資格の勉強が続かない人へ|机に向かえない日の進め方
— 「毎日2時間」をやめると、続きます
ポイント
- 「毎日2時間」は続きません。「毎日5分」のほうが結果的に進みます
- 机に向かえない日のための、机なしでできる方法を用意しておきます
- 計画は必ず崩れます。崩れる前提で組んでください
目次を開く(19項目)
資格を取ろうと思ってテキストを買った。最初の3日はやった。1週間後には開いていない。
そして「自分は続かない人間だ」と思う。
続かないのは、計画のほうに原因があることが多いです。
続かない理由
1. 最初の計画が重すぎる
「毎日2時間」「1週間で1章」。テキストを買った日は、やる気が最大です。その日の自分を基準に計画を立てると、必ず崩れます。
2. 1日抜けると終わる
「毎日やる」と決めると、1日抜けた時点で「もうダメだ」となります。完璧主義が続かなさを作ります。
3. 始めるのが重い
机に向かう、テキストを出す、ノートを開く。この工程が多いほど、始められません。
4. 進んでいる実感がない
分厚いテキストの3ページ目にいると、終わりが見えません。進捗が見えないと、やる気が続きません。
5. 何をやればいいか毎回考えている
「今日はどこからやろう」を毎回考えると、そこで力尽きます。
【計画】崩れる前提で組む
1. 「毎日5分」から始める
多すぎる目標より、少なすぎる目標のほうが結果的に進みます。
5分なら、疲れていてもできます。そして始めると、たいてい5分以上やります。始めることが目的です。
2. 最低ラインを決めておく
最低ライン:テキストを開くだけ
これなら10秒です。開いて閉じてもいい。ゼロにしないことが大事です。
3日連続でゼロにすると、そのテキストは「見たくないもの」になります。
3. 「いつ・どこで」を決める
「時間があるときにやる」は、時間ができません。日時と場所まで決めてください。
「平日の朝、会社の近くのカフェで、始業前に20分」
行動をきっかけと結びつけて先に決めておく方法は、目標達成の研究でも支持されています。
4. 既存の習慣にくっつける
すでに毎日やっていることの直後に置くと、定着しやすくなります。
「朝、コーヒーを淹れたらテキストを開く」 「昼食が終わったら、アプリを10分やる」
習慣は同じ合図と行動のくり返しで育ちますが、身につくまでの日数は人によって大きく違います。
5. 崩れたら再開する
抜けた日があっても、そこで終わりではありません。 また始めればいいです。
「今日から仕切り直し」でOKです。抜けた分を取り返そうとしないでください。それをやると、また重くなります。
【始め方】ハードルを下げる
6. テキストを開きっぱなしにする
閉じてしまうと、開く手間が1つ増えます。机に開いたまま置いておくだけで、着手率が変わります。
7. 前の日に「明日やるページ」を開いておく
今日の自分が、明日の自分の準備をします。開いたページに付箋を貼っておくだけです。
8. 最初の1問だけやる
「今日は1問だけ」と決めて始めます。1問やると、たいてい続きます。
くわしくは最初の一歩がどうしても踏み出せない人へへ。
9. 場所を変える
家だと始められないなら、外に出るのがいちばん早いことがあります。
カフェ、図書館、自習室。「ここに来たら勉強する」という場所を作ると、座るだけで切り替わります。
【机に向かえない日】
疲れている日、時間がない日でも進める方法を用意しておきます。
10. アプリ・音声で進める
- 一問一答アプリ(電車の中でできます)
- 音声教材(歩きながら、家事をしながら)
- 動画講座(横になっていても見られます)
机に向かわなくてもできる形を、必ず1つ持っておいてください。
11. 過去問を1問だけ解く
テキストを読むより、問題を解くほうが軽いことがあります。1問なら3分です。
12. 前にやったところを見返すだけ
新しいことをやる気力がない日は、復習だけにしてください。それでも進んでいます。
13. 何もできない日は「休む」と決める
やらない日を、罪悪感なしに作ってください。 「今日は休む」と決めて休むのと、なんとなくやらないのとでは、翌日の重さがちがいます。
【進んでいる実感を作る】
14. 記録を残す
やった日にカレンダーへ印をつけるだけ。印が並ぶと、続けたくなります。
アプリでも紙でも構いません。
15. 終わりから見る
「残り何ページ」ではなく、「何ページ終わった」を数えてください。
テキストに付箋を貼っていくと、厚みで進捗が見えます。
16. 過去問を早めにやる
最初から順に読むより、過去問を先に見るほうが効率がいいことがあります。
- 何が出るか分かる
- いまの実力が分かる
- 読むべきところが絞れる
全部を完璧にやろうとしないのがコツです。
