スマホの充電を忘れる人へ|外で電池切れにならない置き方
— 思い出す力に頼らず、置き場所で決めます
ポイント
- 充電は「あとでやること」なので、いちばん抜け落ちやすい種類の用事です
- 置いた場所で勝手に始まる形にすると、思い出さなくて済みます
- 切れる前提の備えを1つ持つと、切れた日の被害が小さくなります
目次を開く(12項目)
朝、家を出る直前にスマホを見たら、残りが18%だった。
昨日の夜、たしかに「あとで挿そう」と思っていた。思っていたのに、そのまま朝になっている。
そして昼過ぎに電源が落ちる。地図も、支払いも、連絡も、いっぺんに止まります。
充電を思い出すのをやめて、置いたら勝手に挿さる形にします。
なぜ充電だけ、いつも抜け落ちるのか
「あとでやること」は、記憶がいちばん弱い相手
充電は、いま困りません。困るのは翌日です。
こうした「先の時点でやること」を覚えておく力について、ADHDのある大人を対象に実験で調べた研究があり、この力に困りごとが出やすいことが報告されています。
抜けるのは意志の問題ではありません。思い出す方式そのものが、条件として不利なだけです。
夜のスマホは、手から離れない
寝る前は、スマホをいちばん手放しにくい時間です。動画、SNS、返しそびれた連絡。
眠くなって、そのまま枕元に置いて寝ます。置いた場所にケーブルがなければ、充電は始まりません。
「見る」と「挿す」は別の動作
「50%か、まだ大丈夫」と見たことは、たいてい覚えています。それでも挿していません。
残量を見ることと、ケーブルを挿すことは、つながっていない別々の動作だからです。ここが切れています。
【いちばん効く1つ】寝るときに置く場所へ、ケーブルを固定する
やることは1つです。夜、スマホを最後に置いている場所に、ケーブルを1本すえつけます。
新しく充電コーナーを作るのではありません。あなたが実際に置いている場所へ、ケーブルのほうを動かします。
1. 実際に置いている場所を特定する
枕元、ベッドの上、こたつ、ソファの肘掛け、洗面所。理想の場所ではなく、今朝スマホがあった場所です。
2. その場所に、専用のケーブルを1本置きっぱなしにする
1本を抜き差しして持ち歩く運用は、まず続きません。その場所から動かさない1本を用意します。
短いと届かなくて挿さなくなるので、1.5m以上を選んでください。
3. ケーブルの先が床に落ちないようにする
落ちたケーブルを拾う。それだけの動作でも、眠い夜には十分な障害物になります。
- ケーブル用のクリップで机や棚の角に留める
- 養生テープで直接貼ってしまう
- 重いものの下に通して抜けないようにする
手を伸ばした位置に先端がある状態にしてください。
4. 「置く」と「挿す」を1つの動作にする
置く場所と挿す場所が同じなら、置いた流れのまま挿さります。
同じ合図で同じ行動をくり返すと身につきやすいことは、日常生活で習慣のでき方を追った研究でも示されています。ただし身につくまでの日数には大きな個人差があります。数日でできなくても、失敗ではありません。
置くだけで始まるワイヤレス充電器を使えば、挿す動作そのものが消えます。2,000円台からあります。
ケーブルは「いる場所ぜんぶ」に置く
1本を大事に使い回す運用が、いちばん壊れやすいです。
1日のうち30分以上いる場所には、全部置いてください。
| 場所 | 置くもの |
|---|---|
| 寝る場所 | 長めのケーブル1本 |
| 家の作業机 | ケーブル1本 |
| 職場の机 | ケーブル1本(会社に置きっぱなし) |
| リビング・ソファ | ケーブル1本 |
| カバンの中 | 短いケーブルとモバイルバッテリー |
| 車 | シガーソケットの充電器 |
100円ショップのもので動きます。品質を上げるより、先に数をそろえるほうが効きます。
抜いて持ち歩かない
移動させると、必ずどこかに置き忘れます。置き忘れた先を探す時間のほうが、ケーブル代より高くつきます。
カバンを使い分けている人は、カバンを変えると必ず忘れ物をする人へもどうぞ。
充電器(アダプタ)も同じ数だけ用意する
ケーブルだけ増やしても、コンセントに挿す側が足りないと使えません。セットで置くのが前提です。
何本あれば足りるか
目安は、寝る場所・家の作業場所・職場・カバンの4本です。ここに車を使う人はもう1つ足します。「多すぎないか」と感じる本数で、ちょうどいいことが多いです。
スマホの充電を忘れる人へ/モバイルバッテリーは「持つ」より「戻す」
モバイルバッテリーは「持つ」より「戻す」
