履歴書・職務経歴書が書けない人へ|空欄が埋まらないとき
— 書けないのは文章力ではなく、材料が手元にないからです
ポイント
- 書けない原因の多くは、文章力ではなく材料が足りないことです
- 事実を集める日と、文章にする日を分けると手が止まりにくくなります
- 空白期間や転職回数は、隠すより一言そえるほうがあとがラクです
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応募したい求人は見つけた。締め切りも分かっている。なのに、履歴書のファイルを開いたまま何も進まない日が続く。
志望動機の欄でカーソルが止まる。自己PRに何を書けばいいのか分からない。職務経歴書にいたっては、一枚目のどこから始めればいいのかも分からない。
そのうち締め切りが近づいて、深夜に一気に書いて送ることになる。送ったあとで「あの書き方でよかったのか」が気になり続ける。
手が止まるのは、文章が下手だからではありません。 書くための材料が、まだ頭の外に出ていないからです。
この記事では、材料を先に集めてから埋める、という順番で書き方をまとめます。
なぜ応募書類だけ、こんなに書けないのか
ふだんの仕事のメールは書けるのに、応募書類になると止まる。理由はいくつも重なっています。
思い出す作業と、書く作業を同時にやろうとしている
職務経歴書を書くとき、頭のなかでは3つのことが同時に動いています。過去を思い出す。どれが大事か選ぶ。相手に伝わる文にする。
この3つを一度にやると、頭の力が足りなくなります。 途中で「そもそも自分は何がしたいんだっけ」という別の考えが割り込んできて、また最初に戻ります。
自分の手柄がどれか分からない
チームでやった仕事を、どこまで自分の実績として書いていいのか判断がつかない。盛るのは嫌だし、控えめすぎても伝わらない。この迷いで止まる人はけっこういます。
迷ったときは、自分が手を動かした部分だけ書くと決めてしまうとラクです。「4人のチームで担当し、そのうち入力と確認を受け持っていました」のような書き方なら、盛ってもいませんし、自分の仕事が消えてもいません。
100点の答えがあると思っている
応募書類には正解があって、それを外すと落ちる、と感じてしまう。すると「まだ書ける状態じゃない」となって後回しになります。読みやすい型はありますが、100点の文章はありません。
書きたくない欄が1つある
空白期間や退職理由など、触れたくない欄が1つあるだけで、書類そのものを開くのが重くなります。避けたい場所が地雷みたいに置かれている状態です。
締め切りが遠いあいだは、存在ごと忘れている
これも多い理由です。避けていたのではなく、思い出していなかった。 求人をブックマークしたまま2週間たっていた、ということが起きます。
どれで止まっているかによって、打つ手が変わります。全部が「やる気がない」ではありません。
そもそも、就職や転職を一人で進めなければいけない決まりもありません。障害のある人が働き続けるための訓練や支援は、国の機関が調査と研究を続けている分野です。就労を支える取り組みをまとめて調べた研究もあり、書類づくりを人と一緒にやる道は前からあります。
【いちばん効く1つ】書く前に「材料メモ」を作る
いちばん効くのは、文章を書く前に、事実だけを並べたメモを作ることです。
材料メモは提出しません。誰にも見せません。だから、きれいに書く必要がまったくありません。
2021年4月〜2024年3月 △△株式会社 営業事務 ・受注データの入力 1日30〜50件 ・見積書の作成 月40件くらい ・入力用の表を作り直して、入力にかかる時間が半分になった ・後輩2人に手順を教えた
これで十分です。期間と数字さえ入っていれば、あとから文章にできます。
進め方はこの順番です。
- 1日目は、材料メモだけ作る。 文章にしない
- 2日目に、材料メモを見ながら書類の形にする
- 3日目に読み返して、直して送る
「集める日」と「書く日」を分けるだけで、手が止まる回数が減ります。一度にやろうとすると、思い出している途中で文章を書き始めてしまい、どちらも中途半端になります。
大きいものを分けて進める考え方は、大きい仕事を前に固まってしまう人へにも書きました。
履歴書・職務経歴書が書けない人へ/材料メモの集め方(30分×3回)
材料メモの集め方(30分×3回)
思い出すのを記憶だけに頼らないでください。記録から拾うほうが、早くて正確です。
1回目:日付と会社名だけを埋める(30分)
- ねんきん定期便やねんきんネットで、勤め先と期間を確かめる
- 離職票、源泉徴収票、給与明細を探す
- 昔のメールの署名、名刺、保存してあるファイルの更新日を見る