資格の勉強が続かない人へ/時間の区切り方
時間の区切り方
短い休憩には、活力を高めて疲れを減らす効果があると報告されています(成績が上がるかどうかは、はっきりしていません)。
- 25分やって5分休む
- 45分やって10分休む
- 「1章終わったら休む」
自分に合う長さを試してください。 決まった正解はありません。
くわしくはポモドーロが続かない人へへ。
試験が近づいたら
やる範囲を絞る
全部やろうとすると、間に合いません。出るところだけにしてください。
過去問で頻出のところ、配点の高いところから。
当日のことを先に確認する
- 会場の場所と行き方
- 持ち物(受験票、身分証、時計、筆記具)
- 開始時刻
前の日の夜に全部そろえて、玄関に置いてください。 当日の朝に判断しなくて済みます。
受験の配慮を調べる
試験によっては、別室受験や時間延長などの配慮を申請できることがあります。診断がある場合は、主催団体に問い合わせてみてください。
申請の期限が早いことが多いので、申し込みの前に調べるのがポイントです。
場所を変える
家で集中できないなら、場所のほうを変えてください。
- 図書館
- カフェ
- 自習室
- 会社の空いている会議室
「ここでは勉強する」という場所を1つ作ると、座っただけで始まることがあります。
家でやるなら、寝る場所と勉強する場所を分けてください。ベッドの上ではやらない。
くわしくは机に向かっても気が散る人へへ。
覚え方を変える
読んで覚えられないなら、入れ方を変えてください。
声に出す
黙読より、声に出したほうが覚えられる人がいます。
書く
手を動かすと入る人もいます。きれいにまとめる必要はありません。 殴り書きで十分です。
聞く
- 教科書を読み上げ機能で聞く
- 解説動画を倍速で見る
- 自分の声を録音して聞く
歩きながら、家事をしながらでも聞けます。
人に説明する
いちばん定着します。 相手がいなくても、声に出して説明するだけで効きます。
「自分に合う入れ方」を2〜3試して、いちばん残ったものを使ってください。
問題を先に解く
教科書を最初から読むと、どこが大事か分からないまま時間だけ過ぎます。
- 先に問題を解く(分からなくていい)
- 答えを見る
- 分からなかったところだけ、教科書に戻る
必要なところだけ読むことになるので、圧倒的に速いです。
資格の勉強が続かない人へ/進み具合を見えるようにする
進み具合を見えるようにする
「どれだけやったか分からない」と、やる気が続きません。
- 終わったページに印をつける
- カレンダーに「やった日」だけ丸をつける
- 過去問の点数を記録する
増えていくのが見えると、続きます。
試験当日の配慮
学校や資格試験によっては、配慮を申請できることがあります。
- 別室での受験
- 時間の延長
- 問題文の読み上げ
診断書が必要なことが多く、申し込みの締め切りも早いです。
受ける試験の要項に「受験上の配慮」という項目があるか、早めに確認してください。
続かないときの直し方
計画が細かすぎる
「1日◯ページ」を守れないと、そこでやめてしまいます。
「1日15分やる」だけにしてください。進む量ではなく、時間で決める。
完璧にやろうとしている
全部覚えようとすると、始められません。
合格点を取ればいいです。 満点はいりません。
疲れている
寝不足で勉強しても、入りません。寝るほうが先です。
くわしくは夜、なかなか眠れない人へへ。
まず今日、これだけやってみる
- 「毎日5分」に目標を下げる
- テキストを開いたまま、机に置いておく
- 机に向かえない日用に、アプリか音声教材を1つ用意する
続かなかった日を責めないでください。 また始めればいいだけです。
隙間時間を使う
まとまった時間が取れないなら、細切れでできる形にしておいてください。
- 単語カードのアプリを入れておく
- 過去問を1問だけ解く
- 解説動画を通勤中に聞く
5分でできることを用意しておくと、時間ができたときに始められます。
一人でやらない
一人だと続かないなら、人を使ってください。
- 同じ試験を受ける人と、進み具合を報告し合う
- オンラインで同じ時間に勉強する
- 講座や塾に申し込む(お金を払うと続きやすくなります)
くわしくは誰かがいると作業できる人へへ。
よくある質問
計画がすぐ崩れます
崩れる前提で組んでください。 予備日を週に1日入れておけば、崩れても戻れます。
「1日◯ページ」ではなく「1日15分」のほうが守れます。
覚えられません
入れ方を変えてください。 読む・書く・聞く・話す。合う入れ方は人によって違います。
2〜3試して、いちばん残ったものを使ってください。
直前にならないと集中できません
自分の締め切りを、本番の1か月前に置いてください。そこで一度、模試や過去問で通してみる。