買ったのに使えていない人が多い道具です。理由は、だいたい次の2つです。
- バッテリー自体が空になっている
- 家に置いてきた
充電する場所を、スマホと同じにする
スマホの定位置の横に、バッテリー用のケーブルをもう1本置きます。
スマホを置くついでに、隣に置く。 これで、別の用事になりません。
カバンに入れっぱなしにする
出かけるたびに入れる運用はやめます。カバンの内ポケットを定位置にして、短いケーブルとセットで入れたままにしてください。
大きさは、スマホ1回ぶんで足りることが多い
大容量は重く、結局持ち歩かなくなります。その日をしのげれば十分です。毎日持てるかどうかが、性能より大事です。
月に1回、点検する日を決める
バッテリーは、使わなくても少しずつ減ります。月の初めの日曜に残量を見るなどと決めておくと、いざというときに空になりません。
「もう危ない」の数字を決めておく
残量を感覚で判断すると、その日の気分でぶれます。数字と行動をセットにします。
「40%を切ったら、その場で挿す」
30%でも50%でもかまいません。決めた数字のときに、必ず同じ行動をすることのほうが大事です。
残量を「%」で表示させる
アイコンの絵だけでは、危なさが伝わりません。設定で数字が出るようにしてください。
- iPhone: 設定 → バッテリー → バッテリー残量(%)
- Android: 設定 → バッテリー → 残量の表示(機種によって名前がちがいます)
省電力モードは、早めに入れる
20%まで待たずに、外に出るときに毎回入れてしまうやり方もあります。
画面は少し暗くなりますが、電源が落ちるよりはるかにましです。
減りが早いと感じたら
- 画面の明るさが最大に近いままになっている
- 地図やナビを開きっぱなしにしている
- 電池そのものが古い(2〜3年で弱っていきます)
明るさを自動に戻すだけで、体感が変わることがあります。
切れて困るのは、スマホだけではない
ワイヤレスイヤホン、スマートウォッチ、ノートパソコン。どれも同じ理由で切れます。
充電する場所を1か所にまとめる
機器ごとに別の場所で充電すると、点検する場所が増えていきます。
寝る場所か作業机のどちらかに集めると、見るのが1回で済みます。差し込み口が3つ以上ある充電器を1つ買うと、コンセントも足ります。
イヤホンは「ケースに戻す」だけを決めごとにする
イヤホンは、ケースに戻せば充電されます。つまり要点は、置き場所ではなく戻す動作のほうにあります。
外したら、机を経由せずに耳から直接ケースへ。途中に置く手順をはさむと、そのままなくします。よくなくす人はなくし物が多い人へも見てみてください。
仕事で使う機器は、前の晩に見る
ノートパソコンは、充電に時間がかかります。朝に気づいても間に合いません。
前の晩の準備に「電源につないだか」を1行だけ足しておいてください。
スマホの充電を忘れる人へ/出る前の確認を、1つだけにする
出る前の確認を、1つだけにする
持ち物の確認と同じで、見る項目が多いと、そのうち見なくなります。
充電については、数字を1回見るだけにしてください。指差し確認のリストに足さないことが大事です。
見る場所は玄関にします。ドアの内側に、小さく「%」とだけ書いた紙を貼ります。
玄関そのものの整え方は持ち物をいつも忘れる人へにまとめています。
朝より、前の晩に見るほうが強い
朝は時間がありません。足りないと気づいても、挿す10分がありません。
前の晩に見て、足りなければその場で挿す。 これが最短です。夜のうちに翌日の準備をまとめる方法は朝バタバタして何も進まない人へにあります。
場面別|切れると本当に困る場面
通勤・通学の途中
改札を通れない、乗り換えを調べられない、という状態になります。
交通系ICのカードを1枚、財布に入れておいてください。 紙の定期でもかまいません。スマホ以外の手段を1つ持つのが要点です。
仕事中
会社の机に1本置きっぱなしにします。共用の充電器を毎回借りるのは、気をつかうので続きません。
会社に置くケーブルは、名前を書いておくと戻ってきます。
外出先で道が分からなくなる
地図の画面を、先に撮っておくと、電池が切れても道は分かります。
待ち合わせの場所と時間、相手の電話番号も撮っておくと安心です。
旅行・出張
充電器を1つ忘れるだけで、丸一日困ります。旅行用のポーチに1式を入れっぱなしにして、家では絶対に使わないと決めてください。
短い電源タップを1つ入れておくと、コンセントが遠いホテルでも困りません。
病院や役所で長く待つとき
順番待ちのあいだにスマホを使い切って、呼ばれる前に切れることがあります。
