欠勤の連絡が怖くてできない人へ|休む日の伝え方
— うまく言うことより、早く短く出すほうが大事です
ポイント
- 欠勤の連絡は、うまく話す場面ではなく、事実を短く出す場面です
- 文面を先に作ってスマホに入れておくと、当日に考えずに済みます
- 連絡なしで休むことだけは避け、遅れても必ずその日のうちに出します
目次を開く(10項目)
朝、体が重い。起き上がると頭がぐらつく。今日は無理だ、と自分では分かっています。
なのに、スマホを持ったまま動けません。何と言えばいいのか。どのくらい申し訳なさそうに言えばいいのか。頭の中で言い方を組み立てているうちに、7時が7時半になり、始業時刻が近づいてきます。
言えないまま時間が過ぎるほど、言い出しにくくなります。休むと決めたのに、連絡だけができない。 これはよくあることです。
欠勤の連絡は、うまく話す場面ではありません。事実を短く出すだけの作業です。 そして、連絡なしで休むことだけは避けます。ここだけ守れば、あとは形を整えるだけで済みます。
この記事は、休む口実の作り方ではありません。休むと決めたあとの、伝え方の話です。
なぜ、欠勤の連絡だけこんなに怖いのか
苦手なことが2つ、同時に来る
1つは、電話やチャットという連絡そのものです。もう1つは、休むことへの後ろめたさです。どちらか片方なら動ける人でも、重なると止まります。
しかも、この2つは互いを大きくします。後ろめたいから言い方に悩み、悩むほど連絡が遅れ、遅れるほど後ろめたくなります。
休んでいいかどうかを、自分で決められない
「37度2分は休んでいい熱なのか」「だるいだけで休むのは甘えではないか」。自分の体の状態を、休む理由として言えるだけの言葉に変えるところで、多くの人が止まります。
体の疲れや不調に気づきにくい人ほど、この判断はさらに難しくなります。気づいたときには、動けないところまで来ていることもあります。
いちばん頭が回らない時間にやることになる
欠勤の連絡は、たいてい起きた直後です。熱があって、寝起きで、いちばん言葉が出ない状態で、いちばん気を使う連絡をすることになります。
この時間に、ゼロから文章を組み立てるのは無理があります。前の晩や、元気な日のうちに用意しておくべき作業です。
感情の波が、判断を大きく揺らす
成人のADHDでは感情が大きく動きやすいことが、研究をまとめた分析で報告されています。その日の落ち込み具合で、同じ状況でも「休むなんてありえない」と「もう終わりだ」の間を行き来します。
だからこそ、判断が揺れる当日ではなく、揺れていない日に基準と文面を決めておきます。
【いちばん効く1つ】文面を先に作って、スマホに入れておく
やることは1つです。元気な日に、欠勤の連絡文を3つ書いて、スマホのメモに入れておきます。 当日は、コピーして数字を直して送るだけにします。
1日休むとき
「おはようございます。◯◯です。発熱のため、本日はお休みをいただきます。◯◯の件は△△さんに引き継ぎをお願いできますでしょうか。明日の朝、あらためて連絡いたします」
午前だけ様子を見たいとき
「おはようございます。◯◯です。体調がすぐれないため、午前中お休みをいただきます。11時までに、午後の出社可否をご連絡します」
途中で早退するとき
「◯◯です。体調が悪化したため、本日は早退させてください。今日の作業は△△まで終わっています。残りは明日回します」
この3つがあれば、たいていの場面は埋まります。 会社名や上司の呼び方だけ、自分の職場に合わせて直してください。
置き場所は1か所に決める
メモアプリの、いちばん上に固定しておきます。探している間に時間が過ぎるのが、いちばんもったいないところです。 検索しやすいように「欠勤」という言葉をメモの先頭に入れておくと、寝起きでも見つかります。
理由は一行でいい
長く説明するほど、うまく書けなくなります。相手が知りたいのは、今日来るのか、いつ戻るのか、誰に回せばいいのかの3つだけです。
病名や症状を細かく書く必要はありません。「発熱のため」「体調不良のため」で足ります。
欠勤の連絡が怖くてできない人へ/送るときの3つのきまり
送るときの3つのきまり
早く出す
始業時刻の前に出せば、それだけで大半は片づきます。 現場は人の配置を組み直す必要があるので、早いほど手間が小さくなります。
考えがまとまらないなら、まとまらないまま送って構いません。文面の完成度より、届く時刻のほうが効きます。
短く出す