まず表を1本作って、入社と退社の年月だけを入れます。 ここが埋まれば、書類の骨は組み上がったのと同じです。
2回目:やっていた仕事を書き出す(30分)
会社ごとに、思い出せるだけ箇条書きにします。まとめようとしないでください。
- 毎日やっていたこと
- 月に1回、年に1回やっていたこと
- 途中から任されるようになったこと
- 使っていたソフト、機械、システムの名前
3回目:数字をつける(30分)
箇条書きの横に、分かる範囲で数字を足します。正確でなくていいです。「くらい」で構いません。
- 1日に何件
- 何人のチームで
- 何年やったか
- 何が、どれくらい変わったか
数字がひとつ入るだけで、同じ内容でも読み手に届きやすくなります。
3回に分けるのは、1回で終わらせようとすると3回目まで届かないからです。30分たったら、途中でもやめてください。 そこで粘ると、次の日にファイルを開くのがつらくなります。3回とも別の日でも構いません。
欄ごとの埋め方
志望動機が書けない
志望動機は、気持ちを語る欄ではありません。自分にできることと、その会社がやっていることの重なりを書く欄です。
3行の型を使ってください。
・前の職場で〇〇をしていました(事実) ・求人にある△△は、そこで身につけたやり方が生かせると思いました(重なり) ・入ってからは、まず□□の部分でお役に立ちたいです(これから)
「昔からあこがれていました」は要りません。求人票の仕事内容から、材料メモと重なる言葉を探すほうが早く終わります。求人票にある言葉を少し借りても構いません。同じ言葉が入っているほうが、読み手は照らし合わせやすいです。
自己PRが書けない
自己PRは、性格の話ではなく行動の話にすると書けます。
✗ 几帳面な性格です ○ 入力ミスを減らすため、確認の手順を紙にして机に貼っていました
材料メモの箇条書きから、いちばん長く続いたことを1つ選んでください。続いたことは、それだけで書く価値があります。
職務経歴書の書き出しが決まらない
白紙から書かないでください。日付と会社名だけ入った表を先に作り、上から順に埋めていきます。
書式で迷うなら、ハローワークや転職サイトが配っている無料のひな形をそのまま使います。フォーマットを自作しないでください。 そこで半日つぶれます。
空白期間をどう書くか
空欄のままだと、面接でほぼ確実に質問されます。1行だけ書いておくほうが、あとがラクです。
2023年4月〜2024年2月 体調の回復と資格の勉強のため離職
くわしく書く義務はありません。診断名を書く必要もありません。何をしていたかを一言そえておいて、聞かれたら答える。それで足ります。迷ったら、期間と、していたことと、今は働ける状態であること。この3つが入っていれば十分です。
転職回数が多い
回数そのものは消せません。ただ、並べ方で読みやすさは変わります。
- 在籍が短い時期は、まとめて1つの段落にする
- 直近の仕事をいちばんくわしく書く
- 共通してやってきた仕事を、最初に3行だけ置く
続かなかった理由を自分の中で整理しておきたいときは、仕事が続かない人へも見てみてください。
特性や障害を書くかどうか
これは書き方より前の、大きな判断です。伝えて働くか、伝えないで働くか。どちらが正しいという答えはありません。 決め方は障害者雇用と一般雇用で迷っている人へにまとめています。
履歴書・職務経歴書が書けない人へ/送る前に見るのは3か所だけ
送る前に見るのは3か所だけ
読み返しは、始めると終わらなくなります。見る場所を先に決めておいてください。
- 数字と日付。 入社と退社の年月、件数の桁が合っているか
- 会社名と担当者名。 使い回した書類は、前の応募先の名前が残りやすい場所です
- 書き出しの1行と、最後の1行。 読み手がいちばん目を通すところです
言い回しのうまさは、この3つのあとの話です。文をなおしはじめると、送るのが1日遅れます。
ファイル名も、送る前に整えておくと自分があとで探しやすくなります。
職務経歴書_山田太郎_20260828.pdf
指定がなければPDFで送るのが無難です。相手のパソコンで行がずれる心配がありません。
完璧主義で止まっているときの外し方
- 提出版ではなく「60点版」を作ると決める。 ファイル名にも入れてしまう
- 1つの欄につき3分でタイマーをかける。 鳴ったら次の欄へ進む
- 埋まらない欄には「あとで」とだけ打って飛ばす
- 全部の欄が埋まってから、上に戻って直す
- 自分で読み返すのは1回まで。あとは人に見てもらう
書類は、送らなければ0です。60点で送ったものは、0点の完璧な下書きより強いです。