待ち時間が読めない用事の日は、家を出る前に必ず満充電にする。 これだけ決めておくと安全です。
停電や災害のとき
大きめのモバイルバッテリーを、普段使いとは別に1つ用意して、防災の袋に入れておきます。
半年に1回、充電し直す日を決めておいてください。3月と9月など、覚えやすい月がおすすめです。
うまくいかないとき
ケーブルを挿すのを忘れる
挿す動作が残っているのが原因です。置くだけのワイヤレス充電器に変えてください。
置き場所は、必ず今すでに置いている場所にします。ここを動かすと、また忘れます。
挿したのに充電されていない
- ケーブルが断線している(端の折れ曲がるところから傷みます)
- パソコンのUSBにつないでいて、電流が弱い
- 端子にほこりが詰まっている
朝に「充電されていない」が何度も続くなら、まずケーブルを1本買い替えてみてください。
家族に持っていかれる
自分のケーブルには色つきのテープを巻きます。 見た目で区別がつくと、戻ってきやすくなります。
何をやっても続かない
「充電する」を意識するのをやめて、寝る場所そのものを、充電できる場所に変えてください。
道具を増やすより、置き場所を1回動かすほうが効きます。「あとでやる」が実行に移らないときの考え方は「あとでやる」がいつまでもできない人へにまとめています。
関連する困りごと
- 玄関で持ち物がそろわない → 持ち物をいつも忘れる人へ
- 忘れ物そのものが多い → 忘れ物が多すぎてしんどい人へ
- 朝に時間の余裕がない → 朝バタバタして何も進まない人へ
- 「あとでやる」が実行できない → 「あとでやる」がいつまでもできない人へ
まず今日、これだけやってみる
- 今夜スマホを置く場所に、ケーブルを1本置きっぱなしにする
- バッテリー残量を「%」で表示する設定に変える
- モバイルバッテリーを、カバンの定位置に入れたままにする
この記事について
この記事は、次の2つをもとにしています。
「あとでやることを覚えておく力」について:ADHDのある大人を対象に、この力を実験で調べた研究があります。予定や約束が抜けるのは、記憶の使い方の問題であって、やる気の問題ではないと説明できます。ただし、リマインダーや置き場所といった、外に出しておく道具そのものの効果は、まだ調べられていません。
習慣のでき方について:日常生活のなかで習慣がついていく様子を追った研究があります。同じ合図で同じ行動をくり返すことが習慣を支えること、そして定着までの日数には大きな個人差があることが示されています。この研究はADHDやASDのある人を対象にしたものではありません。「21日で習慣になる」という言い方も、この研究の結論ではありません。
つまり、ケーブルの本数や置き場所そのものに、研究の裏づけがあるわけではありません。この記事は、上の2つの考え方を「充電」という場面に当てはめたものです。 合わなければ、遠慮なく別のやり方に変えてください。
困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
充電を忘れるのは、だらしないからではないんですよね。「寝る前にやる」という頼り方をしている限り、いつかは落とします。ケーブルの位置を1回動かすほうが、ずっと早いです。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討成人ADHDにおける「あとでやることを覚えておく力」の困難
(原題:Complex Prospective Memory in Adults with Attention Deficit Hyperactivity Disorder)
この研究でわかっていること:予定や約束を忘れるのは記憶の使い方の問題で、意欲の問題ではないと説明できます。
ここはまだ分かっていません:リマインダーなど外部化の道具そのものの効果はまだ調べられていません。
研究で検討習慣はどうやってできるのか:日常生活での習慣づくりを追った研究
(原題:How are habits formed: Modelling habit formation in the real world)
この研究でわかっていること:同じ合図と同じ行動の反復が習慣化を支えること、定着に個人差が大きいことを示せます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDを対象にした研究ではありません。「21日で習慣化」も本研究の結論ではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。