謝罪を重ねるほど、相手は返事に困ります。お詫びは一行だけにして、事実を先に置いてください。
いつ戻るかを書く
「明日の朝に連絡します」「11時までに判断します」。次の連絡の時刻を書いておくと、相手はそれまで確認しなくて済みます。
書いたら、その時刻にスマホのアラームをかけてください。連絡すると言って忘れるのが、次の事故になります。
連絡の手段は、元気なうちに決めておく
当日の朝に「電話しかだめなのか」と悩むのは、遅すぎます。入ったとき、面談のとき、体調が悪くない日に、先に確認しておく話です。
聞くのは一言だけ
「体調を崩したときの連絡は、電話・チャット・メールのどれが確実でしょうか。誰宛てにお送りすればよいですか」
これは配慮のお願いではなく、業務の確認です。新人が聞いても、5年目が聞いても、おかしくない質問です。
電話しか認められていない職場では
まず、なぜ電話なのかを聞いてみてください。「確実に届いたか分からないから」が理由なら、チャットで送って、既読がつかなければ電話するという形を提案できます。
「朝は声が出づらいことがあるので、まずチャットでお送りして、10分で反応がなければお電話する、という形でもよろしいでしょうか」
それでも電話が必須なら、話す内容を紙に書いてから、読み上げます。電話そのものへの対策は電話対応が怖い・苦手な人へにまとめました。
どうしても声が出ない日のために
出られない日は、たいてい声も出ません。留守番電話に短く残す、という逃げ道を1つ持っておいてください。
「◯◯です。体調不良のため本日休ませていただきます。のちほどメールでご連絡します」
15秒で終わります。届いた事実さえ残れば、細かい説明は落ち着いてから文字で足せます。
欠勤の連絡が怖くてできない人へ/連絡なしで休むことだけは避ける
連絡なしで休むことだけは避ける
言えないまま布団に戻ってしまう。昼になって、もう手遅れだと思う。この流れは、一度はまると抜けにくいところです。
それでも、連絡がないことだけは、休んだ事実よりずっと重く扱われます。 理由は3つあります。
- 職場は、人が来ない理由を推測するしかなくなる(事故や急病を疑って、家や家族に連絡が行くことがあります)
- 多くの会社で、就業規則に無断欠勤の扱いが定められています
- 一度でも「連絡が来ない人」と見られると、次に休むときの言い出しにくさが増えます
休むこと自体は、たいていの場合、手続きの範囲で収まります。 収まらなくなるのは、連絡がないときです。
昼になってしまったら、その時点で出す
遅れた連絡は、遅れたまま出します。謝罪を長くする必要はありません。
「ご連絡が遅くなり、申し訳ありません。◯◯です。体調不良で本日はお休みをいただいております。明日の朝、あらためてご連絡します」
夕方でも、その日のうちなら出してください。翌日まで空けるより、はるかに小さく済みます。
連絡できなかった日を、次の材料にする
責めるために振り返るのではありません。どこで止まったのかを1行だけ書いておきます。 「電話番号を探しているうちに時間が過ぎた」「上司の名前を出すのが怖かった」。
止まった場所が分かれば、そこだけ先に潰せます。番号を登録しておく、送り先を上司ではなくチームのチャットにしてもらう。次に効くのは、反省ではなく仕掛けのほうです。
後ろめたさの置きどころ
休む理由に点数をつけない
「38度なら休んでいい、37度は微妙」と採点していると、いつまでも決まりません。動けるかどうか、今日の仕事に耐えられるかどうかで見てください。
判断に迷う状態が続くなら、あらかじめ「これが出たら休む」という線を2つか3つ決めておくと楽になります。自分の限界に気づきにくい人は気づいたら限界になっている人へも合わせてご覧ください。
迷惑は、戻ってから返せる
休んだ日にできるのは、引き継ぎの一言だけです。残りは、戻った日に片づければ間に合います。
戻った朝は、長い謝罪より、短い一言と実務のほうが伝わります。
「昨日はご迷惑をおかけしました。△△の件、引き継ぎありがとうございました。今日中に◯◯まで進めます」
休むたびに落ち込みが長引くとき
一度の欠勤を何日も引きずってしまう人もいます。自分を責める癖そのものが重いときは、自分を責めるのが癖になっている人へを読んでみてください。
欠勤が増えてきたとき
月に何度も休む状態が続くなら、それは連絡のしかたの問題ではありません。働き方の側を見る合図です。
