ足します。
「翌週の最低気温が15度を下回ったら、その週末に寝具を替える」
天気アプリの1週間予報を、日曜の夜に1回だけ見ると決めておくと気づけます。
3. 「まだ早い」と感じるうちにやる
まだ暑い、まだ寒い、と思う時期にやるのが正解です。必要になってからでは遅いのが、この作業の性質です。
早く出しすぎて困ることは、ほとんどありません。逆は、毎年困っているはずです。
4. やることを紙に書いて、同じ紙を毎回使う
その日に何をするのかを毎回思い出すのは、それだけで負担です。1枚の紙に書いて、季節ものと一緒にしまっておきます。
- 寝具(かけるもの・敷くもの)
- 次の季節に着るもの5点
- 加湿器か除湿機を出す
- 玄関にかけるものを1枚
- 空白の日をカレンダーに置く
同じ紙を、年に4回使い回します。毎回ゼロから考えなくて済むことが、いちばんの効きめです。
衣替えは「入れ替え」ではなく「足す」
全部を入れ替えようとするから半日仕事になり、結局その日が来ません。
しまう作業をやめて、次の季節のものを1段ぶん出すだけにします。
手順は4つだけ
- 次の季節に必ず着るものを5点選ぶ(羽織るもの1・長そで2・下に着るもの2 など)
- いま使っている引き出しの1段に、それを足す
- 今の季節のものは、しまわない
- 1か月たってから、着なかったものだけ移す
出す日としまう日を分けるのが、続けるコツです。片づけは別の日の仕事にしてください。
羽織るものを、玄関に1枚かけておく
寒い朝に、クローゼットの奥から引っぱり出すのは現実的ではありません。
玄関に1枚かけておく。 それだけで、薄着のまま出る日が減ります。
服を選ぶこと自体がしんどい人は朝、着る服が決まらない人へも見てみてください。
季節の変わり目に体調を崩す人へ/寝具は、服より先に替える
寝具は、服より先に替える
夜は気温が下がります。着るものより寝具のほうが、先に足りなくなります。
眠りが崩れると、翌日の消耗が一段重くなります。ここを最優先にしてください。
1枚足せる形にしておく
厚い布団に一度で替えるのではなく、薄手の毛布を1枚、足元に置いておくやり方が扱いやすいです。
寒ければかける、暑ければ落とす。その場で調整できます。
決めておくのは3点
- かけるもの(いまの1枚と、足す1枚)
- 敷くもの(夏の冷感マットを、いつ外すか)
- 枕まわり(汗をかく季節と、乾く季節でちがいます)
もともと眠りが崩れやすい人へ
成人ADHDのある人の眠りを扱った分析(多くの研究をまとめたもの)があり、睡眠の問題が起きやすいことが示されています。
もともと不安定なところに季節の変化が乗ると、影響が出やすくなります。眠れない日が続くときの手当ては夜、なかなか眠れない人へにまとめています。
気温が読めない日の、服の組み方
変わり目には、朝と昼で10度ちがう日があります。1枚で完結させようとすると、どちらかで必ず外します。
3つに分けて考える
- 下に着るもの(汗を吸ってくれるもの)
- まん中(長そで。暖かさはここで調整します)
- 外側(風を止めるもの。薄くてかまいません)
外側の1枚をカバンに入れておけば、その場で足したり外したりできます。
首・手首・足首から手を打つ
寒さがつらいときは、首まわりに1つ足すのがいちばん手軽です。薄手のストールや靴下を、カバンに入れておきます。
逆に暑い時期は、首を出すだけで体感が変わることがあります。
カバンに「調整の1袋」を入れっぱなしにする
小さい袋に、薄手のストール・靴下・扇子などを入れて、カバンから出さないようにします。
中身の入れ替えは、切り替えの日にまとめて1回だけ。その場でしのげれば十分なので、量は少なくて大丈夫です。
明るさの切り替えを、先に仕込む
秋は日が短くなり、春は長くなります。起きる時刻の外の明るさが、数週間で入れ替わります。
朝の光を、先に用意しておく
- カーテンを少し開けたまま寝る
- 決まった時刻に点く照明を使う(タイマー付きの電球は2,000円前後からあります)
- 起きたら窓ぎわに1分立つ、と先に決めておく
暗いなかで起きるのは、いつもより重い作業です。光のほうを先に用意します。
夜の明るさは、逆に下げる
日が短くなると、部屋の照明をつけている時間が長くなります。
寝る1時間前に、部屋の明かりを1段落とすと決めておくと、体を休ませる合図になります。
まぶしさそのものがつらい人は蛍光灯や画面がまぶしくてつらい人へへ。
季節の変わり目に体調を崩す人へ/乾きと湿りに、道具で先回りする
乾きと湿りに、道具で先回りする
乾く季節(秋から冬)
- 加湿器を、寒くなる前に出しておく
- のどが乾くなら、寝るときにマスクをする
- 保湿のクリームを、洗面所に置きっぱなしにする
湿る季節(梅雨から夏)
- 除湿機やエアコンの除湿を、梅雨入りの予報が出た日に試運転する
- 洗濯物が乾かない時期の干し場所を、先に決めておく
洗濯が止まりやすい人は洗濯物がたまっていく人へも参考になります。
どれも「必要になってから買いに行く」では、間に合いません。
予定を「入れない日」を先に置く
季節の変わり目は、行事も増えます。歓迎会、運動会、年度末、年末年始。
動ける量は変わらないのに、予定だけが増える時期です。
3月・6月・9月・11月の予定を組むとき、先に何も入れない日をカレンダーに置きます。
後から入れようとしても、たいてい埋まっていて入りません。
場面別|季節ごとの切り替えメモ
春(3月ごろ)
生活そのものが変わりやすい時期です。新しい環境の情報を、紙で手元に持っておくと負担が減ります。
花粉がつらい人は、症状が出る前から備えるほうが楽なことがあります。市販薬を使うときは、薬局で相談してください。
梅雨(6月ごろ)
湿気と気圧の変化で、しんどくなる人がいます。予定を詰めない月にしておくと安全です。
夏(7〜8月)