「直前」が前倒しで来ます。
勉強する意味が分からなくなりました
合格したあと何をしたいかを、1行だけ書いて見える場所に貼ってください。
それでも動けないなら、いったん休んでいいです。無理に続けても入りません。
関連する困りごと
-
始められない → 最初の一歩がどうしても踏み出せない人へ
-
気が散る → 机に向かっても気が散る人へ
-
長い文章が読めない → 長い文章が読めない人へ
-
眠れない → 夜、なかなか眠れない人へ
-
先延ばししてしまう → やらなきゃと思うほど動けない人へ
-
締め切りを落とす → 締め切りをいつも守れない人へ
合格点を取ればいいです。 満点はいりません。
この記事について
行動を場面や時刻と結びつけて先に決めておく方法は、目標を達成しやすくするとたくさんの研究をまとめた分析で報告されています。「朝コーヒーを淹れたらテキストを開く」は、この考え方です。
習慣は同じ合図と行動のくり返しで育つことが研究で示されています。ただし身につくまでの期間には非常に大きな個人差があり、途切れても再開すればいいことも同じ研究が示しています。
短い休憩については、活力を高めて疲れを減らすことがたくさんの研究をまとめた分析で報告されています。
また、成人ADHDに対して時間の使い方や計画のスキルを練習する方法を調べた研究では、うっかりしやすさの改善が報告されています。勉強のやり方は、工夫の対象になります。
そのうえで、「毎日5分」「過去問から」といった具体的なやり方は、研究で確かめられたものではありません。
勉強が進まないことでつらい状態が続くときは、一人で抱えないで専門家に相談してください。相談できる場所は相談先・公的窓口にまとめています。
テキストを買った日がいちばんやる気があるんですよね。そこから右肩下がり。だから、やる気が最低の日でもできる形にしておくのが大事です。
この記事の出どころ
- 研究で検討
- 論文で調べられている内容です。ただし、どんな人を対象にした研究かは記事ごとにちがいます。
研究で検討「もし〜なら〜する」と先に決めておく方法が目標達成に与える効果の研究をまとめた分析
(原題:A Meta-Analysis of the Effects of Mental Contrasting With Implementation Intentions on Goal Attainment)
この研究でわかっていること:行動を「場面」と結びつけて決めておく方法に一定の効果があると言えます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDだけを対象にした研究ではありません。一般の人向けの知見を当てはめています。
研究で検討習慣はどうやってできるのか:日常生活での習慣づくりを追った研究
(原題:How are habits formed: Modelling habit formation in the real world)
この研究でわかっていること:同じ合図と同じ行動の反復が習慣化を支えること、定着に個人差が大きいことを示せます。
ここはまだ分かっていません:ADHD・ASDを対象にした研究ではありません。「21日で習慣化」も本研究の結論ではありません。
研究で検討「休ませて!」:短い休憩の効果についてのたくさんの研究をまとめた分析と研究をまとめた分析
(原題:"Give me a break!" A systematic review and meta-analysis on the efficacy of micro-breaks)
この研究でわかっていること:短い休憩は疲れにくさに効くと言えます。休憩は長いほど成績への効果が大きい傾向も報告されています。
ここはまだ分かっていません:「休憩をはさめば成績が上がる」とは言えません。ADHD・ASDを対象にした研究でもありません。
研究で検討成人ADHDに対するメタ認知療法の効果
(原題:Efficacy of Meta-Cognitive Therapy for Adult ADHD)
この研究でわかっていること:時間管理・整理・計画のスキルの練習が成人ADHDのうっかりしやすさを減らしうると言えます。
ここはまだ分かっていません:個々の道具(付箋・アプリ等)単独の効果を調べたものではありません。
制度の内容・金額は改定される場合があります。最新の情報は各窓口・公式ページでご確認ください。 出典の考え方は 情報の出どころの見方 にまとめています。
合わなかったら、別のやり方を試してください
ここに書いたことが全員に効くわけではありません。ひとつ試して合わなければ、それは失敗ではなく「自分に合わない方法が1つ分かった」ということです。