勤務時間、業務量、通勤、環境。変えられるところがないか、産業医や上司に相談する段階に来ています。働く人向けの相談窓口として、厚生労働省の「こころの耳」があります。頼み方は職場に「これがつらい」と言えない人へにまとめました。
よくある質問
理由を詳しく聞かれたら
答えられる範囲で構いません。通院や検査の予定があるなら、そこだけ伝えれば足ります。 診断名を言う義務はありません。
疑われている気がします
相手の口調を、休んだ後ろめたさから読みすぎている場合があります。送った文面が事実として整っていれば、こちらの仕事は終わっています。
繰り返し体調で休むことに説明が必要な職場なら、休むたびに弁明するより、一度まとめて相談の場を作るほうが早く済みます。
休んだのに、家で何もできませんでした
それで正解です。休みは、たまった用事を片づける日ではありません。
寝る、水分を取る、部屋を暗くする。この3つで十分です。何もできなかった日を「無駄にした」と数えないでください。
休むと決めたのに、連絡だけができません
連絡の中身ではなく、送信の動作で止まっている状態です。送る前の作業をゼロにしてください。 文面をコピーして貼るところまでを、前の晩に済ませておく。宛先を先に開いておく。
それでも指が止まるなら、家族や同居人に「送信ボタンを押すところだけ見ていて」と頼むのも手です。人がそばにいると動ける、というのは珍しい話ではありません。
関連する困りごと
- 電話そのものが怖い → 電話対応が怖い・苦手な人へ
- 限界に気づけないまま倒れる → 気づいたら限界になっている人へ
- 休むたびに自分を責めてしまう → 自分を責めるのが癖になっている人へ
- 働き方そのものを相談したい → 職場に「これがつらい」と言えない人へ
まず今日、これだけやってみる
- 欠勤の連絡文を3つ書いて、スマホのメモのいちばん上に固定する
- 上司の電話番号とチャットの宛先を、今すぐ登録する
- 体調を崩したときの連絡手段を、次の面談で一言だけ確認する
この記事について
感情が大きく動きやすいことを扱った研究をまとめた分析があります。成人のADHDのある人を対象にしたもので、感情の揺れを性格ではなく特性の一部として説明する材料になります。ただし、この分析は対処のしかたの効果を調べたものではありません。「揺れない日に文面を作っておく」という進め方は、そこから導いた工夫であって、研究で確かめられた方法ではありません。
働く人向けの相談先としては、厚生労働省の「こころの耳」があります。職場の悩みの相談先を探すのに使えますが、医療機関の代わりになるものではありません。体の症状が続くときは、そちらは医療の窓口で見てもらってください。
この記事に並べた文面は、実務でよく使われている形をもとにした例です。就業規則や連絡のきまりは会社ごとに違うので、自分の職場の決まりを優先してください。有給休暇の使い方や欠勤の扱いも、勤め先によって差があります。
休みたい気持ちが毎朝続く、休んでも回復しない、体が動かない日が増えている。そうしたときは、連絡のしかたを工夫する段階ではないかもしれません。困りごとが続くときは、専門家に相談してください。相談先の探し方にまとめています。
休むって決めた時点でもうしんどいのに、そこから電話という第二関門がありますよね。あれは根性の話じゃなくて、いちばん頭が回らない時間に、いちばん気を使う連絡をさせられているだけなんです。だから前の日までに文章を作っておくんですよ。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
- 専門家・公的情報
- 厚生労働省などの公的な機関や、専門家が出している情報をもとにしています。
専門家・公的情報こころの耳(働く人のメンタルヘルス・ポータルサイト)
この研究でわかっていること:職場の悩みの相談先として案内できます。
ここはまだ分かっていません:医療機関の代わりではありません。
研究で検討成人ADHDにおける感情の調節のしにくさ:研究をまとめた分析
(原題:Emotion dysregulation in adults with attention deficit hyperactivity disorder: a meta-analysis)
この研究でわかっていること:感情が大きく動きやすいことを、性格ではなく特性の一部として説明できます。
ここはまだ分かっていません:対処法の効果を調べたものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。