暑さや喉のかわきに気づきにくいと、水分が足りなくなりがちです。時間を決めて飲むようにします。
疲れや暑さの合図が届きにくい人は気づいたら限界になっている人へを読んでみてください。
秋(9〜10月)
いちばん切り替えがおくれる季節です。寝具 → 羽織るもの → 朝の光の順に手を打ちます。
冬(11月ごろ)
寒さと乾燥が同時に来ます。暖房・加湿・厚手の寝具を、11月の頭にまとめて出してしまいます。
朝起きられない状態が続くなら朝どうしても起きられない人へも見てください。
よくある質問
毎年やろうとして、毎年できません
1回にやる量が多すぎます。 「5点だけ出す」まで減らしてください。引き出し1段ぶんで十分です。
気温が毎日変わって、着るものが決まりません
朝に判断しないでください。 前の晩に、翌日の最高気温と最低気温を見て、1セット出しておきます。
迷ったときは、脱げるものを1枚足すが正解です。着すぎは調整できますが、足りないぶんは足せません。
家族と体感がちがって、部屋の温度でもめます
温度計を1つ置いて、数字で話すようにすると、もめにくくなります。
そのうえで、自分だけ1枚多く着る、ひざ掛けを使う、といった個別の対処のほうが早く片づくこともあります。
体調がなかなか戻りません
ここで紹介した工夫は、環境を先に整えて負担を減らすためのものです。体調そのものを治すものではありません。
だるさが抜けない、寝つけない、食欲が落ちた、気分が沈む。こうした状態が2週間以上続くときは、内科や心療内科で相談してください。「季節のせい」で片づけないほうが安全です。
関連する困りごと
- 疲れや不調に気づけない → 気づいたら限界になっている人へ
- 眠れない日が続く → 夜、なかなか眠れない人へ
- 音や光がつらい → 音・光・においがつらい人へ
- 朝どうしても起きられない → 朝どうしても起きられない人へ
まず今日、これだけやってみる
- カレンダーに「切り替えの日」を4回入れる(3月・6月・9月・11月の第1日曜)
- 次の季節に必ず着るものを5点だけ、引き出しに足す
- 足せる毛布を1枚、寝る場所に出しておく
この記事について
この記事は、次の3つをもとにしています。
体の内側の感覚について:自閉スペクトラム症のある成人で、空腹・疲れ・体調などの気づきやすさを扱った分析(いくつもの研究をまとめたもの)があります。気づきにくいという本人の実感はそろって報告されている一方で、実験の課題で測ったときには、はっきりした差が出ていません。 「感覚が客観的に鈍い」と言い切れる話ではない、と読んでください。
感覚と暮らしやすさについて:感覚の受け取り方と生活の質の関わりを扱った分析があり、感覚の敏感さが暮らしにくさと結びつくことが示されています。ただし結びつきがあるという話であって、感覚の手当てをすれば生活の質が上がる、とまでは言えません。
眠りについて:成人ADHDのある人の睡眠をまとめた分析があり、睡眠の問題が起きやすいことが示されています。ただし、眠れるようになる方法を調べたものではありません。
そして、衣替えをいつやるか、寝具をどう替えるかについては、それを調べた研究が見当たりません。この記事は、上の3つの整理を「季節の切り替え」という場面に当てはめたものです。 季節の変わり目に体調を崩す理由も、人によってちがいます。合わない部分は、外して使ってください。
困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
「寒くなったら出そう」と思っていたら、寒くなって3週間たっていた。毎年これをやっている人、けっこう多いんですよね。体の合図を待つのをやめて、カレンダーに働いてもらいましょう。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討自閉スペクトラム症における「体の内側の感覚」のちがい:症例対照研究のたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:Characterizing Interoceptive Differences in Autism: A Systematic Review and Meta-analysis of Case–control Studies)
この研究でわかっていること:「疲れや空腹に気づきにくい」という自己報告の訴えに、まとまった裏づけがあると言えます。
ここはまだ分かっていません:体の感覚が客観的に鈍い、と単純に言い切ることはできません。
研究で検討感覚の処理のしかたと生活の質の関係:たくさんの研究をまとめた分析
(原題:Relationship between Sensory Processing and Quality of Life: A Systematic Review)
この研究でわかっていること:感覚の敏感さが暮らしにくさと関連することを示せます。
ここはまだ分かっていません:関係があるという話で、感覚の対策をすれば生活の質が上がるとまでは言えません。
研究で検討成人ADHDの睡眠:本人の実感と測定データを合わせたたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:Sleep in adults with ADHD: Systematic review and meta-analysis of subjective and objective studies)
この研究でわかっていること:成人ADHDで睡眠の問題が起きやすいことを、まとまった根拠として示せます。
ここはまだ分かっていません:どうすれば眠れるようになるかを調べた研究ではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。