一人で直し続けると、いつまでも終わりません。ハローワークの窓口や就労移行支援では、書類を見てもらえます。無料で添削してもらえる場所があることは、覚えておいて損がありません。支援機関の選び方は就労移行支援を使ってみたい人へにあります。
よくある質問
手書きとパソコン、どちらがいいですか
指定がなければパソコンで十分です。 手書きの負担で送れなくなるくらいなら、パソコンで作って何度も使い回すほうが現実的です。手書き指定があるときだけ、手で書きます。
経歴に自信がありません。書くことがないのですが
「書くことがない」のではなく、まだ材料メモを作っていないだけのことがほとんどです。アルバイト、家業の手伝い、家族の介護、資格の勉強、長く続けている趣味も材料になります。まず並べて、選ぶのはあとにしてください。
何社にも同じ書類を使い回していいですか
職務経歴の部分は使い回して構いません。書き換えるのは志望動機の3行だけにします。毎回ゼロから作り直すと、応募できる数が増えません。
職務経歴書は何枚くらい書けばいいですか
A4で1〜2枚が目安です。 3枚を超えると、最後まで読まれにくくなります。書きすぎたときは、直近の仕事だけ残して、古い分は1行ずつにまとめてください。減らす作業のほうが、増やす作業よりずっと早く終わります。
送ったあとで間違いに気づきました
軽い誤字なら、そのままで問題になることはあまりありません。日付や社名など、事実の間違いに気づいたときだけ早めに一報を入れます。 面接の場で口頭で直しても構いません。
関連する困りごと
- 書類づくりを小さく割って進めたいとき → 大きい仕事を前に固まってしまう人へ
- 職歴が短くなる理由を整理したいとき → 仕事が続かない人へ
- 特性を伝えて働くかどうかを決めたいとき → 障害者雇用と一般雇用で迷っている人へ
- 書類の添削や面接の練習をしてもらいたいとき → 就労移行支援を使ってみたい人へ
まず今日、これだけやってみる
- 表計算ソフトかメモアプリを開いて、ファイルを1つ作る
- 勤め先の名前と、入社・退社の年月だけを上から並べる(思い出せない年は空欄でいい)
- タイマーを30分にセットして、鳴ったらそこでやめる
今日はここまでで十分です。空欄が1つでも埋まったなら、書類はもう動き出しています。
この記事について
障害のある人が働き続けるための訓練や支援は、国の機関が調査と研究を続けている分野です。就労支援の資料や実務の情報は、そこから出ています。ただし、こうした資料は、あなたが応募する一つひとつの会社がどう対応するかまで保証するものではありません。
また、自閉スペクトラム症のある成人向けの就労プログラムについて、たくさんの研究をまとめて調べた分析があります。就労を支える取り組みが、研究の対象になっているというところまでは言えます。一方で、その分析自身が、研究の数と質にはまだ限界があると書いています。「この支援を受ければ採用される」という話ではありません。
そのうえで、この記事に書いた手順そのものは、研究で効果を確かめたものではありません。材料を先に集めるという段取りが合わない人もいます。合わないやり方は飛ばしてください。
書類が出せない状態が何か月も続いていたり、応募のことを考えると眠れなくなるようなときは、書き方の工夫だけの話ではないかもしれません。困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
白い紙を見つめている時間って、いちばんしんどいんですよね。あれは考えている時間じゃなくて、材料がないまま料理を始めようとしている時間なんです。まず冷蔵庫を開けるところからでいいですよ。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
- 専門家・公的情報
- 厚生労働省などの公的な機関や、専門家が出している情報をもとにしています。
専門家・公的情報障害者職業総合センター(NIVR)
この研究でわかっていること:就労支援の研究・実務資料の出どころとして使えます。
ここはまだ分かっていません:個別の職場の対応を保証するものではありません。
研究で検討自閉スペクトラム症のある成人向けの就労プログラムと支援:たくさんの研究をまとめた分析
(原題:Employment programmes and interventions targeting adults with autism spectrum disorder: A systematic review)
この研究でわかっていること:就労支援プログラムが研究されている領域だと示せます。
ここはまだ分かっていません:研究数と質に限界があるとレビュー自体が述べています。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。